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厚い大脳皮質がダウン症候群やアルツハイマー病の鍵となり得る [2015-06-30] |
A thick cerebral cortex could be key in Down syndrome and early onset Alzheimer's disease |
大脳皮質の厚みは、若年ダウン症候群患者の知的発達に関する答えを解く鍵となり、この遺伝性の神経発達障害を有する患者がなぜ早期アルツハイマー病に非常に罹患し易いかの原因を明らかにする可能性がある。研究者らは、小児および若年ダウン症候群の31人および典型的に成長した対照45人の構造的磁気共鳴画像(MRI)を比較し、Cerebral Cortex に発表した。過去の研究から、大脳皮質の容積は、ダウン症候群の人々において典型的に成長した人々よりも平均して少ないことが示されている。表面積は全容積の1つの構成要素であるため、ダウン症候群の若年者において皮質表面積が小さかったことに筆者らは驚かなかった。驚くべき所見は、大脳皮質の厚みがダウン症候群患者の多くの領域において大きかったことであった。大脳皮質の厚みが増加していた脳領域の一部は、デフォルトモードネットワーク(DMN)の結節であった。DMNにおける劣化はアルツハイマー病と関連があるため、このことは将来のアルツハイマー病易罹患性の早期指標となる可能性がある、と筆者らは述べている。 |
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新たなPopulation Health Managementプログラムは認知症患者の介護者におけるうつやストレスを軽減する [2015-06-30] |
Novel population health management program reduces depression and stress in caregivers of patients with dementia |
高齢者のいる家庭で実施される新たなPopulation Health ManagementプログラムであるAging Brain Care (ABC) Medical Homeは、認知症患者の家族介護者におけるうつ症状の有意な改善とストレスの大幅な減少を達成する、とのスタディ結果がJournal of the American Geriatrics Societyに掲載された。ABC Medical Homeの参加者は、スタディ期間18か月の間に平均13回の家庭訪問を受けた。家庭訪問の間、ケアコーディネーター補助者が症状の負荷をモニターし、うつ病歴を有する患者に行動活性化および再発予防活動の実施について指導した。彼らはまた認知症患者の家族介護者とともに、月1回のサポートグループへの参加、危機プランの作成、介護作業の定期的な週1回の休み、さらに、自己管理能力を高め、大切な家族の認知症症状に関連する問題解決能力を強化するなどのストレス予防法の実行に取り組んだ。研究者らは、絶望や自己嫌悪、集中できないなどの中等度から重度のうつ症状を有する患者の3分の2において、症状が50%以上軽減したと報告した。彼らはまた、認知症患者介護者の半分においてストレス症状が50%軽減したことも明らかにした。 |
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MRIにより脳震盪関連うつ病および不安の外傷パターンが明らかにされた [2015-06-23] |
MRI reveals injury patterns in patients with concussion-related depression and anxiety |
Radiologyに掲載されたあるスタディの結果、脳震盪関連のうつ病や不安障害患者の脳におけるある特定の脳内損傷パターンが示された。研究者らは脳白質−脳の信号伝達神経線維−の統合性を計測するMRI技術である拡散テンソル画像(DTI)を用いて、神経損傷がこれらの外傷後うつ病や不安の根本原因であるかどうかを観察した。彼らは脳震盪後の患者45人のDTI画像および神経認知機能検査の結果を得た。38人は易刺激性、32人はうつ病、さらに18人は不安を有し、脳震盪後に神経精神病学的症状を有さない29人の結果と比較された。うつ病や不安を有する患者では特有の白質損傷パターンが観察された。コントロールと比べ、うつ病患者は脳の報酬サーキットと強く関連する灰白質近くにある領域周囲の白質の構造的統合性の計測値である異方性比率(FA)が低下していた。不安症状のある患者は小脳虫部内のFAが減少していた。小脳虫部は非外傷性不安障害における機能不全と関連がないとされているため、この所見は、外傷後の不安障害の患者に対しては異なる治療標的が必要であることを示している可能性がある、と筆者らは述べている。 |
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静脈血栓塞栓症を発症した若年患者の5分の1は5年以内に向精神薬を必要とする [2015-06-23] |
One in five young people who experience a venous thromboembolism require psychotropic drugs within 5 years |
静脈血栓塞栓症(VTE)を発症した若年患者の5分の1は5年以内に向精神薬を必要とする、との研究結果が2015年EuroHeartCareで発表された。このスタディは、若年VTE患者のメンタルヘルスに関する予後を調査した初めてのものである。研究者らは、1997〜2010年に初回VTEを発症した13〜33歳の患者4,132人を同定した。VTEのないコントロール群の19,292人をランダムに選択し、性別および誕生年で患者らとマッチさせた。全ての参加者が処方登録において初回の向精神薬の購入に関して追跡された。これらの薬物には抗うつ薬、抗不安薬、鎮静剤や抗精神病薬が含まれた。向精神薬の購入はメンタルヘルスの状態の代用計測値として使用され、2群間で比較された。産後うつ病などの他の向精神薬購入理由を除外するために、回帰分析が用いられた。その結果、向精神薬の購入はコントロール群に比べ若年VTE患者において大幅に多いことが示された。VTE患者における向精神薬購入リスクは診断後1年で7.1% であり、診断後5年で22.1%であった。コントロール群に対する過剰相対リスクは1年後で4.7%であり、5年後で10.8%であった。 |
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