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子癇前症と小児先天性心疾患リスクとの関連を理解する [2015-10-27] |
Understanding relationship between preeclampsia and risk of congenital heart defects in infants |
母親と幼児の組み合わせを解析することにより、子癇前症はその子供の非致死的心疾患と有意に関連があり、34週以前に発現した子癇前症は重症の心疾患と関連のあることが示された、とJAMA 10月20日号に掲載された。研究者らはカナダQuebec州における退院前(1989〜2012年)の生児出生の解析を行った(新生児1,942,072人)。重症または非重症の出生時先天性心疾患の有無と子癇の有無とを比較調査した。心疾患率は新生児1,000人当たり8.9であった。新生児心疾患率は子癇前症を有する女性の方が有さない女性よりも高かった(1,000人当たり16.7対8.6)。リスクは大動脈、肺動脈、弁、心室および中隔など、心臓全般の器質により上昇した。子癇前症を有する女性の子供は子癇前症を有さない女性の子供に比べ、重症心疾患有病率は高くなかったが非重症心疾患有病率は高かった。後期発症子癇前症の女性の子供と比較し、早期(< 34週)発症子癇前症の女性の子供は重症および非重症心疾患有病率が高かった。先天性心疾患の絶対リスクは低かった。 |
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ペースメーカーは心房細動を検出し、脳卒中治療開始を可能にする [2015-10-27] |
Pacemakers identify atrial fibrillation and enable initiation of stroke prevention treatment |
ペースメーカーは無症候性心房細動を検出し、脳卒中予防目的の抗凝固療法開始を可能にするとの研究結果が2015年Acute Cardiovascular Careで発表された。ペースメーカーは無症候性AFを検出し得るが、この目的でルーチンに監視されることはない。研究者らは、ペースメーカーを5年間植え込まれ、植え込み前にはAFと診断されていなかった患者223人を調査した。追跡期間中、病院の研究者らはAFが持続している患者数およびAFを来したがその後正常洞調律に復した患者数を計測した。AFを有していることが発見された患者においては、CHA2DS2-VAScスコアを用いて脳卒中リスクが計算され脳卒中予防の抗凝固療法が必要な患者数が計測された。追跡期間中に36人において少なくとも1回のAFが検出され、うち27人(スタディ対象者の12%)はルーチンのペースメーカーチェック時に検出された。27人のうち、ちょうど3分の1が洞不全症候群に対し、残りの3分の2は房室ブロックに対しペースメーカーが植え込まれていた。CHA2DS2-VAScスコアに基づき、脳卒中予防の抗凝固療法が必要であったのは27人中1人を除く全員であった。 |
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小児期のスクリーニングは成人期に高血圧を発症する可能性のある若年者の見極めに役立つ [2015-10-20] |
Childhood screening helps identify young people who may develop hypertension as adults |
38歳までに高血圧や関連するその他の疾患リスクを有する集団は、小児期に同定できることがHypertensionに掲載された新たな研究結果から示唆された。7〜38歳の間に収集された血圧の情報を用いて、研究者らはスタディ対象者を4つの異なる血圧群のいずれかに振り分けた。その結果、3分の1以上の人々が中年早期までに臨床的に高血圧を発症するリスクが高かった。また、高リスク血圧群となる確率を上昇させる多くの若年期因子も同定することができた。これらには、男性であること、高血圧家族歴を有すること、第1子であることおよび出生時体重が小さいことなどであった。スタディではまた、ボディマスインデックスが高値であることや喫煙により、特に血圧が高いグループにおいて時間とともに血圧が上昇することも示された。高血圧群ではまた、高コレステロールなどの他の望ましくない疾患を38歳までに有している割合が高かった。 |
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女性において閉塞性睡眠時無呼吸は心不全発現および死亡と関連がある [2015-10-20] |
Obstructive sleep apnea associated with incident heart failure and death in women |
Circulationに掲載された研究結果から、閉塞性睡眠時無呼吸とその後の心血管疾患発症との関連に性差が存在すること、および女性において睡眠時無呼吸は心筋傷害の早期所見情報を提供するマーカーである血中トロポニン(hs-TnT)値が高いことと関連があることが示された。研究者らは、初回調査の時点で心疾患を有していなかった1,625人において、睡眠時無呼吸、心疾患の早期所見を提供する心筋マーカー、および有害心事象発現との関連を評価した。スタディ開始時(平均年齢約63歳)、男性の23%および女性の10%が診断未確定の中等度から重度の睡眠時無呼吸を有していた。14年の追跡期間中に、46%の男性および32%の女性が有意な心イベント、死亡、または心肥大を来した。中等度から重度の睡眠時無呼吸を有する女性は、有さない女性に比べこれらの有害心事象を来す割合が30%以上高かった。これらの関連性は男性においては統計学的に有意ではなかったことから、今回調査された男性においては年齢、肥満、高血圧および糖尿病などの因子が、観察された心疾患の主なリスクであったことが示唆される。 |
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非心臓手術施行患者において降圧薬β遮断薬は心血管系リスクを上昇させる可能性がある [2015-10-13] |
