勃起不全薬はメラノーマリスクを上昇させる
スタディにより不必要ながんスクリーニングが減少する可能性がある
母乳育児は小児白血病リスクを低下させる可能性がある
若年におけるリンパ節にまで拡散した甲状腺がんは死亡リスクが高い
治療により進行乳がんの進行が抑制される (ASCO2015 Abstract LBA502)
進行肝臓がんに対する免疫療法 (ASCO2015 Abstract LBA101)
進行の速い軟部組織肉腫に対する生存の有益性が認められた (ASCO2015 Abstract LBA10502)
脳転移治療中の認知機能改善(ASCO2015 Abstract LBA4)
小児腎がんの予後改善 (ASCO2015 Abstract 10009)
治療により進行前立腺がんの生存期間が延長する (ASCO2015 Abstract 5001)
治療によりメラノーマの進行が半減する (ASCO2015 Abstract LBA1)
DCISに対する他の良い治療選択肢 (ASCO2015 Abstract LBA500)
メラノーマ患者においてリンパ節全郭清は生存率を改善しない (ASCO2015 Abstract LBA9002)
口腔がんにおける頸部リンパ節手術の最良のタイミング (ASCO2015 Abstract LBA3)
モノクローナル抗体は非ホジキンリンパ腫の寛解を2倍にする (ASCO2015 Abstract LBA8502)
骨髄線維症の新規治療薬は血小板減少症を伴っていても有効である (ASCO2015 Abstract LBA7006)
前立腺がんに対する初めての有効な術後補助化学療法 (ASCO2015 Abstract LBA5002)
免疫療法はほとんどの一般的な肺がんにおいて生存期間を延長する (ASCO2015 Abstract LBA109)
一部のがんにおいてゲノム異常は抗PD-1反応の予測因子となる (ASCO2015 Abstract LBA100)
再発CLLの予後改善 (ASCO2015 Abstract LBA7005)
ビタミンB3による化学予防 (ASCO2015 Abstract 9000)
再発多発性骨髄腫に対する新たな免疫療法の選択肢 (ASCO2015 Abstract 8508)
勃起障害の治療薬はメラノーマリスクをやや上昇させる [2015-06-30]
Drugs used to treat erectile dysfunction associated with small increased risk of malignant melanoma

フォスフォジエステラーゼ5(PDE5)阻害薬を用いた勃起障害治療薬は軽度だが有意にメラノーマリスクを上昇させる、とのスタディ結果がJAMA 6月23/30日号に掲載された。スタディにはSwedish Prescribed Drug Register、Swedish Melanoma Register、およびその他のヘルスケアレジストリおよび人口統計学データベースが含まれた。メラノーマ4,065症例のうち、435人の男性がPDE5阻害薬(シルデナフィル、バルデナフィル、またはタダラフィル)の処方を受けており、コントロール20,325人では1,713人(8%)が同じように処方されていた。解析の結果、PDE5阻害薬を内服している男性において、軽度ではあるが有意にメラノーマリスクが高かった。最もリスク上昇が著明であったのは単剤処方されていた男性であり、多剤処方の男性では有意ではなかった。PDE5阻害薬は低悪性度の、しかし高ステージのメラノーマと関連があった。PDE5阻害薬の使用はまた基底細胞がんリスク上昇とも関連していた(処方症例の9% 対コントロール8%)。リスク上昇は短時間作用型PDE5阻害薬でも長時間作用型PDE5阻害薬でも同等であった。筆者らは、関連性のパターン(例えば多剤処方例でリスクが上昇しないなど)から、この因果関係に疑問が提起される、と指摘している。

原因不明の静脈血栓塞栓症患者においてCTスキャンはがん検出を改善しない [2015-06-30]
CT scanning does not improve cancer detection in people with unexplained venous thromboembolism

