診断の向上により多くの転移性皮膚がん患者に対して積極的治療は不要になる [2016-02-23]
Improved diagnostics make aggressive treatment unnecessary for many patients with metastasized skin cancer

今月のJournal of Clinical Oncologyオンライン版に掲載されたスタディの最終結果から、近年の診断技術のおかげで多くのステージIIIメラノーマ患者はインターフェロン治療によって恩恵をこうむることはなくなったことが示された。1つのリンパ節において検出された少数のメラノーマを有する患者が、高用量インターフェロン治療または経過観察のみを10年間施行された。スタディは検出力不足でありわずかな生存率の差を検出できなかったばかりか、インターフェロンによる生存率の改善傾向すら見られなかった。

シグナル伝達経路の遮断による転移促進微小環境の抑制は特に肥満患者において有効である可能性がある [2016-02-23]
Suppression of metastasis-promoting microenvironment by blocking signaling pathway may be particularly effective in obese patients

がんの進行を促進する肥満の力の背後にある新たなメカニズムが明らかにされた可能性がある。Clinical Cancer Researchオンライン版に掲載された報告において研究者らは、肥満と胎盤増殖因子(PIGF)の過剰発現との関連、および腫瘍内免疫細胞上に発現しているVEGFR-1受容体へのPIGFの結合が腫瘍増殖を促進することを述べている。患者の腫瘍検体に加え細胞および動物モデルにおける知見から、PIGF/VEGFR-1伝達経路を標的とすることは特に肥満患者において有効である可能性のあることが示された。

新たな治療法は多発性骨髄腫に対して希望を与える [2016-02-16]
New therapeutic approach gives hope for the treatment of multiple myeloma

Bone Marrow Transplantationに掲載された新たな治療法は、平均余命が6〜7年のがんである多発性骨髄腫の治療に有望な結果をもたらした。自家移植を用いて腫瘍量を減少させ、その3〜4か月後に同種移植を行い、免疫細胞による骨髄腫細胞を洗浄した結果、このスタディにおける治癒率は41%であった。同種移植6か月後に完全寛解を認めた患者の無再発生存率は60%であった。全体で、長期無再発生存率は20〜25%であった。

白血病治療目的の化学療法に関連する骨量減少はこれまで考えられていたより早く起こる [2016-02-16]
Bone loss associated with chemotherapy to treat leukemia occurs sooner than previously thought

急性リンパ性白血病(ALL)に対する化学療法の副作用である顕著な骨量減少は、治療開始後1か月の間に起こりこれまで考えられていたよりかなり早い、とBoneに掲載された。定量的コンピュータ断層撮影(QCT)を用いて研究者らは、化学療法前の骨特性が年齢および性別をマッチさせたコントロールと同等である、と判断した。30日間の導入化学療法によって患者の下部椎骨の骨密度は25%超減少し、下肢の高密度皮質骨は顕著に菲薄化した。

スタディの結果、腫瘍容積測定による中皮腫の病期分類の改善が示唆された [2016-02-09]
Study suggests improvements in how mesothelioma is staged by measuring tumor volume

European Journal of Cardio-Thoracic Surgeryに掲載されたスタディから、医師が中皮腫の病期を推定するのに使用するスコアリングシステムが有意に改善し得ることが示唆された。現在の分類システムでは、中皮腫のようなびまん性腫瘍のステージ分類が詳細になされていない。今回のスタディにおいて、研究者らは腫瘍容積を測定することにより予後予測が可能かどうかを調査した。その結果、腫瘍容積(ひいては重量)が増加すると生存率が低下することも示された。腫瘍容積が大きいほど生存期間が短いとの今回の結果はこれまでに示されていなかったが、さらなる検証が必要である。

低温電子顕微鏡法により重要な蛋白構造とがん細胞との相互作用に関する新たな知見が提供された [2016-02-09]
Cryo-electron microscopy provides new insights into critical protein structures and interactions of cancer cells

Scienceオンライン版に掲載されたスタディにより、奏効する可能性のある分子標的薬のがん細胞内の重要な蛋白への結合を原子レベルで詳細に観察する、低温電子顕微鏡法と呼ばれる画像技術が使用できることが示された。低温電子顕微鏡の画像は、新たな分子標的と考えられている蛋白調節に重要な酵素であるp97内に通常発現する構造変化の経緯を、研究者らが原子分析において確立するのに役立った。解析の結果、蛋白鎖の形状および蛋白と分子標的薬との水素結合の一部の両者を識別し得た。

超音波による付属器腫瘍の評価は卵巣がんの術前診断を向上させる [2016-02-02]
Ultrasound assessment of adnexal masses improves pre-operative diagnosis of ovarian cancer

付属器腫瘍を有する女性の悪性リスクを評価する新たな簡便な方法が、ヨーロッパの研究者らにより提案された。この研究は、International Ovarian Tumor Analysisグループが術前卵巣がん診断の精度を改善するために開発した"簡単な法則"、診断基準に基づいている。このスタディは、付属器腫瘍を有する連続患者約5,000人を対象とした複数多施設研究の最終段階を示している。研究者らは、標準的な検査技術および標準化した用語や定義を用いて超音波検査所見を記述し、術前の患者を調査した。超音波に基づいた予測変数はその後病理医が診断した腫瘍の病理所見と比較した。腫瘍リスクは計算された。この方法により超音波所見を用いて89〜99%の卵巣がん患者が検出された。American Journal of Obstetrics and Gynecologyに掲載された新たなこの方法は、専門的な解釈やより改善した診断を全ての医師が行うことを可能にし得る。過去に公表された最良のアルゴリズムを用いたこの簡単な法則における5つの超音波所見の特徴から、個々のリスクが推定され、個々の患者の管理に用いることができる可能性がある、と筆者らは結論付けている。

局所進行直腸がんに対する新たな治療法は化学放射線療法と同等に有効で毒性は低い [2016-02-02]
New regimen for locally advanced rectal cancer as effective but less toxic than chemoradiation

2016年ASCO Gastrointestinal Cancers Symposiumで発表された第III相試験の結果、進行直腸がん患者に対するさらなる治療選択肢が示された。術前の短期(5日間)放射線療法の後に地固め療法を施行された患者は、5週間の化学放射線療法を受けた患者と転帰が同等であった。患者は化学放射線療法または試験的レジメン(短期放射線療法)に割り付けられた。化学放射線療法群はフルオウラシル(5-FU)、ロイコボリン、およびオキサリプラチンによる化学療法と放射線療法併用、試験的レジメン群は短期放射線療法後にいわゆるFOLFOX4療法で同様の化学療法を受けた。両群とも放射線療法の12週後に手術を施行された。放射線療法後に根治手術を施行することができた患者割合は両群で同等であった。急性毒性は試験的レジメン群において化学放射線療法群より低かった(74%対83%)。3年後の無増悪生存率は2群間で有意差はなかった(試験的レジメン群53%対化学放射線療法群52%)。今回の初回報告では、全生存率の改善が示された(試験的レジメン群73%対化学放射線療法群63.5%)。