◆ |
グループ療法は心血管系の健康を促進する有効で費用対効果の高い方法である [2015-11-24] |
Group therapy is an effective and cost-efficient way to promote cardiovascular health |
グループ療法に基づいた治療行為は心血管系リスクファクターの全般的な改善を達成する、と2015年American Heart Association学会で発表され、Journal of the American College of Cardiologyに掲載された。3か月にわたり、全参加者は健康的な生活習慣を促進する目的でトレーニングおよび動機付けグループセッションに参加した。その後、参加者は2群(介入群277人およびコントロール群266人)に分けられた。次の12か月間に、介入群は態度や行動の変容を促進する目的で月1回のグループ治療セッションに参加した。同じ期間中、コントロール群は個別の定期検診を受けるのみであった。プログラムスタート時のトレーニングセッション終了後、割り付けられた群に関係なく、多くの参加者(71%)においてFuster-BEWATインデクスが改善した。しかし次のステージでは、介入群とコントロール群とで有意差が認められた。介入群では、67%の参加者が心血管リスクファクターの改善を示したのに対し、コントロール群では56%であった。禁煙した者は介入群においてほぼ2倍であった(39%対20%)。同様に、介入群の46%において運動レベルが増加した。 |
 |
◆ |
MI-GENES:心血管疾患の遺伝子リスク情報を開示することはLDLコレステロール値低下につながる [2015-11-24] |
MI-GENES: Disclosing genetic risk information for cardiovascular disease leads to lower LDL cholesterol levels |
冠動脈疾患(CHD)に対する遺伝子リスクを開示することにより低比重リポ蛋白(LDL)コレステロールが低下する、と2015年American Heart Association学会のlate-breaking clinical trialとして発表された。心筋梗塞関連遺伝子(MI-GENES)スタディは、既知の動脈硬化性血管疾患を有さずスタチンを内服しておらず中等度のCHDを有する45〜65歳の207人を対象とした。10年間の心筋梗塞(MI)確率は5〜20%であった。対象者は、従来のリスクファクターのみに基づく10年心疾患リスクを開示される群と、従来のリスクファクターと遺伝子リスクスコア(GRS)を開示される群とにランダムに割り付けられた。GRSはCHDに関する28の遺伝子変異から導き出された。両群ともに、心疾患リスクは遺伝子カウンセラーから開示され、その後スタチン使用に関して医師と相談した。リスク開示から6か月後の血中LDLレベルは、遺伝子リスク情報を開示された群で約10mg/dL低かった。この患者群では、スタチン治療を開始された者が多かったことによりLDLレベルが低下した。今回のスタディは、遺伝子リスク情報を開示することはそれに関連した健康上の転帰の変化をもたらし得ることを示している。 |
 |
◆ |
2型糖尿病患者においては低強度運動よりも短時間の高強度運動の方が心血管リスクファクターを改善する [2015-11-24] |
Burst exercise improves cardiovascular risk factors more than lower-intensity exercise for patients with type 2 diabetes |
2型糖尿病患者において短時間の高強度運動は30分間の持続性の低強度運動よりもコレステロール、血糖および体重を改善した、と2015年American Heart Association学会で発表された。このスタディは、2型糖尿病の診断後直後にスタディに組み入れられた患者76人(男性70%、平均年齢67歳)を対象に施行された。患者は、目標とした65%の心拍数で30分間の運動を週5回行う群、または85%の心拍数で10分間の運動を週5回行う群にランダムに割り付けられた。3か月後に、10分間の短時間の高強度運動により3か月の血糖パターンが0.82%低下したのに対し、持続性の低強度運動を行った群では単に0.25%低下したのみであった。短時間運動群患者は実質的により運動する結果となり、全体でHbA1c値が2.3倍改善し、ボディーマスインデックスが3倍減少した。短時間運動患者はまた、コレステロール値や負荷試験で計測した心臓適応能の改善が大であった。 |
 |
◆ |
認識されていないMI患者の多くにおいて、心電図検査や臨床評価から心筋瘢痕は検出されない [2015-11-24] |
Myocardial scars not detected by electrocardiography or clinical evaluation for most people with an unrecognized MI |