予想に反して、原因不明の静脈血栓塞栓症患者における腹部および骨盤CTスキャンはがん検出を改善しない。このトライアルは、原因不明の下肢、肺またはその両者に血栓を有する、カナダ9施設の患者854人を対象とした。参加者は、基本的ながんスクリーニングまたは基本的ながんスクリーニングと腹部および骨盤CTスキャンを施行される群にランダムに割り付けられた。基本的ながんスクリーニングには、前年に行われていない場合には性別特異的スクリーニング(乳房検査やパップスメアおよび前立腺検査など)と、さらに血液検査および胸部X線写真などが含まれた。その結果、新たに検出されたがんの数に2群間の差はなく、両群において4%がその後1年の間にがんと診断された。がん関連死の数もまた差がなかった。今回認められた4%のがん検出率は過去のスタディにおける10%よりも低く、これは一般集団において他のがん種のスクリーニングが改善している可能性がある、と筆者らは指摘している。New England Journal of Medicineに掲載されたこの結果から、患者管理が改善しスクリーニングコストが減少することが期待される。

母乳育児を少なくとも6か月間継続すると小児白血病リスクが低下するようである [2015-06-23]
Breastfeeding for at least six months appears to decrease risk of childhood leukemia

母乳育児を6か月以上継続することは母乳育児期間がないか6か月より短かった小児に比べ小児白血病のリスクが低いことと関連がある、とJAMA Pediatricsオンライン版に掲載された。イスラエルの研究者らは、母乳育児と小児白血病との関連に関する18のスタディにおけるエビデンスをレビューした。その結果、母乳育児を6か月以上行うことは母乳育児期間がないか6か月未満であった場合に比べ、小児白血病リスクが19%低いことと関連することが示された。15のスタディによる別の解析の結果、母乳育児期間があると母乳期間が全くない場合と比較し小児白血病リスクが11%低かった。この結果は、母乳には多くの免疫学的活性の高い成分が含まれていることや小児免疫系の発達に影響する抗炎症防御メカニズムなどのいくつかの生物学的メカニズムにより説明できるであろう、と筆者らは考えている。この母乳育児と小児白血病有病率が低いこととの関連の根底にある生物学的メカニズムを明らかにする、より質の高いスタディが必要であると筆者らは述べている。

若年患者であってもリンパ節病変があることは進行の速い甲状腺がんのサインである [2015-06-23]
Lymph node involvement signals more aggressive thyroid cancer even in young patients

頸部リンパ節にがんが拡がった45歳超の甲状腺がん患者は死亡リスクが高いと長い間考えられてきたが、若年者においてはそうではないとされてきた。今回、リンパ節転移を有する若年甲状腺がん患者も、これまで信じられてきたことや若年患者が低リスクであると分類するステージング予後法とは異なり、死亡リスクが高いことが明らかにされた。研究者らは、2つの米国政府データソースにおいて報告された約70,000人の患者の予後を調査した。その結果、がんが頸部リンパ節に拡がった患者はリンパ節転移のない患者よりも生存率が低かった。このリスクは高齢患者のそれと同等であった。さらに、リンパ節転移の数が生存に影響していた。リンパ節転移が1つだけである場合の生存に関するリスクは良い方であるが、転移数が6個以上であると生存性は損なわれる。このスタディは、若年甲状腺がん患者の実際の予後をより反映するため現在のステージングシステムを改訂すべきかの問いを投げかけている。この結果はJournal of Clinical Oncologyに掲載された。

PALOMA-3:新たな分子標的治療薬palbociclibはホルモン受容体陽性乳がんの進行を遅延させる [2015-06-16]
PALOMA-3: Novel targeted drug palbociclib slows progression of hormone receptor-positive breast cancer

前治療歴のあるエストロゲン受容体陽性ヒト上皮成長因子受容体2陰性(HR+/HER2-)進行乳がん患者において標準ホルモン療法(フルベストラント)にpalbociclibを併用することで疾患コントロール期間が2倍以上に延長したとのPALOMA-3スタディの結果が第51回American Society of Clinical Oncology年次集会で発表された。Palbociclibは、サイクリン依存性キナーゼ(CDKs)4および6の新規経口阻害薬で、画期的新薬である。先行研究から、CDK4およびCDK6はエストロゲン陽性乳房腫瘍の増殖を促進する重要な蛋白の一部であることが示されている。HR+/HER2-乳がんの女性がpalbociclibとフルベストラント併用またはプラセボとフルベストラント併用群にランダムに割り付けられた。全ての患者が初回ホルモン療法後に悪化または再発した転移がんを有しており、21%は閉経前であった。筆者らによると、PALOMA-3は分子標的治療薬の最初の登録研究の1つであり―若年、閉経前女性を含む進行乳がんにおけるホルモン療法併用スタディの1つである。この中間解析の時点で、疾患進行までの平均期間はpalbociclib群で9.2か月であったのに対しプラセボ群では3.8か月であった。閉経前女性と閉経後女性とで有益性は同等であった。今回の中間解析において有益性が認められたことから、トライアルは早期に中止となった。

