山火事による大気汚染粒子への曝露は心停止リスクを上昇させる可能性がある [2015-07-28]
Exposure to fine particle air pollution during wildfires may increase risk for cardiac arrest

山火事による大気汚染は心停止や他の急性心疾患のリスクを上昇させる可能性があるとの新たな研究結果がJournal of the American Heart Associationに掲載された。研究者らは、2006年12月および2007年1月にAustralia, Victoria州において山火事による大気汚染粒子への曝露と心関連事故リスクとの関連を調査した。この2か月間に、煤煙は火災現場から遠く離れた市街地に達し、山火事の間のほとんどの日で大気汚染粒子は推奨レベルを超えていた。粒子濃度が2日間にわたり25 パーセンタイルから75パーセンタイルに上昇することにより、温度や湿度で補正後の院外心停止は6.9%上昇し、中でも65歳以上の男性において大気汚染と心停止との関連が強く認められた。虚血性心疾患による救急外来受診率は2.07%、虚血性心疾患による入院は1.86%増加し、中でも65歳以上の女性において強い関連が認められた。

院外心停止に対するバイスタンダーによる介入は予後改善と関連がある [2015-07-28]
Use of bystander interventions for out-of-hospital cardiac arrest associated with improved outcomes

JAMA 7月21日号に掲載された2つのスタディの結果、バイスタンダーやファーストレスポンダーによる心肺蘇生(CPR)や自動体外式除細動器などの介入は増加しており、院外心停止(OHCA)を来した人々の生存率や神経学的転帰を改善させたことが示された。1つ目のスタディでは、日本において2005年1月から2012年12月までにバイスタンダーによるOHCAを目撃された患者167,912人が対象となった。この期間中、これらのイベント数は増加し、バイスタンダーによる心臓マッサージ、バイスタンダーのみによる除細動、およびバイスタンダーによる除細動とEMS除細動の併用もまた増加した。さらに、神経学的に正常な生存確率(年齢補正確率、3.3%から8.2%)も改善したが、依然として非常に低かった。神経学的に正常な生存率の増加は、バイスタンダーによる除細動および心臓マッサージと関連があった。もう1つのスタディでは、米国においてバイスタンダーおよびファーストレスポンダーによるCPRおよび除細動の増加が生存率上昇や神経学的に好ましい転帰を伴った生存率の改善と関連があったことを示した。筆者らは、バイスタンダーによる心臓マッサージをさらに促進すべきであると述べている。

女性において尿酸療法は脳卒中後のフリーラジカル放出を阻害し身体障害を予防する [2015-07-21]
Uric acid therapy counteracts the release of free radicals and prevents disability after stroke in women

尿酸は女性の脳卒中後の身体障害を軽減する可能性があるとの新たな研究結果がAmerican Heart Association学会誌Strokeに掲載された。研究者らは、スペインの脳卒中センターに入院した患者を対象としたランダム化二重盲検試験であるURICO-ICTUSに基づき、2014年のデータを再解析した。参加者は女性206人および男性205人であった。全ての参加者が血栓除去術を施行され、性別ごとに半数ずつ尿酸1,000mgまたはプラセボを静脈内投与された。虚血性脳卒中後の血栓除去に成功し脳内に酸素が再度流入することにより、フリーラジカルが放出され、それは周囲組織を障害する可能性がある。尿酸はフリーラジカルの放出を阻害し、障害を最小限にする。脳卒中後に尿酸療法を受けた女性の42%が90日後の機能障害がなかったのに対し、プラセボ投与をされた患者におけるその割合は29%であることが示された。尿酸投与後の女性においてはまた、血流供給欠如による壊死組織の量が少なかった。男性においては、本質的に尿酸群とプラセボ群で差はなかった。

スタチン療法は心血管系疾患患者の高信号プラークを減少させる [2015-07-21]
Statin therapy lowers coronary high-intensity plaque in patients with cardiovascular disease

スタチンはプラーク/心筋信号強度比(PMR)を有意に減少させるとのスタディ結果がJournal of the American College of Cardiology 7月13日号に掲載された。研究者らはAQUAMARINEパイロットスタディを行い、冠動脈疾患患者における12か月間の追跡期間中のPMRに対するスタチン(ピタバスタチン)療法の効果を評価した。96人の参加者全員が、単純T1強調磁気共鳴画像(MRI)およびコンピュータ断層法による評価を受けた。スタディの結果、高信号プラークPMRはスタチン治療を受けた患者において18.9%減少した(p<0.001)。低比重リポ蛋白コレステロール(125mg/dLから70mg/dL)および高感度C反応性蛋白の低下もまたこれらの患者において認められた(両方ともp<0.001)。コントロール群では12か月後のフォローアップ時点でPMRがベースラインよりも19.2%増加した(p<0.001)。単純T1強調MRIはプラーク組成の反復評価に有用な技術となり得、抗動脈硬化薬物療法の有効性評価の補助となる可能性がある、と筆者らは述べている。

