サウンドセラピーは脳シグナルを同調させ血圧を低下させ片頭痛を軽減する可能性がある [2016-09-27]
Sound therapy may balance brain signals to reduce blood pressure and relieve migraines

音を用いて左右の脳波を同調させる非侵襲的神経技術は、降圧、心拍変動の改善、および片頭痛症状軽減に関連がある、との2つの小規模スタディの結果が2016年American Heart Association's Council on Hypertensionで発表された。同じ技術は、自己申告による片頭痛に基づく機能不全や関連する睡眠および情動障害も軽減した。HIRREM®(High-resolution, relational, resonance based, electroencephalic mirroring)と呼ばれるこの技術は、頭皮に装着されたセンサーを用いて脳電気活性を計測し、右/左アンバランスまたは過覚醒を検出する。

早期産は腎臓が小さいことおよび成人期の高血圧につながる [2016-09-27]
Premature birth leads to smaller kidneys and higher blood pressure in adulthood

早期産は腎臓の発育を阻害し、その結果として腎臓サイズが小さいことおよび成人期の高血圧を引き起こす、とのスタディ結果が2016年American Heart Association's Council on Hypertensionで発表された。研究者らは、妊娠29週以前に出生した成人40人(平均年齢23.6歳)と満期産で出生した成人40人(平均年齢23.3歳)の腎臓のサイズ、機能および血圧を比べた。その結果、早期産で出生した成人は、体のサイズに対し有意に腎臓が小さかった。彼らはまた、覚醒中および24時間平均の収縮期および拡張期血圧が有意に高かった。

DOCTORS:光干渉断層法は経皮的冠動脈インターベンション施行にさらに役立つ [2016-09-20]
DOCTORS: Optical coherence tomography sheds more light on percutaneous coronary intervention

光干渉断層法(OCT)は、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)施行患者の冠動脈を可視化し、標準的な血管造影ガイド下PCIに比べ臨床転帰を改善する、と2016年ESC Congressで発表され、同時にCirculation に掲載された。血管造影ガイド下群に比べ、OCT群における冠血流予備量比(FFR)は有意に良好であった(p=0.005)。さらに、施術後FFR>0.90の患者数はOCT群において多かった(p=0.0001)。OCTにより、医師はステント植え込み前に血栓や石灰化をより多く確認することができた(それぞれp=0.0004およびp<0.0001)。これにより、抗血小板薬使用は、OCT群においてより頻度が高い結果となった(53.3%対35.8%)。

ANNEXA-4:予備試験の結果において第Xa因子阻害剤は抗凝固作用を迅速に軽減した [2016-09-20]
ANNEXA-4: Factor Xa reversal agent quickly reduces anticoagulant activity in preliminary results

生命を脅かす可能性のある抗凝固作用を抑制するようデザインされた中和剤は、迅速に作用し忍容性は非常に良好であった、と現在進行中のANNEXA-4スタディの中間解析結果が2016年ESC Congressで発表され、同時にNew England Journal of Medicine に掲載された。スタディ対象患者は、直接または間接fXa阻害剤投与後、18時間以内に急性大出血を来し緊急の中和作用を必要とした。リバロキサバン投与患者では、静注終了時にはfXa阻害活性がベースラインから89%低下しており、アピキサバン投与患者では同様に93%低下した。12時間後の臨床的止血効果は、79%の患者において"良から優"と評価された。 

ENSURE-AF:AF除細動においてエドキサバンはワルファリンと同等に安全かつ有効である [2016-09-13]
ENSURE-AF: Edoxaban is as safe and effective as warfarin at AF cardioversion

除細動施行前に抗凝固療法が必要な心房細動(AF)患者は、エドキサバン‐非ビタミンK拮抗経口抗凝固薬‐による治療により恩恵をこうむる可能性がある。このENSURE-AFトライアルは2016年ESC Congressで発表され、同時にLancet に掲載された。エドキサバンは、よく管理された最適なエノキサパリン/ワルファリン療法に比べ、大出血および血栓塞栓発症率が同等であった。この結果は経食道心エコー(TEE)ガイド下、抗凝固薬による前治療、および併存疾患によらず同等であった。実臨床レベルでは、今回のスタディの結果、新たにAFと診断された抗凝固療法非施行患者は、TEE不可または3週間前から治療ができない場合には、除細動のわずか2時間前にエドキサバンを開始すればよいことが示された。

BBK II:側枝にステント留置が必要な冠動脈分岐部病変にはキュロットステントが好ましい [2016-09-13]
BBK II: Culotte stenting preferred for coronary bifurcations when stenting of the site branch is needed

