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急性冠症候群患者におけるほとんどのカテーテル治療において経橈骨動脈アプローチの方が安全である [2015-03-31] |
Transradial approach safer for most catheter-based procedures in patients with acute coronary syndrome |
急性冠症候群(ACS)患者に対し冠動脈造影を施行する際、術者の循環器医が鼠径部からではなく橈骨動脈からのアプローチを行った方が大出血や死亡のリスクが有意に低かったとの研究結果が、第64回American College of Cardiology年次集会において発表されLancetに掲載された。このスタディはACS患者8,400人以上を腕または鼠径部穿刺により冠動脈造影を施行する群にランダムに割り付けた。2つの一次エンドポイントの1つ目である30日間の死亡、心筋梗塞(MI)または脳卒中の合計発症率に有意差はなかった。2つ目の一次エンドポイント(上記イベントと大出血)リスクは、橈骨動脈アプローチの方が有意に低かった。30日間の重大な出血、死亡、MIまたは脳卒中は経橈骨動脈アプローチ患者で9.8%であったのに対し、経大腿動脈アプローチ患者では11.7%であった。これらの差は、経橈骨動脈アプローチ患者の1.6%および経大腿動脈アプローチ患者の2.3%に発現した大出血、さらに経橈骨動脈アプローチ患者の1.6%および経大腿動脈アプローチ患者の2.2%に見られた死亡に大きく依存している。筆者らは、臨床ガイドラインの再評価および多くの心臓カテーテル施術において経橈骨動脈アプローチの推奨を提案している。 |
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BEST:多枝冠動脈疾患治療において冠動脈バイパス術は依然として最良の治療選択肢である [2015-03-31] |
BEST: Coronary artery bypass graft surgery still best option for treating multivessel coronary artery disease |
新世代ステントの出現にもかかわらず、多枝冠動脈疾患に対して冠動脈バイパス術を施行された患者はバルーン血管形成およびステント留置により狭窄解除された患者よりも経過が良好であるとのスタディ結果が、第64回American College of Cardiology年次集会で発表され、New England Journal of Medicineオンライン版に掲載された。Bypass Surgery Versus Everolimus-Eluting Stent Implantation for Multivessel Coronary Artery Disease(BEST)トライアルと呼ばれるこのスタディは、4か国27施設で治療を受けた患者880人を対象とした。患者の半数はエベロリムス溶出ステントを用いた血管形成術群、残りの半数はバイパス術群にランダムに割り付けられた。患者は平均4.5年以上追跡された。新たな薬剤溶出ステントを用いて血管形成術を施行された患者は、バイパス術を施行された患者に比べ、スタディにおいてエンドポイントとされた転帰(死亡、心筋梗塞および血行再建術の再施行)のうちの1つのリスクが47%高かった。血管形成術は医用画像処理血管造影によるガイド下で施行された。バイパス術と冠血流予備量比を用いた血管形成術による転帰を比較した新たなスタディが現在進行中である。 |
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僧帽弁手術中のアブレーションにより少なくとも1年間は心房細動発作が減少する [2015-03-31] |
Ablation during mitral valve surgery reduces atrial fibrillation episodes for at least a year |
僧帽弁手術施行中にアブレーションを施行された心房細動患者は、僧帽弁手術のみを施行された患者に比べその後1年間の心房細動発作が少なかったとのスタディ結果が第64回American College of Cardiology年次集会で発表され、New England Journal of Medicineオンライン版に掲載された。このスタディは僧帽弁手術を施行される患者260人を僧帽弁手術単独または僧帽弁手術と外科的アブレーションの両者施行群にランダムに割り付けた。スタディ参加者全員が持続性または長期持続性心房細動を有していた。アブレーションと僧帽弁手術を施行された患者のうち63%が術後6、12か月の時点で心房細動を有していなかったのに対し、僧帽弁手術のみを施行された患者のうちこれらの時点で心房細動を有していなかったのは29%であった。しかしまたこの解析から、僧帽弁手術にアブレーションを含めることによるマイナス面がある可能性も明らかになった。僧帽弁手術とともにアブレーションも施行された患者は術後1年間にペースメーカー埋め込みを必要とする確率が2.5倍高かった。この差の理由は不明であり、さらなる研究が必要である。 |
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ICDまたはCRT-D治療とカテーテルアブレーションの併用により心不全および心房細動を有する患者の死亡リスクが低下する [2015-03-31] |
ICD or CRT-D treatment plus catheter ablation lowers risk of death in patients with heart failure and atrial fibrillation |
