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ダウン症候群患者における若年性認知症はアルツハイマー病と類似の有毒なアミロイドプラークの脳内蓄積が関連している [2015-11-10] |
Early-onset dementia in Down syndrome involves toxic amyloid plaques build up in the brain similar to Alzheimer's disease |
ダウン症候群における認知症は、アルツハイマー病の機能不全においても発生しているγ-セクレターゼ活性化蛋白(GSAP)として知られる調節蛋白の欠損が関連している、とAnnals of Neurologyに掲載された。このスタディは、ダウン症候群におけるGSAP過活動と、Aβ前駆体蛋白(APP)‐アミロイドβ形成最終過程の責任蛋白‐過剰処理との関連を示した初めてのものである。健常人の死後脳組織と比較し、ダウン症候群患者から提供された脳検体ではGSAP蛋白およびその活性の両者が大幅に上昇していた。また、GSAP過活動がGSAP産生をコントロールするGATA1転写因子の異常と関連することも明らかにされた。GATA1活性がAPP過剰発現した神経内で発現停止すると、GSAP値およびアミロイドβペプチドレベルの両者が上昇した。ダウン症候群患者におけるAPP高値はアミロイドβペプチド産生を増加させ、その後若年期に脳内アミロイドプラークを促進させる。ダウン症候群患者の脳内においてアミロイドプラークは10代後半から20代前半に形成し始める。認知症症状はその後出現する。 |
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高齢女性の物忘れの訴えは後の思考障害の徴候である可能性がある [2015-11-10] |
Memory complaints in older women may signal thinking impairment later in life |
物忘れを訴える高齢女性はその後数十年の間に認知機能障害と診断されるリスクが高い可能性がある、とNeurologyオンライン版に掲載された。今回のスタディにおいて、認知症のない女性1,107人(平均年齢70歳)が18年間にわたって、"これまでよりもさらに記憶力が低下したと感じますか?"という同じ質問を複数回受けた。またスタディ終了時、思考能力テストを受け記憶力または思考能力障害を有するか否かの診断を受けた。計89人(8%)の女性が、スタディ開始時に記憶障害を訴えていた。これらの女性は記憶障害の訴えのなかった女性よりも後に認知機能障害と診断される割合が70%高かった(記憶障害を訴えた女性の53%が後に認知機能低下と診断されたのに対し、訴えのなかった女性では38%)。スタディ終了の10年前に記憶障害を訴えた女性は10年前に訴えのなかった女性よりも後に認知障害と診断される割合が90%高かった。スタディ終了時の4年前に記憶障害を訴えた女性は訴えのなかった女性よりも後に認知機能障害と診断される割合が3倍高かった。 |
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4週間無症状であることが大うつ病エピソードからの回復の新たな定義となるであろう [2015-11-02] |
Four weeks free of depressive symptoms should be new definition of recovery from a major depressive episode |
大うつ病エピソードを有したことのある人々は別のエピソードを発現するリスクが高い。今回Journal of Clinical Psychiatryに掲載された論文において、うつ症状が部分的にではなく完全に消失した人々において再発リスクが有意に低いことが明らかにされた。研究者らは大うつ病エピソード(MDE)と診断され、1978〜1981年にNational Institute of Mental Health Collaborative Depression Studyに組み入れられ31年間追跡された患者322人のデータを解析した。これらの患者のうち61.2%はMDEの診断から無症状にまで回復した。この回復群は、症状残存群に比べ無再発の期間が4.2倍長かった(期間中央値135週対32週)。症状残存が持続していると1年以内に本格的なうつ病エピソードに復するリスクが約3倍高かった(74%対26%)。症状残存群はその後10年または20年のうつ病による苦痛の度合いが大きく、仕事や家事機能、人間関係における困難がより長期にわたった。無症状の状態が4週間持続することは8週後にも安定して回復していることの強力な指標であった。 |
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アルツハイマー病の遺伝子リスクの高い若年者の嗅内皮質における活動性パターンの変化 [2015-11-02] |
Altered activation pattern in entorhinal cortex in young adults with increased genetic risk of Alzheimer's disease |
遺伝子的にアルツハイマー病リスクが高い若年成人において、空間ナビゲーションに重要な役割を果たす脳領域の活性化パターンが変化しているとの研究結果がScienceに掲載された。研究者らはこの脳領域、嗅内皮質が空間内の格子状パターンで発火する格子細胞を含むことを過去に報告した。ヒトにおける格子細胞システムは、被験者が仮想空間で操縦している間の機能的磁気共鳴画像により間接的に記録できる。今回のスタディにおいて研究者らはアルツハイマー病リスク遺伝子の有無にかかわらず若年学生の嗅内皮質内格子細胞システムを解析した。リスクのある者は嗅内皮質の格子パターンの安定性が低かった−アルツハイマー病を発病する可能性のある年齢よりも数十年早く。さらに、仮想空間の中心において動く頻度が低く、このことはナビゲーション戦略が変化していることを示す。リスク群において、記憶系の脳活性は全般的に上昇していた。これは格子パターンの減少を短期的に代償している可能性はあるが、長期的にはアルツハイマー病発症に寄与している可能性もある、と筆者らは述べている。 |
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