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Triptorelinによる卵巣機能抑制は若年がんサバイバーの早期閉経を減少させ妊孕性を温存する [2015-12-28] |
Ovarian suppression with triptorelin decreases premature menopause and preserves fertility in young cancer survivors |
化学療法のみに比べ、卵巣機能を抑制するホルモン作動薬triptorelinを併用投与された乳がん女性は、長期卵巣機能回復の確率は高かったが妊娠率または無再発率には統計学的有意差はなかった、とJAMA 12月22/29日号に掲載された。研究者らは、ステージI〜IIIのホルモン受容体陽性またはホルモン受容体陰性の閉経前乳がん患者281人(年齢中央値39歳)を、化学療法単独(コントロール群)または化学療法とtriptorelin併用(LHRHa群)群にランダムに割り付けた。トライアルはイタリアの16施設で行われ、追跡期間中央値は7.3年であった。推定5年累積月経再開率はLHRHa群148人中73%であり、コントロール群133人中64%であった。LHRHa群では8人が妊娠し(推定5年累積妊娠率2.1%)、コントロール群では3人が妊娠した(推定5年累積妊娠率1.6%)。5年無病生存率はLHRHa群で80.5%であり、コントロール群で84%であった。統計学的に有意ではないこのリスク増加は、ホルモン受容体陰性腫瘍患者に特異的なようであった。 |
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ホルモン療法耐性乳がんの女性においてはpalbociclibとフルベストラントの併用が有益である [2015-12-28] |
Women with endocrine-resistant breast cancer benefit from combining palbociclib with fulvestrant |
PALOMA3グローバル試験に参加した日本人および韓国人において収集したデータから、palbociclibとフルベストラントの併用はホルモン受容体陽性(HR+)、HER2陰性(HER2-)進行乳がんの女性におけるホルモン耐性を克服する有効な治療法であるとのエビデンスが得られた。PALOMA3トライアルは、過去のホルモン療法の間に進行したHR+/HER2-進行乳がんの閉経前および閉経後女性におけるpalbociclibとフルベストラント併用の安全性および有効性を評価した。Palbociclibは、細胞増殖や細胞分裂を阻害する経口の活性CDK 4/6シグナル選択的阻害薬である。この薬剤はHR+乳がん細胞株において高い活性を有し、他のホルモン療法との併用において相乗効果を示す。2015年3月までに105人のアジア人患者がランダムに割り付けされた;74人はpalbociclibとフルベストラント併用、31人はプラセボとフルベストラント併用であった。閉経後女性においてpalbociclib併用群の無増悪生存期間は2倍以上であった。有害事象はpalbociclib群に多く見られ、血液学的毒性が顕著であったが、容易に管理できるものであった。このスタディは初回ESMOアジア2015学会で発表され、結果は今年初めに報告された全ての患者(アジア人および非アジア人)において発表されたものと一致するものであった。長期の追跡が必要である、と筆者らは述べている。 |
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非小細胞肺がん患者において若年であることは標的とされる遺伝子型を有する確率が高いことと関連がある [2015-12-22] |
Younger age associated with increased likelihood of targetable genotype in patients with non-small-cell lung cancer |
非小細胞肺がん(NSCLC)と診断された50歳未満の患者は治療法のある標的遺伝子変異を有する確率が高い、とJAMA Oncology オンライン版に掲載された。スタディは2002〜2014年に遺伝子型判定を施行されたNSCLC患者2,237人を対象とした。患者のうち1,939人(87%)が組織学的に確認された腺がんを、269人(12%)は他に特定されないNSCLCを、そして29人(1%)は扁平上皮がんを有していた。約63%(1,396人)がステージIIIBまたはステージIVであった。年齢中央値は62歳、27%(594人)は喫煙歴がなかった。患者集団全体を通して712人(32%)が、承認された治療法があるかまたは標的治療の可能性を示唆する説得力のある臨床試験データのある遺伝子変異を有していた。標的とされる5つの遺伝子変異全ての検査を受けた1,325人において、若年であることは標的とされる遺伝子型である確率が高いことと関連があった。診断時年齢が50歳未満の患者はそれより高齢の患者に比べ、標的とされる遺伝子変異を有している可能性が59%高かった。全生存期間中央値が最も低いのは40歳未満(18.2か月)および70歳以上(13.6か月)であった。 |
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TH3RESA:抗体薬物複合体はHER2陽性進行乳がん患者の生存期間を延長する [2015-12-22] |
TH3RESA: Conjugate drug extends survival in patients with advanced HER2-positive breast cancer |
