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個別化医療により進行がん患者の治療選択肢が広がる可能性がある [2016-06-28] |
Precision medicine approach may expand therapeutic options for patients with advanced cancers |
腫瘍内分子異常を有する患者と対応する分子標的治療とを適合させた、第II相試験の有望な早期結果が報告された。12の異なる型の進行がんを有する患者129人中29人において、FDAが承認した適応以外の薬剤が奏効した。特定の分子変異を有する4つの腫瘍タイプにおいて、有望な奏効性が認められたことから、これらの腫瘍を有する他の参加者にも薬剤の使用が拡大されている。有効性が最も確実視されたのは、HER2異常を有する患者であった。このスタディ結果は2016年American Society of Clinical Oncology年次集会で発表された。 |
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膠芽腫の切除範囲が生存率と増悪に関連する [2016-06-28] |
Extent of resection in glioblastoma associated with likelihood of survival and disease progression |
膠芽腫患者においては切除範囲が生存率と増悪に関連する、とJAMA Oncology オンライン版に掲載され、併せて一部が2016 Annual Meeting of the American Society of Clinical Oncologyで抄録として公開された。研究者らは37のスタディ(患者計41,117人)のメタ解析において、全摘出(GTR)と部分摘出(STR)、または生検を全生存率および無増悪生存期間について比較した。その結果、GTRはSTRに比べ1年生存率を61%上昇させ、2年生存率を19%上昇させる可能性がある、と報告された。 |
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タンデム自家移植はハイリスク神経芽腫患者の予後を改善する [2016-06-21] |
Double stem-cell transplant improves outcomes for children with high-risk neuroblastoma |
2016年American Society of Clinical Oncology年次集会で取り上げられたランダム化第III相試験の結果、タンデム自家移植を用いた集中的治療が、ハイリスクの小児神経芽腫患者の予後を改善することが示された。このトライアルでは、新規にハイリスク神経芽腫と診断された小児(年齢中央値3.1歳)を組み入れた。患者の大多数(88%)がstage 4であり、38.2%はMYCN遺伝子増幅と呼ばれるハイリスクの遺伝子異常を有していた。3年後、タンデム移植を施行された患者の無再発率は61.4%であったのに対し、シングル移植を施行された患者では48.4%であった。副作用は、タンデム移植とシングル移植で同等であった。 |
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10年間のホルモン療法はQOLを低下させることなく乳がんの再発を減少させる [2016-06-21] |
Ten years of hormone therapy reduces breast cancer recurrence without compromising quality of life |
第III相臨床試験の結果、ER陽性乳がん患者において、アロマターゼ阻害薬(AI)による術後補助療法を5年から10年に延長することで、その後のがん再発が3分の1減少することが示された。追跡期間中央値6.3年の時点で、副次的評価項目である全生存期間に差はなかった。対側乳がん年間罹患率は、レトロゾール群においてプラセボ群よりも低く(0.21% vs. 0.49%)、乳がん予防効果が示された。患者の全体的なQOLは、2群間で同等であった。このスタディは、2016年American Society of Clinical Oncology年次集会プレナリーセッションで取り上げられた。 |
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カペシタビンを用いた併用化学療法は膵がん術後の生存期間を延長させる [2016-06-21] |
Chemotherapy combination with capecitabine extends survival after pancreatic cancer surgery |
2016年American Society of Clinical Oncology年次集会で発表されたランダム化第III相試験の結果、ゲムシタビンによる化学療法にカペシタビンを上乗せすることにより、膵がんの術後予後が改善することが示された。この2剤併用療法は、毒性を大幅に増加させることなく、推定5年生存率を16.3%から28.8%に上昇させた。全生存期間中央値は、併用療法群で28.0か月であったのに対し、ゲムシタビン単独群では25.5か月であった。生存期間中央値の差はわずかに見えるかもしれないが、このがんにとって長期生存期間の改善は大幅な改善である、と筆者らは指摘している。 |
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術後補助化学療法は1p/19q co-deletionのない退形成性神経膠腫患者の予後を改善する [2016-06-21] |
Adjuvant chemotherapy improves outcomes for patients with anaplastic glioma without 1p/19q co-deletion |
