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高齢者における前立腺がん治療選択改善のためのスクリーニング法最適化 [2015-05-26] |
Optimizing screening approaches for prostate cancer to improve treatment selection in older men |
第110回American Urological Association学術集会で発表されたスタディの結果、低リスク前立腺がんの男性に対して積極的なサーベイランスが推奨されるが、一部の高齢男性においてはきちんと治療されていないことが示唆された。CaPSURE(米国内47医療機関における地域住民をベースにした前立腺がん登録)のデータを用いたある研究の結果、低リスク前立腺がん男性において積極的なサーベイランスは実行可能な方法であり、手術を含む積極的で多様な治療は高リスク前立腺がん男性において有効であることが示された。他の研究者らは、根治不可な前立腺がんを発症した男性はスクリーニングのミスではなく最初の医療機関で適切な検査を受けなかった可能性があることを示した。545人の患者を年齢別に分類したスタディにおいて、最年長群(70〜99歳)において高リスク前立腺がんの割合が最も高く、最若年群(40〜49歳)において低リスク前立腺がんの割合が最も高かったことから、高齢者において前立腺がんは無害ではない可能性が示唆された。さらに、年齢および合併症がいかに治療に影響するかを評価したあるスウェーデンのスタディの結果、75〜80歳の男性では10年生存率は52%であるにもかかわらず根治治療を施行されたのはわずか10%であり、それに比べ、平均余命が同等の70歳未満の男性においては半数が根治治療を施行された。 |
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洗練されたスクリーニング法は高悪性度前立腺がんの同定に優れ全体の生検率を最小にする可能性がある [2015-05-26] |
Smarter screening techniques may better identify higher-grade prostate cancers and minimize overall biopsy rates |
第110回American Urological Association年次集会で発表された研究は、MRIまたは尿検査による新たな革新的な前立腺がん診断法にまとめて注意を促した。1つ目のスタディにおいて研究者らは、直腸指診(DRE)後の尿検体の複数遺伝子署名が進行の速いがんと進行の遅いがんを見分けるのに役立つ可能性があることを報告した。他のスタディでは、MRI fusion targeted biopsy(MRF-TB)は体系的な12個所生検よりも高悪性度(Gleasonスコア >7)のがんをより多く検出しGleasonスコア 6以下のがんを少なく検出することから、この生検法が低リスク腫瘍の過剰検出軽減に役立つのにより有効である可能性が示唆された。2つの尿アッセイ(TMPRSS2:ERGとPCA3)を一緒に用いると、49%の男性において不必要な生検を回避し、進行の速い前立腺がん検出の特異度を上昇させ同時に医療費を削減する可能性のあることが報告された。他の研究者らは、mpMRIが高悪性度(Gleasonスコア >7)がん患者の16%を検出し損ねたことを明らかにした。さらに、mpMRI上"注目画像領域"がなかった患者の47%において生検上のGleasonスコアが6以上であったことから筆者らは、PSA値の高い男性はmpMRI上正常であっても前立腺生検を考慮すべきである、と結論付けている。 |
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MRI上の背景乳腺増強効果は乳がんリスク上昇と関連がある [2015-05-19] |
Background parenchymal enhancement on MRI linked to elevated risk of breast cancer |
磁気共鳴画像(MRI)は女性の将来の乳がん発症リスクに関する重要な情報を提供するとのスタディ結果がRadiologyに掲載された。研究者らは、乳がん既往歴のない18歳以上高リスク女性のMR画像スクリーニングをレビューした。彼らは、がんリスクと乳腺濃度および乳房背景増強効果(BPE)を含む画像の特徴との何らかの関連を探した。BPEはMR画像上正常な背景乳房組織領域が白く、つまり増強して示される現象である。この増強効果の正確な理由は不明であるが、過去の研究からがんリスクとの関連が示唆されている。MRIにおいてBPE量上昇を示す女性は、BPEを示さないか最小である女性と比較しスタディ追跡期間中に乳がんと診断される確率が9倍高かった。対照的に、マンモグラフィー上の濃度はがんリスクとは有意な関係がないようであった。この結果から、BPEは医師の個別スクリーニング向上および個々の乳がんリスクに対する管理戦略に役立つ可能性のあることが示唆される。今回の結果がさらに大規模な研究で検証できれば、BPEはこれらの重要な決断を導くのに役立つより多くの情報を提供できる。 |
