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VISP:虚血性脳卒中は潜在的ながんリスク上昇と関連がある [2015-02-24] |
VISP: Having an ischemic stroke is linked to increased risk of an underlying cancer |
脳卒中既往者は既往がない人々と比較し高率にがんを発症する可能性がある、との研究結果が2015年American Stroke Association's International Stroke Conferenceで発表された。研究者らは、1997〜2001年のVitamin Intervention for Stroke Prevention(VISP)多施設トライアルのデータを解析した。解析は、がんを有さない35歳以上の軽症虚血性脳卒中既往者3,247人から構成された。参加者には、皮膚、前立腺、乳房、肺および膀胱がんなど広範ながんが発生した。年齢で補正した年間がん発生率は、虚血性脳卒中既往者において一般人口よりも高かった。脳卒中既往者におけるがん発生率は1年後の時点で1.2倍高く、2年後では1.4倍高かった。がんを発生した脳卒中既往者はがんを発生しなかった者よりも死亡確率が最大3倍高かった。がんを発生する他のリスクは年齢であった:50歳超の脳卒中既往者は50歳以下の対照集団に比べ、2年以内にがんを発生する確率が1.4倍高かった。 |
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白血病やリンパ腫治療後の苦悩は若年のがん既往者の方が高齢患者よりも大きい [2015-02-24] |
Young adult cancer survivors more distressed than older patients after leukemia and lymphoma treatment |
Journal of Psychosocial Oncologyに掲載された2つのスタディの結果、若年の白血病やリンパ腫の既往者は高齢既往者よりも重度の苦悩を訴える率が高いことが示された。具体的には、45%の若年患者(18〜39歳)が中等度から重度の苦悩を訴えたのに対し、高齢患者(65歳以上)において同程度の苦悩を訴えたのは18%に過ぎなかった。興味深いことに、両群ともにこの苦悩は治療からの時間の影響は受けなかった―4年前に治療終了した患者と3か月前に終了した患者とで苦悩の程度は同等であった。1つ目の論文では、外傷後の苦悩の計測法やがん既往者のQOLの計測から得たいくつかの項目を用いて、がん既往者477人を調査した。40歳未満のがん既往者は苦悩を有する割合が最も高く、がん再発に対する恐怖は苦悩が大きいことの最良の予測因子であることがリスクプロファイルから示された。がん治療のための経済的負担が大きいこともまた苦悩の予測因子であった。2つ目のスタディでは、患者の側におけるこれらの数字を調査しがん既往者自身から発せられた苦悩の原因をより理解するために、51人の白血病既往者に対するインタビューが用いられた。 |
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サリチル酸は前庭神経鞘腫細胞の増殖および生存率を低下させる [2015-02-17] |
Salicylates reduced the proliferation and viability of vestibular schwannoma cells |
非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs)の一種であるサリチル酸は、一般的には難聴や耳鳴りの原因となり時に致命的な頭蓋内腫瘍を引き起こす前庭神経鞘腫培養細胞の増殖および生存率を低下させた。この研究はTranslational Researchオンライン版に掲載されている。サリチル酸は作用メカニズムがシクロオキシゲナーゼ2(COX-2)の阻害であり、COX-2の免疫組織化学的発現は前庭神経鞘腫の増殖率と相関するとの過去の研究により報告されていることから、研究者らはこの薬剤に焦点を当てた。その結果、COX-2はヒト前庭神経鞘腫および原発性ヒト前庭神経鞘腫細胞においてそれぞれコントロールのヒト神経標本や初代Schwann細胞(SCs)と比較して異常に発現していることが示された。さらに、COX-2の下流反応生成物であるプロスタグランジンE2レベルは、原発−培養増殖比と関連した。原発前庭鞘腫をアスピリン、NaSalまたは5-ASAを投与して培養し、増殖、細胞死および細胞生存率の変化を解析した。これらの薬剤は細胞死の増加や健康なSCsに影響することなく前庭神経鞘腫細胞の増殖や生存率を減少させた。筆者らは、COX-2は前庭神経鞘腫の増殖や生存に重要な調節因子であると結論付け、サリチル酸を前庭神経鞘腫の有望な薬物療法薬として強調している。 |
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前立腺がん治療薬アビラテロンの化学療法前使用例が2つのスタディにより強化された [2015-02-17] |
Two studies strengthen case for using prostate cancer drug abiraterone before chemotherapy |
前立腺がん治療薬アビラテロンを化学療法前に投与することで進行前立腺がん患者の寿命が有意に延長するとの第III相臨床試験の結果がLancet Oncologyに掲載された。研究者らは化学療法に移行する前にアビラテロンを投与された患者354人をプラセボを投与された患者387人と比較した。両群とも低用量プレドニゾロンも投与された。アビラテロンを投与された男性は投与されなかった男性よりも有意に長く生存した(平均34.7か月対30.3か月)。同じトライアルの男性において行ったもう1つのスタディの結果、非常に悪性度の高い前立腺がん患者から成るサブグループがアビラテロン治療の恩恵を最も被る可能性のあることが示された。研究者らは、トライアル対象の348人の男性のアビラテロンまたはプラセボに対する奏効度−がんの増悪停止により定義−に関するデータを腫瘍の詳細な遺伝子解析を用いて相互参照した。アビラテロンは通常ERG変異に関わらず生存期間を改善したが、最も顕著な変異を有する患者サブセットにおいて特に奏効度が良好であった。これらの男性は疾患が増悪することなく平均22か月間生存し、一方同様のERGでプラセボを投与された男性では5.4か月であった。 |
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メトホルミンは非喫煙糖尿病患者の腺がんおよび小細胞がんのリスクを低下させるようである [2015-02-10] |
