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トリプルネガティブの高齢乳がん女性に対する乳腺腫瘤摘出術後の術後補助放射線療法は生存期間を延長させる [2015-09-29] |
Adjuvant radiation after lumpectomy extends survival for elderly women with triple-negative breast cancer |
早期トリプルネガティブ乳がん(TNBC)の高齢女性に対する乳腺腫瘤摘出術後の術後補助放射線療法は生存を改善させる、と2015年American Society of Clinical Oncology's Breast Cancer Symposiumで発表された。2010〜2011年の間に、乳腺腫瘤摘出術を施行された70歳以上の早期TNBC患者974人がSurveillance, Epidemiology, and End Result (SEER)データベースから抽出された。そのうち、662人(68%)が放射線療法を受けた。診断後23か月の時点で、乳腺腫瘤摘出術および放射線療法を施行された女性の98.2%が生存していたのに対し、乳腺腫瘤摘出術のみを施行された女性におけるその割合は85.6%であった(p<0.001)。乳がん関連死は乳腺腫瘤摘出術のみの群(6%)において乳腺腫瘤摘出術と放射線療法を施行された群(1%)よりも多かった。年齢、腫瘍サイズ、およびその他の治療法など他の因子を考慮すると、術後補助放射線療法の併用により全死亡および乳がん死が全体で6倍減少した。とはいえ、術後補助放射線療法併用の有無で見られる生存率の差は、術後補助化学療法の使用などの他の因子で説明される、と筆者らは指摘している。さらなる前向きスタディが必要である。 |
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乳腺腫瘤摘出術を施行された非浸潤性乳管がん患者の再発率が低下 [2015-09-29] |
Recurrence rates fall for women with ductal carcinoma in situ treated with lumpectomy |
マンモグラフィーの進歩やより詳細な病理評価により、非浸潤性乳管がん(DCIS)患者の5年再発率は近年半減した、と2015年American Society of Clinical Oncology's Breast Cancer Symposiumで発表された。研究者らは、乳房温存手術(乳腺腫瘤摘出術)を施行された女性2,996人の前向き維持管理データベースを評価した。近年(1999〜2010年)治療されたDCIS患者は、それ以前(1978〜1998)に治療された患者よりもがん再発リスクが40%低かった。特に、5年再発率はこの2つの期間の間に13.6%から6.6%に低下した(ハザード比[HR]0.62、p<0.0001)。スクリーニング増加、より頻回な術後補助療法、および十分な切除縁など再発に影響することが分かっている因子で補正しても、この有意な低下は依然として明らかであった。30年の間に再発率が低下したのは放射線療法を受けなかった女性に限られた。スクリーニングによる検出率、切除断端陰性、および術後補助療法使用の増加は、再発率を部分的に低下させただけである、と筆者らは指摘している。彼らは、再発率低下はマンモグラフィーの質の向上や詳細な病理評価によるものであることを示唆している。 |
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心疾患リスクを低下させることが過去に示された食事療法は乳がんも予防する可能性がある [2015-09-25] |
A diet previously shown to reduce the risk of heart disease may also protect against breast cancer |
スペインの女性を対象としたスタディにおいて、エキストラバージンオリーブオイルを補充した地中海式ダイエットを行うことにより乳がんリスクが相対的に低下した、とJAMA Internal Medicine オンライン版に掲載された。地中海式ダイエットは植物性食品、魚および特にオリーブオイルが豊富なことで知られている。研究者らは地中海式ダイエットを用いた2つの介入(エキストラバージンオリーブオイル[EVOO]またはナッツを補充)の効果を、女性らに対する低脂肪食を食べるようなアドバイスと比較し解析した。心血管疾患リスクの高い60〜80歳の女性がEVOOを補充した地中海式ダイエット(1,476人)、ナッツを補充した地中海式ダイエット(1,285人)、または食事による脂肪摂取量を減らすようアドバイスするコントロールダイエット(1,391人)群にランダムに割り付けられた。追跡期間中央値約5年の間に、筆者らは35症例が乳がんと確定診断されたことを確認した。EVOOを補充した地中海式ダイエット群の女性は、コントロールダイエット群の女性より、乳がんリスクが68%低かった。ナッツを補充した地中海式ダイエット群の女性は、コントロール群に比べ乳がんリスクの有意な低下は認められなかった。 |
