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糖尿病患者に従来通りではないCABGの技術を用いることで生存率が向上する [2016-07-26] |
Diabetic patients experience superior survival with less conventional CABG technique |
冠動脈バイパス術(CABG)を施行される糖尿病患者は、心臓外科医が静脈グラフトより動脈グラフトを用いた場合、生存期間が長く長期予後が良好である、とAnnals of Thoracic Surgeryオンライン版に掲載された。このスタディの結果、糖尿病患者に弓部全置換術(TAR)/CABGを用いると、長期生存率が著明に改善することが示された。静脈グラフトとともに1本だけ動脈グラフトを用いるのに比べ、全て動脈グラフトとした場合、10年後に生存しているのは、CABG施行糖尿病患者100人当たり4人多いであろうと推定される(それぞれ82対78)。 |
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生まれつき心疾患を有していた成人は2型糖尿病発症リスクが高い [2016-07-26] |
Adults born with heart disease have increased risk of developing type 2 diabetes |
先天性心疾患(CHD)を伴い出生した小児は、成人期の2型糖尿病発症リスクが高い、とJournal of the American Heart Associationオンライン版に掲載された。このスタディは、デンマークのCHD患者で、30歳時に生存していた5,149人を対象に施行された。最も多い疾患名は、心房または心室中隔欠損症であった。45歳までの糖尿病発症率は、チアノーゼを有さない者で3.9%、チアノーゼを有する者で8%であった。これに比べ、デンマーク人の一般人口における45歳までに糖尿病を発症する確率は、わずか2.8%であった。 |
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心房細動と前頭葉容積の減少との関連が明らかにされた [2016-07-19] |
Association discovered between atrial fibrillation and reduced frontal lobe brain volumes |
心房細動罹患歴のある人は前頭葉容積の減少も伴っている可能性がある、とHeart Rhythmに掲載された。研究者らはMRI画像を用いて、脳卒中の既往または認知症のない患者における全脳容積、前頭葉容積、側頭葉容積、海馬容積および白質の高信号変化容積を調査した。その結果、年齢、性別、血管リスクファクターおよびAPOE4(脳容積減少と独立して関連する因子)で補正後も、AFは前頭葉容積が小さいことと関連があった。今後の研究は、これらの脳構造所見が認知機能に影響するか否かに焦点を当てるであろう。 |
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初発心筋梗塞後心不全はがんリスクを上昇させる可能性がある [2016-07-19] |
Heart failure after first myocardial infarction may increase risk of cancer |
初発心筋梗塞(MI)後心不全を発症した患者は、初発MI後に心不全を発症しなかった者に比べ、がん発症リスクが高い、とJournal of the American College of Cardiologyに掲載された。平均4.9年の追跡期間後、228人(21%)が心不全と診断され、これらの患者のうち28人(12.3%)が、がんを発症した。これと比較し、心不全を発症しなかった患者のうち、がんを発症したのは8.2%であった。初発MI後、がんと診断されるまでの平均期間は2.8年であり、最も多いがんは呼吸器、消化器および血液がんであった。 |
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遺伝による高コレステロール血症は冠動脈疾患の長期リスクを上昇させる [2016-07-12] |
Genetically inherited hypercholesterolemia increases long-term risks of coronary artery disease |
遺伝による高コレステロール血症‐ヘテロ接合性家族性高コレステロール血症‐の患者は、平均的なコレステロールレベルの者よりも動脈硬化性疾患を有する確率がはるかに高い、とCirculationに掲載された。家族性高コレステロール血症の表現型を示す患者は、LDL値が平均レベル(130mg/dL未満)の者よりも長期(最長30年)の冠動脈疾患リスクが5倍高かった。彼らはまた、冠動脈疾患発病時期が男性で最長20年、女性で最長30年早まることも含め、動脈硬化性疾患発症リスクが高かった。 |
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左室捻れ運動の評価が僧帽弁手術後転帰を予測する可能性がある [2016-07-12] |
Assessment of left ventricular torsion may predict post-mitral valve surgery outcomes |
術前の簡便な心エコーによって心臓の捻れを測定することにより、一部の心不全患者の僧帽弁手術後の転帰が予測できる、とJACC: Basic to Translational Scienceに掲載された。非虚血性、二次性の慢性重症僧帽弁閉鎖不全患者で、narrow QRSであり、左室の捻れが保たれていることは、僧帽弁手術2年後の生存率が良好であることのよい予測因子である可能性が示された。逆に、左室の捻れが失われていることは、術後の転帰不良と関連する可能性があった。Wide QRS患者における術後生存率は中間であった。 |
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CYP2C19ジェノタイプを有する患者において脳卒中再発予防薬は有効性が低い可能性がある [2016-07-05] |
Medications to prevent additional stroke may be less effective for patients with CYP2C19 genotype |
一過性脳虚血発作(TIA)または軽症脳梗塞の症状発現後24時間以内に治療を受けた、CYP2C19ジェノタイプを有する患者においては、クロピドグレルとアスピリンの併用により、アスピリン単剤と比較し脳卒中再発リスクが軽減しなかった。今回のスタディにおいて、CHANCEトライアルに登録された中国人患者2,933人が3つの主要なCYP2C19変異について遺伝子型の同定が行われた。90日間の追跡期間後に、非保有者においてはクロピドグレル-アスピリン併用により新たな脳卒中発症が軽減されたが、この変異保有者においては軽減されなかった。このスタディ結果はJAMAに掲載され、北京におけるカンファレンスで発表された。 |
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高コレステロール血症は高齢者に多く認められる疾患に対し保護的に働く可能性があることが示唆された [2016-07-05] |
Research that suggests that high cholesterol may be protective against diseases that are common in the elderly |
低比重リポ蛋白コレステロール(LDL-C)高値の高齢者は、このコレステロールが低値の同胞と同等またはしばしばそれよりも長く生存する、とBritish Medical Journalオンライン版に掲載された。評価された各々のスタディにおいて、LDL-Cと心血管死には関連がないか、または逆相関関係が認められた。60歳超の68,000人余りを含む過去のスタディの解析から得られた今回の結果は、高コレステロール血症の人々は死亡リスクが高く、コレステロールを低下させるためにスタチン系薬剤が必要である、との"コレステロール仮説"に疑問を投げかける。 |
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