側枝にステント留置が必要な冠動脈分岐部病変には、TAPステント術に対しキュロットステント術を用いた治療の方が優れている、とのBBK IIトライアルの結果が2016年ESC Congressで発表され、同時にEuropean Heart Journal に掲載された。一次エンドポイントは、9か月後のフォローアップ定量的冠動脈造影により評価した、分岐部病変の最大ステント径狭窄率であった。結果、キュロットステント群とTAPステント群の平均最大径狭窄率は、それぞれ21%対27%(p=0.038)であり、キュロットステント群が有意に優れていた。この差のほとんどすべては、側枝の狭窄率の差によるものであった。

PRAGUE-18:STEMIにおいてプラスグレルとticagrelorの安全性および有効性は同等である [2016-09-13]
PRAGUE-18: Prasugrel and ticagrelor equally safe and effective in STEMI

ST上昇急性心筋梗塞(STEMI)患者において、抗血小板薬であるプラスグレルとticagrelorの安全性および有効性は同等であった、とのPRAGUE-18の結果が2016年ESC Congressで発表された。一次エンドポイントは死亡、再狭窄、標的病変緊急血行再建術施行、脳卒中、輸血を要する重症出血、または発症7日後の入院延長で定義された。中間解析において、エンドポイント発現率に両群間で差がなかった(プラスグレル群対ticagrelor 群でそれぞれ4.0% および4.1%;p=0.939)ことから、トライアルは予定より早期に中止された。これは、2剤を直接比較した初のランダム化試験である。

CE-MARC 2:冠動脈疾患が疑われる患者において心臓MRIはより侵襲的な冠動脈造影を回避させる [2016-09-13]
CE-MARC 2: Cardiac MRI avoids more invasive angiography in suspected coronary artery disease

冠動脈疾患が疑われる患者を対象とした機能的画像検査‐ガイドラインが指示する方法ではなく‐を用いた初回研究の結果、不必要な血管造影が減少した、とのCE-MARC 2トライアルの結果が2016年ESC Congressで発表され、同時にJAMA に掲載された。心臓MRIおよび心筋シンチグラフィの両者は、ガイドラインが指示する方法よりも不必要な冠動脈造影施行率を有意に減少させ、主要な心血管イベントに関して不利益はなかった。この結果から、たとえ高リスク患者群であっても、機能的画像検査をより広範囲に活用すべきであることが示唆された。

ODYSSEY ESCAPE :PCSK9阻害薬は家族性高コレステロール血症におけるアフェレーシス治療の必要性を減少させる [2016-09-13]
ODYSSEY ESCAPE: PCSK9 inhibitor reduces need for apheresis treatment in familial hypercholesterolemia

家族性高コレステロール血症ヘテロ接合体患者は、PCSK9阻害薬アリロクマブを用いることで、高価で時間のかかるアフェレーシス治療の必要性を軽減またはなくすことすら可能となる。アリロクマブ治療患者はプラセボ群患者に比べ、アフェレーシスを75%減らすことができた(p < 0.0001)。実際、アリロクマブを使用した患者の63.4%がアフェレーシスを完全にやめることができ(プラセボでは0人)、92.7%は少なくとも半減した(プラセボ群では14.3%)。この第3相ODYSSEY-ESCAPEトライアルの結果は2016年ESC Congressで発表され、同時にEuropean Heart Journalに掲載された。

BASKET SALVAGE:長期予後の点から薬剤溶出ステントは伏在静脈グラフトにおいて利点がある [2016-09-13]
BASKET SALVAGE: Long-term outcomes gives advantage to drug eluting stents in saphenous vein grafts

伏在静脈グラフトによる血行再建施行患者において、薬剤溶出ステント(DES)はベアメタルステント(BMS)よりも明らかに利点がある、とのBASKET SALVAGEトライアルの結果が2016年ESC Congressで発表された。一次エンドポイントである12か月以内の主要な心イベントは、BMS群に比べ、DES群において有意に頻度が低かった(2%対18%、 p<0.001)。この差は主として、標的グラフトに対する再血行再建率がBMS群では12%であったのに対し、DES群ではそれがなく(p<0.001)、また、BMS群では非致死性心筋梗塞発症率が有意に高かった(12%対2%)ことによるものであった。

DANISH:非虚血性心不全における一次予防としてのICDは適切でない可能性がある [2016-09-06]
DANISH: ICDs may not be right for primary prevention in non-ischemic heart failure