早期段階トライアルにおいてnivolumabは進行肝臓がんにおいて非常に有望な作用を示した [2015-06-16]
Nivolumab shows highly promising activity in advanced liver cancer in early stage trial

第51回American Society of Clinical Oncology年次集会で報告された第I/II相スタディの結果、進行肝臓がんにおいてnivolumabは安全で有効であることが示唆された。スタディ登録患者の75%が過去に全身療法を受け、うち68%が現在の標準治療であるソラフェニブを投与された。Nivolumabは経静脈的に2週ごとに最長2年間投与された。今回のスタディの第I相の結果に基づくと、評価可能な患者42人中8人(19%)において抗PD-1抗体が奏効し、腫瘍縮小が30%を超えた。2人の患者は完全寛解した。持続的な奏効が認められ50%においては12か月以上持続し、ほとんどの患者が治療を継続した。さらに、48%の患者において腫瘍増殖が停止し、その期間は最長で17か月を超えた。12か月後の全生存率は62%であった。NivolumabはB型肝炎またはC型肝炎のウイルス感染が持続していても安全であり、忍容性は良好であった。これらの結果は大規模スタディで検証する必要はあるが、この試験は免疫チェックポイント阻害による免疫療法が肝臓がん治療において役割を果たすであろうことを示す初めてのものである、と筆者らは指摘している。

エリブリンは進行脂肪肉腫および平滑筋肉腫の患者の全生存期間を延長する [2015-06-16]
Eribulin extends overall survival for patients with advanced liposarcoma and leimyocarcoma

第51回American Society of Clinical Oncology年次集会で報告されたランダム化第III相トライアルの結果、2ライン以上の前治療歴の後に増悪した中等度または高度進行脂肪肉腫または平滑筋肉腫患者に対する新たな治療の有効性が示された。スタディにおいて、進行平滑筋肉腫または脂肪肉腫とも呼ばれる脂肪細胞性肉腫の患者452人が、エリブリンまたはダカルバジン治療を疾患が増悪するまで行う群にランダムに割り付けられた。全ての患者のがんは過去に2回以上の治療を受けたが増悪した。全生存期間中央値はエリブリン群で13.5か月であり、ダカルバジン群で11.5か月であった(p=0.0169)。エリブリンの最も多い副作用は白血球減少、倦怠感、嘔気、脱毛、および便秘であり、8%の患者が副作用のために治療を中止した。筆者によると、この進行の速い疾患群の全生存期間改善を示した、これは初めての第III相試験である。彼らは、まれで悪性度の高いこの疾患群におけるアンメット・メディカルニーズを考えると、今回の結果は臨床的に重要なものである、と結論付けている。

全脳照射を受ける患者は放射線外科治療を受ける患者よりも認知機能低下がより多い [2015-06-16]
Cognitive decline more common in patients receiving whole brain radiation therapy than radiosurgery

第III相試験により、認知機能に対するアジュバント全脳照射(WBRT)の影響についての長年の論議に追加情報が提供された。1〜3個の小さい脳転移に対し放射線外科治療後にWBRTを受けた患者は、放射線外科治療を受けた患者に比べ認知機能低下を来す確率が高いとの研究結果が、第51回American Society of Clinical Oncology年次集会で発表された。さらに、WBRTは脳転移の増殖抑制には役立ったが、患者の生存期間は有意に延長しなかった。このスタディにおいて、213人の患者が放射線外科治療または放射線外科治療後にWBRTを受ける群にランダムに割り付けられた。全ての患者が1〜3個の小さな脳転移(最大径3p)を有していた。3か月後に認知機能低下を来していたのはWBRT群(92%)において放射線外科治療群(64%)よりも多かった。特に、WBRTを受けた患者は即時想起(30%対8%)、遅延想起(51%対20%)、および言葉によるコミュニケーション(19%対2%)における低下が著しかった。このスタディのQOLに関するデータ解析はまだ終了していない。