抗体薬物複合体による治療を受けたHER2陽性転移性乳がん患者は他の治療を受けた患者よりも平均生存期間が長かった、とのTH3RESAトライアルの結果が2015年San Antonio Breast Cancer Symposiumで発表された。600人超の参加者を組み入れたこの第III相トライアルは、抗体薬物複合体トラスツズマブ エムタンシン(T-DM1)を用いた治療にランダムに割り付けされた患者と、医師の選択(HER2を標的とした治療または単剤化学療法のいずれか)による治療に割り付けられた患者を比較した。全ての患者がヒト上皮増殖因子受容体2(HER2)陽性の転移性乳がんを有しており、HER2標的薬トラスツズマブおよびラパチニブに加え化学療法を用いた治療を過去に行われていた。T-DM1群患者の生存期間中央値は22.7か月であったのに対し、医師の選択群では15.8か月であった‐44%改善した。T-DM1による生存期間の有益性は、年齢、転移の程度、過去の治療回数、および医師が選択した治療の種類に関係なく、全ての患者サブグループにおいて一貫していた。重篤以上と思われる副作用発現率もまた、T-DM1群において低いようであった(40%対47.3%)。 |
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CREATE-X:カペシタビンは術前化学療法後に残存病変のある乳がん患者の予後を改善する [2015-12-15] |
CREATE-X: Capecitabine improves outcomes for breast cancer patients with residual disease after presurgery chemotherapy |
抗がん剤カペシタビンによる治療は、術前化学療法で取り除くことができなかったHER-2陰性乳がん女性の無病生存期間を延長させたとの第III相CREATE-X臨床試験の結果が、2015年San Antonio Breast Cancer Symposiumで発表された。研究者らは910人の患者を登録したが、全員がHER-2陰性乳がんであり、アントラサイクリンおよび/またはタキサンを含む術前補助化学療法後に浸潤性がんが残存していた。全ての患者が標準治療を受けた後、さらにカペシタビンまたは追加治療なしの群にランダムに割り付けられた。カペシタビン群は、化学療法薬1,250mg/m2 を1日2回14日間投与後に7日間休薬を含む21日間の治療を8サイクル施行された。2年後、カペシタビン群はプラセボ群に比べ再発リスクが31%低かった。無病生存率はカペシタビン群で87.3%であり、プラセボ群では80.5%であった(p=0.001)。カペシタビン群に対する無病生存率改善の傾向は有意ではなかった;2年全生存率中央値は96.2%対93.9%であった(p=0.086)。治験責任医師は、これらのデータはまだ完全なものではなく、全生存率の差は時間経過とともにより顕著になるであろうと述べている。 |
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遺伝性がんスクリーニングのカウンセリングは知識を増やし不安を軽減する可能性がある [2015-12-15] |
Counseling with genetic cancer screening may increase knowledge and decrease anxiety |
多くのBRCA1/2陰性患者は、がんリスクを上昇させる遺伝子変異の包括的検査を進めることを選択し、検査前後にカウンセリングを受けた場合にはほとんどが十分な情報を得た上での決定を行い不安レベルが低い、と2015年San Antonio Breast Cancer Symposiumで発表された。これまでに、乳がんまたは卵巣がんの既往歴または家族歴があり、検査でBRCA1およびBRCA2が陰性であった女性124人がスタディに参加した。認可された遺伝子カウンセラーによる検査前カウンセリングを受けた95人中93%が、25のがん関連遺伝子の変異を同時解析することが可能で、BRCA1やBRCA2遺伝子における遺伝性突然変異のような個々のがんの型をスクリーニングする検査の代替法であるマルチプレックス検査に進むことを選択した。検査後、患者は全般的な不安が軽減し遺伝子に関する知識が改善した。しかし、検査結果により不安が短期的に増大したり、検査が陽性の者は疑念が長引くなどの体験をすることもあり、それは一部の変異に関する入手可能な情報が限られていることによる可能性がある、と筆者らは示唆している。 |
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乳腺密度のみでは乳がんの強力な独立したリスクファクターにはならない可能性がある [2015-12-08] |
Breast density alone may not be strong independent risk factor for breast cancer |
乳腺密度は乳がんの強力な独立したリスクファクターではない可能性がある、と2015年Radiological Society of North America年次集会で発表された。研究者らは、50〜69歳の女性に施行された5年間のマンモグラフィー検査52,962件のデータを調査した。2人の放射線科医が別々にマンモグラムを読影し、標準診断基準に従い乳腺密度を判定した。検出された乳がん230件のうち約半数は乳腺密度が最も低い群から検出され、一方最も乳腺密度が高い群から検出されたのは3%未満であった。がんが検出された患者とがんを有さない同年代の参加者コントロールとでマッチさせたところ、マンモグラフィー上の密度に有意差はなかった。マンモグラフィー上の密度が低い女性(乳腺実質<50%)は乳がん患者群の83%を構成したのに対し、コントロール群では89%であり、マンモグラフィー上の密度が高い(乳腺実質>50%)女性は乳がん患者の17%に認められ、コントロール群では11%であった。今回のスタディでは、閉経後女性においてマンモグラフィー上の高密度と乳がん高リスクとの間に強力な関連性は認められなかった。 |