多人種の中年以降を対象としたスタディにおいて、心筋瘢痕保有率は約8%であったが、そのうち約80%は心電図検査や臨床評価では認識されなかった、と2015年American Heart Association学会で発表されJAMAに掲載された。研究者らは心臓磁気共鳴画像(CMR)を用いて心筋瘢痕保有率を調査した。参加者は多人種、スタディ開始時の2000〜2002年に45〜84歳であり、臨床上の心血管疾患(CVD)は有していなかった。10年後(2010〜2012年)の調査において、参加者1,840人(平均年齢68歳;男性52%)が心筋瘢痕検出のためガドリニウムを用いたCMR画像検査を施行された。スタディ開始時および10年後に心血管疾患リスクファクターおよび冠動脈石灰化(CAC)スコアが計測された。CMRにより検出された心筋瘢痕保有率は7.9%(1,840人中146人)であった。これまで認識されていなかった心筋瘢痕は6.2%であり、1.7%は臨床的に認識されたMIであった。したがって、78%(146人中114人)の心筋瘢痕は臨床的または心電図(ECG)評価では認識されなかった。男性の方が女性よりも心筋瘢痕保有率が高かった(12.9%対2.5%)。 |
 |
◆ |
小児心臓移植における3D復元はドナーのサイズマッチングを改善する可能性がある [2015-11-24] |
Potential of 3D reconstruction to improve donor size matching in children receiving heart transplants |
新たな3Dコンピュータモデリングシステムは、心移植を受ける小児に対する最良のサイズのドナー心臓を外科医が選択する能力を有意に改善する可能性がある、と2015年American Heart Association学会で発表された。今のところ移植センターでは、可能性のあるドナー心をドナーの体重とレシピエントの体重を比較し患者の胸部X線上の心臓サイズに基づき上限と下限を拾い上げ適合性を評価している。しかしこの評価法は正確ではなく、大きさや容積の差異がレシピエントの転帰に多大な影響を与え得る。今回の新たな3Dシステムを開発するために研究者らは、99パウンドまでの小児において、MRIおよびCT画像を用いた健常小児の3Dによる心臓復元の新しいライブラリーを作成した。その後、このライブラリーを用いて小児移植レシピエントが必要とする正しい心臓サイズを確実にするための最良のドナー体重を予測した。そして既に心移植を受けた小児の移植前後の画像を用いた。実際に移植された小児の術後データと移植仮想イメージを比較すると、3D画像システムは正確に適切な大きさの心臓を見極めることが明らかになった。 |
 |
◆ |
心臓マッサージを継続することと人工呼吸のために心臓マッサージを中断することを比較したスタディにおける予想外の結果 [2015-11-24] |
Unexpected findings in study of continuous pumping vs. interrupting manual chest pumping for rescue breathing |
院外CPRに対し緊急の医療レスポンダーが心臓マッサージを継続して行うことは、心臓マッサージを中断して人工呼吸を行うことと比較し生存に関する有益性は得られなかった、と2015年American Heart Association学会で発表されNew England Journal of Medicineに掲載された。心停止後生存し退院した患者において持続心臓マッサージはまた、脳機能保護においても優れてはいなかった。今回のクロスオーバートライアルには院外心停止を来した患者23,711人が含まれ、うち12,653人は持続心臓マッサージ(1分間当たり約100回と手動換気1分間10回)を行われる介入群であり、11,058人は心臓マッサージを中断される(30回心臓マッサージを行い中断し換気を2回行った後心臓マッサージを再開)コントロール群であった。これらの患者において、介入群のうち1,129人つまり9%、およびコントロール群のうち1,027人つまり9.7%が生存し退院した。患者は退院前に機能状態をRankin スケールスコアで評価された。神経学的機能スコアが良好な状態で退院した患者は、コントロール群で7.7%であり介入群で7%であった。 |
 |
◆ |
SPRINT:試験の結果、強化降圧管理が有意に有益であることが示された [2015-11-17] |
SPRINT: Study shows significant benefits of intensive blood pressure management |
