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エベロリムスは神経内分泌腫瘍の増悪までの期間を延長させる [2016-01-26] |
Everolimus associated with a longer time to progression of neuroendocrine tumors |
2016年ASCO's Gastrointestinal Cancers Symposiumで、研究者らは消化管(GI)由来または原発不明の神経内分泌腫瘍の患者を対象とした第III相試験の新たな解析の結果を報告した。プラセボに比べ、エベロリムスは無増悪期間を6〜8か月延長させた。解析には、治療歴のある進行GI神経内分泌腫瘍患者175人、および原発不明の神経内分泌腫瘍患者36人が含まれた。スタディ対象患者は、エベロリムスと最良の支持療法、またはプラセボと最良の支持療法の併用群にそれぞれランダムに割り付けられた。すべての患者がソマトスタチンアナログ、手術、または化学療法などの他の治療中に増悪した腫瘍を有していた。全体で、エベロリムスはプラセボに比べ、腫瘍増悪リスクを約40%軽減した。GI神経内分泌腫瘍患者のうち、エベロリムス投与群の無増悪生存期間中央値は13.1か月、プラセボ投与群では5.4か月であった。原発不明腫瘍患者群における無増悪生存期間中央値は、エベロリムス群とプラセボ群でそれぞれ13.6か月および7.5か月であった。エベロリムス群における最も多い有害事象は口内炎、感染症、下痢、末梢浮腫および倦怠感であった。 |
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新たなホルモン・放射線分子標的治療は進行中腸型神経内分泌腫瘍の進行を遅延させる [2016-01-26] |
New targeted hormone-radiation treatment slows growth of advanced midgut neuroendocrine tumors |
治療歴を有する進行中腸型神経内分泌腫瘍患者を対象とした第III相試験の早期結果により、新たな治療である177Lutetium-DOTATATEは腫瘍の進行を実質的に遅延させる可能性のあることが示された。治験薬で治療された患者は、オクレオチドLAR 60mgの4週間毎投与患者に比べ、疾患増悪リスクが79%低下した。試験に参加した患者230人全員が、ファーストラインのソマトスタチンアナログ治療にもかかわらず増悪した進行腫瘍を有していた。患者は、177Lutetium-DOTATATEまたは 高用量オクレオチドLAR群にランダムに割り付けられた。データ解析時点で疾患が増悪したのは、177Lutetium-DOTATATE群の23人に対し、オクレオチドLAR群では67人であった。無増悪生存期間中央値はオクレオチドLAR群で8か月であり、177Lutetium-DOTATATE群では到達しなかった。177Lutetium-DOTATATE群では標準治療群に比べ死亡がかなり少なかった(13対22)が、177Lutetium-DOTATATEの長期生存に対する作用を判断するにはより長期の追跡が必要である。有害事象は2つの治療群で同等であった。177Lutetium-DOTATATEは、ホルモン療法と放射線療法を組み合わせた放射線核種標識ペプチド治療(PRRT)として知られる新たな種類の薬剤である。このスタディ結果は、2016年ASCO's Gastrointestinal Cancers Symposiumで発表された。 |
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進行腎細胞がん患者においてcabozantinibはエベロリムスよりも有益である [2016-01-19] |
Patients with advanced kidney cell carcinoma experience more benefit from cabozantinib than everolimus |
治療歴のある進行腎細胞がん(RCC)患者を対象とした第III相臨床試験の新たな解析の結果、全てのリスクレベルの患者においてcabozantinibの方が現在の標準治療であるエベロリムスよりも有益であることが示された。Cabozantinibの抗腫瘍効果は転移部位、過去の治療回数、および施行された治療の種類とは無関係であった。今回のトライアルにおいては、VEGFR阻害薬による前治療歴のある進行RCC患者658人が、cabozantinibまたはエベロリムス投与群にランダムに割り付けられた。最初の375人の患者から得られた早期結果から、cabozantinibがエベロリムスに比べ無増悪生存期間中央値を延長することが示された(7.4か月対3.8か月)。全患者658人のデータの新たな解析の結果、cabozantinib投与群の大多数(75%)において腫瘍縮小が認められたのに対し、エベロリムス投与群におけるその割合は48%であった。さらに、全生存期間の早期評価で、cabozantinib投与群はエベロリムス投与群に比べ延長傾向が認められた。無増悪生存期間の延長は患者のサブグループ全てにおいて一貫していた。しかも、肝転移または腹膜と骨両方に転移を有する患者においても、cabozantinibの有益性が高いことも明らかにされた。このスタディ結果は、2016年ASCO Genitourinary Cancers Symposiumで発表された。 |
