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心臓リハビリテーションにストレス管理を追加することにより新規の心血管イベントを半減させる [2016-03-29] |
Adding stress management to cardiac rehabilitation cuts new cardiovascular incidents in half |
心血管イベントから回復中の患者はストレス管理を治療に組み込むことにより新たなイベント発生を半減させ得る、とCirculationに掲載された。この知見は、動脈硬化、狭心症、MIまたはバイパス手術により心臓リハビリテーションに組み入れられた外来心疾患患者151人を対象とした、ランダム化臨床試験の結果から得られたものである。心臓リハビリテーションのみを受けた患者群の33%が新たに心血管イベントまたはあらゆる死因による死亡を来した。それに比べ、心臓リハビリテーション中にストレス管理トレーニングに参加した患者において、その後心血管系の問題を生じたのは18%であった。 |
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抗うつ薬SSRIは心血管系疾患リスク上昇と関連しない [2016-03-29] |
SSRI antidepressants not associated with an increased risk of cardiovascular conditions |
一般的に使用されている抗うつ薬である選択的セロトニン再取込み阻害薬(SSRI)は65歳未満の人々における心血管系疾患リスク上昇と関連がない、とBMJに掲載された。うつ病患者において5年にわたり、SSRIは不整脈、心筋梗塞(MI)、または脳卒中/一過性脳虚血発作のリスク上昇と関連するとのエビデンスはなかったことを研究者らは見いだした。しかし、三環系抗うつ薬内服の開始後4週間は、不整脈リスクが有意に倍になった。SSRI、特にfluoxetineはMIリスクを低下させる徴候が多少認められた。 |
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ヨガは発作性心房細動患者におけるQOL、心拍数および血圧を改善する [2016-03-22] |
Yoga improves quality of life, heart rate and blood pressure in patients with paroxysmal atrial fibrillation |
ヨガは発作性心房細動(AF)患者のQOLを向上させる、とEuropean Journal of Cardiovascular Nursingに掲載された。またヨガを行った患者においては、心拍数や血圧も低下した。今回のスタディは発作性AF患者80人を対象とした。QOL(身体面および精神面)は2つの確立された質問票(Short-Form Health Survey [SF-36] 、EuroQoL-5D [EQ-5D]視覚的アナログスケール [VAS])を用いて評価された。12週後、ヨガ群ではコントロール群に比べSF-36精神健康スコアが高く、心拍数、収縮期および拡張期血圧は低かった。 |
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先天性心疾患を有する成人の多くにおいて心的外傷後ストレス障害が認められる [2016-03-22] |
Post-traumatic stress disorder seen in many adults living with congenital heart disease |
先天性心疾患を抱えながら生きている成人は、一般人口に比べ心的外傷後ストレス障害(PTSD)のリスクが有意に高い可能性がある。American Journal of Cardiologyに掲載された単施設試験の結果、成人心疾患患者の5人に1人もの患者がPTSD症状を有しており、10人に1人は心疾患に直接関連した症状を有していた。若年期に心臓手術を施行された患者はPTSDを有する確率が高かった。この結果は、心的外傷の影響を軽減する最近の内科的および外科的進歩を反映している可能性がある。 |
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中国伝統の太極拳が心疾患および脳卒中患者の心血管系の健康を向上させる [2016-03-15] |
Traditional Chinese exercises improve cardiovascular health in patients living with heart disease and stroke |
太極拳のような中国の伝統的な運動は心疾患、高血圧または脳卒中患者の健康および幸福度を向上させる可能性がある、とJournal of the American Heart Associationに掲載された。研究者らは、中国伝統の運動が心血管疾患を有する患者において、収縮期血圧を9.12mmHg 以上、拡張期血圧を5mmHg以上、平均で低下させることを明らかにした。さらに、低比重リポ蛋白および中性脂肪が、軽度ではあるが統計学的有意に低下したことも示された。中国伝統の運動はまた、心血管系疾患患者のQOLを改善しうつ病を軽減するようであった。 |
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脳動静脈奇形を未治療とすることはガンマナイフ治療よりもリスクが高い [2016-03-15] |
Not treating arteriovenous malformations more risky than treatment with Gamma Knife radiosurgery |
小児および若年成人において、脳卒中の原因として最も多い脳動静脈奇形は、時に未治療のまま放置されることがあるが、ほとんどの場合それは間違っている、とStrokeに掲載された新たなスタディ結果により強力に示唆された。動静脈奇形患者の治療において医師が直面している課題は、リスクのない治療選択肢がないことである。したがって、一般的に支持されている一つの方法は、この疾患を未治療のままとすることであった。しかし、新たなスタディの結果、ガンマナイフ治療によるリスクよりも、この疾患を未治療のまま放置することにより上昇し続けるリスクの方が勝ることが示された。 |
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80歳以降に心血管疾患がないことは心疾患よりも認知症リスクの方が高いことと関連がある [2016-03-08] |
Lack of cardiovascular disease after age 80 associated with greater risk of dementia than heart disease |
心血管疾患に罹患することなく80代に到達した人々は、心筋梗塞や脳卒中よりも認知症を患う確率の方が高い、とJournal of the American College of Cardiologyに掲載された。小人数の参加者群において、冠動脈石灰化が全くないかまたは低レベルであることと認知症リスクや心血管イベントリスクが低いことに関連があることも示され、冠動脈疾患につながる心血管系リスクファクターは脳にも影響を与え得ることが示唆された。 |
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脳卒中および心筋梗塞の予防に役立つ強力な新薬 [2016-03-08] |
Powerful new medication for helping prevent stroke and myocardial infarction |
New England Journal of Medicineに掲載されたスタディにおいて、チアゾリジン系薬と呼ばれるインスリン抵抗性改善薬であるピオグリタゾンは、脳卒中または一過性脳虚血発作の既往のある患者において、脳卒中や心筋梗塞(MI)リスクをほぼ1/4減少させることが示された。ピオグリタゾンとプラセボを比較した5年間の二重盲検試験において、ピオグリタゾン内服患者は脳卒中またはMI発症率が24%低かった。 |
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CLEAR III:血栓溶解療法は脳室内出血患者の死亡率を低下させる [2016-03-01] |
CLEAR III: Clot-busting therapy reduces mortality in patients suffering an intraventricular hemorrhage |
脳室内の血液を除去する血栓溶解薬の使用は脳室内出血の死亡率を低下させる初めての有効な治療法となる可能性がある、との第3相臨床試験の結果が、2016年American Stroke Association's International Stroke Conferenceで発表された。このCLEAR IIIトライアルにおいて、脳室内へのtPAの迅速投与とドレナージカテーテルを組み合わせることにより、総死亡率が生食投与群に比べ10%、約3分の1減少することが示された。大量出血患者におけるtPA治療により、良好な機能回復の割合が約2倍になった。 |
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病院到着前の急速な神経学的改善は脳卒中からの回復の徴候ではない可能性がある [2016-03-01] |
Rapid neurological improvement before hospital arrival may not indicate better stroke recovery |
病院到着前に症状が急速に改善した脳卒中患者は症状が持続している患者に比べ必ずしも回復が良好なわけではない、と2016年American Stroke Association's International Stroke Conferenceで発表された。病院到着前に症状が急速に改善した患者は自宅退院の確率は高いが、かなりの割合の患者(3分の1から約半数)はそうではないことが明らかにされた。予後不良が高率であることを考慮すると、初診時に急速な神経学的改善を認める患者であっても血栓溶解療法を検討する必要がある、と筆者らは助言している。 |
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