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男性において1日20分のウォーキングまたはサイクリングは心不全リスク軽減において最大の効果を発揮する [2015-08-25] |
Walking or biking 20 minutes per day has greatest impact on lowering risk of heart failure in men |
中等量の身体活動、特にウォーキングやサイクリングを行う男性はそれよりも低レベルまたは高レベルの運動を行う男性よりも後の心不全リスクが低い、とのスタディ結果がJournal of the American College of Cardiology: Heart Failureに掲載された。研究者らはスウェーデン男性のコホートの33,012人を追跡した。登録時、参加者(平均年齢60歳)は職場や自宅における活動性、ウォーキングまたはサイクリング、および過去1年間や30歳頃の運動強度に関するアンケートに回答した。全体で、身体活動強度が最も低いおよび最も高い男性は、中等度の身体活動レベルの男性と比較し心不全リスクがそれぞれ47%および51%高かった。1日20分のウォーキングまたはサイクリングにより、リスク軽減が最大であった。スタディ期間中に心不全と診断された男性のうち、ウォーキングやサイクリングに1日20分以上費やした者はそれよりウォーキングやサイクリングに費やす時間が少なかった者よりも約8か月高齢であった。30歳の時点で活動性が高かったがスタディ組み入れ時には活動性が低かった者では、心不全リスクの低下は認められなかった。 |
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安定虚血性心疾患患者においてトロポニン高値は心血管リスクを倍にする [2015-08-25] |
High troponin levels doubles risk of cardiovascular events in patients with stable ischemic heart disease |
患者が心筋梗塞(MI)を有しているかを判断するのに用いられる一般的なマーカーが致死的心イベント高リスクの安定虚血性心疾患患者を見極めるのに使用することができるとのスタディ結果が、 New England Journal of Medicineに掲載された。研究者らは2型糖尿病と安定虚血性心疾患を有する患者2,200人超において、高感度電気化学発光(ECL)法を用いて血中トロポニン濃度を計測した。トロポニン高値( トロポニンT濃度14 ng/L以上)の患者は対照と比べ、5年以内にMI、脳卒中または他の心血管系疾患で死亡する確率が2倍であった。5年後に、トロポニンTが異常値であった患者の27%がMI、脳卒中、または心血管系の原因によって死亡したのに対し、トロポニン値が正常範囲内であった者におけるその割合は13%であった。この関連性は、可能性のある様々な交絡因子でデータを補正した後も強く認められた。トライアルに参加した患者の半数が緊急冠動脈血行再建術を施行されたが、この施術によりトロポニン上昇安定虚血性心疾患患者の心血管関連死は減少せず、トロポニン値も低下しないようであった。 |
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2つの薬剤の併用で心筋梗塞の発症が予防できる [2015-08-11] |
Preventable onset of myocardial infarction through coadministration of two drugs |
日本の科学者が、2つの薬剤を併用することで冠動脈プラーク退縮と脂質低下効果が得られる可能性があることを明らかにした、との研究結果がJournal of the American College of Cardiology オンライン版に掲載された。研究者らは、LDLコレステロール値が100mg/dL以上で、経皮的冠動脈インターベンションを施行された患者を調査した。患者はスタチン単独群とスタチン+エゼチミブ併用群に分けられた。9〜12か月後の平均LDLコレステロール値はスタチン単独群で109.8mg/dLから73.3mg/dLに低下したのに対し、併用群では108.3mg/dLから63.2mg/dLに低下した。つまり、単剤治療群ではコレステロールが29%低下したのに対し、併用群では40%低下した。さらに、粥腫体積は2群間で有意に異なった。併用群患者は単独群に比べ、血管のネガティブリモデリングがより大であり著明なプラーク退縮を示した。この効果はこれまでの治療よりも強力であり、心筋梗塞や狭心症などの心血管疾患発症予防に向けた新たな治療法となり得る。 |
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心房細動と心筋梗塞を有する患者において3剤併用療法と2剤併用療法のイベント率は同等である [2015-08-11] |
Triple therapy has same event rate as dual therapy in patients with atrial fibrillation and myocardial infarction |
心筋梗塞(MI)に対し血管形成術を施行された高齢心房細動患者における主要心血管イベント予防に関して、3剤併用抗血小板療法は2剤併用療法に比べ優れてはおらず、3剤併用療法で合併症が多かったとのスタディ結果がJournal of the American College of Cardiology 8月3日号に掲載された。研究者らは、心房細動の既往歴を有しMIで来院し血管形成術およびステント留置により治療された65歳以上の患者約5,000人の医療記録を調査し、死亡およびMIまたは脳卒中および出血による再入院などの主要心血管イベントを調査した。3剤併用療法において約28%の患者が退院したのに対し、2剤併用療法では72%が退院した。患者、治療、および病院の特性で補正した結果、3剤併用療法は2剤併用療法に比べ2年間の主要心血管イベントリスクを低下させなかった。退院後2年以内の入院を要する出血は、3剤併用療法患者において2剤併用療法患者よりも6%以上多かった。 |
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植込み型除細動器を用いた患者の4人に1人が経時的な心機能の向上を経験する [2015-08-04] |
One in four patients with implanted defibrillators experience boost in heart function over time |
一次予防目的で植込み型除細動器を植え込まれた患者の4分の1において、心機能が大幅に改善し、これにより植込み型除細動器をまず第一に植え込むのが適格と判断される閾値を超えた。Journal of the American College of Cardiology 8月4日号に掲載された転帰に関するこのスタディでは、これらの患者の死亡リスクが著しく低く、デバイスによる不整脈停止電気ショックが作動する確率は非常に低いことを示し、患者の心臓が致死的不整脈を発現しにくくなったことを示唆した。スタディにおいて研究者らは、米国の4つの心臓センターで除細動器を植え込まれた18〜80歳の約1,200人を登録し、平均5年間追跡した。この患者集団の一部538人(45%)は、初回デバイス植込み後に少なくとも1回の心機能再評価を施行された。538人のうち、40%は左室駆出率が改善した。4分の1の患者においては、左室駆出率が重度な心機能低下で除細動器植え込みが必要とされる閾値である35%を超えていた。これらの患者は、心機能が変化しなかった患者に比べ、死亡リスクが33%低く適切な電気ショック作動リスクが30%低かった。 |
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腹部大動脈瘤の血管内修復は経時的に向上しており患者の早期回復に役立つ [2015-08-04] |
Endovascular repair of abdominal aortic aneurysm has improved over time and helps patients recover faster |
開腹手術とカテーテル治療を比較したNew England Journal of Medicineに掲載のスタディにおいて、低侵襲の血管内大動脈修復術の方がほとんどの患者においてより安全で回復が速く明らかに有益であることが示された。研究者らは、腹部大動脈瘤の待機的修復術を施行された患者約80,000人のデータを調査した。開腹手術と血管内大動脈修復術(EVAR)の割合は半々であった。術後30日または入院期間が30日を超える場合、EVARでの死亡率は1.6%であり、開腹手術では5.2%であった。EVAR群ではまた、肺炎などの周術期の内科的および外科的合併症率が低く、入院期間は3.5日であり開腹手術群の9.8日に比べ短かった。さらにEVAR群では、術後、リハビリテーションセンターやナーシングホームではなく自宅に帰る者が多かった。EVARの延命効果は時間とともに減少し、8年後の2群間の生存率は実質的には同等であった。 |
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