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冠動脈石灰化スコアが高いことはがん、腎および肺疾患のリスク上昇の徴候である可能性がある [2016-03-29] |
High coronary calcium score may signal increased risk of cancer, kidney and lung disease |
心臓CTを施行された6,000人超を10年間追跡したスタディの結果、冠動脈石灰化スコアが高いと心血管系疾患ばかりでなく、がん、慢性腎臓病および慢性閉塞性肺疾患のリスクも高いことが示唆された。新たにがんと診断された710人中、3分の2超(68%)の参加者は冠動脈に石灰化が検出された。他の因子で補正した結果、石灰化スコアが最高の者は追跡期間中にがんを発症するリスクが53%高かった。このスタディはJournal of the American College of Cardiology: Cardiovascular Imagingオンライン版に掲載された。 |
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ゲノムプロファイリングは難治性がんに対する分子標的治療選択肢の提供に役立つ [2016-03-29] |
Genomic profiling helps provide targeted therapy options for hard to treat cancers |
ゲノムプロファイリングにより、細胞調節の責任を担うシグナル伝達経路の変化を伴う腫瘍に対し、原発部位に関係なく分子標的治療が奏効する可能性のあることが、4月開催のAmerican Association for Cancer Research年次集会で発表される。婦人科、腎臓、肉腫、膵臓、メラノーマ、T細胞リンパ腫、膀胱および副腎の腫瘍が検査された。この伝達経路を標的とした薬剤を投与された19人中7人(37%)において、3〜8か月後の臨床的な有益性または予後の改善が認められた。この有効性は腫瘍型に特異的ではなかった。 |
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ニューロフィードバックは化学療法誘発性末梢神経障害(CIPN)を有するがん患者の疼痛を軽減しQOLを向上させる [2016-03-22] |
Neurofeedback reduces pain and increases quality of life for cancer patients with chemotherapy-induced peripheral neuropathy |
American Psychosomatic Society年次集会で発表されたスタディにおいて、ニューロフィードバックの使用を評価したところ、神経因性疼痛患者において慢性疼痛が軽減しQOLが向上したことが示された。ニューロフィードバックは疼痛、しびれ、それらの強度及び不快さを有意に軽減し、疼痛により日常生活活動が妨げられる度合いも減少させた。治療後に73%が疼痛およびQOLの改善を自覚した。CIPN患者においてはまた、ニューロフィードバックにより変化する特異的および予測可能なEEGサインも示された。 |
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新たな薬剤が治療歴のある進行中腸型神経内分泌腫瘍における疾患進行および死亡を減少させる [2016-03-22] |
Novel drug reduces disease progression and death in previously treated, advanced midgut neuroendocrine tumors |
治療歴を有する進行中腸型神経内分泌腫瘍患者において、新薬Lutetium-DOTATATE (Lutathera)が疾患進行および死亡のリスクを有意に低下させたとの第III相NETTER-1試験の結果が、第13回European Neuroendocrine Tumor Society年次集会で発表された。オクトレオチドLAR 60mgで治療された患者に比べ、177 Lutetium-DOTATATEで治療された患者は進行または死亡のリスクが80%低下した。今回の第III相試験において、疾患進行が確認されたのは177 Lutetium-DOTATATE群患者で23人であり、オクトレオチド群では67人であった。 |
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一部の糖尿病治療はマンモグラフィー濃度を低下させるようであり、乳がんリスクを低下させる可能性がある [2016-03-15] |
Some diabetes treatments appear to effect mammographic density, perhaps decreasing risk of breast cancer |
食事療法またはメトホルミンのような錠剤を用いた糖尿病治療はマンモグラフィー濃度を低下させるがインスリン投与はそれを上昇させるようである、と第10回European Breast Cancer Conferenceで発表された。糖尿病の女性は、体重などの他の因子による補正の前後いずれにおいても、脂肪型乳房とは対照的に混合型または高濃度乳腺は少ない傾向にあった。同様の逆相関関係が、糖尿病を食事療法のみでコントロールされている、および糖尿病治療薬を内服している女性患者に認められた。しかし、インスリン注射を行っている女性では、混合型または高濃度乳腺を有する確率が上昇していた。これらの相関関係は閉経の有無またはBMIでは調整されなかった。 |