降圧目標を収縮期血圧120mmHg未満の達成とした患者は心筋梗塞(MI)、心不全または脳卒中のリスクが24%低く死亡リスクは27%低かった、とのSystolic Blood Pressure Intervention Trial(SPRINT)試験の結果がAmerican Heart Association学会で発表され、New England Journal of Medicineオンライン版に掲載された。SPRINTでは9,300人超の人々を、2つの降圧目標(120mmHg未満または140mmHg未満)のいずれかにランダムに割り付けた。参加者は50歳以上、心血管系疾患リスクが高く、収縮期血圧が130mmHg以上、糖尿病や脳卒中歴は有していなかった。特に最初の1年間に、スタディ中の血圧は降圧薬で調整された。その結果、降圧目標120mmHg未満に割り付けられた群において主要評価項目である心血管イベントが25%、総死亡が27%減少したと報告された。積極的治療は75歳以上の高齢者においても50〜74歳の成人と同様に有効な様であった。このトライアルは1年早く終了された。 |
 |
◆ |
EMPA-REG OUTCOME:新たなクラスの2型糖尿病治療薬は心不全による入院および死亡を減少させる [2015-11-17] |
EMPA-REG OUTCOME: New class of type 2 diabetes drug reduces hospitalizations and deaths from heart failure |
新たなクラスの2型糖尿病治療薬(SGLT2阻害薬)が心不全による入院および死亡を有意に低下させることが初めて示された。SGLT2阻害薬は尿中への糖排泄を増加させることにより血糖値を低下させる。EMPA-REG OUTCOMEとして知られる大規模臨床試験から得られたこの結果は、2015年American Heart Association(AHA)学会で発表された。心疾患リスクファクターを有する2型糖尿病患者が、標準治療に加えエンパグリフロジン(10mgまたは25mg)またはプラセボを1日1回内服する群のいずれかにランダムに割り付けられた。実薬投与群では、プラセボ投与群に比べ体重減少に加え血糖値および血圧低下が大であった。さらに、心不全による入院(35%)、心不全による入院および心疾患による死亡の合計(34%)、および心不全による入院および死亡(39%)が有意に減少したことも明らかにした。AHA学会でのこの結果は、9月に European Association for the Study of Diabetes年次集会で初めて発表された結果を敷衍したもので、New England Journal of Medicineに掲載された。 |
 |
◆ |
SOCRATES-REDUCED:Vericiguatは増悪した慢性心不全患者のナトリウム利尿ペプチド濃度を改善する [2015-11-17] |
SOCRATES-REDUCED Study: Vericiguat improves natriuretic peptide levels for patients with worsening chronic heart failure |
初回解析で主要評価項目の達成はできなかったが、左室駆出率(LVEF)の低下した慢性心不全の増悪(WCHF)患者で1日10mgのvericiguatを投与された患者はプラセボ群に比べ、NT-proBNP低下およびLVEFの改善が大で、臨床イベントが少なかった。SOCRATES-REDUCEDは、LVEF<45%でWCHFイベント後4週以内の安定した患者を対象とした第II相用量設定試験であった。研究者らは、LVEFの低下したWCHF患者456人をプラセボまたはvericiguatを4種類の1日用量のうちのいずれかを12週間投与される群にランダムに割り付けた。初回解析において、ベースラインから12週後までのNT-proBNP値の変化は、統合vericiguat群とプラセボ群とで有意差はなかった。二次解析の結果から、vericiguatの用量が大きいほどNT-proBNP値低下が大きいという用量反応関係が示唆された。今回の用量設定のように、1日10mgまでのvericiguatは安全で12週後の血圧や心拍数には有意な影響がなかった。この結果は2015年American Heart Association学会で発表され、同時にJAMAに掲載された。 |
 |
◆ |
NEAT-HFpEF:心不全患者に対する一般的な薬剤は活動レベルを増加させない [2015-11-17] |
NEAT-HFpEF: Common medication for heart failure patients does not increase activity level |
