進行大腸がん患者においてビタミンDレベルが高いと生存率が著明に良好であった [2015-01-27]
Higher vitamin D levels associated with markedly improved survival in patients with advanced colorectal cancer

遠隔転移を有する大腸がんと新たに診断された患者の第III相試験前向きデータ解析から、ビタミンDレベルが高い患者は化学療法および分子標的治療後の予後が良好であることが示された、とのスタディ結果が2015年ASCO Gastrointestinal Cancers Symposiumで発表された。研究者らは、新たに診断された進行大腸がんに対する3つの異なるファーストライン治療(化学療法+ベバシズマブ、セツキシマブ、またはベバシズマブとセツキシマブ)を比較した第III相試験CALGB 80405の患者1,043人において、登録時に血中ビタミンD (25-hydroxyvitamin D)レベルを計測した。解析のため、患者はビタミンDレベルに基づき5群に分類された。予後因子および健康習慣で補正した結果、ビタミンDレベルが最高であった群の患者はレベルが最も低い群と比較し、生存期間が有意に長かった(平均32.6か月対平均24.5か月)。ビタミンDの高レベルは、無増悪期間の延長にも関連した(最高群12.2か月対最低群10.1か月)。患者が受けた治療のタイプによる有意差は認められなかった。

一部の直腸がん患者は手術のリスクや合併症を避けることで非常に良好なアウトカムを達成できる [2015-01-27]
Select patients with rectal cancer can achieve excellent outcomes while avoiding the risks and complications of surgery

ステージI-III直腸がん患者145人に関する臨床データの後ろ向きレビューの結果、化学放射線療法および全身化学療法後に腫瘍が完全寛解した患者は、即座に手術を施行された場合と待機療法を行われた場合とで4年生存率に差がないことが示された。ステージI-III直腸がんに対し放射線および化学療法を受け腫瘍が完全退縮した患者が待機療法(非手術療法)を施行されるかまたは手術を施行された。この報告の追跡期間中央値は3.3年であった。化学療法および放射線療法の後に臨床的に完全寛解を達成した患者73人において、手術は延期された。これら73人のうち、74%が長期の腫瘍退縮を経験した;26%は腫瘍の再増殖を治療するため最終的に手術を施行された。この患者群の予後は、標準的な直腸手術を受け病理学的完全寛解を来した患者72人の予後と同等であった(4年全生存率は非手術群91%対標準手術群95%)。遠隔転移数は2群間で有意差がなかったと報告されている。このスタディは2015年ASCO Gastrointestinal Cancers Symposiumで発表された。

TRIBE:より強力なファーストライン化学療法とベバシズマブ併用により遠隔転移を有する大腸がんの長期予後が改善する [2015-01-20]
TRIBE: Combining more intensive first-line chemotherapy with bevacizumab improves long-term outcome in metastatic colorectal cancer

遠隔転移を有する大腸がん患者を対象とした第III相TRIBE試験の最新結果から、FOLFOXIRI化学療法とベバシズマブ併用は標準的なFOLFIRI化学療法とベバシズマブ併用よりも優れていることが示された、と2015年ASCO Gastrointestinal Cancers Symposiumで発表された。このスタディにおいて、遠隔転移を有する大腸がん患者508人がFOLFIRIとベバシズマブ併用またはFOLFOXIRIとベバシズマブ併用からなる導入療法の群に無作為に割り付けられた。FOLFOXIRIにはFOLFIRI療法(葉酸、フルオウラシル、およびイリノテカン)に含まれる細胞傷害性薬剤に加えオキサリプラチンが含まれる。約80%の患者において、がんは肝臓に限局しておらず、患者の多くにおいて手術は適さなかった。患者は期間中央値48.1か月の間追跡された。全生存期間中央値は、FOLFIRI +ベバシズマブ併用群に比べFOLFOXIRI+ベバシズマブ併用群において有意に改善した(29.8対25.8か月)。FOLFOXIRI 群の患者4人に1人(24.9%)が治療開始5年後に生存していると推定されたのと比較し、FOLFIRI群では8人に1人であった(12.4%)。この試験は、先行する小規模な第III相試験(GONO)の結果を追認するものであった。

標準的な化学療法にセカンドライン治療としてramucirumabを併用することにより進行大腸がん増悪を遅らせ生存期間を延長する [2015-01-20]
Second-line ramucirumab added to standard chemotherapy delays disease progression and extends survival in advanced colorectal cancer

大腸がんが初回治療中または後に増悪した進行大腸がん患者1,072人を対象とした国際共同第III相試験の新たな結果から、分子標的薬ramucirumabとFOLFIRI化学療法の併用により標準治療であるFOLFIRIのみの場合を超える生存期間への有益性が認められた、との研究結果が2015年ASCO Gastrointestinal Cancers Symposiumで発表された。FOLFIRI(葉酸、フルオロウラシル、およびイリノテカン)は大腸がんに対する標準治療である。オキサリプラチンとフルオロピリミジン系薬剤から成る化学療法とベバシズマブ併用によるファーストライン治療中または後に疾患の進行を認めた遠隔転移を有する大腸がん患者が、FOLFIRI+ramucirumab、および血管新生阻害薬による治療、またはFOLFIRI+プラセボによる治療(各群536人)群に無作為に割り付けられた。腫瘍縮小率は2群間で同等であった(ramucirumab群13.4%対プラセボ群12.5%)が、無増悪進行期間および全生存期間(後者は主要評価項目)はramucirumabにより統計学的有意に改善した。疾患増悪までの期間中央値はramucirumab群の5.7か月に対し、プラセボ群では4.5か月であった。全生存期間中央値はramucirumab群の13.3か月に対し、プラセボ群では11.7か月であった。

