手術を施行される小児にとって医療ピエロは不安を軽減し入院期間を短縮し得る [2015-05-26]
Medical clowns can reduce anxiety and length of hospital stay for children undergoing surgery

泌尿器系手術を施行される小児にとって医療ピエロは不安を軽減し入院期間を短縮し得る、と第110回American Urological Association年次集会で発表された。医学研究の結果、患者に対しユーモアは好ましい効果を与え、特に小児科における医療ピエロ導入は世界中の多くの病院において不可欠な治療構成要素となっている。このことから研究者らは、外来泌尿器科手術を施行される2〜16歳の子供の術前の不安、術後疼痛および医療費軽減に対する医療ピエロの影響を評価した。子供たちは2群に分けられた。医療設備は2群において同等であったが、片方の群には医療チームの一員として医療ピエロを含み他の群では含まなかった。医療ピエロの影響を受けた小児はそれのなかった小児と比べ術前および術後に示す不安が少なかった。医療ピエロを使用することにより麻酔導入時間の短縮、手術室滞在時間全体の短縮、さらに手術から回復し退院するまでの時間も短縮した。医療ピエロは疼痛スコア、術後の痛みからの解放または日常生活に復帰するのに必要な時間には有意に影響しなかった。

男性において閉塞性睡眠時無呼吸および日中の眠気はうつ病リスクを増大させる [2015-05-26]
Obstructive sleep apnea and daytime sleepiness increase risk of depression in men

男性における重度の閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)と日中の過剰な眠気はうつ病リスクを上昇させる、との新たなオーストラリアの地域住民をベースにしたスタディの結果が2015年American Thoracic Society International Conferenceで発表された。スタディには35〜83歳の男性1,875人が組み入れられ、5年間に2回にわたりうつ病の評価を受けた。過去にOSAの診断歴のないランダム化対象の男性857人が終夜睡眠ポリグラフ検査を施行され、Epworth Sleepiness Scale の質問表に回答した。可能性のある交絡因子で補正後、初めて診断された重症OSAはうつ病有病率上昇と関連があり(補正オッズ比[OR]2.1、95% CI、1.1〜4.0)、日中の過剰な眠気も同様であった(補正OR 1.1、95% CI 1.0〜1.2)。初めて診断されたOSA(軽度から中等度または重度のOSA)および過剰な日中の眠気の両者を有する男性はこれらを有さない男性よりもうつ病を有する確率が4〜5倍であった。過去のOSA診断および初めて診断された重度のOSAはいずれも最近のうつ病発症と関連があった。筆者らは、うつ病で受診した男性に対しては適切な方向性の治療を行えるようにOSAのスクリーニングを行うべきであると提案している。

オリーブオイルやナッツを補充した地中海ダイエットは認知機能の改善に関連する [2015-05-19]
Mediterranean diet supplemented with olive oil or nuts associated with improved cognitive function

高齢者を対象としたスタディにおいて、野菜中心の地中海ダイエットに抗酸化物質に富んだエキストラバージンオリーブオイルまたはミックスナッツを補充することで認知機能の改善に関連した、とJAMA Internal Medicineオンライン版に掲載された。このランダム化臨床試験には心血管系リスクの高い認知的に健常なボランティア447人(女性223人;平均年齢約67歳)が組み入れられた。参加者のうち、155人は地中海ダイエットに週1リットルのエキストラバージンオリーブオイルを補充する群、147人はクルミ、ヘーゼルナッツおよびアーモンドのミックスナッツを1日30 g補充する群、145人は低脂肪コントロール食を摂取する群に割り付けられた。追跡調査の時点で、低脂肪食に割り当てられた者は認知機能の全要素において有意な低下を示した。コントロール群と比べ、複合記憶は地中海ダイエット+ナッツ群で有意に改善し、地中海ダイエット+オリーブオイル群では前頭および全体の複合認知機能が改善した。認知機能低下および認知症に対する有効な治療法がないことから、これらの発症を遅延させ影響を最小化する予防戦略の必要性がある、と筆者らは指摘し、さらなる研究が必要であることを強調している。