Antihypertensive β-blockers may increase cardiovascular risks in patients undergoing noncardiac surgery |
デンマークの非心臓手術施行患者を対象にしたスタディにおいて、β遮断薬を含む2種類の降圧薬の使用により主要心血管イベント(MACE)および死亡のリスクが上昇した、とJAMA Internal Medicineに掲載された。研究者らは、少なくとも2種類の降圧薬(β遮断薬、サイアザイド、カルシウム拮抗薬またはレニン-アンジオテンシン系[RAS]阻害薬)で治療を受けている合併症を伴わない高血圧を有し非心臓手術を施行されるデンマーク患者の院内記録および院外薬物療法を調査した。2005〜2011年に計55,320人の高血圧患者がデンマークにおいて非心臓手術を施行された;ベースラインの臨床背景はβ遮断薬で治療された患者14,644人とその他の降圧薬で治療された患者40,676人とで類似していた。30日間のMACE発生率はβ遮断薬で治療された患者で1.32%であり、死亡率は1.93%であったのに対し、その他の降圧薬による治療患者ではそれぞれ0.84%対1.32%であった。RAS阻害薬、カルシウム拮抗薬およびサイアザイドと併用しβ遮断薬を使用するとMACEリスクが上昇した。この結果は総死亡においても同様であった。結果によると、β遮断薬使用によるMACEリスクは緊急手術を施行された70歳以上の男性において特に顕著であった。 |
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弁の血栓の検出には経胸壁心エコーより高分解能4次元CTの方が優れている [2015-10-13] |
Four-dimensional high resolution CT superior to transthoracic cardiac echocardiography for detection of valve leaflet clots |
長年にわたり生体弁は血栓形成合併症を来さないと考えられてきた。今回、開心術または低侵襲カテーテル術のいずれにより弁置換されたかにかかわらず、生体大動脈弁患者の中に弁の閉鎖不全に影響する血栓が発現したことが明らかにされた、とNew England Journal of Medicineに掲載された。研究者らはカテーテル手術または開心手術により弁置換された患者187人を追跡した。全ての患者が4次元CT血管造影により弁機能の評価を受けた。弁置換後患者全体の約15%において弁に血栓が発現した。弁または弁置換手技にかかわらず、大多数の患者においてワルファリンのような抗凝固薬により血栓は消失した。無治療の弁の血栓により完全な脳卒中ではなく一過性脳虚血発作の発症が増加する可能性についての指摘があったが、これに関しては結論が出ておらず、さらに研究が必要である。筆者らは生体弁置換される患者全てに抗凝固薬を投与することは推奨していないが、最良の薬物治療法を決定するさらなるスタディを施行すべきであると提言している。 |
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天然に生成される一部のトランス脂肪酸は心臓突然死リスクを低下させる [2015-10-06] |
Some naturally occurring trans fatty acids associated with lower risk of sudden cardiac death |
低レベルのトランス脂肪酸(TFA)は、たとえ工業的に生産されたものであっても、これまでに考えられていたより人の健康に対し有害ではなく、乳製品や肉製品などで天然に生成されたものであればむしろ有益である可能性がある、とEuropean Heart Journalに掲載された。研究者らはLudwigshafen Risk and Cardiovascular Health(LURIC)スタディの参加者3,316人の赤血球膜内のTFA濃度を測定した。天然生成TFA濃度が最も高い者(0.2%超)は、濃度が最も低い者よりも心臓突然死リスクが37%低かった。赤血球膜内TFA濃度が高いことはLDLが高いことと関連があったが、BMIが低いことおよび中性脂肪が低くインスリン抵抗性が低く、したがって糖尿病リスクが低いことと関連があった。驚くべきことに、天然生成TFAは総死亡リスクが低いことと関連があり、これは主に心臓突然死リスクが低いことによるものであった。その他の総TFA、工業的生成TFAまたは天然生成TFAと死亡との関連は、交絡因子で補正した後、ほとんど有意ではなかった。 |
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妊娠合併症は後の心血管系疾患死リスクのサインである可能性がある [2015-10-06] |
Pregnancy complications may signal later risk of dying from cardiovascular disease later in life |
妊娠中に合併症を有していた女性は、合併症のなかった女性に比べ、後に心血管系疾患(CVD)で死亡するリスクが高いとCirculationに掲載された。研究者らは1959〜1967年の妊婦15,528人のデータを解析した。2011年の時点で368人(平均年齢66歳)がCVDで死亡した。研究者らは、他のスタディで報告された複数のCVD関連妊娠合併症(子癇前症、早期産および出生時妊娠月齢に比し低体重であること)について確認したが、今回妊娠早期の子癇前症は60歳前の早期CVD死亡を強く予測することが明らかにされた。また、CVD死亡リスクが妊娠イベントの合併により有意に増加することも示された:高血圧の既往(妊娠20週までに診断)を有し早期産であると7.1倍;高血圧既往があり子癇前症を有すると5.6倍;高血圧の既往、出生時妊娠月齢に比し低体重であると4.8倍;妊娠高血圧および早期産があると5倍であった。さらに、女性のCVDリスクを上昇させる2つの新たな妊娠合併症を同定した:尿糖を有する女性では4.2倍でありヘモグロビンが低下すると1.7倍であった。妊娠合併症を経験した女性は早期の積極的な心血管疾患予防介入のターゲットとされるべきである、と筆者らは提言している。 |
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