脳卒中に罹患した子供の親はPTSD徴候を示し、子供は不安症状を示す [2015-02-24]
Parents of children who suffered a stroke showed signs of PTSD while children showed signs of anxiety

脳卒中に罹患した子供の親は心的外傷後ストレス障害(PTSD)を経験し、子供は臨床上の不安症状を示し、これは治療や予後に干渉し得る因子であるとの研究結果が2015年American Stroke Association's International Stroke Conferenceで発表された。ある予備的なスタディにおいて、乳幼児から10代までの子供の父親10人および母親23人の調査を行った。スタディではまた、7〜18歳の小児脳卒中患者9人も組み入れた。子供たちは2013年または2014年に脳卒中を発症した。親の55%が少なくとも1 つのPTSDクライテリアに合致し、24%は全てのPTSDクライテリアに合致した。子供の間にはPTSDは見られなかったが、22%は臨床的に有意なレベルの不安を有していた。PTSDを有する脳卒中小児患者の親または不安を有する小児脳卒中患者は治療を遵守するのに苦労し、それが子供の脳卒中からの回復に悪影響を及ぼし得ることを筆者らは懸念している。また、今回の結果は予備的なものであるが、この情報は脳卒中後のPTSDや情動問題の可能性を有する家族をスクリーニングするのに用いられるべきである、と提言している。

非薬物的介入が中等度の睡眠障害を有する高齢者の睡眠の質を改善した [2015-02-24]
Nonpharmacological intervention improved sleep quality for older adults with moderate sleep disturbance

不眠症を治し就寝前の日課を確立することに焦点を当てたより構造化されたプログラムと瞑想とを比較した臨床試験において、マインドフルネス瞑想を実践することにより中等度の睡眠障害を有する高齢者の睡眠の質が改善した、との記事がJAMA Internal Medicineオンライン版に掲載された。研究者らは49人(平均年齢66歳)を対象とした小規模な臨床試験を行った。トライアルには標準的なマインドフルアウェアネス実践(MAPs)介入群の24人、および睡眠衛生教育(SHE)介入群の25人が含まれた。群間差はPittsburgh Sleep Quality Index(PSQI)を用いて計測された。MAPs群の参加者はSHE群の参加者と比べ改善が認められた。MAPs群の平均PSQIスコアはベースライン時10.2、介入後は7.4であった。SHE群の平均PSQIスコアはベースライン時10.2、介入後9.1であった。MAPs群はまた不眠症状、うつ症状、倦怠感干渉および倦怠感重症度などの二次計測項目においてもSHE群より改善した。しかし、不安、ストレスまたは炎症シグナリングにおいては群間差は認めず、これらの計測値は時間とともに両群において減少した。

脳領域間の接続性が大きいことはうつ病患者に対するトークセラピーの治療効果を予測する [2015-02-17]
Greater connectivity between brain regions predict therapeutic response to talk therapy for people with depression

安静時機能的結合MRI(rs-fcMRI)は、うつ病の治療目的で用いられるトークセラピーの治療効果を予測する脳の神経経路の違いを見極めるとの研究結果がNeuropsychopharmacologyに掲載された。研究者らは未治療の大うつ病患者23人を組み入れた。Rs-fcMRIを用いて、研究者らは一斉に光るつまり活性化される脳領域を同定することができた。次にこのことは、一部の行動や治療に対する効果と関連する活動のネットワークを明らかにするのに役立つ可能性がある。画像検査後に、患者はカウンセラーと面会し平均12週間の行動活性化トークセラピーセッション−直ちにうつ病に関連する行動に焦点を当てた型のトークセラピー−を受けた。セラピーセッションの間に、患者はこれらの行動に向けたゴールを設定した。トークセラピーの恩恵を最も被った患者は、前島皮質と中頭側回との接続性が大きかった。これらの患者はまた、頭頂間溝と眼窩前頭皮質との接続性も強かった。観察されたパターンから研究者らは、rs-fcMRIはうつ病患者にとって最良の治療方針を決定する究極的な診断ツールとして使用できる、と結論付けている。

統合失調症患者の体重増加には内因性カンナビノイドが関与している可能性がある [2015-02-17]
Endogenous cannabinoids may be involved in weight gain in people with schizophrenia

抗精神病薬オランザピンで治療されている統合失調症患者に発現する体重増加にはカンナビノイドが関与している可能性があるとのパイロット研究の結果がJournal of Clinical Psychopharmacologyに掲載された。研究者らは、オランザピンで16週間治療された統合失調症患者15人の食行動を調査した。参加者は、オランザピン治療開始前および16週後に、機能的MRI(fMRI)検査中に中立的な画像または食欲を刺激する画像を視聴した。研究チームはまた、内因性カンナビノイドに加え空腹時血糖、インスリンおよび脂質レベルを計測した。治療後、統合失調症患者群において健常人から成るコントロール群と比較し、左扁桃体(辺縁域)の過剰活性化が認められた。これらの脳の変化は血糖、中性脂肪および主なカンナビノイド神経伝達物質であるアナンダミドのレベル上昇と関連があった。治療中に参加者はまた、体重が増加し陽性症状(妄想や幻覚)が少なかった。統計解析の結果、食欲を刺激する画像を観た者において扁桃体の過活動におけるアナンダミドの関与が示唆される。

施設入所の棄児は自閉症児に見られるのと同様の行動をとるリスクが高い [2015-02-10]
Abandoned children placed in institutional care have increased risk for behaviors similar to those seen in autism