心不全および心房細動を有しカテーテルアブレーションを施行された患者は、抗不整脈薬アミオダロンを内服した患者よりも死亡、入院または心房細動再発の確率が低かったとのスタディ結果が第64回American College of Cardiology年次集会で発表された。このスタディは心不全、心房細動を有し植込み型除細動器(ICD)または両室ペーシング機能付植込み型除細動器(CRT-D)のいずれかで治療を受けている患者200人余りを対象とした。患者はカテーテルアブレーション施行群またはアミオダロン治療群にランダムに割り付けられた。このスタディにおいて、一次エンドポイントである心房細動再発を2年間の追跡期間中に発症しなかったのはカテーテルアブレーション施行群で71%であったのに対し、アミオダロン治療群ではわずか34%であった。アブレーション施行群の31%が後に入院したのに対し、アミオダロン治療群では57%であった。スタディ期間中に死亡したのはアブレーション施行群の8%に対し、アミオダロン治療群では18%であった。アブレーション術のタイプや範囲は治療成功率に著明な影響を及ぼした。成功率が最も高かったのは他の領域(肺静脈に加え)も焼灼した症例であった。 |
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TOTAL:血管形成術時のルーチン血栓除去術に臨床的な有益性は認められず脳卒中リスクを上昇させる可能性がある [2015-03-31] |
TOTAL: Routine thrombectomy during angioplasty associated with no clinical benefit and may increase risk of stroke |
血管形成術を施行される患者におけるルーチン血栓除去術は、意図した有益性は得られず脳卒中リスクが上昇する可能性があるとのスタディ結果が第64回American College of Cardiology年次集会で発表され、同時にNew England Journal of Medicineオンライン版に掲載された。重症心筋梗塞(MI)に対し血管形成術を施行された患者10,000人超を対象としたTOTALトライアルは、半数の患者を血管形成術単独群、残りの半数を血管形成術と手動による血栓除去術の両者施行群にランダムに割り付けた。6か月間の追跡期間後に、血管形成術単独群または血管形成術と血栓除去術の両者施行群では、一次エンドポイント(心血管死、MI再発、心原性ショックおよび最も重度の心不全の複合発現率)に関して差は認められなかった。また解析の結果、スタディの二次エンドポイント(一次エンドポイントとステント血栓症)においても有意差はなかった。しかし、血栓除去術施行群において脳卒中が統計学的有意に増加した。スタディにおいて施行された血栓除去術の全てがシリンジを用いて血栓を吸引する手動での血栓除去術であった。機械的血栓除去術は試されなかった。 |
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肥満患者が持続的に減量することにより心房細動累積時間が有意に減少する [2015-03-31] |
Sustained weight loss in obese patients significantly reduces the burden of atrial fibrillation |
少なくとも10%減量した肥満の心房細動患者は減量しなかった患者に比べ、この一般的な心調律障害に長期にわたり患わされない確率が6倍高い可能性があるとのスタディ結果が第64回American College of Cardiology学会で発表され、Journal of the American College of Cardiologyオンライン版に掲載された。研究者らは減量専門クリニックの患者355人を組み入れ、彼らの健康状態を毎年追跡した。スタディ開始時、参加者全員が肥満および心房細動を有していた。平均4年後、体重を10%以上減量した患者の45%および3〜9%減量した患者の22%が、手術や薬物療法を使用することなく心房細動症状がない状態を達成した。減量が3%未満であった患者のうち、これらの治療をせずに無症状となった者はわずか13%であった。減量しその後再度体重が増加し、年1回の受診間の体重変動が5%を超えた患者は、このような体重変動のなかった患者に比べ心調律異常再発の確率が2倍であった。 |
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新たなクラスのコレステロール低下薬は1年間の心血管イベントを劇的に減少させた [2015-03-24] |
New class of cholesterol-lowering medications dramatically reduces cardiovascular events at one year |
Evolocumab―LDLコレステロールを劇的に低下させることがこれまでに示された治験薬―を内服した患者は、標準治療を受けた患者に比べ、死亡、心筋梗塞または脳卒中発症、入院または血管形成術を必要とする確率が半分に減少したとの研究結果が、第64回American College of Cardiology年次集会で発表され同時にNew England Journal of Medicineオンライン版に掲載された。Evolocumabは、血中からLDLコレステロールを除去する肝臓の機能を低下させる蛋白である、前駆蛋白質転換酵素サブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)を阻害することにより作用するヒトモノクローナル抗体である。研究者らは、この薬剤のLDL低下能を評価したトライアル終了にあたり、さらに今回の1年延長トライアルに参加した患者4,465人を調査した。このオープンラベルスタディにおいて、そのほとんどが中・高程度の強化スタチン療法を施行された標準治療群における心血管イベントは2.18%であった。一方、evolocumabで治療された患者における1年間のイベント率は0.95%であった。Evolocumab群における心血管イベントの53%低下は、複合エンドポイントに含まれた各主要心血管イベントにおいて、また患者サブグループに関係なく一貫していた。 |