標準治療の強化により高リスクのWilms腫瘍の治癒率が上昇する [2015-06-16]
Augmenting standard therapies increase cure rates for high-risk Wilms tumor

2つの第III相試験の結果、薬剤を追加することによる治療強化は高リスクWilms腫瘍の小児の予後を改善する、と第51回American Society of Clinical Oncology年次集会で発表された。このスタディは、いわゆる予後良好な組織型のWilms腫瘍(小児腎腫瘍の75%を占める)の小児に焦点を当てた。これらの腫瘍のうち、約5〜6%が染色体1pと16qにヘテロ接合性の消失(LOH)として知られる染色体異常を腫瘍内に有していた。研究者らは過去に、LOH 1pおよび16qを有する患者は再発リスクが高いことを明らかにした。LOH 1pおよび16qはステージI/IIの患者35人、およびステージIII/IVの患者52人において検出された。ステージI/IIの患者に対しては標準治療(ビンクリスチン/アクチノマイシンDによる化学療法)にドキソルビシンを追加し強化された。ステージIII/IVの患者はRegimen M(ビンクリスチン/アクチノマイシンDによる化学療法および放射線療法)に4サイクルのシクロフォスファミド/エトポシドの外来での投与を追加することにより強化された。先行研究では、これらの患者の4年無再発生存率はステージI/IIで74.9%であり、ステージIII/IVでは65.9%であった。今回の新たなスタディにおいて、強化療法はこの率をステージI/IIで83.9%、ステージIII/IVで91.5%に上昇させた。

STAMPEDE:初回治療に化学療法を追加することにより進行ホルモン療法未治療前立腺がん患者の寿命が延長する [2015-06-16]
STAMPEDE: Adding chemotherapy to initial therapy extends lives of men with advanced, hormone-naïve prostate cancer

Systemic Therapy in Advancing or Metastatic Prostate Cancer: Evaluation of Drug Efficacy(STAMPEDE)トライアルの結果、標準的なホルモン療法にドセタキセルによる化学療法を追加することにより、ホルモン治療歴のない新たに診断された進行前立腺がん患者の生存期間が改善する、と第51回American Society of Clinical Oncology年次集会で発表された。研究者らは、ホルモン療法未治療の患者2,962人をSTAMPEDEの9つの治療群のうち4つ:標準治療(SOC)、SOCとドセタキセルを6サイクル、SOCとゾレドロン酸を2年間、およびSOCとドセタキセルおよびゾレドロン酸の両者に割り付けた。約60%の患者がトライアル参加時に転移を有しており、その他は高リスク、局所進行非転移前立腺がん(リンパ節転移陰性、ステージT3/4、PSA≥40ng/mlまたはGleasonスコア8-10)を有していた。追跡期間中央値42か月後に、948人が死亡した。全生存期間はドセタキセル群においてSOC群よりも平均10か月長く(67対77か月)、相対的改善率は24%であった。転移性疾患患者においては、全生存期間における平均改善率はさらに大であった(43対65か月)。ドセタキセルはまた、全ての患者において再発までの期間を38%延長させた。

進行メラノーマにおいて初回のニボルマブベースの治療は疾患進行までの時間を2倍以上にする [2015-06-09]
Initial nivolumab-based treatment more than doubles time to disease progression in advanced melanoma