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マンモグラムにおける偽陽性歴は最長10年後の乳がん高リスクを示唆する可能性がある [2015-12-08] |
History of false-positive mammography may indicate increased risk of breast cancer up to 10 years later |
マンモグラムで偽陽性歴を有する女性は偽陽性の結果が出てから最長10年後に乳がんを発症するリスクが高い可能性がある、とCancer Epidemiology, Biomarkers & Preventionに掲載された。研究者らはBreast Cancer Surveillance Consortiumのデータを解析した。対象は米国の異なる地域の7つのレジストリの40〜74歳の女性130万人であり、220万件のマンモグラフィーによるスクリーニングが施行された。初回スクリーニング後10年間追跡された。乳がんリスクに影響する一般的な因子で補正した結果、マンモグラムの結果が偽陽性に分類され追加の画像検査を紹介された女性は、結果が真に陰性であった女性に比べ、10年の追跡期間中に乳がんを発症するリスクが39%高かった。結果が偽陽性であり乳房生検を紹介された女性は真に陰性であった女性に比べ、その後の乳がん発症リスクが76%高かった。初回スクリーニングの結果が偽陽性であったことを考慮すると、非がん性ではあったが異常なパターンであった可能性があり、これはその後のがん発症と関連する放射線科的マーカーなのであろう、と筆者らは示唆している。 |
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CTスタディの結果、すりガラス状結節を有する女性はこれを有する男性よりもより綿密な追跡が必要であることが示唆された [2015-12-01] |
CT study suggests that women with ground glass nodules may need closer follow-up than men |
肺がんスクリーニングCT検査においてあるタイプの肺結節を有する女性は同様の結節を有する男性よりも肺がんリスクが高い、と2015年Radiological Society of North America年次集会で発表された。研究者らはNational Lung Screening Trial(NLST)のCTスキャンの結果をレビューした。CTで検出された4〜30mmの結節全てを硬度で特徴付け、各々の硬度サブタイプの肺がん発症相対リスクを計算した。参加者26,455人のうち9,994人、つまり37.8%がトライアル中の1以上の時点においてスクリーニング陽性であった。すりガラス状結節を有する女性は同様の結節を有する男性よりも肺がん相対リスクが有意に高く、part-solid noduleに関しても同様の傾向が認められた。対照的に、solid noduleの肺がん相対リスクでは性差はなかった。Part-solid noduleのがん予測能は男女ともに最大であり、solid noduleは女性においては予測能が最も低く、男性においてはすりガラス状結節の予測能が最も低かった。 |
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マンモグラフィーでは認められなかった悪性度の高いがんがMRIによりさらに発見されることで治療が変わる可能性がある [2015-12-01] |
MRI findings of additional aggressive cancers not seen on mammography may alter treatment |
MRIによりさらに発見された乳がんは、マンモグラフィーで検出された乳がんよりも、時により大きく悪性度が高い、とRadiologyオンライン版に掲載された。研究者らは、新規に乳がんと診断され術前MRI後に生検を施行された患者2,021人の記録をレビューした。2,021人の患者のうち、285人(14%)はマンモグラフィーの視野からは隠れておりMRIでさらに乳がんを検出された。これら285人の患者のうち73人(25.6%)においては、指標となるがん、つまりマンモグラフィーおよび/または触診で検出されたがんと異なる四分円にある他のがんが少なくとも1つは検出された。73人中17人(23.3%)においてこれらの多中心性がんは既に検出されたがんより大きかった。さらに、73人中25人においてMRIにより検出された多中心性がんはサイズが1cmを超えていた。MRIでさらに検出された多中心性がんの多くは不均一に高密度であるか、または極端に高密度乳房の患者において認められた。しかし、MRIはまた脂肪組織または散在性線維腺組織を有する患者の19%においてもさらに乳がんを検出した。マンモグラフィーで検出されずMRIで新たにがんが検出された一部の症例においては、治療の変更が必要となる可能性があると筆者らは述べている。 |
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