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年少児における扱いが難しい行動から、後の問題の前兆となり得る素行障害を予測できる可能性がある [2015-01-27] |
Difficult behavior in young children may predict conduct disorder that could be harbinger of later problems |
年少児が癇癪を起こしたりそうでなければ破壊的であるのは通常のことであるが、このような行動が長時間持続したり特に激しい場合、その子供は素行障害−反社会的行動の前兆となり得る小児期の精神的問題−を有している可能性のあることが示された、との研究結果がJournal of Pediatricsに掲載された。健常年少児と素行障害を有する同胞との間に重複部分はあったが、激しい反抗的態度、人々や動物に対する攻撃性、激しい器物破損、嘘をつくことや窃盗などの行動を示す小児は素行障害を有する可能性が高いことを研究者らは見いだした。未就学児期に強い症状を有する小児は素行障害を有する可能性が高く、これらの症状はまた就学期に達した時の素行障害の予測因子である傾向にあった。健常な未就学児もまた破壊的な行動をするが、未就学児20人に1人は素行障害を有している。素行障害を有する小児は他のマイナス面もまた有していることが多く、低い世帯収入、虐待やネグレクトの経験、ひとり親家庭、および就学前のうつ病の診断などが挙げられる。これらの症状を有する子供は評価および可能な介入のために精神科を受診することを筆者らは勧めている。 |
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てんかん患者においてADHDはうつ、不安および他の心理社会的予後に関して重要な役割を果たす可能性がある [2015-01-27] |
ADHD may play significant role in depression, anxiety and other psychosocial outcomes in patients with epilepsy |
Epilepsiaに掲載されたスタディにおいて、成人のてんかん患者のほぼ5人に1人が注意欠如多動症(ADHD)の症状を有すると報告された。これは一般成人人口におけるADHDの診断率である約4.4%の5倍である。研究者らは、Epilepsy Comorbidities and Health(EPIC)スタディの一部として、てんかんを有すると自己報告した国内成人サンプルに対しアンケートを郵送した。この調査では、ADHD症状だけでなく患者の身体的および精神的健康に影響する可能性のある他の因子についても計測するため、確立された信頼性や妥当性を有するいくつかの評価および尺度が含まれた。ADHD症状とQOLに関する予後との関連は統計学的解析を用いて調査され、またこれにより社会人口学、うつ、不安、発作頻度、および抗てんかん薬の数なども観察された。活動性のてんかんと回答した1,361例のうち、18.4%(251人)は重篤なADHD症状を有していると分類された。てんかんを治療する医師らは、うつ、不安、QOL低下および心理社会的予後は発作、抗てんかん薬治療および基礎にある中枢神経系疾患に起因すると考えている、と研究者らは指摘している。今回の結果は、ADHDもまた重要な役割を果たしている可能性を示唆している。 |
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新たなMRI画像技術は、双極性障害患者の脳においてこれまで認識されていなかった違いを示す [2015-01-20] |
New MRI imaging technique shows previously unrecognized differences in the brains of people with bipolar disorder |
細胞のある代謝産物に感受性の高いMRIを用いることにより、双極性障害患者の脳においてこれまで認識されていなかった違いが発見され、その研究がMolecular Psychiatryに掲載された。スタディでは双極性障害患者15人および年齢や性別をマッチさせたコントロール25人を調査した。双極性障害患者全員が、スタディ期間中は寛解期であった。研究者らは、脳内の血糖や酸などの細胞のある代謝産物に感受性の高い定量的高解像度T1 rhoマッピングとして知られるMRI法を用いて参加者の脳画像を撮影した。双極性障害を有さない者の脳と比べ、双極性障害患者の脳白質および小脳領域ではMRIシグナルが上昇していた。双極性障害治療に最も一般的に用いられるリチウムを内服中の患者においては、小脳の違いは認められなかった。このシグナル上昇はpHや糖濃度の低下によるものである、と彼らは仮説を立てている。T1 rhoマッピングにより得られた知見が双極性障害の基礎にある異常の理解の洗練に役立ち、この疾患の診断および治療を行う際のより優れた方法につながるであろう、と筆者らは期待している。 |
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犯罪行動は何らかの神経変性障害と関連があるがアルツハイマー病である可能性は低い [2015-01-20] |
Criminal behavior is associated with some neurodegenerative disorders but is less likely with Alzheimer's disease |
犯罪行動は何らかの神経変性障害の患者において起こり得るが、アルツハイマー病(AD)患者は罪を犯す可能性が最も低いとのスタディ結果がJAMA Neurologyオンライン版に掲載された。研究者らは認知障害患者の犯罪行動の型および頻度を調査した。患者には、AD545人、前頭側頭型認知症の行動型(bvFTD、大きな人格変化として現れる)171人、原発進行性の語義失語89人およびHuntington病30人が含まれた。医学的にレビューした結果、患者2,397人中204人(8.5%)が罹患中に発現した犯罪行動歴を有していた。診断別でみると、犯罪行動を示した患者は、AD患者545人中42人(7.7%)、bvFTD患者171人中64人(37.4%)、原発進行性語義失語89人中24人(27%)、およびHuntington病30人中6人(20%)であった。犯罪行動が実証された患者の割合が最も高かったbvFTD群で高率の犯罪行為は窃盗、交通違反、性的誘い、不法侵入および放尿であった。交通違反はAD患者によりしばしば記憶障害と関連して認められた。 |