未治療の進行メラノーマ患者におけるニボルマブ単独またはイピリムマブとの併用による初回治療は、イピリムマブ単独治療よりも有効性が高い、と第51回American Society of Clinical Oncology年次集会で発表された。第III相スタディでは、945人の患者をイピリムマブ、ニボルマブ、またはこれら2剤の併用にランダムに割り付けた。少なくとも9か月の追跡期間後に、疾患進行までの平均期間はニボルマブ単独群においてイピリムマブ群の倍であり(8.9か月対2.2か月)、この有益性はイピリムマブとニボルマブを併用することでさらに増大した(11.5か月)。奏効率もまた、併用療法群(57.6%)およびニボルマブ単独群(43.7%)において、イピリムマブ群(19%)よりも実質的に高かった。腫瘍量の平均軽減率は併用療法群で51.9%であり、ニボルマブ単独群で34.5%であった。対照的に、イピリムマブ単独投与患者では腫瘍量が5.9%増大した。予想通り、重篤な薬剤性副作用の発現率は併用群(55%)において最も高く、この群の36%の患者が治療を中止しなければならなかった。先行研究では、免疫療法を早期に中止した多くの患者が依然として経過が良好であることが示されている、と筆者らは述べている。

閉経後DCIS患者においてアナストロゾールを使用した方がタモキシフェンよりも無再発率が高い [2015-06-09]
Anastrazole offers higher breast cancer-free survival rates than tamoxifen in postmenopausal women with DCIS

第51回American Society of Clinical Oncology年次集会で発表された第III相試験の結果、閉経後DCIS(非浸潤性乳管がん)には乳がん予防の他の選択肢がある可能性が示された。スタディでは、DCIS生存者3,000人あまりにおいて標準的な5年間のタモキシフェン治療と5年間のアロマターゼ阻害剤アナストロゾール治療とを比較した。スタディでは、閉経後ホルモン受容体陽性DCIS患者3,104人がタモキシフェンまたはアナストロゾールを毎日5年間内服する群にランダムに割り付けられた。ホルモン療法開始前に全員が腫瘍摘出術および放射線療法を受けた。平均追跡期間8.6年後に乳がんが検出されたのは、タモキシフェン群で114人であったのに対しアナストロゾール群では84人であった。これには、同側または対側の新たな乳がん発症(DCISまたは浸潤性がん)に加え、DCIS再発が含まれた。10年乳がん無再発率はアナストロゾール群においてタモキシフェン群よりも高く(93.5%対89.2%)、この差は統計学的に有意であった。乳がんによる死亡はタモキシフェン群で8人であり、アナストロゾール群で5人であった。サブグループ解析では、60歳を超える女性においてはアナストロゾールはタモキシフェンより優れてはいない可能性が示された。

センチネルリンパ節生検陽性のメラノーマ患者に対する拡大リンパ節郭清術は不要である可能性がある [2015-06-09]
Extensive lymph node dissection may not be necessary for patients with melanoma with a positive sentinel node biopsy

リンパ節転移陽性患者のメラノーマ腫瘍周囲のリンパ節郭清は生存率を改善しない、と第51回American Society of Clinical Oncology年次集会で発表された。原発腫瘍を外科的に切除した後、ステージIIIメラノーマ患者483人が経過観察のみの群または完全リンパ節郭清(CLND)群にランダムに割り付けられた。微小転移巣を有する患者のみがスタディに含まれた。患者らの追跡期間中央値は35か月であった。経過観察群では、14.6%の患者がリンパ節局所転移を来したのに対し、CLND群では8.3%であった。しかし、スタディ対象者全体において、5年無再発率(p=0.72)、無遠隔転移率(p=0.76)またはメラノーマ特異的生存率(p=0.86)に関しては治療による有意差はなかった。センチネルリンパ節にがんが認められた患者は、メラノーマ再発および転移のリスクが高いと考えられている。世界的に、これらの患者にはCLNDを行うことが推奨されている。今回のスタディは、治療を変え不必要な手術やそれによる副作用から何千人もの患者を救うのに役立つ可能性が高い。

早期口腔がん患者に対する予防的頸部郭清は生存率を改善する [2015-06-09]
Preventive neck lymph node surgery improves survival for patients with early-stage oral cancer

