薬物併用療法はほぼ確実にアルツハイマー病である患者の焦燥性興奮を軽減する [2015-09-29]
Combination drug treatment reduces agitation for patients with probable Alzheimer's disease

予備的な10週間のランダム化トライアルにおいて、デキストロメトルファン-キニジン併用薬物療法を受けた、ほぼ確実にアルツハイマー病である患者は、プラセボを投与された患者よりも焦燥性興奮の発現が少なく重症度が低いことが示されたとJAMA 9月22/29日号に掲載された。研究者らは第1段階で220人の患者を、デキストロメトルファン-キニジン(93人)またはプラセボ(127人)投与群にランダムに割り付けた。第2段階では、第1段階でデキストロメトルファン-キニジン投与患者はこれを継続した;プラセボ投与患者は有効性で層別化されデキストロメトルファン-キニジン(59人)またはプラセボ(60人)に再度ランダム化された。計194人(88%)の患者がスタディを終了した。第1段階(全員)と第2段階(再度ランダム化されたプラセボ無効例)を合わせた解析の結果、焦燥性興奮計測値(発現頻度および症状重症度)は有意な低下を示した。デキストロメトルファン-キニジン群は興奮計測値がベースラインと比べ10週後には平均51%軽減していたのに対し、プラセボ群では26%であった。しかし、デキストロメトルファン-キニジン群では重篤有害事象が7.9%に発現したのに対し、プラセボ群では4.7%であった。デキストロメトルファン-キニジンは認知機能障害や鎮静とは関連がなかった。

アルツハイマー病患者の介護家族が既にうつ病を患っている場合、精神的ストレスは最大になる [2015-09-29]
Heaviest psychological stress experienced by Alzheimer's family caregivers who already suffer from depression

アルツハイマー病患者の介護は、患者のアルツハイマー診断時にその配偶者や家族介護者がうつ病である場合は特に重荷になる、とJournal of Geriatric Psychiatry and Neurologyに掲載された。研究者らは、患者がアルツハイマーと診断されてから3年間の家族介護者の精神的ストレスを解析した。スタディ参加者は、フィンランドの3つの中央病院や大学病院の記憶障害クリニックから自発的に組み入れに参加した。参加者は非常に軽度かまたは軽度のアルツハイマー病を発症した時期であった。例え軽度であってもうつ病発症は、家族介護者の精神的負担の予測因子であった。またスタディ開始時の精神的ストレスは配偶介護者の方が他の家族介護者よりも大きく、配偶介護者の精神的ストレスはスタディ期間中に増大することも明らかにされた。このスタディはアルツハイマー病と診断された者236人およびその家族介護者を対象としたALSOVAプロジェクトの一部である。

高齢者におけるビタミンD低値は認知機能低下の促進と関連がある [2015-09-25]
Low vitamin D in older adults associated with faster decline in cognitive function

民族的に多様な高齢者のグループにおいてビタミンD不足は認知機能低下の促進と関連があったとJAMA Neurologyに掲載された。研究者らは、高齢者382人(平均年齢75.5歳、約62%が女性)においてベースラインのビタミンDの状態および評価スケールで計測した認知機能のサブドメインの変化を調査した。スタディ登録時、参加者の17.5%が認知症を、32.7%が軽度認知障害を有しており、49.5%は認知機能が正常であった。参加者の平均血漿25-OHD値は19.2ng/mLであり、26.2%はビタミンD欠乏であり、35.1%はビタミンD不足であった。平均25-OHD値は認知症群において、軽度認知障害および認知機能正常群より低かった(それぞれ16.2、20.0および19.7ng/mL)。平均4.8年の追跡期間中のビタミンD欠乏およびビタミンD不足の者のエピソード記憶や実行機能低下の割合は、様々な患者因子で補正後、ビタミンD値が正常の者よりも大であった。ビタミンDの状態は意味記憶や視空間能力とは有意な関連がなかった。

