LEADLESSトライアル:リードレス心臓ペースメーカーのパフォーマンスは1年後の追跡でも有望であった [2015-04-28]
LEADLESS trial: Leadless cardiac pacemaker performance promising after 1-year follow-up

リードレス心臓ペースメーカー(LCP)は従来のペースメーカーシステムの代替療法として有望であるとのLEADLESSトライアルの1年追跡調査の結果が、Journal of the American College of Cardiologyに掲載された。研究者らは、右室心尖中隔部へのLCP挿入後12か月間の合併症発現、電気的パフォーマンスおよびレート応答の特徴を31人の患者において調査した。全体の結果から、ペースメーカー関連合併症はなく、ペースメーカー症候群を発症しなかったことが示された。さらに、塞栓症、後発性穿孔、またはデバイス関連感染症のいずれも認めなかった。LCPの電気的パフォーマンス計測値は安定しており、61%の患者においてデバイスのレート応答機能は使用され正確に作動していた。研究チームは、追跡期間中のLCP中期成績は非常に安定して機能し安全が再確認できたと結論付けている。これらの結果は、LCP使用は従来のペースメーカーシステムの代替療法として有望であることを支持している。しかし、従来のペースメーカーとリードレスペースメーカーを比較するランダム化コントロールトライアルの様な大規模試験を推奨している。

CPAPにより閉塞性睡眠時無呼吸を治療することにより心房細動の再発リスクが減少する [2015-04-28]
Treating obstructive sleep apnea with CPAP reduces risk of atrial fibrillation recurrence

閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)患者に持続的気道陽圧法(CPAP)を用いることにより心房細動再発が有意に減少した、との過去の研究のデータ解析結果がJournal of the American College of Cardiology: Clinical Electrophysiologyに掲載された。研究者らは1087人の患者を対象とした7つのスタディのメタ解析を行い、CPAP使用によりOSA患者の心房細動再発の相対リスクが初回治療に関係なく、42%低下したことを明らかにした。大規模なランダム化トライアルが必要であるが、これらのデータからCPAPが心房細動の第三の治療選択肢となり得る、と研究者らは確信している。CPAPは心房細動の治療転帰に影響し心房細動に伴う心血管系疾患の一部を軽減する可能性があることから、治療を受ける患者全員がOSAのスクリーニングを受けるべきであると筆者らは提言している。さらに、睡眠時無呼吸の検査が自宅でルーチンにできるよう勧めている。

離婚した女性はたとえ再婚後であっても心筋梗塞リスクが高い [2015-04-21]
Risk of myocardial infarction higher in divorced women, even after remarrying

離婚した女性は結婚を継続している女性よりも心筋梗塞(MI)を患うリスクが高いとの新たなスタディの結果が得られた。離婚を2回以上経験した女性は結婚を継続している女性に比べ、MI発症率が約2倍であった。離婚ストレスを経て再婚した女性であっても、MIリスクは高いままであった。これらの結果は、少なくとも1回は結婚した経験のある45〜80歳の女性15,827人の回答に基づくものである。参加者は1992〜2010年の間、2年毎に面接を受けた。参加者の約3分の1が少なくとも1回の離婚経験を有していた。一般的にMIリスクは男性の方が高いが、差は統計学的に有意ではないものの、離婚後の女性は男性よりも経過が不良なようである。離婚した男性は結婚を継続している男性とリスクは同等であった。男性においてリスクが上昇するのは2回以上の離婚経験後のみであった。またスタディの結果、再婚した男性は再婚した女性よりも経過が良好であることも示された。これらの男性は一人のパートナーと結婚を継続している男性とMIリスクは同等であった。このスタディ結果は、Circulation: Cardiovascular Quality and Outcomesに掲載された。

殺虫剤への曝露は閉経前女性の心血管疾患リスクを上昇させる [2015-04-21]
Pesticide exposure contributes to heighted risk of cardiovascular disease in premenopausal women

閉経前女性において、殺虫剤への曝露は肥満のみならず心血管疾患リスク上昇および炎症を引き起こし得るとのスタディ結果が、Journal of Clinical Endocrinology & Metabolismに掲載された。このスタディは、エストロゲン機能に類似し干渉することから環境ホルモンとして知られるDDTなどの有機塩素系殺虫剤への曝露の影響を観察した。スタディでは、ポルトガルのPortoにあるS. João Hospitalで肥満手術を施行された女性121人の脂肪組織および血液検体内の内分泌撹乱化学物質の量を解析した。参加者のうち、73人は閉経前、48人は閉経後に分類された。研究者らは参加者の空腹時血糖およびコレステロールを検査した。フラミンガムリスクスコアを用いて、研究者らは女性の心血管疾患発症の10年リスクを評価した。その結果、閉経前女性において腹部内臓脂肪内の環境ホルモン濃度が高い女性は、平均血糖レベルが高い傾向にあった。閉経前女性において、環境ホルモンレベルが高い女性はより炎症が強くフラミンガムスケール上の心血管疾患リスク上昇に直面する傾向にあった。

運動する中年成人の突然の心停止リスクは低い [2015-04-14]
Physically active middle-aged adults have low risk of sudden cardiac arrest