2016年American Society of Clinical Oncology年次集会で発表された第III相試験の早期結果から、標準的放射線療法にテモゾロミドによる術後補助化学療法を上乗せすることにより、1p/19q co-deletionのない退形成性神経膠腫患者の生存期間が延長することが示唆された。推定5年生存率は、放射線療法と術後補助化学療法の併用群で56%であったのに対し、テモゾロミドによる術後補助化学療法の非併用群では44%であった。増悪までの期間中央値は、テモゾロミド併用群で2倍以上であった(42.8か月対19か月)。これらの結果は、この希少脳腫瘍患者の治療選択肢を拡大し治療法を変化させるはずである、と筆者らは述べている。 |
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このクラスで初めての抗体が進行胃がん患者の生存期間を改善する [2016-06-21] |
First-in-class antibody improves survival for patients with advanced gastric cancer |
2016年American Society of Clinical Oncology年次集会で発表されたランダム化第II相試験の結果、新たな免疫療法IMAB362が進行胃がん患者の生存期間を大幅に延長させることが示された。IMAB362は、全ての胃がんの約70%において存在する、細胞表面のclaudin18.2を標的とした初めての抗体である。化学療法単独に比べ、IMAB362は増悪までの期間中央値を4.8か月から7.9か月に、全生存期間中央値を8.4か月から13.2か月に延長した。Claudin18.2レベルが最も高い患者における生存期間中央値は、IMAB362を用いた場合16.7か月であり、化学療法単独では9か月であった。 |
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ウェブを介したフォローアップアプリケーションは進行肺がん治療後の生存期間を改善した [2016-06-21] |
Web-mediated follow-up application improved survival following treatment for advanced lung cancer |
第III相試験の結果、受診日間の症状を自己報告するウェブアプリケーションにより、標準的なフォローアップに比べ、1年生存率が26%上昇したことが示された。初回化学療法、放射線療法、または手術終了後、stage III/IV肺がん患者133人が、ウェブを介したフォローアップまたは標準的なフォローアップの群にランダムに割り付けられた。全生存期間中央値は、このアプリケーションを用いた患者では19か月であったのに対し、標準的なフォローアップ患者では12か月であった。患者のQOLもまた、このアプリケーションを用いた患者の方が優れていた。このスタディ結果は2016年American Society of Clinical Oncology年次集会で発表された。 |
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Daratumumabベースの3剤併用療法は多発性骨髄腫の進行を緩徐にする [2016-06-14] |
Three-drug daratumumab-based regimen slows progression of multiple myeloma |
ランダム化第III相試験の結果、標準的な2剤併用療法(ボルテゾミブおよびデキサメタゾン)にdaratumumabを上乗せすることにより、再発または難治性多発性骨髄腫の予後が著明に改善した、と2016年American Society of Clinical Oncology年次集会で発表された。Dratumumabとの併用療法により、病勢進行リスクは70%減少し、最良部分奏効率は29%から59%、完全奏効率は9%から19%に倍増した。Daratumumabはがん細胞の表面に存在するCD-38と呼ばれる蛋白質を標的とする。この結果から、3剤併用療法は再発/難治性多発性骨髄腫の新たな治療選択肢に位置付けられるであろう。 |
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経静脈投与に腹腔内化学療法を追加することにより卵巣がんの進行が緩徐になる [2016-06-14] |
Adding intraperitoneal chemotherapy to intravenous therapy slows progression of ovarian cancer |
手術が成功し、経静脈投与(IV)化学療法に加え腹腔内(IP)化学療法を施行された一部の進行卵巣がん女性においては、IV化学療法のみの施行に比べ効果が高いようである。手術前に最初に化学療法を施行された女性においては、IPおよびIV化学療法を施行された患者の23.3%が9か月後に進行したのに対し、IV化学療法のみの患者におけるその割合は42.2%であった。このスタディ結果は2016年American Society of Clinical Oncology年次集会で発表された。 |
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高齢の神経膠芽腫患者はテモゾロミドを用いた化学放射線療法により生存期間が延長する [2016-06-14] |
Elderly patients with glioblastoma live longer with chemoradiation using temozolomide |