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PTSD症状が強い女性は2型糖尿病のリスクがより高いようである [2015-01-13] |
Women with more PTSD symptoms appear at higher risk for type-2 diabetes |
心的外傷後ストレス障害(PTSD)の症状が最も強い女性は心的外傷に曝露されていない女性と比較し、2型糖尿病(T2D)の発症リスクが約2倍であるとのスタディ結果がJAMA Psychiatryオンライン版に掲載された。研究者らはNurses' Health Study II(対象49,739人)を用いて、22年間にわたる追跡調査期間中のPTSD症状とT2D発症との関係を調査した。追跡期間中に3,091人(6.2%)の女性がT2Dを発症した。PTSD症状を有する女性は心的外傷を来す事象に曝露されていない女性に比べT2D発症率が高かった。例えば、PTSD症状を6〜7つ有する女性では1,000人—年当たり4.6例のT2Dを発症したのに対し、症状が4〜5つでは3.9例、症状が1〜3 つでは3.7例、心的外傷は経験したがPTSD症状を有さない場合は2.8例、心的外傷曝露歴のない場合は2.1例であった。抗うつ薬使用やボディーマスインデックス高値はPTSDと関連があり、PTSDを有する女性のT2Dリスク上昇原因の半分近くを占めた。喫煙、食事の質、アルコール摂取および運動はT2Dリスク上昇原因とはならなかった。 |
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親の自殺企図歴は子供のリスク上昇と関連がある [2015-01-13] |
Parental history of suicide attempt associated with increased risk in children |
親の自殺企図は子供が自殺を試みる確率を5倍近く上昇させるとの報告がJAMA Psychiatryオンライン版に掲載された。他のスタディにおいて自殺関連行動は家族内に広がる可能性のあることが立証されたが、自殺関連行動が家族内で伝染する経路を観察したスタディは少ない。研究者らは気分障害を有し平均約6年追跡された患者の子供について報告している。スタディには気分障害を有する親334人(うち191人[57.2%]は自殺企図もあり)の子供701人(10〜50歳)が含まれた。子供701人中44人(6.3%)がスタディ参加前に自殺企図があり、29人(4.1%)はスタディ期間中に自殺を試みた。筆者らは、子供の過去の自殺企図歴や気分障害の家庭内伝染を考慮に入れても、親の自殺企図が子供の自殺企図に直接的な影響を及ぼすことを明らかにした。高リスクの子供における気分障害や衝動的攻撃性を対象にした介入により自殺関連行動の家族内伝染が軽減される可能性がある、と彼らは考えている。 |
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重度の認知症におけるうつ症状は介護施設よりも地域社会の現場においてより多く認められる [2015-01-06] |
Symptoms of depression in severe dementia more common in community settings than nursing homes |
うつ症状に関連した認知症有病率や重度の認知症患者における抗うつ薬の処方率は介護施設に滞在している人々よりも地域ケアの現場においてより多く認められるとのスタディ結果がInternational Psychogeriatricsに掲載された。研究者らは8つのヨーロッパ諸国において、重度の認知症を有する414人およびその介護者を調査した。スタディではQOL、入浴や食事、着衣などの日常生活動作および標準化評価尺度を用いたうつ症状の存在に関する情報を収集した。調査した集団において、地域に居住する217人中37%がうつ症状を示したのに対し、介護施設の197人においては23%であった。この結果から、対象集団の30%がうつを有し、有病率が最高および最低であったのはそれぞれドイツとフィンランドであることが示された。今回の参加国間に差はあったものの、地域在住グループにおいて観察されるうつ病のパターンは一貫していた。QOLが低く、疼痛を有し神経精神症状の頻度が高いことはうつ症状と関連があり、その一方で日常生活動作の障害や併存症とうつ病の発現には有意な相関は認められなかった。 |
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片足立ちができる時間が短いことは認知機能低下に伴う脳の異常と関連する [2015-01-06] |
Short one-legged standing times linked with abnormalities in the brain associated with cognitive decline |
健康であると思われる人において、片足立ちを20秒以上行うことが困難であることは脳内の小血管障害のリスクが高く認知機能が低下していることと関係があるとの研究結果がStrokeに掲載された。スタディは女性841人および男性546人から成り、平均年齢は67歳であった。片足立ち時間計測のために、参加者は開眼し片足を最長60秒間上げた。脳内小血管疾患は脳の磁気共鳴画像検査を行い評価した。片足立ちが20秒以上できないことは、脳の小血管疾患、いわゆるラクナ梗塞および微小出血と関連があった。ラクナ梗塞を3つ以上有する者の34.5%、ラクナ梗塞を1つ有する者の16%、微小出血を3つ以上有する者の30%、微小出血を1つ有する者の15.3%が、バランスをとるのが困難であったと指摘している。片足立ち時間は認知機能低下、脳内小血管疾患および脳卒中に関連した脳の異常の早期徴候を計測する簡便な検査になり得る、と筆者らは述べている。 |
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