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ARISTOTLE:COPDは心血管死の独立したリスクファクターであるが脳卒中のリスクではない [2015-05-26] |
ARISTOTLE: COPD is independent risk factor for cardiovascular death but not for risk of stroke |
慢性閉塞性肺疾患(COPD)はそれ自体、脳卒中または全身性塞栓症を有する確率を上昇させないと2015年American Thoracic Society International Conferenceで発表された。研究者らは、ARISTOTLEトライアルに組み入れられた心房細動を有する患者18,206人のデータを調査し、この患者集団におけるCOPDと脳卒中リスクとの関連を調べた。COPDは肺疾患の病歴が入手できた患者のうち1.950人(10.8%)に認められた。COPDを有する患者は高齢で男性に多く、現在または過去の喫煙歴を有する確率が高かった。彼らはまた、冠動脈疾患、心筋梗塞既往および心不全などの脳卒中リスクを上昇させる他疾患を有する確率も高かった。これらおよび他患者の特徴で補正した結果、COPDは脳卒中または全身性塞栓症リスクの上昇と関連がなかった(補正HR 0.86 [95% CI、0.61, 1.21], p = 0.382)。しかし、COPDにより心血管および非心血管死亡を含む総死亡が54%上昇した(補正HR 1.54 [95% CI 1.31, 1.82], p < 0.001)。 |
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エリート運動選手における命にかかわる心血管系異常の有病率は驚くほど高い [2015-05-26] |
Surprisingly high prevalence of life-threatening cardiovascular abnormalities in elite athletes |
成績や体力が最高レベルの運動選手であっても命にかかわる心血管異常を有する可能性がある、とのスタディ結果が2015年EuroPReventで報告された。研究者らは2004年以降にオリンピックの試合で戦うためのスクリーニングの一部として、エリート運動選手2,354人(男性1,435人、女性919人、平均年齢27.6歳)の心血管系の健康を評価した。選手は31の異なる夏のスポーツおよび15の異なる冬のスポーツの選手であった。スクリーニングには身体所見、12誘導および運動負荷心電図、そして心エコー検査が含まれた。さらなる検査として、24時間心電図モニターが初期診断の確認のために選択的に施行された。その結果、スクリーニングを施行された運動選手2,354人中171人(7.3%)が、構造的または電気生理学的な何らかの形の心血管異常を有していたことに筆者らは驚いた。171人中6人は命にかかわると考えられ、彼らは試合参加資格を失った。さらに24人の選手が一時的に出場停止となったが、最終的には綿密な医学的監視のもとでのオリンピックへの参加が許可された。筆者らは、長時間のトレーニングや試合による心血管系への強度やストレスを考慮して、エリート運動選手に対しては一般人よりもより正確な評価が必要である、と述べている。 |
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股関節屈筋を強化する運動は末梢動脈疾患患者の腓腹部痛が生じることなく歩行できる距離を増加させる可能性がある [2015-05-19] |
Exercise training to strengthen hip flexor muscles may increase walking distance without calf pain for patients with peripheral artery disease |
詳細な歩行解析の結果、末梢動脈疾患(PAD)患者は一部の股関節周囲筋の虚弱を代償して歩行する際に腓腹筋により依存することが明らかになった、との新たな研究結果が2015年American Heart Association's Arteriosclerosis, Thrombosis and Vascular Biology/Peripheral Vascular Disease学術集会で発表された。研究者らは3次元運動解析システムを用いて、7人の健常人と下肢動脈が片側または両側下肢に中等度狭窄を有し歩行時に疼痛を有する患者16人(平均年齢71歳)の歩行パターンを比較した。歩行解析の結果、下肢動脈狭窄を有する者は一部の股関節周囲筋の虚弱を代償するために腓腹筋を使用することが示された。特に、PAD患者は歩行が異常で、速く歩こうとしていても緩徐であり、いずれの歩行速度においても歩幅が小さく、一歩ごとの離地相(踵は地面から離れたがつま先はまだ地上にある)に使用する股関節屈筋が少なく、足関節底屈筋をより使っていた。この研究から、股関節屈筋を強化する運動トレーニングにより患者が腓腹部疼痛を生じることなく歩ける距離が増加する可能性のあることが示唆される。 |