よく運動する中年成人におけるスポーツ活動中の突然の心停止は比較的少ない、との研究結果がCirculationに掲載された。突然の心停止を来した35〜65歳の男女1,247人のレビューにおいて、63例(5% )は主にジョギング(27%)、バスケットボール(17%)およびサイクリング(14%)などのスポーツに関連したことが示された。これらの症例の3分の2においては、突然の心停止前に既に心血管疾患またはその症状が明らかにされていた。突然の心停止全体と比較し、スポーツ関連の突然の心停止例は目撃され(87% vs. 53%)、CPRを施行され(44% vs. 25%)、心室細動(84% vs. 51%)である割合が高かった。生存して退院した率は、スポーツ関連の突然の心停止において23.2%であり、非スポーツ関連の広範な原因による症例の13.6%よりも高かった。スポーツ関連心停止群の人々は公共の場で発現しバイスタンダーCPRを施行される割合が高かった。スポーツ関連の突然の心停止においては非スポーツ関連の広範な原因による症例と比較し、男性が女性よりも発現率が高く、その理由はおそらくより多くの男性がスポーツに参加するからであろう。

末梢動脈疾患を有する老人ホーム入居者に対する下肢血行再建術は転帰を改善しない [2015-04-14]
Lower-extremity revascularization doesn't improve outcomes for nursing home residents with peripheral artery disease

下肢血行再建術を施行された老人ホーム入居者のうち手術1年後に生存し歩行可能な者はわずかであり、生存している多くの患者はあったとしてもほんの少しの機能しか得られない、とJAMA Internal Medicineに掲載された。スタディにおいて、末梢動脈疾患(PAD)を有する長期老人ホーム入居者計10,784人が下肢血行再建術を施行された。平均年齢は82歳で、60%が認知機能障害を、57%がうっ血性心不全を、29%が腎不全を有していた。術前に75%は歩行しておらず、40%は身体機能全体が低下していた。手術1年後にこれらの患者の51%が死亡し、生存者のうち28%は歩行せず、32%は身体機能全体が低下していた。術前に歩行していた入居者1,672人中63%が1年後には死亡したか歩行していなかったかであった。術前に歩行していなかった入居者7,188人中89%は死亡したか歩行しないままであった。これらの結果は、下肢血行再建術前に歩行していた者は歩行していなかった者よりも転帰が良好で、PADに対する血行再建術は歩行しないものを術後歩行するようにさせることは滅多にないとの過去のスタディ結果と合致するものであった。

STEMI既往者に対する積極的なフォローアップ施術により将来のインターベンションの必要性が軽減する可能性がある [2015-04-07]
Proactive follow-up procedure in STEMI survivors may reduce need for future intervention

ST上昇心筋梗塞(STEMI)の既往を有し複数の冠動脈に狭窄を有する患者は完全血行再建を受けることにより恩恵を被り、将来の血管形成術の必要性が軽減する可能性があるとの研究結果が、第64回American College of Cardiology年次集会で発表された。初回血管形成術後生存したSTEMI患者計627人が、標準的なフォローアップ治療または緊急処置2日後に完全血行再建を施行される群にランダムに割り付けられた。患者は50%以上の狭窄および冠血流予備量比0.80未満を伴う多枝病変を有していた。平均27か月後に、標準治療を受けた患者の17%が予定外の血管形成術またはバイパス手術のために再入院したのに対し、完全血行再建術を施行された患者におけるその割合はわずか5%であった。MIおよび死亡の割合は2群間で同等であった。予定外の血管形成術目的で再入院した患者のうち、両群ともに40%以上の患者が緊急血行再建術を考慮された。この治療法は予定外の血行再建術またはバイパス術の割合を軽減することが明らかになったが、死亡やMI再発には差がなかったことに筆者らは驚いている。

PARTNER II S3:第三世代TAVRシステムは死亡率、脳卒中および弁周囲逆流発現率が低い [2015-04-07]
PARTNER II S3: Third generation TAVR system associated with low mortality, stroke and paravalvular regurgitation

SAPIEN 3心臓弁は死亡、脳卒中および弁周囲逆流発現率が旧世代の人工弁よりも手術の高リスク患者において低く、また中等度リスク患者においても有望な結果を示した、との研究結果が第64回American College of Cardiology学会で発表された。PARTNER II S3トライアルでは、施術中に使用するバルーン拡張システムが最新の改良版であるSAPIEN 3弁を用いた経カテーテル大動脈弁置換術(TAVR)の30日間の転帰を評価した。高リスクまたは手術不能なスタディ対象患者583人に加え、中等度リスク患者1076人がこの新しいデバイスを用いて治療を受けた。30日間死亡率は極端に低く、脳卒中発症率は両群ともに約1%であり有意な弁周囲逆流は稀であった。死亡率は高リスク群で2.2%であり、中等度リスク群で1.1%であった。高リスク群の死亡率の1.4%および中等度リスク群の死亡率の0.9%が心臓関連死であった。高リスク患者の脳卒中率は1.5%であり、うち0.9%は身体障害の状態であった。中等度リスク群におけるこれらの割合はそれぞれ2.6%および1%であった。研究者らは、これらの結果は30日間のデータでありさらに長期の追跡が必要であると強調している。