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高齢者における睡眠不足はより重度の脳動脈硬化症や脳梗塞と関連する [2016-01-26] |
Poor sleep in seniors linked to more severe cerebral atherosclerosis and infarcts |
高齢者における睡眠の質の低下は脳内のより重度の動脈硬化や脳梗塞−いずれも脳卒中や認知機能障害のリスクとなり得る−の懸念と関連がある、とStrokeに掲載された。研究者らは、安静時または運動時の24時間監視(睡眠の質や概日リズムが定量化できる)を少なくとも1週間施行された315人(平均年齢90歳、女性70%)の脳の剖検所見を調査した。全体で、対象者の29%が脳卒中に罹患し、61%は脳血管に中等度から重度の傷害の徴候を有していた。睡眠の断片化が著明であると重度の動脈硬化を有している率が27%高かった。さらに、睡眠1時間中の覚醒が2回増加するごとに、明らかな脳内の酸素欠乏徴候率が30%増加した。これらの結果は、ボディーマスインデックス、喫煙歴、糖尿病、および高血圧などの心血管疾患リスクファクター、またはアルツハイマー病、疼痛、うつ病、心不全などの他の病態とは無関係であった。 |
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10代後半のBMI高値および有酸素能力低下は成人期の高血圧に関連する [2016-01-26] |
High BMI and low aerobic capacity in late teens linked with hypertension in adults |
青年期後期のボディーマスインデックス(BMI)および有酸素能力は、成人期の長期高血圧リスクと関連のある重要な因子である、とJAMA Internal Medicineに掲載された。スウェーデンの18歳の徴集兵約150万人の有酸素能力、筋力およびBMIが評価され、その後最長62歳まで観察された。男性150万人のうち、93,035人(6%)がその後高血圧と診断され、平均約26年追跡された。参加者が高血圧と診断された年齢中央値は、ほぼ50歳であった。BMIが高く有酸素能力が低いことは、家族歴や社会経済的因子とは関係なく高血圧リスクの上昇と関連がある、と筆者らは報告した。BMI高値(過剰体重または肥満対正常)と有酸素能力が低いことが合併すると、高血圧リスクは最大であった(有酸素能力が高くBMIが正常の男性集団に比べ高血圧リスクは3.5倍)。有酸素能力が低いことは、たとえBMIが正常値の男性であっても高血圧リスクの増加と関連した。筋力の高血圧リスクに対する影響は小さいようであった。 |
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腎機能が軽度低下することは心臓および血管障害と関連する [2016-01-19] |
Small reductions in kidney function associated with cardiac and vascular damage |
たとえ軽度の腎機能低下であっても左室重量増加や他の心血管障害と関連がある、とHypertensionに掲載された。直接的なつながりを観察するために、研究者らは極めて健康な集団‐生体腎移植ドナー‐を追跡し、腎臓提供後に発現した腎機能低下が心血管系の変化と関連があるかどうかを観察した。腎移植ドナー68人(平均年齢47歳)とコントロール56人(平均年齢44歳)を術後1年間にわたり比較した。コントロールに比べ、腎移植ドナーは予想通りの腎機能低下(糸球体濾過率および尿蛋白・アルブミン測定)、左室重量増加、トロポニンなどの血液検査に現れる心筋障害を来したが、血圧に変化はなかった。たとえ他にリスクファクターがなくても、腎機能低下自体が心臓や血管における計測可能な有害作用を直接的に引き起こす、と筆者らは結論付け、腎移植ドナーはたとえ提供後に軽度の長期心疾患リスク上昇があっても、平均のリスクよりは低いであろう、と確信している。 |
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スタチンは閉塞性睡眠時無呼吸患者の心血管疾患リスクを低下させる可能性がある [2016-01-19] |
Statins may lower risk of cardiovascular disease in people with obstructive sleep apnea |
Science Translational Medicineオンライン版に掲載されたスタディの結果、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)を有する人々の心疾患リスクを上昇させる可能性のあるメカニズムの一部が明らかにされた。スタディではまた、スタチンはこの過程を逆戻りさせる可能性があることも見いだした。スタディには睡眠検査を施行された128人が含まれ、うち76人は閉塞性睡眠時無呼吸と診断され、52人はこの診断基準に合致しなかった。その結果、睡眠時無呼吸を有する人々は、細胞表面の炎症性蛋白の集積を阻害する蛋白CD59レベルが高いことが示された。予想に反して、CD59は睡眠時無呼吸を有する人々では細胞表面ではなく主に細胞内において認められた。結果として、睡眠時無呼吸患者群の細胞には炎症性蛋白の沈着が多かった。この予想外の結果から、睡眠中に呼吸気流が繰り返し阻害されることによりCD59が細胞を炎症から保護するのに適した場所である細胞表面から引き離されてしまうことが示唆される、と筆者らは述べている。また筆者らは、睡眠時無呼吸患者のうちスタチンで治療されているサブグループの患者においては、睡眠時無呼吸を有さない人々と同様にCD59が細胞表面に残存していることも見いだした。 |
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冠動脈バイパス手術歴を有する心筋梗塞患者に対する治療の遅れ [2016-01-12] |
Treatment time lags for myocardial infarction patients who had prior bypass graft surgery |
冠動脈バイパス手術(CABG)歴を有する心筋梗塞(MI)患者は、血管形成術歴のある患者を含めた他のMI患者よりも、推奨されている90分の"ドア・トゥ・バルーンタイム"内に治療される確率が低かった、とJACC: Cardiovascular Interventionsに掲載された。研究者らは、米国297の病院で治療を受けたMI患者15,628人の医療記録を調査した。その結果、推奨されている90分の"ドア・トゥ・バルーンタイム"内に治療されたのは、CABGによる血行再建術歴のある患者で76%、血管形成術歴のある患者で88.5%、血行再建術非施行患者で88%であった。血管形成術歴のある患者では、ステント内に新規病変がある場合は90%、ステント外に新規病変がある場合は87.3%において、ドア・トゥ・バルーンタイムが達成された。バイパス術歴を有する患者では、新規病変がグラフトサイトにあった場合は75.9%、新規病変がグラフトされていない血管に生じていた場合は77%において90分以内に血管形成術が施行された。全体で、血管形成が成功したのは手術歴のある患者で88.3%、血管形成術歴のある患者で93.4%、血行再建術非施行患者で94.4%であった。 |
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駆出率の保たれた肥満の高齢心不全患者においては生活習慣介入により運動耐容能が改善する [2016-01-12] |
Lifestyle interventions improve exercise tolerance in obese older patients with heart failure and preserved ejection fraction |
一般的な心不全を有する肥満の高齢患者において、カロリー制限または有酸素運動は息切れを生じさせることなく運動できる能力を改善させるが、いずれの介入もQOLの評価には有意な影響を与えなかった、とJAMA 1月5日号に掲載された。研究者らは、心駆出率の保たれた安定した慢性心不全を有する高齢肥満患者100人(平均年齢67歳)を、20週間の食事療法、運動療法、またはその両方、またはコントロール群にランダムに割り付けた。研究者らは運動能力(最大酸素摂取量[Vo2])およびQOL(Minnesota Living with Heart Failure Questionnaire;MLHFを用いて)を計測した。最大Vo2は運動および食事療法により有意に増加し、食事療法と運動の組み合わせにより運動能力はさらに増大した。最大Vo2の変化は除脂肪体重割合の変化に正相関した。体重は食事療法群で7%、運動療法群で3%、運動+食事療法群で10%低下し、コントロール群では1%低下した。MLHFスコアには、運動および食事療法による有意な変化は認めなかった。 |
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