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ファーストライン治療としてのニボルマブとイピリムマブの併用療法は進行メラノーマにおいて高い奏効率を達成した [2015-04-28] |
Nivolumab plus ipilimumab as first-line therapy achieve high response rate in advanced melanoma |
前治療歴のない進行メラノーマ患者に対する2種類の免疫療法イピリムマブとニボルマブの併用療法はイピリムマブ単独療法よりも奏効率で優れていた、との研究結果がAmerican Association for Cancer Research年次集会で発表され、同時にNew England Journal of Medicine に掲載された。この第II相二重盲検トライアルにおいて、前治療歴のない進行メラノーマ患者142人が組み入れられた。患者のうち109人は腫瘍内BRAF遺伝子変異がなく、33人はBRAF V600変異を有していた。患者はイピリムマブとニボルマブ併用投与後にニボルマブのみを投与される群(95人)、またはイピリムマブとプラセボを投与されその後プラセボのみを投与される群(47人)に2:1の割合で割り付けられた。BRAF変異を有さない患者において、イピリムマブとニボルマブを併用投与された患者の全奏効率は60%であり、うち17%は完全奏効、43%は部分奏効であった。イピリムマブとプラセボを投与された患者の全奏効率は11%であり、うち完全奏効はなく、部分奏効は11%であった。BRAF V600変異を有する患者において、併用群の全奏効率は44%であり、うち17%は完全奏効、26%は部分奏効であった。 |
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夜間空腹時間と乳がんリスクに関連する血糖コントロールバイオマーカーとの関連が認められた [2015-04-28] |
Association found between duration of nighttime fasting and glycemic control biomarkers linked to breast cancer risk |
一日のうち食事に費やす時間数が少ないことおよび夜間空腹時間数が長いことは血糖コントロールバイオマーカーを改善することにより女性の乳がんリスクを低下させる可能性がある、との研究結果がAmerican Association for Cancer Research年次集会で発表され、同時にCancer Epidemiology, Biomarkers & Prevention に掲載された。循環ブドウ糖はがん増殖および成長を促進する可能性があるとの仮説がある。マウスの研究の結果、日中食事に費やす時間が短いことおよび夜間の空腹時間が長いことが代謝パラメータを改善し、がんを含む慢性疾患発症リスクを軽減することが示唆された。この関連性をヒトにおいて調査するため、研究者らは夜間空腹時間と乳がんリスク上昇と関連のある血糖コントロールバイオマーカーとの関係を検討した。その結果、夜間の空腹時間が3時間増加する毎に食後2時間の血糖値が4%低下し、有意ではない0.4単位のヘモグロビンA1c(HbA1c)の低下が認められた。夜間空腹時間が3時間増加する毎に、HbA1c上昇を有する率も20%減少し、食後2時間の血糖値が高い割合も有意ではないが低かった。 |
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Waldenstromマクログロブリン血症に対する新薬は2年後も有益性が持続している [2015-04-21] |
New drug for Waldenstrom's Macroglobulinemia shows sustained benefit at two years |
臨床試験の最新結果から、Waldenstromマクログロブリン血症治療薬ibrutinibはこのまれな血液がんをコントロールし続けており、95%の患者が2年間生存していることが New England Journal of Medicine に報告された。この試験には、少なくとも1回以上治療歴のある患者63人が組み入れられた。彼らは経口薬ibrutinibを、疾患悪化または容認できない毒性発現まで毎日内服した。治療期間中央値19か月後の全奏効率中央値は91%であり、この血液がん患者の69%は治療開始後2年の時点で悪化していなかった。がんが進行した症例では、それは治療開始後中央値9.6か月に始まった。この薬剤内服後、血中IgMレベル中央値は3,520 mg/dLから880 mg/dLに低下し、ヘモグロビン中央値は10.5 g/dLから13.8 g/dLに上昇し、骨髄浸潤は60%から25%に低下した。この薬剤の効果は、突然変異があった場合に患者のがん細胞内においてどの変異が検出されるかにより影響された。 |
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科学者らはDCISの可能性のあるサブタイプおよびこれらのサブタイプが疾患再発に関連するか否かを調査した [2015-04-21] |
Scientists explore potential subtypes of DCIS and whether these subtypes relate to disease recurrence |
非浸潤性乳管がん(DCIS)が進行する患者を予測する可能性のある方法が同定された、とのスタディ結果がAnnals of Oncology に掲載された。現時点では疾患が進行する症例を予測することは不可能なため、全ての患者が不必要な可能性のある根治治療を要求される。浸潤性乳がんサブタイプにより疾患再発レベルが異なることが知られているため研究者らは、類似のDCISサブタイプを調査し予測能を有するかを調査しようとした。研究者らはDCISと診断された患者314人から得た腫瘍検体を観察した。広範な組織染色を用いることにより、彼らはエストロゲン受容体(ER)、プロゲステロン受容体(PR)およびHER2 - ヒト表皮増殖因子 - レベルを評価し、検体を4つのサブタイプに分類することができた。その結果、腫瘍がERおよびPR陽性でHER2陰性の患者はがんが再発する確率が低かった。他のサブタイプは浸潤性乳がんとして再発する確率が有意に高かった。これらの検査は安価で施行しやすく、一部の患者が不必要な治療を避けるのに役立つ可能性があると筆者らは述べている。 |
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乳房および卵巣がんはBRCA1/BRCA2遺伝子変異により異なる [2015-04-14] |