Metformin appears to lower risk of adenocarcinoma and small-cell carcinoma in diabetic nonsmokers |
非喫煙糖尿病患者のうち、メトホルミン内服者は肺がんリスクが低かった、とのスタディ結果がCancer Prevention Researchに掲載された。研究者らは1994〜1996年に健康関連調査に参加した糖尿病患者47,351人(男性54%、40歳以上)の後ろ向きコホート研究を行った。対象者の糖尿病治療薬に関する情報は薬局における電子薬歴から収集された。約46%はメトホルミン"内服歴あり"(過去6か月以内に2回以上処方)であった。15年の追跡期間中、747人が肺がんと診断された。そのうち、80人は非喫煙者であり、203人は現喫煙者であった。全体ではメトホルミン使用は肺がん低リスクと関連がなかったが、喫煙歴のない糖尿病患者においてリスクは43%低く、リスクは長期にわたり使用することにより低下するようであった。メトホルミン使用期間が5年以上の非喫煙者は肺がんリスクが52%低かったが、この結果は統計学的に有意ではなかった。糖尿病患者全体を見た場合、メトホルミン使用は肺がんリスクと関連がなかったが、このリスクは喫煙歴により異なる可能性があり、メトホルミンは非喫煙者のリスクを低下させ現喫煙者のリスクは上昇させる可能性がある。 |
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喫煙は大腸がんサバイバーの死亡リスクを有意に上昇させる [2015-02-10] |
Cigarette smoking linked to significantly higher mortality among colorectal cancer survivors |
タバコを喫煙する大腸がんサバイバーは非喫煙サバイバーより死亡リスクが2倍以上であり、タバコが総死亡および大腸がん死が高いことと関連があるとの既存のエビデンスがさらに追加された、とのスタディ結果がJournal of Clinical Oncologyオンライン版に掲載された。研究者らは、新たに浸潤性非転移性大腸がんと診断された2,548人を同定した。このうち1,074人が平均7.5年の追跡期間中に死亡し、453人は大腸がんが原因であった。診断前に喫煙していた患者は総死亡リスクが2倍以上であり(相対リスク[RR]=2.12)、大腸がんによる死亡のリスクも同様であった(RR、2.14)。診断前に喫煙経験者であった者は総死亡リスクが高かった(RR、1.18)が、大腸がん特異的死亡率に関してはそうではなかった。診断後の喫煙によりスタディ期間中の総死亡リスクは2倍以上(RR、2.22)となり、大腸がん特異的死亡率も2倍近かった(RR、1.92)。喫煙者は病理学的により浸潤性腫瘍を有すること、すなわち、喫煙が大腸がん治療の有効性を低下させることは十分考えられる、と筆者らは述べている。 |
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新たな乳房画像診断法は濃密度乳腺を有する女性の浸潤性乳がんの検出率が4倍近い [2015-02-03] |
New breast imaging technique nearly quadruples detection of invasive breast cancers in women with dense breast tissue |
新たな乳房画像診断法は濃密度乳腺を有する女性の浸潤性乳がんの検出率が4倍近いとの大規模研究の結果が、今週American Journal of Roentgenologyに掲載された。分子乳房画像検査(MBI)は、マンモグラフィーにおいて周囲の濃密度乳腺により不明瞭になりがちな腫瘍を検出するようにデザインされた補充用画像法である。スタディでは、不均一なまたは極端な濃密度乳腺でスクリーニングマンモグラフィー時にMBI検査を受けた女性1,585人が対象とされた。これらの女性のうち、21人はがんと診断された−5人(女性1,000人当たりがん3.2個)はマンモグラフィーのみで診断され、19人(女性1,000人当たりがん12個)はマンモグラフィーとMBIにより診断された。特筆されるべきは、MBIを併用することにより浸潤性がんの検出が4倍増加したことである(マンモグラフィー単独では1,000人当たり浸潤性がん1.9個でありマンモグラフィーとMBIでは1,000人当たり8.8個であった)。非浸潤性がんの検出率には有意差はなかった。今回のスタディにおいて、検査の結果偽陽性であったために不必要な生検を施行されるリスクは、マンモグラフィーのみでは100人に1人であったものがマンモグラフィーとMBIでは100人に4人と上昇した。 |
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ある重要な酵素およびそれに関連した代謝プログラミングを標的とすることは肺がんの新たな治療につながる可能性がある [2015-02-03] |
Targeting a key enzyme and its associated metabolic programming may lead to novel treatment for lung cancer |
Journal of Clinical Investigationに掲載されたあるスタディの結果、ある重要な酵素およびそれに関連した代謝プログラミングを標的にすることが肺がん治療の新薬開発につながる可能性のあることが示唆された。研究者らは120人を超える肺がん患者から代謝データを直接収集した。彼らは早期肺がん患者における2つのミトコンドリア酵素の切片上の活性を計測した。これらの酵素ピルビン酸カルボキシラーゼ(PC)とグルタミナーゼは炭素をKrebs回路に補充する。腫瘍組織の外科的切除直前に、安定した重原子で標識化した糖を患者に注射したところ、PCが選択的に活性化されていた−つまり、PC発現は肺がん発症に重要な役割を果たしている可能性がある。分子遺伝学的方法を用いてヒトの肺がん細胞内のPC量を減少させることにより、マウスにおいて細胞増殖の減少、軟寒天培地内でのコロニー形成能低下、および腫瘍増殖率低下が観察された。PC減少はまた細胞の主要な代謝の広範な変化をもたらし、早期段階の代謝再プログラミングにおけるPCの役割が示唆された。PCをいかに標的とするかを確定することは研究者らが新たなより有効な治療戦略を開発する上で役立つ可能性がある。 |
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