第51回American Society of Clinical Oncology年次集会で発表されたランダム化第III相試験により、早期口腔がん患者の最良の頸部リンパ節手術時期に関する長期にわたる疑問が解決した。選択的頸部郭清術(END)として知られる予防的アプローチが、リンパ節転移を来した段階で行われる治療的頸部郭清術(TND)に比べ、生存率を改善し再発率も低下させることを示している。この試験では、早期口腔扁平上皮がん患者596人がENDまたはTNDにランダムに割り付けられた。最初の患者500人の中間解析の結果、ENDではTNDと比べ死亡リスクが37%低下したことが示された。ENDは3年全生存率を絶対的に12.5%増加させ(80%対67.5%)、これは統計学的に有意であった。ENDはまた、再発または死亡リスクを56%低下させ、3年無病生存率(69.5%対45.9%)の絶対的増加は23.6%と大きかった。これらの結果は、この疾患の標準治療としてENDを確固たるものにした。筆者らによると、頸部リンパ節郭清の唯一のマイナス面は5〜40%の患者に発現する何らかの肩機能不全を来す可能性である。

Obinutuzumabは再発性緩徐進行性非ホジキンリンパ腫の寛解期間を2倍にする [2015-06-09]
Obinutuzumab doubles remission duration in patients with relapsed, indolent non-Hodgkin lymphoma

第III相試験の中間解析の結果、緩徐進行性非ホジキンリンパ腫(NHL)に対し標準的なベンダムスチン治療にCD20モノクローナル抗体obinutuzumabを追加することによりNHLの進行が遅延するとの研究結果が、第51回American Society of Clinical Oncology年次集会で発表された。スタディでは様々なタイプのNHL患者396人を対象とし、うち最も多いのが濾胞性リンパ腫であった。この疾患の標準的な初回治療は、化学療法と分子標的治療薬リツキシマブの併用である。多くの患者が最終的にはリツキシマブ耐性となり、その後の治療選択肢は限られている。Obinutuzumabは、B細胞リンパ腫細胞を含む全てのB細胞の表面に存在するCD20蛋白を標的とする。患者はベンダムスチン単独治療群とベンダムスチンとobinutuzumabの併用後にobinutuzumab単独療法を受ける群とにランダムに割り付けられた。もはやリツキシマブ療法が有益でなくなった患者において、新たな併用療法施行後の平均寛解期間は29.2か月であったのに対し、ベンダムスチン単独群では14か月であった。これらの有望な結果に基づき、トライアルは早期に中止された。Obinutuzumabによる全生存率への有益性の可能性を確定するために長期追跡が必要である、と筆者らは述べている。

PERSIST:新規JAK阻害剤は血小板数が減少している患者であっても症状軽減に有効であることが証明された [2015-06-09]
PERSIST: Novel JAK inhibitor proves effective for easing symptoms of myelofibrosis even for patients with low platelet counts

骨髄線維症患者を対象としたPERSISTスタディの結果、pacritinibは血小板が非常に減少した患者であっても現状で利用可能な最良の治療(BAT)よりも有効であることが示唆された。このスタディにおいて、327人の患者がpacritinibまたはBATによる治療群にランダムに割り付けられた。BAT治療群患者はエリスロポエチン刺激薬、免疫調節薬(例えば、サリドマイド、レナリドミド)、およびヒドロキシウレアなどの承認適応外の骨髄線維症治療薬を定期的に投与された。このスタディは血小板数が非常に少ない患者を組み入れたため、ルキソリチニブは安全ではないと思われ、あえて除外した。Pacritinibの効果は治療開始後4週と、早い時点で認められた。24週後には、pacritinib群患者の19.1%において脾臓サイズが減少したのに対し、BAT群におけるその割合はわずか4.7%であった(p=0.003)。血小板数が最も少ない患者サブグループにおいて、脾臓縮小はpacritinib 群の33.3%に認められたのに対し、BAT群では0%であった。Pacritinib群患者は悪液質、盗汗、発熱、および骨痛などの症状の軽減が大であった。このスタディ結果は、第51回American Society of Clinical Oncology年次集会で発表された。

標準治療にドセタキセルを追加することにより高リスク局所前立腺がんの生存率が改善する [2015-06-02]
Adding docetaxel to standard care improves survival for men with high-risk, localized prostate cancer