乳房の異型過形成を有する女性はこれまで考えられていたよりも乳がんリスクが高い [2015-01-13]
Women with atypical hyperplasia are at higher risk of breast cancer than previously thought

乳房の異型過形成を有する女性はこれまで考えられていたよりも乳がんの発症リスクが高いとのスタディ結果がNew England Journal of Medicineの乳がんに関するスペシャルリポートに掲載される。研究者らは異型過形成−異型性としても知られる−を有し1967〜2001年に生検を施行された女性698人を追跡した。病理組織と医療記録をレビューし、患者の追跡アンケートを用いてどの女性がいつ乳がんを発症したかを確定した。平均追跡期間12.5年後に143人が乳がんを発症した。これらの良性病変を有する女性数百人のデータから、乳がん発症絶対リスクが年1%ずつ増加することが示された。スタディの結果、これらの女性において5年後に7%が乳がんを発症し、10年後にはこれが13%、25年後には30%に上昇することが示された。これらの結果は、異型過形成と診断される年100,000人以上の女性を、綿密なスクリーニングやリスクを軽減する薬剤の恩恵を被る高リスクに分類することになる。

ステージ4肺がん患者における定位放射線療法と化学療法の併用は生存率を2倍以上にする [2015-01-13]
Stereotactic body radiation therapy plus chemotherapy more than doubles survival among stage 4 lung cancer patients

ステージ4肺がん患者の一部において定位放射線療法とある特定の化学療法の併用は生存率を倍以上にするとのスタディ結果がJournal of Clinical Oncologyに報告された。SBRTとして知られる定位放射線療法技術は、小型で境界明確な腫瘍に対し多方向から放射線を集中して照射する療法である。この第2相臨床試験には初回治療中にがんが転移したステージ4非小細胞肺がん(NSCLC)の患者24人が組み入れられた。このような患者は一般的には生存率が低く、また通常これらの患者にはSBRTは使用されない。エルロチニブのみで治療された患者の従来の生存率である6〜9か月に対し、エルロチニブを用いた化学療法とSBRTの併用により全生存期間は20か月に改善した。この併用療法は、同様に選択された肺がん患者における無増悪生存期間を従来の2〜4か月から14.7か月に改善した。この方法はまた、既存の局所病変が新たな遠隔部位に再発するパターンを劇的に変化させた。

胸部X線撮影後の放射線科医による追加画像検査の推奨は新規に悪性腫瘍と診断される確率を高める [2015-01-06]
Radiologist recommendations for additional imaging after chest X-rays reveal high percentage of newly-diagnosed malignancies

外来胸部X線検査における異常所見の評価のために放射線科医により胸部CTを推奨された患者では、かなりの確率でがんを含む臨床的に意義のある所見を有する、との新たなスタディ結果がRadiologyオンライン版に掲載された。この論文の背景情報によると、放射線科医がさらに画像検査の施行を推奨したものの半分以上が胸部X線検査による画像診断に起因するものであった。研究者らは、大規模な大学病院において1年間に施行された外来胸部X線のレポート29,000件超を調査し、胸部CTが推奨された検査を同定した。その結果、外来胸部X線を読影した放射線科医は4.5%の症例において胸部CTを推奨した。患者の年齢が上昇し喫煙歴を有するほどCT推奨率が高かった。指標となったX線撮影から1年以内に施行された胸部CTを観察すると、41.4%において該当する治療やさらなる精査の必要な異常所見が検出されていた。13件に1件において、該当する部位に異常が認められ、生検で証明された悪性腫瘍が新たに診断された。放射線科医による胸部X線撮影後画像検査の推奨は患者の治療において重要な貢献をすると研究者らは結論付けている。

窒素含有ビスホスホネート製剤は子宮内膜がんリスクを低下させるようである [2015-01-06]
Nitrogen form of bisphosphonates appear to reduce the risk of endometrial cancer

ビスホスホネートを使用している女性は使用していない女性に比べ子宮内膜がんリスクが約半分である。CANCERオンライン版に掲載されたこのスタディは、この種の薬剤の抗がん効果を示した他のスタディを支持するものである。ビスホスホネートは骨吸収を抑制することが知られているが、前臨床試験ではこの薬剤が腫瘍細胞の増殖や正常組織への浸潤を抑制するなどの抗腫瘍効果を有することも示している。ビスホスホネートが子宮内膜がん予防に役立つか否かを評価するために研究者らは、National Cancer Institute's PLCO (Prostate, Lung, Colorectal, and Ovarian) Screening Trialの情報を評価した。窒素含有のビスホスホネートのみが強力な抗がん活性を有することが知られているため、これらのデータのみを解析した。計29,254人の女性が解析に含まれた。年齢、人種、ホルモン療法歴、喫煙、およびボディーマスインデックスなどの因子で補正した結果、ビスホスホネート使用者は子宮内膜がん発症率が半分であった。骨強化剤が必要で子宮内膜がんリスクが高い女性は、子宮内膜がんリスクを低下させる可能性のある窒素含有ビスホスホネートを選択するのがよいと思われる、と筆者らは示唆している。