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一部の小児がん治療といくつかの遺伝子変異が後の肥満リスクを上昇させる [2015-05-19] |
Several treatments for childhood cancer and certain gene variants increases risk of obesity later in life |
小児がん既往者は若年期に受けた治療により肥満になるリスクが高い可能性があるとの研究結果がCANCERオンライン版に掲載された。スタディには、少なくとも10年以上前にがんと診断され、がん治療を受けた1,996人を対象とした。その結果、頭蓋放射線照射を施行されたがん既往者の47%は肥満であり、頭蓋放射線照射を施行されなかった小児がん既往者におけるその割合は29.4%であった。肥満の確率は頭蓋照射に加えグルココルチコイド投与も行われた患者、または診断時に若年であった患者ほど高かった。また、神経の増殖、修復、および結合性に関係する一部の遺伝子変異も頭蓋照射を施行された者の肥満と関連があった。胸部、腹部、または骨盤照射を施行された小児がん既往者は、これらの治療を受けなかった者に比べ肥満の確率は半分であった。これらの結果は、一部の小児がん既往者においては有効なカウンセリングと減量介入が必要であることを示唆しており、小児がん治療と肥満の関連に関わる分子経路を明らかにすることを目的とした将来の研究の基盤となり得る。 |
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肺がん患者の血小板内EML4-ALKの存在をモニターするために用いられる血液検査 [2015-05-12] |
Blood test used to monitor the presence of EML4-ALK in blood platelets in patients with lung cancer |
非小細胞肺がん(NSCLC)患者のEML4-ALK遺伝子融合における再構成の存在を定期的にモニターする血液検査は、医師がクリゾチニブを用いた治療転帰を予測するのに役立つ可能性があるとの研究結果が2015年American Association for Cancer Research年次集会で発表された。NSCLC患者のサブグループにおいては腫瘍にEML4-ALK再構成が内在しており、したがってこれらの腫瘍にはALK阻害薬であるクリゾチニブを用いた分子標的治療が有効である。この薬剤はこれらの患者においては有効であるが、多くの患者がいずれは耐性を獲得する。研究者らはNSCLC患者における血小板内EML4-ALKの存在を評価する血液ベースの"液体生検"の有効性を解析した。この液体生検によりEML4-ALK再構成が確認された患者の65%が検出された。クリゾチニブで治療された患者29人において、血液検査でEML4-ALK陽性であった者の無増悪生存期間が3.7か月であったのに対し、血液検査でEML4-ALK陰性であった者では16か月であった。治療開始前に血小板分画法でEML4-ALKが検出され治療中も消失しなければ、それはこの患者が治療に反応しておらず再発までの期間が短く、したがって他の治療を試してもよいと筆者らは説明している。 |
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KEYNOTE-006:Pembrolizumabは進行メラノーマのファーストライン治療としてイピリムマブよりも優れている [2015-05-12] |
KEYNOTE-006: Pembrolizumab superior to ipilimumab as first-line therapy for advanced melanoma |
進行メラノーマに対するファーストライン治療として承認済みの2つの免疫チェックポイント阻害薬を比較した初めてのランダム化トライアルにおいて、pembrolizumabは調査された全てのエンドポイントに対しイピリムマブより有意に優れた治療転帰を示したとのKEYNOTE-006第III相トライアルのデータが、2015年AACR年次集会で発表され、同時にNew England Journal of Medicineに掲載された。このトライアルに登録された転移性メラノーマ患者834人中、66%は未治療であり79%はPD-L1蛋白を有する腫瘍を有していた。患者は、pembrolizumab 10mg/kgの2週毎投与群、pembrolizumab 10mg/kgの3週毎投与群、またはイピリムマブ3mg/kgの3週毎4回投与群に1:1:1の割合でランダムに割り付けられた。一次エンドポイントは無増悪生存期間および全生存率であり、二次エンドポイントは全奏効率および安全性であった。2つのpembrolizumab群における治療12か月後の全生存率はそれぞれ74%および68%であり、一方イピリムマブ群では58%であった。その上、PD-L1陽性対PD-L1陰性腫瘍を含む予め特定した群の全てのサブセット解析において、pembrolizumab群の転帰はイピリムマブ群のそれよりも優れていた。さらに、薬剤関連の有害事象はpembrolizumab群(12%)においてイピリムマブ群(20%)よりも低かった。 |
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