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PEGASUS-TIMI 54:長期ticagrelor投与は心筋梗塞後のイベントを軽減する [2015-03-24] |
PEGASUS-TIMI 54: Long-term ticagrelor cuts risk of future events after myocardial infarction |
心筋梗塞(MI)後の長期治療として抗血小板薬ticagrelorをアスピリンと併用することでその後の心血管疾患死亡率は有意に低下し、この有効性は約3年続くようである、と第64回American College of Cardiology年次集会で発表され、同時にNew England Journal of Medicineオンライン版に掲載された。二重盲検PEGASUS-TIMI 54トライアルは、過去1〜3年間のMI既往患者21,162人を組み入れた。それぞれの患者が、年齢や糖尿病などのMI再発リスクファクターを他にも有していた。31か国1,144施設のこれらの患者が、ticagrelor 90mg、ticagrelor 60mgまたはプラセボの1日2回投与群にランダムに割り付けられた。Ticagrelorの両方の用量群もスタディの一次エンドポイントである心血管死(MIまたは脳卒中)の確率を減少させ、プラセボ群に対し90mgでは15%の減少、60mg群では16%の減少であった。Ticagrelor投与中止につながる出血は治験薬群の7%に発現し、また治験薬投与中止につながる呼吸困難は5%に発現した。 |
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PROMISE:冠動脈CT造影はハードエンドポイントを軽減させないがより良いケア計画を促進させる [2015-03-24] |
PROMISE: CT angiography does not reduce hard clinical endpoints but promotes better care planning |
心疾患症状を有する患者に機能的負荷試験や冠動脈CT検査を施行しても死亡や主要な心疾患の転帰の点では同等であるが、心疾患のない患者に対しさらに検査や処置を行う必要性を除外するにはCT検査の方が優れているようであるとの研究結果が第64回American College of Cardiology年次集会で発表され、New England Journal of Medicineに掲載された。PROMISEトライアルは、過去に冠動脈疾患の診断を受けたことはないが医師が心疾患を疑うような新たな症状を有する計10,003人の患者を対象とした。半数は冠動脈CT造影(CTA)検査を受ける群にランダムに割り付けられた。その他の患者は機能的検査(運動負荷心電図、負荷心エコー検査または負荷核医学検査のいずれか)を受けた。スタディの一次エンドポイントである死亡、心筋梗塞、重大な施術合併症または胸痛による入院の合計に関して群間差はなかった。しかし、被曝量や有意な心疾患を示さなかったその後の検査の施行率などのいくつかの二次エンドポイントにおいては、CTAの方が好ましい結果であった。 |
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SCOT-HEART:冠動脈CT造影はより優れたケア計画を促進し後の心筋梗塞リスクを軽減する可能性がある [2015-03-24] |
SCOT-HEART: CT angiography promotes better care planning and may reduce risk for future myocardial infarction |
冠動脈CT造影(CTA)の使用と標準的な治療を組み合わせることにより胸痛で来院した患者を医師がより正確に診断でき、より適切な追跡検査や治療につながるとの研究結果が第64回American College of Cardiology年次集会で発表され、Lancetに掲載された。冠動脈疾患(CAD)が疑われる胸痛により来院した計4,146人の患者がスタディの対象となった。CAD、CADによる狭心症疑い、または心疾患ではないとの初回診断の後、4,146人の患者全員が標準治療のみまたはCTAを組み合わせて施行される群に等しくランダムに割り付けられた。CTA群の25%がこの検査後に異なる診断を下されたのに対し、標準ケア群におけるその割合はわずか1%であった。その後の検査計画はCTA群の15%で変更になったのに対し、コントロール群におけるその割合はわずか1%であった。CTAを受けた患者の約23%が新たな診断に応じて治療が変更されたのに対し、コントロール群においてはわずか5%変更されたのみであった。CTA群における心筋梗塞発現率は低い傾向にあった。 |
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CoreValve:高リスク患者において自己拡張型TAVRは延命効果が2年間にわたり手術よりも優れていた [2015-03-24] |
CoreValve: Self-expanding TAVR widens survival advantage over surgery at two years in high-risk patients |