標準的なホルモン療法および放射線療法にドセタキセルを追加することにより高リスク局所前立腺がん患者の死亡リスクが軽減する、と第51回American Society of Clinical Oncology年次集会で発表された。この第III相スタディにおいて、高リスク局所進行前立腺がん患者562人が標準治療(放射線療法と2年間のホルモン療法の併用)または標準治療後にドセタキセル化学療法を受ける群にランダムに割り付けられた。ドセタキセルは放射線療法終了後1か月から始まり、18週間投与された。平均追跡期間5.5年の後に標準治療群では52人が死亡し、ドセタキセル群では36人であった。4年全生存率は標準治療群で89%であり、ドセタキセル群では93%であった。ドセタキセルはまた、再発リスクも低下させた−5年無病生存率は標準治療群で66%であり、ドセタキセル群では73%であった。今回のスタディは局所前立腺がんの術後補助化学療法において化学療法が役目を果たすことを示した初めてのものであり、時間と共に多大な生存率への有益性を認めるであろう、と筆者らは述べている。

Nivolumabは非扁平上皮非小細胞肺がんに対する標準的なセカンドライン治療選択となり得る [2015-06-02]
Nivolumab as a possible standard second-line treatment option for non-squamous non-small cell lung cancer

第51回American Society of Clinical Oncology年次集会で発表された研究の結果、非扁平上皮、非小細胞肺がん(NSCLC)患者に対し、PD-1免疫療法は有効な治療であることが示された。プラチナ製剤ベースの化学療法後に悪化した進行肺がん患者において、nivolumab治療を受けた患者の生存期間はドセタキセルで治療された患者よりも3か月長かった。この第III相スタディでは進行非扁平上皮NSCLC患者582人をnivolumabまたはドセタキセルで治療する群にランダムに割り付けた。奏効率はnivolumab群においてドセタキセル群よりも高かった(19.2%対12.4%)。またnivolumab群において有意に長い持続的な奏効が得られた(平均17.1か月対5.6か月)。全生存期間中央値はnivolumab群で12.2か月であり、ドセタキセル群では9.4か月であった。特筆すべきことに、腫瘍内PD-L1が高レベル(≥1%細胞)のサブグループにおいては、nivolumab治療群の生存期間中央値は17か月を超えたのに対しドセタキセル群では9か月であった。Nivolumabの忍容性は全般的に良好であった。Nivolumabは治療歴のあるNSCLC患者の新たな標準治療となり得る、と研究者らは述べている。

いくつかのタイプのがん患者において特定のゲノム異常によりpembrolizumabの有効性が予測できる [2015-06-02]
Specific genomic abnormality predicts response to pembrolizumab in patients with several types of cancer

第51回American Society of Clinical Oncology年次集会で発表された第II相試験において初めてのゲノムマーカー−ミスマッチ修復(MMR)欠損−により広範ながんに対する抗PD-1抗体pembrolizumabの有効性が予測できることが示された。スタディには3群の患者−MMR正常転移性大腸がん(CRC 25人)、MMR欠損転移性CRC(13人)、および他のMMR欠損がん(10人)−が含まれた。全ての患者が過去の治療にもかかわらず悪化した進行性転移性がんを有していた。奏効率はMMR欠損CRCとMMR正常CRCとで大きく異なった(62%対0%)一方で、病勢コントロール率(腫瘍縮小または増殖抑制)の差はより大であった−MMR欠損群の92%に対しMMR 正常群では16%であった。有効性を示す血液マーカー変化は治療開始後数週間以内に認められ、患者はほぼ治療直後に体調が改善した。他のMMR欠損がん群(CRCsを除く)における全奏効率は60%であった。奏効は、進行子宮内膜がんおよび乳頭部、十二指腸、胆のうがん、および胃がんなどのいくつかのタイプの進行消化器がんにおいて認められた。最後の解析において、奏効は1人の患者以外においては継続中であり多くは1年以上持続していた。

新たなibrutinib併用療法は再発慢性リンパ性白血病においてかなりの恩恵をもたらす [2015-06-02]
New ibrutinib combination regimen shows substantial benefits in relapsed chronic lymphocytic leukemia