Risk of breast and ovarian cancer may differ by type of BRCA1/BRCA2 mutation |
BRCA1またはBRCA2疾患関連遺伝子変異キャリアの女性を対象としたスタディにおいて、乳房および卵巣がんリスクの有意に異なる変異が同定され、この結果はこれらの変異キャリアのリスク評価やがん予防意思決定において意味がある可能性がある、とのスタディ結果がJAMAに掲載された。この論文の背景情報によれば、BRCA1/BRCA2遺伝子変異によるがんリスクの違いに関してはあまりよく知られていない。スタディは33か国のBRCA1遺伝子変異キャリア19,581人およびBRCA2遺伝子変異キャリア11,900人を対象とした。BRCA1遺伝子変異キャリアのうち9,052人(46%)が乳がん、2,317人(12%)が卵巣がん、1,041人(5%)が乳がんおよび卵巣がんと診断され、7,171人(37%)はがんを有さなかった。BRCA2遺伝子変異キャリアのうち、6,180人(52%)が乳がん、682人(6%)が卵巣がん、272人(2%)が乳がんおよび卵巣がんと診断され、4,766人(40%)はがんを有さなかった。データ解析の結果、乳がんおよび卵巣がんのリスクはBRCA1/2遺伝子変異の型および部位により異なることが示唆された。 |
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治療法の進歩により小児がん既往者は増加するが、生涯にわたる治療関連疾患を有することを意味する [2015-04-14] |
Improved treatment means more survivors of childhood cancer, but with lifetime of treatment-related diseases |
小児がん既往者数は増加しているが、がん診断後5年以上の生存者の多くが治療に関連する慢性の健康上の問題に直面しているとのスタディ結果がCancer Epidemiology, Biomarkers & Preventionに掲載された。研究者らは、9つのU.S. Surveillance, Epidemiology, and End Results レジストリの1975〜2011年に記録されたがん発生率および生存データ、および米国およびカナダの26がん施設の小児がん長期生存者14,000人以上から、がん治療による可能性のある有害事象および後遺症に関する広範な情報を有するChildhood Cancer Survivor Studyコホートのデータを用いた。小児がん既往者が経験した健康上の問題は、精神障害、不安、疼痛および日常生活に影響する身体活動制限などである。小児がん既往者の約70%は軽度から中等度の慢性疾患を有すると推定され、約32%は重度、身体障害、または生命を脅かすような慢性疾患を有していると推定された。20〜49歳の推定35%の既往者が神経認知機能障害を有した;これらの年代群のうち約13〜17%は機能障害、身体活動制限、精神障害、疼痛または不安/恐怖を有すると自己申告した。 |
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免疫療法はstage IIIおよびIVの卵巣がん患者における再発を遅延させる [2015-04-07] |
Immunotherapy delays recurrence in patients with stage III and IV ovarian cancer |
特定の女性の腫瘍を標的とし初回治療からがん再発までの期間を延長させることが可能な試験的免疫療法は患者の寿命延長に役立ったとの臨床試験の予備研究結果が、Society of Gynecologic Oncology(SGO)Annual Meeting on Women's Cancerで発表された。このphase IIスタディには、stage IIIまたはIVの卵巣がん患者31人が含まれた。20人は免疫療法を受け、11人は受けなかった。この免疫療法はがん細胞内の生化学的経路を標的とし、患者のがんと闘う免疫反応を刺激することで作用することから"二機能性"と呼ばれる。初回腫瘍除去術の間に、オーダーメイドがん免疫療法を開発するためのサンプル細胞が採取される。患者は、初回手術に引き続き標準的な化学療法を施行された後、4〜12か月の間に月1回の注射を施行される群または標準治療群にランダムに割り付けられた。免疫療法を施行されなかった者のがんは中央値14.5か月後に再発した。免疫療法を施行された患者は再発までの期間中央値に到達せず、大部分が14.5か月後も体調良好であった。このワクチンは忍容性に優れていた。 |
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標準的な化学療法にベバシズマブを併用することにより卵巣がん患者の生存期間が数か月延長する [2015-04-07] |
Women with ovarian cancer gain extra months with addition of bevacizumab to standard chemotherapy |
標準的な化学療法にベバシズマブを併用投与された女性の全生存期間は、標準的な化学療法のみの女性より生存期間中央値が5か月長い、との研究結果がSociety of Gynecologic Oncology Annual Meeting on Women's Cancerで発表された。このphase IIIランダム化コントロールトライアルは、プラチナ製剤感受性再発卵巣がんの女性を対象とした。計374人の女性が、パクリタキセルとカルボプラチンを用いた標準的な化学療法を施行された。他の374人は標準的な化学療法にベバシズマブを併用投与された。両群ともにパクリタキセルとカルボプラチンを6サイクル施行され、スタディ群患者はベバシズマブによる維持療法を継続された。ベバシズマブを用いた過去の卵巣がん臨床試験とは異なり、今回のスタディ一次エンドポイントは全生存期間であった。化学療法とベバシズマブ併用群女性の全生存期間中央値は42.2か月であり、それに対し化学療法単独群におけるそれは37.3か月であった。薬剤併用により無増悪生存期間は約3.5か月延長した(13.8か月に対し化学療法単独患者では10.4か月)。疾患進行および死亡のリスク低下はそれぞれ39%および17%であった。消化管障害や関節痛など予想された一部の副作用が認められたが、安全性に有意な懸念を示唆するものはみられなかった。 |
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