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インフルエンザワクチンを4回以上接種された心不全患者において認知症リスクは半減する [2016-05-31] |
Risk of dementia halved in heart failure patients receiving flu vaccine more than three times |
心不全患者においてインフルエンザワクチン接種は認知症リスク低下と関連がある、との20,000人以上を対象としたスタディ結果が、2016年Heart Failureおよび第3回World Congress on Acute Heart Failureで発表された。スタディは心不全患者20,509人を対象とした。相関に影響する可能性のある因子で補正した結果、インフルエンザワクチンを接種された心不全患者は接種されなかった患者に比べ、認知症発症率が35%低かった。4回以上接種を受けた患者は、認知症リスクが55%低かった。 |
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電気けいれん療法は統合失調症に対する副作用の少ない有効な治療選択肢である [2016-05-31] |
Electroconvulsive therapy is effective treatment option for schizophrenia with minimal side effects |
電気けいれん療法(ECT)は統合失調症に対する有効な治療となり得る、と2016年American Psychiatric Association年次集会で発表された。研究者らは、統合失調症または統合失調感情障害と診断されECTを施行された患者144人のカルテを調査し、治療有効性および認知機能に対する副作用を評価した。4分の3超(77%)の患者がECT治療に反応し、統合失調症治療に対するECTの臨床的有効性が示された。さらに、副作用は、うつ病患者に対するECT使用に基づき予測されたものより少なかった。 |
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自傷行為および非意図的外傷率はリチウムを内服する双極性障害患者には低い [2016-05-24] |
Self-harm and unintentional injury rates lower in patients with bipolar disorder who take lithium |
双極性障害患者において、リチウム内服はその他一般的に指示される維持療法に比べ、自傷行為や非意図的外傷率の低下と関連した、とJAMA Psychiatryオンライン版に掲載された。6,671人を対象としたこのスタディにおいて、リチウム内服患者は、バルプロ酸ナトリウム、オランザピンまたはクエチアピン処方患者に比べ、自傷行為および非意図的外傷率が低いことが示された。自殺者数は少なすぎたため、個々の薬剤の違いを示すことはできなかった。この結果は、リチウム使用により気分の安定に加え衝動的攻撃性が軽減する、との仮説を支持するものである。 |
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結婚はアルコール使用障害の発症リスクを直接および実質的に軽減するようである [2016-05-24] |
Marriage appears to directly and substantially reduce risk for onset of alcohol use disorder |
男女いずれにおいても、既婚者は非既婚者に比べアルコール使用障害リスクが有意に低い、とAmerican Psychiatric Association(APA)年次集会で発表され、同時にAmerican Journal of Psychiatryに掲載された。この相関は強力であり、既婚男女は非既婚男女に比べ、アルコール使用障害を発症するリスクが、それぞれ60%および71%低かった。結婚による予防効果は、アルコール依存症家族リスクの高い者においてより強力であった。しかし、アルコール依存歴を有する配偶者との結婚は、アルコール使用障害リスクを上昇させた。 |
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ワルファリン治療を受けている心房細動患者は認知症の割合が高い [2016-05-17] |
Patients with atrial fibrillation treated with warfarin have higher rates of dementia |
第37回Heart Rhythm Society年次集会Heart Rhythm 2016において、長期にわたりワルファリンを投与されている心房細動(AF)患者は、抗凝固療法を受けている非AF患者に比べ認知症リスクが高い、と報告された。10,000人超の患者に対する約7年間の追跡期間中、AF患者群において非AF患者群に比べ、全ての型の認知症が増加した。しかし両群ともに、治療域における間隔が減少するかまたは一定しなくなるにつれ、認知症リスクは上昇した。70歳未満の患者は最も認知症リスクが高い傾向にあった。 |
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インターネットを用いた認知行動療法および問題解決療法は大うつ病性障害リスクを軽減した [2016-05-17] |
Web-based cognitive-behavioral and problem-solving therapy reduced risk of major depressive disorder |
うつ病の何らかの症状を有する患者において、インターネットによる自助介入を用いることで、強化された通常治療に比べ大うつ病(MDD)の発症を12か月にわたり減少させた、とJAMAに掲載された。研究者らは、閾値下うつ病の成人406人を、オンラインのトレーナーの支援による認知行動療法および問題解決療法(202人)、またはインターネット心理教育プログラム(204人)のいずれかにランダムに割り付けた。その結果、介入群の27%がMDDを発症したのに対し、コントロール群におけるその割合は41%であった。この介入法はMDD発症リスクを効果的に軽減させるか、少なくとも発症を遅らせる可能性がある、と筆者らは示唆している。 |
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再発性のうつ病に対するマインドフルネス認知療法はうつ病再発リスク低下と関連がある [2016-05-02] |
Mindfulness-based cognitive therapy for recurrent depression linked to reduced risk of depressive relapse |
再発性のうつ病に対するマインドフルネス認知療法(MBCT)は、通常の治療に比べうつ病再発リスクを低下させ、転帰は他の積極的治療を受けた患者と同等であった、とJAMA Psychiatryオンライン版に掲載された。9トライアルのメタ解析において、MBCTを受けなかった者の49%が60週の追跡期間中に再発したのに対し、MBCTを受けた者におけるその割合は38%であった。再発までの時間を考慮すると、MBCTを受けた者はMBCTを受けなかった者に比べ、60週の追跡期間中に再発する確率が31%低かった。 |
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7年間にわたるアントラサイクリン系薬剤による化学療法と認知機能低下にはリスクにおける関連が見られなかった [2016-05-02] |
No risk association observed between anthracycline chemotherapy and cognitive decline over 7-year study |
新たなデータ解析の結果、乳がんサバイバーにおけるアントラサイクリン系薬剤による化学療法と認知機能低下のリスク上昇には関連が見られなかった、とJAMA Oncologyオンライン版に掲載された。研究者らは、がん治療後の記憶、処理速度および実行機能における認知機能は、アントラサイクリン系薬剤による化学療法の有無を問わず同等である、と報告した。経時的に見て、認知機能は治療後最長7年まで両群間で同等であった。筆者らは、今回のスタディ結果は他の知見と異なる、と認識している。 |
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