非虚血性心不全患者に対する植込み型除細動器(ICD)は通常治療に比べ、二次転帰である心臓突然死を半減した(p=0.01)が総生存率は改善しなかった(p=0.28)、と2016年ESC Congressで発表され、同時にNew England Journal of Medicine に掲載された。このDANISHトライアルの結果は、患者がCRTデバイスを植え込まれたか否かには関係がなかったが、68歳未満の患者においてはICD植込み例では全死亡が有意に少なく(p=0.01)、若年患者はICD植込みによる延命効果の可能性が示唆された。

NACIAM:N-アセチルシステインはSTEMIに対しPCIを施行された患者の梗塞サイズを縮小する [2016-09-06]
NACIAM: N-acetylcysteine reduces infarct size in patients undergoing PCI after STEMI

ニトログリセリン(GTN)静注(IV)にN-アセチルシステイン(NAC)IVを併用することにより、ST上昇急性心筋梗塞(STEMI)に対し経皮的冠動脈形成術(PCI)を施行された患者の梗塞サイズが約3分の1に有意に縮小した、と2016年ESC Congressで発表された。NACIAMトライアルは、緊急PCIを施行され低用量GTN IVも施行されたSTEMI患者112人(平均年齢64歳)を対象とした。MI発症から1週間以内(早期)、および3か月後(後期)に再度施行された心臓磁気共鳴画像検査の結果、NAC投与群ではプラセボ投与群に比べ、梗塞サイズがそれぞれの時期において33%および50%少なかった(両方ともp=0.02)。

SAVE:冠動脈疾患患者に対するCPAP治療の心血管系への有益性は疑問である [2016-09-06]
SAVE: Cardiovascular benefit to CPAP treatment questioned in patients with coronary artery disease

冠動脈疾患および閉塞性睡眠時無呼吸を有する高齢患者に対し、持続性陽圧気道(CPAP)を用いた3年以上の夜間治療は、通常治療に比べ心血管系リスクをさらに軽減することはなかった。しかし重要なことに、CPAPは日中の眠気、健康関連QOL、気分−特に抑うつ症状−および出勤で定義された参加者のウェルビーイングを改善した。参加者は主に高齢者(約61歳)、過体重、習慣性いびき症の男性で、全員が冠動脈疾患または脳血管疾患を有していた。このSAVEスタディの結果は2016年ESC Congressで発表され、同時にNew England Journal of Medicine に掲載された。

心不全における幹細胞注入は健康状態を改善したが心機能は改善しなかった [2016-09-06]
Infused stem cells in heart failure improved health status but not cardiac function

慢性非虚血性心筋症患者に対する間葉系幹細胞の静脈内単回投与は、器質的または機能的に有意な改善をもたらさなかったが、いくつかの臨床的に有意な改善をもたらした、との第II相ランダム化トライアルの結果が2016年ESC Congressで発表された。特に、プラセボに比べ、itMSC療法は、臨床概要および注入後90日の機能状態スコアに加え、6分間歩行試験(p=0.02)においても大きな改善を示した。過去の研究は、専ら幹細胞を直接心臓に注入する侵襲的なアプローチに焦点を当てていた。

CHART-1:心臓形成幹細胞療法により、一部の心不全患者は恩恵をこうむる可能性がある [2016-09-06]
CHART-1: Cardiopoietic cell therapy may benefit a subgroup of patients with heart failure

うっ血性心不全患者において心臓形成療法(骨髄由来幹細胞を用いて心臓の修復を促進する治療)は、シャム手術に比べ一次転帰は改善しなかった。しかし、この研究により新たな知見が明らかにされた、とCHART-1トライアルの研究者らは2016年ESC Congressで発表した。特に、左室拡張末期容積が200〜370 mLの患者群におけるサブグループ解析からは、この細胞療法の好ましい効果が示された。筆者らは、このサブグループの患者は心臓形成療法の恩恵をこうむる可能性があると考えている。

NIPPON:新たな薬剤溶出性ステント留置後の患者において、短期の抗血小板薬2剤併用療法は長期投与と同等である [2016-09-06]
NIPPON: Short-term dual antiplatelet therapy equivalent to longer course in patients with a newer drug-eluting stent

ある特定の薬剤溶出性ステント(DES)を留置された患者において、短期抗血小板薬2剤併用療法(DAPT)は、長期投与に比べ非劣性を示した、と2016年ESC Congressで発表された。トライアルの対象となったすべての患者は、生体吸収性ポリマー溶出の Noboriステントを留置され、アスピリン(1日81〜162 mg)とクロピドグレル(1日75 mg)またはチクロピジン(1日200 mg)によるDAPTを施行された。今回のNIPPONスタディの結果から、正味の臨床的脳血管有害イベント−主要評価項目−発現率は、6か月および18か月のDAPT期間で同等であり、出血の合併症にも差がないことが示された。