右腕に黒子が11個以上あることはメラノーマのリスクが高いことを示す [2015-10-27]
More than 11 moles on a patient's right arm could indicate higher risk of melanoma

腕などの身体の小範囲の"代理"部位にある黒子数を数えることで、医師が全身の黒子数を迅速に判断できる新たな方法が調査されたとのスタディ結果がBritish Journal of Dermatologyに掲載された。これらの結果は一般医がメラノーマ発症リスクの高い患者をより簡便に見極めることに役立ちうる。研究者らは、白人女性の双子3,594人において、肌質、髪質および目の色や訓練を受けた看護師が17の身体部位において計測したシミ・そばかすおよび母斑の数などを評価した。これは、過去に公表されたメラノーマのケースコントロールスタディのより広範な男女参加者において再現されたものである。全身の黒子数を最も予測したのは右腕の黒子数であった。右腕の黒子数が7個を超えている女性は全身の黒子数が50個超であるリスクが9倍高く、右腕の黒子数が11個超であると全身の黒子数が100個以上であり、つまりメラノーマ発症リスクが高いことを意味する割合が高かった。

遺伝子サインは横紋筋肉腫の一部の小児の生存率予測に役立つ可能性がある [2015-10-27]
Gene signature may help predict survival outcomes for some children with rhabdomyosarcoma

融合遺伝子陰性の中等度リスク横紋筋肉腫(RMS)の小児のうち、MG5と呼ばれる特定の遺伝子サインが高スコアの者はMG5スコアが低い者と比較し生存転帰が不良であるとのスタディ結果がClinical Cancer Researchに掲載された。研究者らは小児がんグループによるあるスタディに登録された患者57人から得られた腫瘍検体を用いた。さらに、nCounterと呼ばれる装置を用いて、5つの遺伝子(MG5)セットに関して調査した。解析された5つの遺伝子はEPHA2、EED、NSMF、CBS、およびEPB41L4Bであった。患者のこれらの遺伝子と臨床転帰を比較することにより、研究者らは患者を2群に分類することができた:MG5スコアの高い患者は、MG5スコアが低い者よりも横紋筋肉腫で死亡する確率が7倍高く再発率が6倍高かった。MG5スコアは、中等度リスク融合遺伝子陰性のRMS患者に対する治療方針決定に現在用いられている臨床-病理上の特徴のいずれとも相関がなかった。これらの結果が立証されれば、MG5スコアを用いたリスク層別化法は全ての臨床現場において容易に適応可能であることが示唆される。

緊急紹介経路を使用することによりがん患者の生存率が改善する [2015-10-20]
Use of an urgent referral pathway can improve the survival of patients with cancer

がんを疑う患者に対する一般医による緊急紹介経路(しばしば2週間待機システムと呼ばれる)の使用により命が救われている、とBMJに掲載された。がん患者の待機時間、診断および死亡に関する国内記録を用いて、研究者らは英国における8,049の一般診療科のがん患者215,284人のデータを解析した。3つの計測値(紹介率[各々の一般診療科における他の診療科と比較した2週間待機システム使用割合]、検出率[診療所における緊急紹介システムへ送る患者選択の感度]、およびコンバート率[緊急紹介システムを選択された患者の陽性的中率])が使用された。紹介率が高い診療科および検出率が高い診療科によりがん死亡率が低下したが、コンバート率に関しては関連を認めなかった。例えば、紹介率が中等度の診療所と比較し、紹介率の高い診療所においては死亡率が4%低かったのに対し、紹介率の低い診療所では死亡率が7%高かった。この結果は主要ながん種(乳がんを除く)において一貫していた。今回の研究は観察研究であり、因果関係に関して断定的な結論ではないことを研究者らは強調している。

がんの種類やステージよりも優れた簡便な方法が1年以内のがん死予測に役立つ [2015-10-20]
Simple tool helps predict risk of cancer death within one year better than cancer type or stage

新たなスタディの結果、ある簡便な方法が予後1年以内のがん患者予測に役立つとの有力なエビデンスが提供された。Surprise Questionとして知られるこの方法は、がんの種類やステージのみよりも1年以内のがん死の予測能が優れていることが示され、2015年Palliative Care in Oncology Symposiumで報告された。Surprise Question―"この患者が1年以内に死亡したらあなたは驚きますか?"―は、目標や価値観についての会話から恩恵を被る重症患者を医師が見極めることを可能にする。研究者らはがん専門医76人を登録し、彼らに最高の臨床判断を用いて約5,000人の患者におけるSurprise Questionに対して回答するよう依頼した。医師は約85%の患者に対し"はい。私は驚くと思います"と回答し、約15%の患者に関しては"いいえ、驚かないと思います"と回答した。医師がSurprise Questionに対し"はい"と回答した患者の95%は1年後も生存しており、Surprise Questionの回答が"いいえ"であった患者の1年後の生存率は62%であった。翌年亡くなった患者のうち、Surprise Questionの予測が違っていたのは40%であった。

進行腎細胞がん患者に対する免疫チェックポイント阻害薬による延命効果 [2015-10-13]
Survival advantage with immune checkpoint inhibitor for patients with advanced renal cell carcinoma

