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短いエピソードの心房細動は、ペースメーカーおよび植込み型除細動器装着患者に対する脳卒中リスクを上昇させない可能性がある [2016-10-25] |
Short episodes of atrial fibrillation may not increase risk of stroke for those with pacemakers or defibrillators |
短いエピソードの心房細動(AF)のみを有する、ペースメーカーおよび植込み型除細動器装着患者の脳卒中リスクは非常に低い、とCirculation に掲載された。スタディの結果、長い持続時間のAFエピソードは脳卒中、心不全、ER受診またはAFによる入院、または死亡のリスク上昇と関連のあることが確認された。しかし今回の2年間のスタディにおいて、"短い"AFのみを有する患者は、AFが記録されなかった患者に比べ、脳卒中や他の心血管合併症リスクがそれ以上高くはなかった。この結果から、短いエピソードのAFのみを有する患者において、抗凝固薬内服による出血リスクは脳卒中リスクを上回ることが示唆される。 |
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高用量のカフェインは心不全患者において不整脈を誘発しないようである [2016-10-25] |
High doses of caffeine does not appear to induce arrhythmias in patients with heart failure |
収縮期心不全を有し心室性不整脈リスクの高い患者において、高用量のカフェイン摂取は不整脈を誘発しなかった、とJAMA Internal Medicine に掲載された。スタディ対象の患者のうち、25人はカフェインパウダー入りカフェイン抜きコーヒーを摂取し、26人はプラセボのラクトースパウダー入りカフェイン抜きコーヒーを摂取した。その結果、5時間に500mgのカフェインを摂取した後に施行されたトレッドミルによる身体的ストレスの最中であっても、カフェインと不整脈エピソードとに関連はなかった。これらの結果は、心疾患および不整脈リスクを有する患者はカフェイン摂取を制限すべきである、との知見に疑問を投げ掛けるものである。 |
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心理的ストレス因子および激しい身体活動は心血管イベントのトリガーとなる [2016-10-18] |
Emotional stressors and heavy physical exertion trigger cardiovascular events |
怒り、精神的動揺または激しい身体活動をすることは急性心筋梗塞(AMI)のトリガーとなる可能性がある、との新たな研究結果がCirculation に掲載された。研究者らは、怒りまたは精神的動揺と1時間以内のAMI症状発現との関連(2倍超のリスク)を明らかにした。初回MI発症前1時間以内の激しい身体活動についても、同様であった。精神的動揺を想起した患者においては、この関連性がより強力(3倍超のリスク)であり、激しい身体活動でも同様であった。これらのトリガーは、他の心血管リスク因子によって引き起こされるAMIリスク以上に、独立してAMIリスクを上昇させるようであった。 |
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カルシウム拮抗薬およびβ遮断薬はうつ病および双極性障害リスク上昇と関連がある [2016-10-18] |
Calcium antagonists and beta blockers associated with an increased risk for depression and bipolar disorder |
一般的に処方される4つの降圧薬は血圧のみでなく、うつ病や双極性障害などの気分障害にも影響を及ぼす、とHypertension に掲載された。降圧薬を90日以上内服した時点で、β遮断薬およびカルシウム拮抗薬内服患者は、アンジオテンシン受容体拮抗薬内服患者に比べ、気分障害による入院リスクが2倍高かった。アンジオテンシン変換酵素阻害薬およびアンジオテンシン受容体拮抗薬は、気分障害リスクを低下させるようであった。サイアザイド系利尿薬は、気分障害リスクには影響を与えないと思われた。併存疾患がある場合、気分障害リスクは増加した。 |
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低体温療法は院内心停止後生存率が低いことと関連がある [2016-10-11] |
Therapeutic hypothermia associated with lower likelihood of survival following in-hospital cardiac arrest |
低体温療法は院内心停止後生存率が低いことと関連がある、とJAMA 10月4日号に掲載された。全体で、院内心停止を来した患者26,183人中1,568人が、低体温療法による治療を受けた。補正した結果、低体温療法は院内生存率が低いことと関連があり(27.4%対29.2%)、この関連は電気ショック非適応心調律患者(22.2%対24.5%)および電気ショック適応心調律患者(41.3%対44.1%)でも同様であった。低体温療法は、スタディ対象群全体(低体温療法群、17%;非低体温療法群、20.5%)および両心調律群において、神経学的予後が不良であることと関連があった。 |
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内臓脂肪の密度は心血管リスクファクターの新規同定および悪化と関連がある [2016-10-11] |
Density of abdominal fat associated with newly identified and worsening cardiovascular risk factors |
内臓脂肪増加−特に腹部の"隠れ肥満"−は心疾患リスクファクターの新規同定および悪化と関連する、とJournal of the American College of Cardiologyに掲載された。このスタディでは、内臓脂肪量増加および脂肪密度低値が(体重がどれだけ増加したかを考慮したとしても)、心疾患リスクファクター不良と関連があることが示された。一般的に、脂肪含有量が多いほどCT画像上の減衰量、つまり脂肪密度が低かった。全体的に、この関連はBMI変化または腹囲で補正しても有意であった。 |
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血管内血栓除去による治療が早いほど虚血性脳卒中後障害が少ない [2016-10-04] |
Earlier treatment with endovascular thrombectomy associated with less disability from ischemic stroke |
約1,300人の大血管虚血性脳卒中患者を対象とした解析において、血管内血栓除去術による早期治療および薬物治療の併用は、薬物治療単独に比べ3か月後の障害が少ないことと関連があった、とのスタディ結果がJAMA に掲載された。この有益性は、症状発現から血管内血栓除去術のための動脈穿刺まで2時間未満の場合最大であり、7.3時間以上経過すると有意ではなくなった。血管内血栓除去により実質的な再灌流を達成した患者390人において、再灌流が1時間遅延するごとに障害の度合いが増し機能的自立が低下したが、死亡率には変化はなかった。 |
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LDL受容体アップレギュレーションにつながる様々な治療は同様の心血管リスク軽減をもたらす [2016-10-04] |
Various therapies that lead to upregulation of LDL receptor expression lead to similar reduction of cardiovascular risk |
JAMA 9月27日号に掲載されたスタディにおいて、低比重リポ蛋白コレステロール(LDL-C)低下と相対的心血管リスク軽減との関連が、異なるスタチンおよび非スタチン治療について評価された。49のトライアルのメタ解析には、9つの異なるLDL-C低下療法が含まれた。その結果、LDL-C低下絶対値と主要血管イベントの相対リスク軽減との関連は、LDL受容体アップレギュレーションにつながる治療間で同様であることが見出された。LDL-Cが1 mmol(39 mg/dL)低下するごとに、主要血管イベント相対リスクは23%低下した。 |
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