Ibrutinibとベンダムスチン+リツキシマブ(BR)の併用は過去の治療にもかかわらず悪化した慢性リンパ性白血病(CLL)患者の予後を改善するとの大規模第III相試験の中間解析結果が第51回American Society of Clinical Oncology年次集会で発表された。このスタディにおいて治療歴のあるCLL患者578人がibrutinibとBRまたはプラセボとBRで治療される群にランダムに割り付けられた。平均17.2か月の追跡期間の後、無増悪期間中央値はプラセボ群で13.3か月でありibrutinib群では期間中央値には達しなかった。進行または死亡のリスクはibrutinib投与群で80%低下した。奏効率はibrutinib群においてプラセボ群より有意に高かった(82.7%対67.8%)。疾患関連の倦怠感はibrutinib群で改善し、患者はその効果を早期に報告した(6か月後対14か月後)。副作用発現率と種類は2群間で同等であった。今回の顕著な結果に基づき、プラセボ群患者はibrutinib投与群にクロスオーバーすることが許可された。中間解析の時点で、プラセボ群患者の90人(31%)の患者がibrutinib群にクロスオーバーした。

ONTRAC:ニコチン酸アミドの経口摂取は高リスクの人々における非メラノーマ皮膚がん発症率を低下させる [2015-06-02]
ONTRAC: Oral nicotinamide reduces rates of non-melanoma skin cancer in people at high risk of the disease

ONTRAC(Australian Oral Nicotinamide to Reduce Actinic Cancer)スタディの結果、ニコチン酸アミドと呼ばれるビタミンB3の一種は高リスクの人々における新たな皮膚がんを有意に軽減させる、と第51回American Society of Clinical Oncology年次集会で発表された。このスタディにおいて、過去5年間に少なくとも2つの非メラノーマ皮膚がんを発症し、したがって高リスクと考えられた患者386人がニコチン酸アミドまたはプラセボを12か月間毎日内服する群にランダムに割り付けられた。スタディ対象は皮膚がんクリニックで一般的に見られる患者の混成割合を反映していた(平均年齢66歳、男性が3分の2)。新たに非メラノーマ皮膚がんと診断された率はニコチン酸アミド群においてプラセボ群よりも23%低かった。治療開始後3か月後に日光角化症例数はニコチン酸アミド群で11%減少し、9か月後には20%減少した。ニコチン酸アミドの予防効果は基底細胞がんと扁平上皮細胞がんとで同等であった。ビタミンB3の一種であるニコチン酸アミドは副作用を引き起こすことで知られているが、今回のスタディにおいてニコチン酸アミドは重症の副作用は何も来さなかった。

ELOQUENT-2:Elotuzumabを追加することにより再発多発性骨髄腫進行のリスクが有意に低下する [2015-06-02]
ELOQUENT-2: Adding elotuzumab significantly reduces risk of progression for relapsed multiple myeloma

第51回American Society of Clinical Oncology年次集会で発表された第III相試験の中間結果により、革新的な免疫療法が再発多発性骨髄腫の新たな治療選択肢になる可能性のあることが示唆された。このスタディにおいて、再発多発性骨髄腫の患者646人がレナリドミドとデキサメタゾン(コントロール群)またはレナリドミドとデキサメタゾンに加えelotuzumabを投与する群にランダムに割り付けられた。追跡期間中央値24か月後に、elotuzumabはがん進行および死亡のリスクを30%低下させた。Elotuzumab群患者の疾患無増悪期間(平均19.4か月)はコントロール群(平均14.9か月)よりも有意に長かった。さらに、高リスク所見―del(17p)およびt[4;14]と呼ばれる遺伝子異常―を有する二つのサブグループは、平均リスク患者と同等にelotuzumabの恩恵を被るようであった。これらのハイリスク患者においては従来の治療法は有効性が低い傾向にある。概して、elotuzumabの忍容性は良好で、患者のQOLを低下させたり症状による負荷を増強したりすることはなかった。これは多発性骨髄腫におけるモノクローナル抗体を調査した最大のスタディであり、この疾患の治療として標的免疫療法を用いた際の有益性を示した初めての第III相試験である。