初期段階のアルツハイマー病において、女性では同様の男性に比べ言語記憶能力が長く維持される可能性がある [2016-03-29]
Women may keep verbal memory skills longer than men in early stages of Alzheimer’s disease

同程度の脳領域の萎縮があり初期のアルツハイマー病の徴候を示していても、女性は男性に比べ言葉の記憶が優れている、とNeurologyに掲載された。軽度から中等度の海馬の萎縮を示す女性は同等の男性に比べ、即時想起および遅延想起のテストスコアが良好であった。高度の海馬萎縮を生じた状態では、スコアに男女差はなかった。診断検査はこれらの性差を考慮して補正する必要があるだろう、と筆者らは述べている。

心血管系の健康尺度がより理想的であることは加齢による認知機能低下が少ないことに繋がる可能性がある [2016-03-29]
More ideal cardiovascular health measures may lead to less cognitive decline as people age

健康な心臓は、時に加齢に伴う脳機能低下予防において大きな有益性となり得る、とJournal of the American Heart Associationに掲載された。研究者らは多様な人種の高齢者集団を調査し、心血管系の健康因子がより理想的であるほど、初回評価時の脳処理速度が速いことを明らかにした。この関連性は非喫煙者で、空腹時血糖が理想的であり、理想体重である場合に最大であった。6年後に心血管系の健康因子をより有していることは処理速度、記憶および実行機能における認知機能低下が少ないことと関連があった。

いかなるタイプの有酸素運動でも脳構造を改善しアルツハイマー病リスクを軽減させる [2016-03-22]
Any type of aerobic physical activity can improve brain structure and reduce Alzheimer's risk

ウォーキングからガーデニング、ダンスまで、多種多様な運動は脳容積を改善しアルツハイマー病リスクを50%軽減させる、とJournal of Alzheimer's Diseaseに掲載された。運動を増やすことは前頭葉、側頭葉、および海馬を含む頭頂葉の脳容積が大きいことと関連があった。運動を多くすることによる脳に対するこの有益性を得た者は、アルツハイマー型認知症リスクが50%軽減した。アルツハイマー病に関連する軽度認知障害を有する対象の約25%においても、運動を増やすことは脳容積に有益であった。

歯周病は初期段階のアルツハイマー病における認知機能低下増大と関連がある [2016-03-22]
Gum disease associated with increased cognitive decline in early stage Alzheimer's Disease

PLOS ONE に掲載された新たなスタディの結果、初期段階のアルツハイマー病患者において歯周病と認知機能低下が高率に認められることには関連がある、と発表された。ベースライン時に歯周病が存在していると、スタディにおける追跡期間である6か月間の認知機能低下率は6倍増大した。ベースライン時の歯周炎は6か月間の炎症誘発状態を相対的に増大させた。参加者において観察された認知機能低下の一部においては、炎症に加え口腔内の健康に伴う他の因子が影響している可能性がある。

敵意をもった若年成人は中年期に思考や記憶の問題が生じる可能性がある [2016-03-15]
Hostile young adults may experience thinking and memory problems in middle age

敵意のある態度を示したりストレスにうまく対処できなかったりする若年成人は、数十年後に認知機能に問題が生じるリスクが高い可能性がある、とNeurologyに掲載された。この解析にあたり、参加者は敵意レベルやストレス対処に要する努力レベルに基づき4群に分けられた。この両方の人格特性に関して、特性レベルが最も高い者は最も低い者に比べ、25年後の思考および記憶能が有意に不良であった。この結果はうつ病、人生における不幸な出来事および差別などの因子で補正しても同じであった。

アルツハイマー病の人々における抗うつ薬開始は診断数年前であっても頻度が高い [2016-03-15]
Antidepressant initiation more frequent among persons with Alzheimer's disease even years before diagnosis

アルツハイマー病の人々において診断前に抗うつ薬が開始される頻度は高い、とフィンランド全国調査であるMEDALZスタディで示され、International Journal of Geriatric Psychiatryに掲載された。アルツハイマー病患者における抗うつ薬開始は、アルツハイマー病と診断されていない対象群に比べ、診断の9年も前から頻度が高かった。13年間の追跡期間中に、アルツハイマー病患者の42%およびアルツハイマー病と診断されていない対象群の22%が抗うつ薬を開始した。最も一般的に使用された抗うつ薬は選択的セロトニン再取込み阻害薬(SSRI)であり、次いでミルタザピンであった。

PTSDを有する震災被災者の脳は皮質厚が増加する形で早期の灰白質変化を来している [2016-03-08]
Earthquake survivors with PTSD have early gray matter changes in the form of increased cortical thickness

成人の震災被災者においては、心的外傷後ストレス障害(PTSD)の有無によって脳の構造上驚くべき違いがあることがMRIにより示された、と研究者らはRadiologyに報告した。PTSD患者は、同じ震災により同様の心的外傷を経験した他の人々に比べ、灰白質および白質の両方に変化を来していた。PTSD発症過程の早期に、灰白質変化は皮質厚が減少するのではなく増加する形で変化する。PTSDの重症度は、脳の左楔前部領域の皮質厚と正の相関があった。これらの結果は、心的外傷イベント経験後にPTSDを発症する確率の高い者を同定するのに役立つ可能性がある。

高齢者における麻酔下での手術は長期の認知機能障害とは関連がない [2016-03-08]
Surgery with anesthesia not linked to long-term cognitive impairment in older adults

新たな研究の結果、高齢者は麻酔により認知機能障害リスクが上昇する可能性があるとの懸念から、QOLを高める手術に消極的になるべきではないことが示唆された。Anesthesiologyに掲載されたデンマークの中高年双生児8,500人超を対象としたスタディにおいて、長期認知機能低下に関して大手術と全身麻酔との間に有意な関連は認められなかったことが示された。この結果から、中高年の認知機能においては、手術や麻酔よりも術前の認知機能および基礎疾患の方がより重要であることが示唆される。

前兆のある片頭痛は心原性塞栓症および血栓性脳梗塞のリスクを上昇させるようである [2016-03-01]
Migraines with aura appear to increase risk of cardio-embolic and thrombotic stroke

前兆のある片頭痛は心臓内、または脳への血液供給動脈内で形成される血栓により引き起こされる虚血性脳梗塞(それぞれ心原性塞栓症または血栓性脳梗塞)と関連がある、と2016年American Stroke Association's International Stroke Conferenceで発表された。現在進行中である12,844人の成人(45〜64歳)を対象とした25年間のスタディにおいて、817人の脳梗塞および前兆のある片頭痛患者は、虚血性脳梗塞を来す確率が2.4倍高かった。これらの患者はまた、心原性塞栓症の発症確率が3倍であり、血栓性脳梗塞の発症確率が2倍であった。

現在用いられているPET脳スキャンの放射性トレーサーに比べ、抗体はアルツハイマー病の診断をより正確にする [2016-03-01]
Antibody provides a more exact Alzheimer's diagnosis than current radioactive tracers used in PET brain scans

モノクローナル抗体に血液脳関門を通過させ、脳のPET画像のトレーサーとして作用させることに、研究者らは初めて成功した。その結果、標準的な放射性トレーサーを用いて得られるより、詳細な情報が得られた。このスタディにより、早期発症型アルツハイマー病のより有効な診断や、薬剤効果のモニタリング向上が期待される。このスタディ結果はNature Communicationsに掲載された。スタディは、アルツハイマー病の生きたトランスジェニックマウスを用いて行われた。研究者らは現在、パーキンソン病に対する同様のPETの研究を行っている。