2016年American Society of Clinical Oncology年次集会で発表されたランダム化第III相試験の結果、短期放射線療法中にテモゾロミド化学療法を併用、その後月1回維持療法として追加することにより、高齢神経膠芽腫患者の生存期間が延長し、死亡リスクは33%低下することが示された。テモゾロミドの有益性は、40%の患者において認められたMGMTプロモーターメチレーションと呼ばれる腫瘍マーカーを有する患者において、特に顕著であった。副作用はテモゾロミド投与患者においてやや多かったが、全体的なQOLは放射線療法単独群と比べ同等であった。 |
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新規の抗体薬物複合体は再発小細胞肺がんにおいて有望であるとの早期結果が示された [2016-06-14] |
Novel antibody drug conjugate shows early promise in recurrent small cell lung cancer |
ヒト初回投与臨床試験の早期結果から、抗体薬物複合体(ADC)rovalpituzumab tesirine (Rova-T) の再発小細胞肺がん(SCLC)に対する有効性が期待できることが示された。新規の抗DLL3抗体と強力な抗がん剤を組み合わせたこの治療により、腫瘍内DLL3レベルの高い患者の89%において腫瘍増殖を抑制し、39%において腫瘍を縮小した。この結果から、DLL3は初のSCLC予測バイオマーカーとなる可能性が示唆された。このスタディ結果は2016年American Society of Clinical Oncology年次集会で発表された。 |
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進行膀胱がん患者は抗PD-L1免疫療法の恩恵を受ける [2016-06-14] |
Patients with advanced bladder cancer benefit from Anti-PDL-L1 immunotherapy |
2016年American Society of Clinical Oncology年次集会で発表された非ランダム化第II相臨床試験の結果、抗PD-L1免疫療法薬atezolizumabは、新規に進行膀胱がんと診断され、シスプラチンベースの化学療法に不適な患者において有効であることが示された。Atezolizumabは約4分の1の患者の腫瘍を縮小し、14.8か月の生存期間中央値をもたらした。一般的に、カルボプラチンベースの化学療法を行った場合、この状況における患者の生存期間は9〜10か月である。現在この状況における患者の治療選択肢は限られており、多くの患者が選択するのは支持療法だけである。 |
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リキッドバイオプシーは進行固形がんの治療方針決定に役立つ可能性がある [2016-06-14] |
Liquid biopsy may help guide treatment decisions for advanced solid tumors |
進行がん患者15,000人超のリキッドバイオプシーの解析の結果、循環腫瘍DNAにおけるゲノム変異は、対応する腫瘍組織において認められるものとほぼ一致していることが示された。これらの結果から、患者の血液内に流出した腫瘍DNAの解析は、組織生検がジェノタイプ判定には不十分、または安全に施行できない場合、非常に有益で低侵襲の代替法となり得ることが示唆された。さらにこの検査は、臨床上の方針決定に重要となり得る、経時的に進展するがんの変化をモニターする機会となる。このスタディ結果は2016年American Society of Clinical Oncology年次集会で発表された。 |
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新規薬剤時代においてもなお、多発性骨髄腫に対する自家幹細胞移植は重要である [2016-06-07] |
Autologous stem cell transplant remains important for multiple myeloma even in novel agent era |
2016年American Society of Clinical Oncology年次集会で発表された第III相試験の早期結果から、自家幹細胞移植(ASCT)を実施された65歳未満の多発性骨髄腫患者は、新規薬剤を用いた化学療法のみ実施された患者に比べ、無増悪生存期間の長いことが示された。無増悪生存期間中央値にはまだ到達しなかったが、ASCTを実施された患者は、ボルテゾミブ-メルファラン-プレドニゾン治療のみで移植を受けなかった患者に比べ、進行が緩徐であった。疾患が未進行の患者では、ASCT群患者は移植を受けなかった患者に比べ、将来のいずれの時点においても進行リスクが24%低かった。 |
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第I相試験において適切な治療が患者の予後を改善する [2016-06-07] |
Precision medicine yields better outcomes for patients in phase I clinical trials |
13,000人超の患者を組み入れた346の第I相臨床試験のメタ解析の結果、腫瘍の分子学的特性に基づいた治療を選択された患者は、有意に予後が良好であることが示された。適切な治療を用いた群では腫瘍縮小率が30.6%であり、適切な治療を用いてない群では4.9%であった。無増悪生存期間においても、適切な治療群で長かった(期間中央値5.7か月対2.95か月)。筆者らは、第I相試験の患者選択においても腫瘍バイオマーカーはますます用いられるべきである、と述べている。このスタディ結果は、2016年American Society of Clinical Oncology年次集会で発表された。 |
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