ランダム化第III相臨床試験において、血管新生阻害療法を行っても進行した腎細胞がん患者がニボルマブまたはエベロリムスによる治療を受けた。生存期間中央値はニボルマブ群(25か月)において、エベロリムス群(19.6か月)よりも5.4か月長かった。治療期間中央値はニボルマブ群で5.5か月であり、エベロリムス群で3.7か月であった。全生存期間の延長に加え、部分奏効はニボルマブ群で24%であり、エベロリムス群では5%であることも明らかにされた。ニボルマブ治療群患者の1%(4人)に完全奏効が認められ、エベロリムス治療群では1%未満(2人)であった。さらに、奏効を認めた患者において、その効果は持続的であった。12か月以上経過した時点で奏効が持続していた患者の割合は、ニボルマブ群とエベロリムス群とでそれぞれ31%および27%であった。このCheckMate-025スタディはNew England Journal of Medicineオンライン版に掲載され、European Cancer Congressで発表された。これらの結果は進行RCCの標準治療のパラダイムチェンジを支持するものである、と筆者らは確信している。

マンモグラフィーのコンピュータ支援検出は診断精度を改善しない [2015-10-13]
Computer-aided mammography detection not associated with improved diagnostic accuracy

デジタルスクリーニングマンモグラフィーの大規模乳がん調査(Breast Cancer Surveillance Consortium)データベースを解析したスタディにおいて、スクリーニングマンモグラフィにおけるコンピュータ支援検出(CAD)は診断精度を改善しなかった、とJAMA Internal Medicineに掲載された。CADあり(495,818人)またはCADなし(129,807人)マンモグラフィー625,000例超を271人の放射線科医が読影し、CADあり/なしのデジタルスクリーニングマンモグラフィーの能力を評価した。腫瘍レジストリと連携させて、1年間に323,973例中3,159例の乳がんが検出された。CADを用いたスクリーニング能力は診断精度向上と関連がなかった。CADありの場合の感受性は85.3%、ない場合は87.3%であり、特異度はCADありの場合は91.6%、ない場合は91.4%であった。全がん検出率(CADあり/なしスクリーニング対象女性1,000人当たり4.1例)、または浸潤性がん検出率(CADあり/なしスクリーニング対象女性1,000人当たりそれぞれ2.9例対3.0例)には差がなかった。非浸潤性乳管がん(DCIS)検出率はCADありの場合の方がやや高かった(1,000人当たり1.2例対0.9例)が、さらに低悪性度のDCISの検出に関してはスクリーニング対象女性の転帰は改善しない可能性がある。

非造影MRI画像診断はマンモグラフィーで不鮮明な乳房病変を明らかにするのに役立つ [2015-10-06]
Unenhanced diagnostic MR helps clarify unclear breast lesions on X-ray mammography

電離放射線や造影剤を使用しない磁気共鳴(MR)乳房画像技術はX線スクリーニングマンモグラフィー検査で疑わしい病変の情報をさらに提供することにより不必要な生検を減らすことができる、とRadiologyオンライン版に掲載された。研究者らは造影剤を必要としない簡略化されたMR乳房画像プロトコールを評価した。プロトコールは2つの連続の短い検査のみ用いる:まず病変の形態および外観を示し、次に拡散強調画像(DWIBS-MRM)を用いて生物生理学的特性を表示した。拡散が制限されている領域は悪性を示唆する可能性があった。研究者らはマンモグラフィーで疑わしい病変があり生検の適応となった女性50人において、DWIBS-MRMと簡略化造影MRIおよび乳房MR診断完全プロトコールを比較した。50人中24人が乳がんであった。DWIBS-MRMによる陰性的中率は92%と非常に優れており、診断完全プロトコールおよび簡略化造影MRIと同等であった。いずれのMR技術でも検出されなかったのは腫瘍塊を有さない微小石灰化のみの非浸潤性乳管がん(DCIS)のみであった。この結果から、非造影診断DWIBS-MRMは将来乳がんスクリーニングにおいて有用な役割を果たす可能性があることが示唆される。

併存疾患を有する前立腺がん患者は併用療法による生存上の恩恵はない [2015-10-06]
Men with prostate cancer and co-existing illness had no survival benefit from combined therapy

中等度か重度の併存症を有する予後不良リスクの前立腺がん男性において、長期経過観察の結果、放射線(RT)単独治療の方が放射線治療とアンドロゲン除去療法(ADT)の併用よりも全死亡率および心疾患死亡率が低いことが明らかになった、とJAMAに掲載された。研究者らは、全ての患者および併存症を有するサブグループの患者について、全死亡および前立腺がん死、心疾患死、または他の原因による死亡を比較した。1995〜2001年に予後不良リスクの前立腺がん患者206人がRTのみまたはRTと6か月間のADTを施行される群にランダムに割り付けられた。中等度または重度の併存症を有する男性において、追跡期間中央値17年の全死亡および心疾患死はRT単独群の方がRTとADTの併用群よりも有意に少なかった。この結果は、追跡期間中央値8年では全死亡率においてこの関連性が認められなかったことと対照的であった。併存症がないかまたは少ない男性における死亡率はRT単独療法において高かったが、RT単独治療群に割り付けられた全患者における死亡率は有意に高くはなかった。これらの結果に基づき、中等度から重度の併存症を有する予後不良リスクの前立腺がん患者を治療する際にADTを追加することは注意深く考えるべきである、と筆者らは提言している。