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総合脳卒中センターは出血性脳卒中後の生存率を改善する可能性がある [2015-05-19] |
Comprehensive stroke centers may improve survival after hemorrhagic stroke |
出血性脳卒中患者は総合脳卒中センターで治療を受けることにより生存率が上昇する可能性があるとのスタディ結果がJournal of the American Heart Associationに掲載された。研究者らは出血性脳卒中患者36,981人の90日生存率を調査した。40%の患者が総合脳卒中センターに指定された施設で治療を受けた。その他の患者は非脳卒中センターまたは一次脳卒中センターに指定された病院−虚血性脳梗塞を迅速に同定し血栓溶解薬を投与する設備を有するが高レベルの緊急脳外科手術の設備はないであろう施設−において治療を受けた。死亡率には全ての死亡を含み年齢などの因子で補正を行った。一次治療センターまたは非脳卒中センターに比べ、総合脳卒中センターにおける治療により全ての出血性脳卒中患者の死亡リスクが7%減少し、くも膜下出血患者の死亡リスクが27%減少した。脳内出血患者における死亡リスクに差はなかった。一次治療センターまたは非脳卒中センターで診断され、その後総合脳卒中センターに移送された出血性脳卒中患者の90日死亡率は36%低かった。 |
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ホジキンリンパ腫既往者は心血管疾患リスクが高い [2015-05-12] |
People who survive Hodgkin lymphoma are at higher risk for cardiovascular diseases |
ホジキンリンパ腫(HL)既往者は心血管系疾患リスクが高く、医師、患者ともにこのリスク上昇を認識する必要があるとの論文がJAMA Internal Medicine オンライン版に掲載された。スタディには51歳未満でHLと診断され診断後5年生存した患者2,524人(年齢中央値27.3歳)が含まれた。これらの患者のうち2,052人(81.3%)が縦隔放射線療法を施行され、773人(30.6%)はアントラサイクリンを含む化学療法を施行された。追跡期間中央値20.3年後に797人において1,713件の心血管イベントが発現し、これらの患者のうち410人(51.4%)が2回以上のイベントを発現した。最も頻度の高い心血管疾患は冠動脈疾患(CHD、401人が初回イベントを発現)であり、続いて弁膜性心疾患(VHD、374イベント)、心不全(HF、140イベント)であった。HL治療から初回心血管疾患イベントまでの期間中央値はCHDで18年、VHDで24年、HFで19年であった。一般人口と比較し、HL治療後35年以上のCHDまたはHFリスクは4〜7倍高かった。 |
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心臓突然死のリスクは慢性閉塞性肺疾患の重症度と共に上昇する [2015-05-12] |
Risk of sudden cardiac death increases with severity of chronic obstructive pulmonary disease |
慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者は心臓突然死(SCD)のリスクが高いとの研究結果がEuropean Heart Journalオンライン版に掲載された。研究者らはRotterdam Studyの対象者13,471人(45歳以上)を解析に含めた;うち1,615人がCOPDと診断された。死亡したスタディ参加者5,197人(39%)のうち551人は追跡期間中にSCDにより死亡し、うち82人(15%)はCOPDを有し469人(85%)は有していなかった。COPDを有さない同年代および同性の人々と比べ、COPDを有する者はSCD全体のリスクが34%高く、COPDの初回診断後5年以上経過するとリスクは約2倍となった。頻回に増悪するCOPD患者において、SCDリスクは5年後には3倍以上となった。SCDで死亡したCOPD患者は夜間に死亡する確率が高かった。これらの結果は医師が患者のSCDリスクをより正確に評価し、さらなる研究の方向性を示すのに役立つ、と研究者らは述べている。 |
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