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菜食摂取により大腸がん発症リスクが有意に低下する可能性がある [2015-03-17] |
Consuming a vegetarian diet could significantly lower risk of developing colorectal cancer |
菜食は非菜食に比べ大腸がん発症リスクの低下に関連するとのSeventh-Day Adventist男女のスタディ結果がJAMA Internal Medicineオンライン版に掲載された。スタディ参加者77,659人において、結腸がん380例および直腸がん110例が同定された。菜食主義者は非菜食主義者と比べ、全ての大腸がんリスクが22%低く、結腸がんリスクは19%、直腸がんリスクは29%低かった。非菜食主義者と比べ、完全菜食主義者は大腸がんリスクが16%低く、乳卵菜食主義者(乳製品と卵は摂取)は18%低く、魚菜食主義者(魚は摂取)では43%低く、半菜食主義者では8%低かった。これらの関連性に因果関係があるのであれば、大腸がんの一次予防にとって重要であろうと筆者らは述べている。肥満、高血圧、糖尿病および死亡リスクを低下させる可能性に関する過去のエビデンスに加えて、スタディ参加者らと類似の菜食が大腸がんリスク低下と関連する可能性があるとの今回のエビデンスから、食事選択や食事指針については注意深く考慮されるべきである。 |
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乳がん既往者は進行の速い甲状腺がんを発症するリスクが平均よりも高い [2015-03-17] |
Breast cancer survivors have higher-than-average risk of developing aggressive thyroid cancer |
乳がん既往者は、特に乳がん診断後5年以内に甲状腺がんを発症するリスクが高いとの研究結果が、第97回Endocrine Society年次集会で発表された。研究者らは、Surveillance, Epidemiology, and End Results 9(SEER 9)データベースを用いて1973〜2011年に乳がんおよび/または甲状腺がんと診断された症例を同定した。704,402人が乳がんのみを、49,663人は甲状腺がんのみを、そして1,526人は乳がん後に甲状腺がんを発症した。乳がん単独患者と比べ、乳がん後に甲状腺がんを発症した女性は乳がん診断時の平均年齢が若かった。彼女らはまた浸潤性乳管がんを有し、乳がん治療の一部として放射線療法を受ける確率が高かった。甲状腺がんのみを有する患者と比べ、乳がん既往を有し甲状腺がんを発症した患者はより進行の速いタイプの甲状腺がんを有する傾向にあったが、そのがんはサイズが小さく追加の放射性ヨード治療が必要な患者は少なかった。 |
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MRスペクトロスコピーはBRCA遺伝子を有する女性の乳房前がん病変を検出する [2015-03-10] |
MR spectroscopy shows precancerous breast changes in women with BRCA gene |
組織の生化学的変化をモニターする磁気共鳴スペクトロスコピー(MRS)技術は、乳がんリスクの高い女性の管理を改善するとの新たなスタディ結果が、Radiology オンライン版に掲載された。研究者らは、非常に早期のがんの浸潤前病変に関連した生化学的変化を検出する非侵襲的方法として、2-D localized correlated spectroscopy(L-COSY)を評価した。また、BRCA1遺伝子変異を有する女性9人およびBRCA2遺伝子変異を有する女性14人にL-COSYを施行し、乳がん家族歴のない健常コントロール10人の結果と比較した。全ての患者が造影3-T MRIおよび超音波検査を受けた。MRIまたは超音波では異常が検出されなかった一方で、L-COSY MRSはBRCA1およびBRCA2遺伝子変異を有する女性においてコントロールと比べ統計学的に有意な生化学的変化を検出した。L-COSYを介して計測できる明らかな複数の細胞変化は、BRCA遺伝子変異を有する女性の前がん病変を示していることが示された。研究チームはまた、2つの異なる遺伝子変異において脂質代謝経路が異なって変化しているエビデンスも明らかにした。これはBRCA2遺伝子変異を有する者がBRCA1遺伝子変異を有する者よりも生存期間が長いことの説明に役立つ可能性がある。 |