脳卒中は発症直後および長期の認知機能低下と関連がある [2015-07-14]
Stroke associated with both immediate and long-term decline in cognitive function

約24,000人の参加者を対象としたスタディにおいて、脳卒中既往者は認知機能が急性に低下しまたその後6年にわたり認知機能低下が加速し持続した、との記事がJAMA 7月7日号に掲載された。研究者らは脳卒中生存者の脳卒中前認知機能の経過で調整し、認知機能の変化を調査した。Reasons for Geographic and Racial Differences in Stroke (REGARDS) スタディは、スタディ参加時に認知機能障害を有さない45歳以上の米国人23572人を対象とした。追跡期間中央値6.1年の間に、515人が脳卒中を発症しその後生存し、23,057人は脳卒中を発症しなかった。イベント発現前および発現後急性期の認知機能障害発現比で調整したところ、脳卒中既往者は脳卒中後の認知機能障害発現が脳卒中発現以前と比べ有意に速かった。脳卒中発症は、イベント発症前または発現後急性期の個々の認知機能の変化で補正後の認知機能全般および実行機能の低下が加速し持続することと関連があった。さらに、新たな学習や言語記憶は脳卒中後に急性の低下を示したが、これらの機能において脳卒中前の変化率が加速することはなかった。

糖尿病、脳卒中または心筋梗塞の併存は平均余命を大幅に減少させる [2015-07-14]
Life expectancy substantially lower with combination of diabetes, stroke or myocardial infarction

120万人の参加者および135,000人を超える死亡を含む解析において、糖尿病、脳卒中、または心筋梗塞の既往に関連した死亡率はそれぞれの疾患について同等であり、それぞれの疾患を合併しているほど死亡リスクが大幅に上昇したとのスタディ結果が、JAMA 7月7日号に掲載された。これらの疾患既往歴をいずれも有さない参加者に比べ、疾患を1つ有する者は死亡率が2倍;2つの疾患を有する者は死亡率が4倍;3つの疾患全てを有すると死亡率は8倍であった。心血管代謝系の多疾病罹患に関連する平均余命の推定減少の程度は、他の一般的な健康上の懸念(すなわち、生涯喫煙−平均余命が10年短縮;ヒト免疫不全ウイルスへの感染−平均余命が11年短縮)の程度と同等であった。例えば、60歳の時点でこれらのうちのいずれか2疾患の既往を有すると、平均余命が12年短く、3疾患全ての既往を有すると平均余命が15年短かった。これらの多疾患罹患を若年の時点で有していると平均余命はさらに短くなる、と研究者らは推定している。

心疾患患者は橈骨遠位端皮質骨の骨密度が減少している [2015-07-07]
People with heart disease have reduced cortical volumetric bone mineral density in their distal radius

"高解像度末梢骨用定量的CT"と呼ばれる最先端技術を用いて、冠動脈疾患と骨粗鬆症との関連性が発見されたことから、両疾患ともに類似の原因を有する可能性があることが示唆された。この結果はOsteoporosis International に掲載された。このスキャン技術を用いて心疾患患者の骨形状、骨密度および微細構造を調査したこの種では初めてのスタディの1つにおいて、研究者らは70〜85歳の男女350人をスキャンした。その結果、狭心症、心筋梗塞または心不全などの虚血性心疾患患者において、骨皮質の骨密度が低いことが明らかになった。この影響は、女性において男性よりも顕著であった。これらの結果は、高齢者の骨粗鬆症の管理において心疾患既往歴の評価の必要性を強調するものである、と研究者らは述べている。また、骨粗鬆症と心疾患との関連性を説明する発症機序をより理解するさらなる研究が必要である、と述べている。

女性においてPTSDやトラウマ体験は心筋梗塞や脳卒中リスクを上昇させる可能性がある [2015-07-07]
PTSD and experiencing traumatic events may raise risk of myocardial infarction and stroke in women

トラウマ体験があったり心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症した女性はそれらの既往歴のない女性と比べ、将来の心血管疾患のリスクが高い可能性があるとの研究結果がCirculation に掲載された。女性のみを対象としたPTSDと心血管疾患(心筋梗塞と脳卒中)の発症に関する初めての大規模スタディにおいて、研究者らはNurses' Health Study IIの参加者約50,000人を20年にわたり調査した。研究者らは質問表を用いて異なるタイプのトラウマ体験およびPTSD症状を評価した。また、他の心血管疾患リスクファクターも考慮した。65歳未満の女性集団においてPTSDは心血管疾患リスクファクターとなることが示された。PTSD症状を4つ以上有する女性はトラウマ体験のない女性と比べ、心血管疾患発症率が60%高かった。PTSD症状はないがトラウマ体験を有すると報告した女性は、心血管疾患発症率が45%高かった。PTSD症状が多いことと心血管疾患との関連のほぼ半数は喫煙などの不健康な習慣や肥満、運動不足および高血圧など医学的要因によるものであった。