Journal of the American Academy of Child and Adolescent Psychiatry 2015年2月号に掲載されたスタディの結果、施設入所の棄児は社会的コミュニケーション障害などの自閉症児に見られるのと同様の行動をとるリスクが高いことが示された。これらの子供たちが幼少期に里親に引き取られ子供中心の保育を受けると症状は改善した。Bucharest Early Intervention Projectの一部として、出生時に遺棄されルーマニアのブカレストにある施設で育てられた136人の小児(平均年齢23か月)が、施設で通常通りに養育される群または研究者らによって作成され維持される高品質の里親による保育群に無作為に割り付けられた。10歳の時点で117人の小児が評価された。施設での養育歴を有する5人の小児(3人は施設で通常通りに養育される群であり2人は里親群であった)が自閉症スペクトラム障害のDSM診断クライテリアに合致した。年齢でマッチさせた施設入所歴のない小児100人から成る比較群において、自閉症児はいなかった。施設に入所した自閉症の小児は一般的な自閉症児に類似しているが、彼らの症状の原因は非常に異なる、と筆者らは指摘している。

APOEε4アレルを有する都会の小児において短期記憶低下、IQ、および脳代謝率の変化が認められた [2015-02-10]
Decreases in short-term memory, IQ, and altered brain metabolic ratios found in urban children with APOEε4 allele

Journal of Alzheimer's Diseaseに掲載されたスタディにおいて、アポプロテインE(APOE)ε4アレル―アルツハイマー病の最も多い遺伝子リスク―の健康な都会の小児および10代の青少年における認知機能、嗅覚、および脳代謝指標に対する有害な影響に関する懸念が強調された。スタディは知能および臭覚識別検査を用いて小児および10代青少年の認知および嗅覚反応に焦点を当てた。研究者らはプロトン磁気共鳴スペクトロスコピーを用いて、海馬、橋および前頭葉と頭頂葉白質における主要な脳内代謝産物を計測した。APOEε4を保有する小児はε3を保有する小児と比較し、重要な代謝産物NAA/Cr比が右前頭葉白質において低下しており、注意、および短期記憶における有意な低下が認められた。心配される所見はAPOEε4アレル保有者においてVerbal and Full Scale IQが平均未満(>10点)であったことである。APOEε4を保有する小児はε3保有者よりも臭気検出力が低く石けんの香りを同定し損なう頻度が高かった。この結果は、アルツハイマー病患者において重要な比である左海馬 mI/Cr比と強力に相関した。都会の大気汚染に持続的に曝露されることで、認知機能低下、グリアおよび神経変性を反映する脳代謝の変化を来す、と筆者らは主張している。

自閉症スペクトラム障害の小児において症状の重症度および適応機能の異なる発達軌跡が観察された [2015-02-03]
Distinct developmental trajectories of symptom severity and adaptive functioning seen in children with autism spectrum disorder

自閉症スペクトラム障害(ASD)の有る未就学児は、診断時の症状の重症度や適応機能はそれぞれお互いに異なっており、これらの違いの一部は6歳までに増大するようであるとのスタディ結果がJAMA Psychiatryオンライン版に掲載された。研究者らは、大規模なカナダのスタディに参加したASDと新たに診断された未就学児421人における自閉症症状重症度および適応機能の発達軌跡について述べた。診断から6歳までの4時点で収集したデータが小児の発達軌跡を追跡するのに用いられた。スタディの結果から、自閉症症状重症度に関して2つの異なる発達軌跡群:グループ1(11.4%の小児)は症状重症度が低く軌跡が改善傾向にある一方で、グループ2は(88.6%)は症状が重度で軌跡は横ばいであることが示された。適応機能に関しては、3つの発達軌跡:グループ1(29.2%)は機能が低く軌跡が悪化し、グループ2(49.9%)は中等度の機能で軌跡は横ばいであり、グループ3(20.9%)は機能が高く軌跡が改善傾向にあった。女児は重症度が低く症状が改善傾向にあった。

認知症リスクは一般的な抗コリン市販薬を高用量および長期使用することと関連する [2015-02-03]
Dementia risk linked to higher doses and longer use of common, over-the-counter anticholinergic medications

JAMA Internal Medicineに掲載された大規模スタディにおいて、アルツハイマー病を含む認知症の有意なリスク上昇と、一般的に使用されている抗コリン作用を有する薬剤を高用量で長期にわたり内服することとが関連付けられた。多くの高齢者がジフェンヒドラミンを含む一般的な医薬品であるこれらの薬剤を内服している。例えば、今回のスタディで使用された最も一般的な薬剤は、ドキセピンのような三環系抗うつ薬、クロルフェニラミンのような第一世代抗ヒスタミン薬、およびオキシブチニンのような過活動膀胱治療用抗ムスカリン薬などである。スタディでは、少なくともドキセピン 10 mg/日、ジフェンヒドラミン 4mg/日、またはオキシブチニン 5mg/日を3年以上内服していると認知症発症リスクが上昇するであろうと推定している。今回のスタディでは過去にも報告されたこの関係性を確認するために、より厳密な方法を用い、より長期(7年以上)にわたり追跡し、薬局の記録(一般医薬品の実質的な使用を含む)を介して薬物使用を評価した。用量依存性を示したのは今回が初めてである:抗コリン薬の使用量が多いほど認知症発症リスクはより高くなった。さらに、抗コリン薬に関連した認知症リスクは持続する−そしてこれらの薬剤内服を中止した後でも回復しない可能性もある−ことも初めて示唆された。