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多発性骨髄腫患者におけるMGUS追跡の生存期間に対する効果 [2015-03-10] |
Effect of follow-up of MGUS on survival in patients with multiple myeloma |
多発性骨髄腫(MM)の患者は、MMに先立ち一般的には他の原因による医学的検査の一部として診断される意義不明単クローン性免疫グロブリン血症(MGUS)を先に有する場合、生存期間が長いようであるとのスタディ結果がJAMA Oncology オンライン版に掲載された。ほとんどのMGUS症例は診断されない;MGUSは、末端臓器障害または他の関連する形質細胞またはリンパ増殖性疾患の所見のないM蛋白検出として特徴付られる。MGUSのほんの一部しか悪性化せず、MMや他の関連疾患に進行する年間リスクは平均で0.5〜1%である。スタディには1976〜2005年にスウェーデンでMMと診断された全患者(14,798人)が含まれた;394人(2.7%)は過去にMGUSと診断されていた。既にMGUSと分かっていた患者の全生存期間(中央値2.8年)は分かっていなかった患者のそれ(中央値2.1年)よりも良好であったが、MGUSが分かっていた患者には合併症が多かった。MGUSが既に分かっていた患者においてMGUS診断時点でM蛋白濃度が低いことは、MM生存率が不良であることと関連した。 |
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中等度リスク前立腺がん患者の待機療法は生存率低下と関連する [2015-03-03] |
Active surveillance of intermediate risk prostate cancer associated with decreased survival |
待機療法で管理されている前立腺がん患者945人のデータ解析から、診断時のリスクが低か中等度かによって予後が異なることが示された。中等度リスク(PSA>10ng/mLまたはGleasonスコア7または臨床病期T2b/2c)の患者は、低リスク患者と比べ、15年以内に前立腺がんにより死亡する確率が約4倍高かった。このスタディは2015年Genitourinary Cancers Symposiumで発表された。研究者らは、待機療法中の患者945人(中等度リスク237人、低リスク708人)のデータを前向きに収集した。待機療法中に増悪が認められた患者には治療(放射線または手術)が提供された。中等度リスク群において、86人が治療を受けた。10年および15年全生存率は中等度リスク患者で68.4%および50.3%であったのに対し、低リスク患者では83.6%および68.8%であった。待機療法を受けた中等度リスク患者で生存率が低かったのは、これら患者の平均余命が短いことを示している。中等度リスク患者が前立腺がんで死亡する確率は、低リスク患者と比べ3.75倍高かった(15年の時点でそれぞれ11.5%対3.7%)。 |
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精巣がん既往者は前立腺がん発生率が高いが、進行前立腺がん発生の全リスクは低い [2015-03-03] |
Testicular cancer survivors are more likely to develop prostate cancer, although overall risk of developing aggressive disease is low |
180,000人近くの男性を対象としたケースコントロールスタディの結果、前立腺がん発症率は精巣がん既往男性において非既往男性よりも高いことが示された。精巣がん既往男性はまた、中等度または高リスクの前立腺がんを発症する確率も高いとのスタディ結果が2015年Genitourinary Cancers Symposiumで発表された。研究者らは、精巣がん既往男性32,435人およびメラノーマ既往男性147,044人のSurveillance, Epidemiology, and End Results(SEER)データを解析した。メラノーマと前立腺がんとの関連は不明なため、メラノーマは対照として用いられた。80歳までの前立腺がん全発生率はコントロールと比べ、精巣がん既往男性において高かった(12.6%対2.8%)。中等度、または高リスクの前立腺がん発生率もまた精巣がん群においてコントロール群よりも高かった(5.8%対1.1%)。精巣がんにより全ての前立腺がんリスクが4.7倍上昇し、中等度または高リスク前立腺がん発生リスクが5.2倍上昇した。 |
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