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ASTOUND:トモシンセシスや超音波を用いたスクリーニングは高濃度乳腺において多くのがんを検出する [2016-03-15] |
ASTOUND: Screening with tomosynthesis or ultrasound detects more cancers in dense breasts |
標準的なマンモグラフィーにトモシンセシスまたは超音波を追加することにより、高濃度乳腺の女性では見落とされていた乳がんを検出することができる、とのASTOUND(Adjunct Screening with Tomosynthesis or Ultrasound in Mammography-negative Dense breasts)トライアルの中間解析結果が、第10回European Breast Cancer Conferenceで発表された。標準的なマンモグラフィーではがんが検出されなかった高濃度乳腺女性3,000人超において、トモシンセシスまたは超音波を追加することにより、24個のがんが新たに発見された;うち12個はトモシンセシスと超音波により検出され、1つはトモシンセシスのみ、11個は超音波のみで検出された。 |
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β遮断薬はトリプルネガティブ乳がんの新たな治療につながる可能性がある [2016-03-08] |
Beta-blockers may lead to novel treatments for triple negative breast cancer |
FASEB Journal 3月号に掲載された研究の結果、一般的に処方される降圧薬であるβ遮断薬は、トリプルネガティブ乳がんの進行を遅延させる可能性のあることが示された。研究者らは、進行の速い乳がん腫瘍細胞はβ遮断薬やストレスホルモンであるアドレナリンに結合できる"β2-アドレナリン受容体"と呼ばれる細胞表面蛋白質を有することを明らかにした。腫瘍細胞表面β2-アドレナリン受容体はアドレナリンに結合すると、ポジティブシグナリングループを刺激し浸潤を加速化させる。しかし、β遮断薬に結合するとこれらの細胞の浸潤の加速化は軽減した。 |
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血漿の代謝表現型は早期および進行期肺がんの検出を容易にする [2016-03-08] |
Metabolic phenotyping of blood plasma facilitates detection of early and late-stage lung cancer |
プロトン核磁気共鳴画像(H-NMR)による血漿の代謝表現型は、肺がん患者に特異的な独特の代謝バイオマーカーを同定し早期および進行期の肺がん患者集団の正確な見極めを可能にする、とJournal of Thoracic Oncologyに掲載された。研究者らは、がん患者において非がん患者に比べ、いくつかの代謝物レベルが上昇しているのを確認した。観察された代謝の変化に基づき、このモデルは肺がん患者の78%およびコントロールの92%を正確に分類した。このモデルの感受性は71%であり、特異度は81%であったが、組織学的サブタイプと腫瘍ステージを区別することはできなかった。 |
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デジタル乳房トモシンセシスはがん検出を改善し3年にわたり再発を抑制する [2016-03-01] |
Digital breast tomosynthesis improves cancer detection and reduces call-backs over three years |
JAMA Oncologyオンライン版に掲載された乳がんスクリーニングに関する新たなスタディの結果、3Dデジタル乳房トモシンセシス(DBT)の成果は持続的であり再検査を有意に減少させ、再検査患者当たりのがん症例数を増加させ、中間期がんは減少させることが示唆された。スクリーニングは、施設がデジタルマンモグラフィーからDBTスクリーニングに変更する前1年、および変更後3年間継続して施行された。スタディは23,958人の女性に対するスクリーニング44,468件を対象とした。これらの結果から、初回のDBTスクリーニングによる有益性は持続的であり、DBTスクリーニングを継続することによりその有益性が年々増大する可能性がある、との初めての長期エビデンスが得られた。 |
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極貧地域の小児白血病患者は早期再発を来す可能性が高い [2016-03-01] |
Childhood leukemia patients from high-poverty areas more likely to suffer early relapse |
急性リンパ性白血病(ALL)児のうち、極貧地域に居住する者はその他の患者よりも、同じ治療を受けているにもかかわらず早期再発の確率が高い、との新たな研究結果がPediatric Blood & Cancerに掲載された。2群間における総再発率は同等であったが、再発のタイミングは著明に異なった。極貧地域に居住する小児の92%が早期再発(初回完全寛解後36か月以内の再発と定義)した。それに比べ、その他の患者における早期再発は48%であった。 |
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