心駆出率の保たれた心不全(HFpEF)患者は、硝酸イソソルビド内服後に運動してもプラセボを内服した場合と比べ運動耐容能が増加することはなかった、と2015年American Heart Association学会で発表され同時にNew England Journal of Medicineに掲載された。Nitrate's Effect on Activity Tolerance in Heart Failure with Preserved Ejection Fraction(NEAT-HFpEF)試験と呼ばれる、多施設共同、ランダム化二重盲検、2期間、12週間のクロスオーバー試験では、HFpEF患者110人が調査された。患者は2つの治療群(プラセボ6週間投与後に硝酸イソソルビド6週間投与、または硝酸イソソルビド6週間投与後にプラセボ6週間投与)のいずれかにランダムに割り付けられた。いずれの群の患者も入浴時や水泳時以外は加速度計を1日24時間装着し、間欠的な運動試験を施行された。全ての用量(30〜120mg)の実薬群内服中の1日当たり全体の活動量は、プラセボ内服期間と比較し少なかった。ベースラインと比較し、平均1日加速度計単位は硝酸薬の用量が増加するにつれて減少したが、プラセボにおいてはそうではなかった。さらに、硝酸薬は運動試験(6分間歩行距離)やQOLスコアも改善しなかった。 |
 |
◆ |
重度の虚血性僧帽弁閉鎖不全症患者に対しては僧帽弁形成術より置換術の方が信頼できる [2015-11-17] |
Mitral valve replacement is more reliable than repair for patients with severe ischemic valve regurgitation |
2015年American Heart Association学会で発表されNew England Journal of Medicineに掲載されたスタディにおいて、Cardiothoracic Surgical Trials Network(CTSN)の研究チームが虚血性僧帽弁閉鎖不全症(IMR)に対し、僧帽弁置換術を施行された患者は僧帽弁形成術を施行された患者に比べ、術後2年間の心不全率が低く心血管関連の再入院が少ないことを明らかにした。研究者らは251人の患者を術後2年間にわたり追跡し、IMR治療としての僧帽弁形成術と僧帽弁置換術とを比較した。22の臨床施設において、研究者らは左室収縮末期容積指標をモニターし患者の左室リバース・リモデリングを評価した。2年間の期間終了時、患者は脳卒中、その後の僧帽弁手術、心不全、再入院、閉鎖不全再発、QOLおよび死亡率についても評価を受けた。手術2年後の左室リバース・リモデリングまたは生存率は、僧帽弁形成術患者と僧帽弁置換術患者とで差がなかった。しかし、弁逆流の再発は形成術群で多く、それにより心不全イベントや心血管系再入院が多くなった。 |
 |
◆ |
CANOA:クロピドグレルとアスピリンの併用により心房中隔欠損症に対するカテーテル閉鎖術後の片頭痛の発現および回数が減少する [2015-11-17] |
CANOA: Clopidogrel plus aspirin reduces occurrence and number of migraines following transcatheter closure of an atrial septal defect |
クロピドグレルとアスピリンの併用を3か月間行うことで心房中隔欠損症(ASD)に対するカテーテル閉鎖術を施行された患者の片頭痛の頻度が減少した、とのCANOA試験の結果が2015年American Heart Association学会で発表され同時にJAMAに掲載された。カテーテルを用いたASD閉鎖術後患者の約15%において片頭痛発作の新規発症が認められ、初回エピソードの多くは施術後数日から数週間以内に発症すると報告されている。研究者らは、ASD閉鎖術の適応で片頭痛歴のない患者171人を抗血小板薬2剤併用療法(アスピリン+クロピドグレル[クロピドグレル群]、84人)または抗血小板薬単剤療法(アスピリン+プラセボ[プラセボ群]、87人)にランダムに割り付け、カテーテルを用いたASD閉鎖術後3か月間追跡した。クロピドグレル群では施術後3か月以内の1か月当たりの片頭痛平均日数がプラセボ群よりも減少し(0.4日対1.4日)、片頭痛発作頻度が低かった(クロピドグレル群9.5%対プラセボ群22%)。片頭痛発現患者においては、クロピドグレル群の方が重症度が低かった。 |
 |
◆ |
血管内血栓除去術はtPA静脈内投与よりも脳卒中後の機能的転帰を改善した [2015-11-10] |
Endovascular thrombectomy associated with improved functional outcomes following stroke compared to intravenous tPA |