心拍変動の減少は心的外傷後ストレス障害への脆弱性を示唆する可能性がある [2015-09-25]
Reduced heart rate variability may indicate greater vulnerability to post-traumatic stress disorder

米海兵隊の前向き長期スタディから、心拍変動が小さいことは心的外傷後ストレス障害(PTSD)発症に寄与するリスクファクターである可能性が示唆された。この結果はJAMA Psychiatry 9月号に報告された。研究者らは、戦闘配備される前の心拍変動(HRV)低下が、配備後にPTSDと診断されるリスクの上昇に影響するかを調査した。2008年7月から2013年10月まで、現役海兵隊の2つの大きなコホートを戦闘配備2か月前および帰還後4〜6か月後に再度評価した。配備に関連した戦闘への曝露を考慮すると、戦闘配備前のHRVの低い海兵隊員は帰還後のPTSDリスクが高いことが示された。このエビデンスは初めてであり中程度のものである、と筆者らは指摘している。自律神経系の変化が、戦闘への曝露や既存のストレスおよびトラウマ症状などの既知のリスクファクターと重なり、PTSDへの脆弱性や回復力に影響する可能性が示唆される。今回の結果が将来のスタディで強化されれば、自律神経系の生物学への着目によるPTSD予防の新たなチャンスとなる可能性がある。

乾癬はうつ病リスク上昇などの身体的精神的健康状態に影響を及ぼす [2015-09-01]
Psoriasis impacts patients' physical and mental health including an increased risk of depression

American Academy of Dermatology's 2015 Summer Academy Meetingにおいて発表された新たな研究の結果、乾癬はうつ病リスクを上昇させる可能性があることが示された。研究者らは、12,382人の成人において乾癬とうつ病を有する症例を調査した。乾癬患者の約16.5%が大うつ病の診断基準に合致し、大うつ病有病率は乾癬患者において2倍であった。これら2疾患の関連は、年齢、性別、人種、ボディーマスインデックス、身体活動度、飲酒および喫煙歴、さらに心筋梗塞、脳卒中、糖尿病を含む他の疾患歴などのリスクファクターで補正しても依然として有意であった。研究者らは、患者のうつ病になる可能性は乾癬の重症度と関連があると予測したが、そうではなかった。むしろ、乾癬とうつ病の関係は人々の乾癬に対するスティグマと関連があると考えている。この疾患は非常に目立つ皮膚病変であり、この疾患をよく知らない人々は乾癬を有する人々に好意的でない反応を示すことがある。研究の結果乾癬とうつ病の関連が示されたが、乾癬かうつ病のどちらかが他方を引き起こすことは証明されていない。さらなる研究が必要である。

運動および栄養補助剤による介入は認知機能に有意な効果をもたらさない [2015-09-01]
Physical activity and nutrient supplementation interventions fail to have significant effect on cognitive function

JAMA 8月25日号に掲載された2つのスタディにおいて、運動および栄養補助剤による認知機能に対する効果が調査された。1つ目のスタディでは、24か月の運動プログラムが健康教育プログラムに比べ、認知機能を良好にし、軽度認知機能障害(MCI)または認知症、またはその両者のリスクを軽減するか否かを評価した。参加者は、運動機能障害のリスクはあるが約1/4マイルは歩くことのできる運動不足の成人(1,635人、70〜89歳)であった。中等度の運動による介入は健康教育プログラムに比べ、全般的または領域特異的な認知機能の改善をもたらさなかった。転帰に関する検出力に限界はあるが、MCIまたは認知症発現率は両群間で差がなかった(運動群13.2%対健康教育群12.1%)。もう1つのスタディでは、経口栄養補助剤の認知機能に対する効果を5年間にわたり調査した(平均年齢73歳、女性57.5%)。栄養補助剤の有無でランダム化割り付けされた2群間で、認知機能計測値の変化に有意差はなかった。