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非開胸手術に比べ開胸手術後の方が肺がんのステージが上がる [2016-01-19] |
Stage increase in lung cancer more frequent after open vs. closed thoracic surgery |
リンパ節(LN)転移陽性により発見された早期非小細胞肺がん(NSCLC)に対し、肺葉切除術としてビデオ補助胸腔鏡手術(VATS)として知られる非開胸手技よりも開胸手術による方が、がんのステージが上がることが多いとJournal of Thoracic Oncologyに掲載された。National Cancer Data Baseは、American Cancer SocietyおよびAmerican College of Surgeonsにより管理されているがん領域予後データベースであり、術前に明らかなLN転移のない7cm未満の腫瘍に対し、肺葉切除術を施行されたNSCLC患者を調査したものである。計16,983例の肺葉切除術が施行された;29.1%はVATSを用いた。術中、LNにがんを検出したことによりステージが上がったのは、非開胸群よりも開胸群でより頻回であったが(12.8%対10.3%;p<0.001)、VATS群の方がLV検体は多かった(43.7% 対38.8%;p<0.001)。開胸群では入院期間が長く(平均7.4日対6.1日;p<0.001)、30日間死亡率が高かった(2.1%対1.3%;p<0.001)が、VATS群では予定外の30日以内再入院率が高かった(6.9% 対5.9%;p=0.014)。 |
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前立腺がん診断後のアスピリン常用は遠隔転移を予防する可能性がある [2016-01-12] |
Regular aspirin use after diagnosis may prevent progression of prostate cancer to metastases |
2016年ASCO Genitourinary Cancers Symposiumで発表された大規模観察研究の結果、前立腺がん診断後にアスピリンを常用した男性は前立腺がんにより死亡する確率は低いが、アスピリンは前立腺がん全発症率には影響しなかったことが示された。研究者らはPhysicians' Health Studyに登録された男性22,071人のデータを解析した。27年間の追跡期間中に3,193人が前立腺がんと診断された。そのうち403人は遠隔転移を有するか前立腺がん死で定義された致死的な前立腺がんであった。年齢、人種、ボディーマスインデックス、および喫煙の有無で補正した結果、前立腺がんと診断されていないアスピリン常用(週3錠超)男性は致死的な前立腺がんの発症率が24%低かった。しかし、アスピリンは前立腺がん全体、高悪性度前立腺がん、または局所進行前立腺がんの診断率には影響しなかった。前立腺がん男性において、診断後のアスピリン常用は前立腺がん死亡リスクの39%低下に関連した。対照的に、診断前のアスピリン服用には考慮に値するほどの有益性は認められなかった。 |
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新たな血液検査技術は前立腺がんの治療方針ガイドとして有望である [2016-01-12] |
New blood test technology shows promise for guiding prostate cancer treatment decisions |
初期研究の結果、血液の新たな実験的検査は前立腺がん患者に対する最も適切な個別化治療の決定に役立つ可能性があることが示唆された。新たな非侵襲的"液体細胞診"は、血液内の異なる種類のがん細胞全体の状況をスキャンし、外観(形や大きさなど)や遺伝子構造を解析し、ホルモン療法により有益性が得られる患者を予測する。遠隔転移を有する前立腺がん患者179人の血液検体計221例が評価された。患者は、アンドロゲン受容体を標的としたホルモン療法(エンザルタミドまたはアビラテロン)またはタキサン系薬剤による化学療法を開始するところであった。循環腫瘍細胞の外観や遺伝子構造の変化が大きい(すなわち"不均一性スコア"が高い)患者は、ホルモン療法に対する奏効率が芳しくなかった。不均一性スコアが低い患者に比べ、不均一性スコアが高い患者は無増悪生存期間中央値(5か月対17か月)および全生存期間中央値(9か月対未到達)が短かった。一方、不均一性スコアは化学療法に対する奏効率には影響しないようであった。今回の検査結果は有望なものではあるが、全体を通して検証される必要がある。この研究結果は、2016年ASCO Genitourinary Cancers Symposiumで発表された。 |
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