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メラノーマに対するPD-1免疫療法が奏効する患者を予測する可能性のある蛋白が同定された [2015-09-25] |
Protein identified that may predict who will respond to PD-1 immunotherapy for melanoma |
その頻度によりメラノーマに対するPD-1遮断免疫療法の奏効性を予測可能にする蛋白マーカーが同定された、とのスタディの結果がAmerican Association for Cancer Research International Cancer Immunotherapy Conferenceで発表された。研究者らは、T細胞上のPD-1と呼ばれる分子とPD-L1と呼ばれる分子との相互作用によりバイオマーカーBimが活性化されT細胞死が誘発され得る、と説明した。腫瘍は、PD-L1を過剰発現し、これらを認識し除去できるT細胞を殺傷してこの過程を利用する可能性がある。研究者らは、pembrolizumabを用いたPD-1阻害が奏効した転移性メラノーマ患者が奏効しなかった患者よりも治療前の血液内にBimおよびPD-1を発現する腫瘍標的T細胞を多く有していたことを発見した。この傾向が治療の数週間後に逆戻りすることから、どの患者にPD-1遮断薬を使用すべきか否かを医師が判断するために、これらの細胞の割合を計測することもあり得ることが示唆された。また、治療に奏効した者は治療前の血液内可溶性PD-L1レベルが高かったことも明らかにした。この結果は、PD-1:PD-L1の相互作用が疾患において主要な役割を果たしている場合にPD-1阻害が最も有効であること、すなわちPD-1阻害の治療メカニズムに対する科学的理解を進歩させる所見、を示唆している。 |
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進行期メラノーマ患者においてほくろが少ないことは疾患の進行が速いことを示唆するようである [2015-09-01] |
Having fewer moles appears to indicated more aggressive disease in patients with advanced-stage melanoma |
50個以上のほくろを有する人は、最も致死率の高い皮膚がんであるメラノーマ発症リスクが高いが、ほくろが50個未満の人もこの疾患を警戒すべきである。American Academy of Dermatology's 2015 Summer Academy Meetingで発表された新たな研究によると、実際はほくろの数が少ない方がほくろの数が多い者よりも、より進行の速いメラノーマと診断される可能性がある。研究者らはメラノーマ患者281人のカルテをレビューした;89人はほくろを50個以上有し、その他の患者は50個未満であった。ほくろの数の少ない患者は、ほくろの数が多い患者よりも厚く進行の速いメラノーマを有していた。ほくろの数が多い患者およびもう一つのメラノーマリスクファクターである非定型のほくろを有する患者いずれにおいても、薄く進行の遅いメラノーマが見られる傾向にあった。ほくろを50個以上有する者は少ない者よりも若年でメラノーマと診断される確率が高かった。さらに、ほくろを多く有する患者とほくろが少ない患者とでは生物学的な違いがあり、これらの差異がこの2群のメラノーマの違いの原因である可能性がある。これら2群の患者におけるメラノーマの生物学に関するさらなる研究が重要である。 |
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白血病患者の寛解中に同定される遺伝子変異が再発や生存率の予測に役立つ可能性がある [2015-09-01] |
Genetic mutations identified during remission may help predict risk of relapse and survival for leukemia patients |
急性骨髄性白血病(AML)患者に対する新たな研究の結果、初回化学療法後に残存するがん関連変異が再発リスクおよび低生存率と関連するとJAMAに掲載された。研究者らはまず診断時に得られた71の骨髄検体の塩基配列を解析し、各々の患者のAML細胞内に認められた白血病関連の特異的変異が初回化学療法後の再発と関連するかを調査した。これらの変異は、再発リスクを評価する標準的な方法よりも有益であるということはなかった。研究者らはその後、診断時および初回化学療法30日後の寛解期に再び得られた50人の患者の骨髄検体において、ゲノム配列を解析した。これらの検体のうち、24人の患者は標準的な臨床評価では寛解していても、化学療法後の骨髄細胞内に変異が持続して認められた。これは、少なくとも一部の白血病細胞が初回治療後に生き残っていたことを示唆する。いくつかの症例においては、これらの同じ細胞が広がり再発に寄与したことが示された。変異が持続していた者の生存期間中央値はわずか10.5か月であったのに対し、初回化学療法後に白血病変異が消失した患者26人においては42か月であった。 |
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