抗けいれん薬はアルツハイマー病の記憶障害を回復させ症状を遅延させる [2015-05-19]
Anticonvulsant drug reverses memory loss, slowing symptoms of Alzheimer's disease

Alzheimer's Research & Therapyに掲載された研究結果は、脳の興奮性亢進がアルツハイマー病において重要な役割を果たしており、抗けいれん薬は人を対象にさらにスタディを行うに値する有望な治療であるとの仮説を強化するものである。過去のスタディにおいていくつかの研究グループは、げっ歯類モデルと早期アルツハイマー病徴候を有する患者の両者において広く使用される抗けいれん薬レベチラセタムの効果を調査した。その結果、この薬剤が記憶力障害を含むアルツハイマー病の症状の一部を遅延させる可能のあることが示唆される。この最新の研究において研究者らは、てんかんに対し未だ臨床開発段階でありレベチラセタムと密接に関連する抗けいれん薬brivaracetamの効果を調査した。この薬剤の有効性はレベチラセタムの10倍であり低用量での使用が可能である。Brivaracetamはアルツハイマー病モデルのげっ歯類において記憶障害を完全に回復させた。この薬剤は有効なようであるが、記憶障害の回復にどのように作用するのかは不明である。今回のスタディはアルツハイマー病患者の治療に関する非常に予備的なデータを示していることを筆者らは強調している。

軽度外傷性脳損傷後の性差を調査するために作業記憶課題中の脳活性化パターンが評価された [2015-05-12]
Researchers evaluate brain activation patterns during working memory tasks to study gender differences after mild traumatic brain injury

女性は脳震盪からの回復過程において男性よりも困難な時間を過ごす可能性があるとの新たなスタディ結果がRadiology オンライン版に掲載された。研究者らは軽度外傷性脳損傷(MTBI)患者30人およびコントロール30人を調査した。両群とも男女比は同等であった。患者はfMRI検査を外傷後1か月以内および6週後のフォローアップ検査時に施行された。全参加者が、数唱および持続的処理課題検査(CPT)を含む神経心理学的検査を施行された。MTBI患者の初回fMRI検査の結果、コントロールと比較し、男性においては作業記憶脳サーキット活性の増加が認められ女性においては活性の低下が認められた。フォローアップにおいて、MTBIを有する男性はコントロール同様に正常活性に戻ったが、女性では活性低下が持続し作業記憶の問題が続いていることが示唆された。神経心理学的結果から、女性においてはMTBI群で総数唱スコアがコントロール群と比較し低かった。これらの結果は、女性であることはMTBI後の作業記憶障害のリスクファクターであるとのエビデンスを提供している。

高齢者において心肺適応能を高める運動は認知機能低下を遅延させるようである [2015-05-12]
Physical activities that enhance cardiorespiratory fitness appear to delay cognitive decline in older adults

心肺適応能は高齢者の脳の白質構造に好ましく影響し認知機能低下を遅延させる可能性がある。Annals of Clinical and Translational Neurologyオンライン版に掲載されるこの結果は若年成人(18〜31歳)と高齢者(55〜82歳)とを比較した。全参加者は脳のMRI検査を施行され、トレッドミル運動中の心肺適応能を計測された。その結果、心肺適応能は高齢者の脳白質神経線維束の構造的統合性と正の相関を示し、一方若年者においてはそのような相関は認められなかった。これらの結果から、運動は認知機能低下を遅延させ独立的運動機能を延長させることでQOLを改善する可能性があり、その目的で処方でき得ることが示唆される。しかし、適応能と脳構造の経時的変化を追跡し特定の運動プログラム(筋力、有酸素またはこれらを組み合わせたトレーニングなど)や運動量(頻度、強度、時間)の白質微小構造への影響を明らかにするためにさらなる研究が必要である、と警告している。