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新規経口抗凝固薬はワルファリンと同じように脳梗塞を予防するが出血を起こしにくい [2016-08-29] |
New oral anticoagulants provide same stroke prevention as warfarin but cause less bleeding |
非ビタミンK拮抗経口抗凝固薬(NOAC)は、ワルファリンと同じように脳梗塞を予防するが頭蓋内出血を起こしにくい、という43,000人超の心房細動患者を対象にした観察研究が2016年ESC Congressで発表された。研究では、NOAC(ダビガトラン、リバーロキサバン、アピキサバン)を"リアルワールド"においてワルファリンと比較した。1年以内の脳梗塞リスクは、NOAC群とワルファリン群で同等であり、2.0〜2.5%の範囲であった。1年後の頭蓋内出血リスクは、ワルファリン治療群(0.6%)に比べ、ダビガトランおよびアピキサバン治療群で有意に低かった(0.3〜0.4%)。 |
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新しい心エコー法が心不全症状発現前に心筋障害を明らかにする [2016-08-29] |
New echocardiographic techniques identify myocardial dysfunction before heart failure symptoms appear |
Nebivololはアントラサイクリン心毒性を予防する、と2016年ESC Congressで発表された。アントラサイクリンは乳がん治療に広く用いられているが、心毒性が認められている。HER2陰性乳がん患者60人を対象に、ドキソルビシンによる化学療法が計画され、2群(コントロール群=30人、nebivolol治療群=30人)にランダム化割り付けされた。6サイクルの化学療法後、従来の心エコー法により左室駆出率が示され、左室内径短縮率および左室径に有意な変化は認めなかった。しかし、より新しい、さらに高感度の心エコー法(組織ドプラ法およびスペックル・トラッキング法)は、化学療法後の心臓障害を明らかにした。Nebivololで治療された患者では、心機能が保護され正常に保たれた。 |
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MIまたは心不全の既往のない安定狭心症患者において、血管形成術後のβ遮断薬使用による有益性はほとんどない [2016-08-23] |
Beta-blockers following angioplasty show little benefit for patients with stable angina and no history of MI or heart failure |
安定狭心症は有するが心筋梗塞または心不全の既往のない高齢患者において、冠動脈形成術後のβ遮断薬使用は、死亡率を有意に改善することはなく将来の心血管系イベントも減少させない、とJACC: Cardiovascular Interventionsに掲載された。β遮断薬内服患者は若年で女性、および高血圧、糖尿病、高コレステロール、喫煙、透析、血管形成術既往を有する傾向にあった。これらの因子で補正後、30日後の転帰には有意差がないことが示された。死亡率および心イベント発生率は、ともに1%未満であった。 |
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HDLコレステロールと死亡リスクにU字型関係が認められた [2016-08-23] |
U-shaped relationship found between HDL-cholesterol levels and risk of death |
中等度の高比重リポ蛋白コレステロール(HDL-C)を維持することは、長寿に役立つ可能性がある。Clinical Journal of the American Society of Nephrologyに掲載されたこのスタディでは、HDL-Cは低くても高くても、中等度HDL-Cに比べ追跡期間中の高死亡リスクと関連があり、HDL-Cと死亡リスクにはU字型関係が認められた。腎疾患を有する場合には、中等度のHDL-Cによる有益性は減少したが、依然として有意であった。 |
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深宇宙放射線への曝露は宇宙飛行士の心血管障害を引き起こすようである [2016-08-09] |
Exposure to deep space radiation likely the cause of cardiovascular problems for astronauts |
アポロ計画のメンバーは心血管障害率が高く、深宇宙放射線への曝露により引き起こされると考えられる、とScientific Reportsに掲載された。宇宙飛行士は、集団として高度な教育を受け最高の医療を受けることができ、つまり彼らの健康上の転帰は概して一般人口よりも良好であることを意味する。しかし、アポロ計画に参加した男性は、深宇宙飛行を経験した場合、これまでの誰とも異なった環境を経験している。研究者らは、アポロ計画の宇宙飛行士の43%が心血管系疾患で死亡したことを明らかにした。この割合は、宇宙へ行ったことのない宇宙飛行士および地球低軌道飛行を経験した宇宙飛行士に比べ、4〜5倍高かった。 |
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1日1時間の運動は8時間の座位による健康リスクを相殺し得る [2016-08-09] |
One hour of physical activity per day could offset health risk of 8 hours of sitting |
早歩きやサイクリングなどの運動を1日最低1時間行うことにより、1日8時間の座位により上昇する死亡リスクを排除することができる可能性がある、と16のスタディのメタ解析がLancetに掲載された。1日の座位時間が8時間であるが活発に運動する者は、それよりも座位時間は短いがあまり運動しない者に比べ、死亡リスクがはるかに低かった。1日8時間座っていることによる死亡リスクの上昇は、1日最低1時間の運動をすることで排除することができた。 |
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女性におけるくも膜下出血の高リスクは喫煙に対する脆弱性で説明できる [2016-08-02] |
Elevated risk in women for subarachnoid hemorrhage explained by vulnerability to smoking |
くも膜下出血は喫煙者、特に女性喫煙者において非喫煙者に比べ有意に多い、とStrokeに掲載された。喫煙は男女ともに、くも膜下出血リスクを上昇させたが、今回の大規模前向き研究において女性は最大のリスクに向き合うことになった。軽度喫煙であってもリスクは上昇したが、リスクが最大であったのは大量喫煙であった。前喫煙者において、くも膜下出血リスクが有意に低かったのは朗報である。6か月以上前に禁煙した男女のリスクは、非喫煙者と同等であった。 |
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肺塞栓症の死亡リスクはテレビの視聴時間増加とともに上昇する [2016-08-02] |
Risk of death from pulmonary embolism increases with hours of TV watched |
テレビを毎日長時間視聴することにより、肺塞栓症の死亡リスクが上昇する可能性がある、とCirculationに掲載された。日本の研究者らは、1日のTV視聴時間が2.5時間未満の人と比べ、2.5〜4.9時間では肺塞栓症の死亡リスクは70%上昇し、さらに2時間増える毎に40%上昇し、5時間以上では2.5倍になることを明らかにした。TV視聴時間に次いで、肺塞栓症と関連のある最大リスクは肥満のようであった。 |
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