急性虚血性脳卒中患者において、血管内血栓除去術は組織プラスミノーゲン活性化因子(tPA)の静脈内投与よりも機能的転帰を改善し90日後の機能的自立度を高めたが、症候性脳内出血や総死亡率に関しては有意差がなかった、とJAMA 11月3日号に掲載された。研究者らは急性虚血性脳卒中患者計2,423人(平均年齢67歳、女性47%)を対象とした8つのトライアルのメタ解析を行った。これらの患者のうち1,313人は血管内血栓除去術を施行され、1,110人はtPAを用いた標準治療を施行された。血管内治療は機能的転帰評価において有意な治療有益性をもたらした。90日後の機能的自立度は、血管内治療群患者の45%に認められたのに対し、標準治療群患者では32%であった。標準治療と比較し、血管内血栓除去術は動脈造影上の24時間以内血行再建率が有意に高かったが、症候性脳内出血率(5.7%対5.1%)および90日以内の全死因死亡(218件[16%]対201件[8%])には有意差がなかった。 |
 |
◆ |
プライマリケアにおける薬剤師‐医師の連携は有効かつ安価に血圧を改善する [2015-11-10] |
Pharmacist-physician collaboration in primary care effectively and inexpensively improves blood pressure |
多様な患者群の血圧をコントロールするための薬剤師‐医師の連携は、血圧コントロール率を改善する費用対効果の高い方法である、とHypertensionに掲載された。今回のスタディでは、32の診療所の血圧コントロール不良患者625人を対象とした。患者は9か月間の薬剤師‐医師介入プログラム群または通常治療を受けるコントロール群にランダムに割り付けられた。介入群では臨床薬剤師が患者の医療記録を閲覧し患者に電話連絡をし、通常の医師の対面診察を受けた。薬剤師はケアプランを作成し、医師に薬剤調整の助言を行った。今回のスタディでは、薬剤師は診療所で働き医師と直接顔を合わせていた。連携介入9か月後、平均収縮期血圧および平均拡張期血圧はコントロール群よりもそれぞれ6.1mmHgおよび2.9mmHg低かった。血圧コントロール率は介入群で43%、コントロール群では34%であった。介入群の方がコントロール群よりも医療費が高かったが、これは主に処方薬の薬価が高いためであり、薬剤師の人件費によるものではなかった。 |
 |
◆ |
動脈硬化性プラークを有する患者の同定にはストレス試験よりもCT冠動脈造影の方が優れている [2015-11-02] |
CT angiography better at identifying patients with atherosclerotic plaque than stress tests |
Circulation: Cardiovascular Imagingに掲載された直接比較の結果、心筋梗塞の原因となり得る冠動脈狭窄の検出において非侵襲的心血管CTスキャンは、胸痛患者の多くに一般的に用いられている運動負荷試験よりもはるかに優れていることが示された。今回のスタディにおいて、8か国16病院で診療された45〜85歳の患者391人が非侵襲的CT冠動脈造影を施行され、その後、従来のカテーテル冠動脈造影を施行された。各患者は2か月以内に運動負荷試験も施行された。全ての患者が心疾患を示唆する症状を有していたが、全員が心疾患の診断を過去に受けていたわけではなかった。全体で、非侵襲的CT冠動脈造影は91%の患者において冠動脈狭窄を正確に検出または除外したのに対し、負荷試験におけるその割合は69%であった。従来の冠動脈造影で非常にハイリスクの狭窄を検出された患者111人のサブグループにおける検査の成績を解析した結果、CT冠動脈造影の診断精度は96%に上昇したのに対し、負荷試験では80%であった。その精度の高さから研究者らは、冠動脈狭窄が疑われる症状を有する人々においてはCT冠動脈造影の方がファーストライン検査として優れている可能性がある、と述べている。 |
 |
◆ |
脳卒中に対する血栓溶解術後脳内出血の治療は院内死亡率を低下させない [2015-11-02] |
Treating intracerebral hemorrhage after thrombolysis for stroke does not reduced likelihood of in-hospital death |
脳卒中に対する血栓溶解術後の症候性脳内出血(sICH)に対する治療は院内死亡または血腫拡大の割合を低下させず、診断および治療までの時間の短縮が予後改善に重要である可能性がある、とJAMA Neurologyオンライン版に掲載された。sICHは、リコンビナント組織型プラスミノーゲン活性化因子(rtPA)を用いた経静脈的血栓溶解療法のまれな合併症ではあるが、死亡率は高く50%近い。研究者らはrtPAで治療された患者3,894人のデータを解析した;うち128人(3.3%)がsICHを発現した。これらの患者のうち38.2%(49人)はsICHに対する何らかの治療を受け、28.9%(37人)はsICHの診断後24時間以内にcode statusを緩和医療に切り替えた。最も一般的に使用された治療は凍結血漿クリオ製剤(31%[128人中41人])であった。院内死亡率は52.3%(128人中67人)であり、26.8%(82人中22人)において血腫の拡大が認められた。sICH後の緩和医療へのcode statusの変更のみが院内死亡率上昇の因子であった。 |
 |