2年間のデータから、重度の大動脈弁狭窄を有する高リスク患者において自己拡張型経カテーテル大動脈弁置換術(TAVR)は標準的な手術よりも延命効果に優れていたことが示された、との研究結果が第64回American College of Cardiology年次集会で発表された。CoreValve U.S. Pivotal High Risk Trialにおいて、開心弁置換術によるリスクの高い患者がTAVRまたは標準的な手術を施行される群にランダムに割り付けられた。1年後の死亡率は、TAVR群390人において開心術を受けた357人よりも有意に低かった。TAVRにおける延命効果は2年後に増大していることが明らかにされた―2群間の総死亡率の絶対差は拡大し、生存患者は1年後の時点ではTAVR群において手術群より4.8%多く、2年後にはTAVR群患者の方が手術群患者よりも6.4%多かった。自己拡張型デバイスはまた、他のエンドポイント発現率も低かった。脳卒中発現率はTAVR患者における10.9%に対し手術群では16.6%であり、重大な心血管または脳血管イベント発現率はTAVR群の29.7%に対し手術群では38.6%であった。 |
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DEFLECT III:弁置換術の際に遊離する粒子を防御するデバイスが予後を改善した [2015-03-24] |
DEFLECT III: Device that deflects particles dislodged during valve replacement improves outcomes |
経カテーテル大動脈弁置換術(TAVR)中の組織砕片を脳から偏向させる試験的デバイスは院内安全性転帰および退院時認知スコアを改善するようであるとの小規模ランダム化スタディの予備的な結果が第64回American College of Cardiology年次集会で発表された。DEFLECT IIIトライアルにおいて調査されたデバイスTriGuardは、脳への3つの血管を一時的にメッシュフィルターで覆うことにより、有害な可能性のある組織砕片を遊離させるTAVRおよび他の施術中の脳損傷リスクを軽減させるようにデザインされた。83人の患者において計測された予備的な院内安全性および有効性が報告された。TAVR後7日間までの重大な階層的複合心血管および脳血管有害イベントとして定義した院内施術安全性に関しては、このデバイスを使用された患者では22.2%でありコントロール群では31.6%であった。総死亡率はデバイス群で2.2%であり、コントロール群では5.3%であった。脳卒中および生命の危険のあるまたは障害を残す出血の両者に関しては、デバイス群で2.2%でありコントロール群で5.3%であった。 |
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OMEGA-REMODEL:オメガ3脂肪酸は心筋梗塞後の傷害心筋を保護するようである [2015-03-17] |
OMEGA-REMODEL: Omega-3 fatty acids appear to protect damaged heart after myocardial infarction |
オメガ3脂肪酸摂取は、既に最適な標準治療を受けている心筋梗塞(MI)後間もない既往者の炎症を抑え心機能のさらなる低下を防ぐようである、とのトライアルの結果が第64回American College of Cardiology学会で発表された。研究者らは、MIから回復中で標準的な治療を受けている米国の患者374人を4gのオメガ3脂肪酸またはプラセボを摂取する群にランダムに割り付けた。MI後2〜4週および6か月後に再度、血液検査および心臓画像検査の解析が施行された。MI後オメガ3カプセルを毎日6か月間内服した患者は、プラセボを内服した患者に比べ心機能低下を示す確率が39%低かった。オメガ3脂肪酸を内服した患者ではまた、線維化の痕跡が有意に少なかった。特に、6か月後の心筋リモデリングおよび組織線維化のマーカーであるST2の低下率は、治療群においてかなり大きかった。このスタディの多くの患者の6か月後の血中オメガ3濃度の増加は、オメガ3脂肪酸の豊富な食事をする日本人集団の値と同等であった。 |
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45歳までに一定のリスクファクターを回避することにより心不全発症が有意に遅延する [2015-03-17] |
Avoiding certain risk factors by age 45 significantly delays development of heart failure |
肥満、高血圧および糖尿病は心不全のリスクファクターとして知られている。今回初めて、45歳までにこれらのリスクファクターを発症しないことにより心不全を発症するまでの平均年数が定量化された、とのスタディ結果が第64回American College of Cardiology学会で発表された。研究者らは、計18,280人を含む過去40年間に施行された4つのスタディの蓄積データを解析した。また、約1,500の心不全症例を同定し、心不全の診断年齢と45歳時の健康状態およびリスクファクターを比較した。45歳までに肥満、高血圧および糖尿病を有していた人々は、これらのリスクファクターを45歳までに1つも有していなかった人々と比べ、平均11〜13年早く心不全と診断された。リスクファクターを3つ全てではなく1つまたは2つしか有していなかった人々は、リスファクターを1つも有していなかった人々に比べ、心不全を3〜11年早く発症した。心疾患治療および予防が進歩したにもかかわらず、このパターンは過去40年間にわたり収集されたデータ全体で一貫していた。 |
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運動能に基づいた新しいトレッドミルの計算式は10年死亡リスクを予測する [2015-03-10] |
New formula based on ability to exercise on a treadmill gauges 10-year risk of dying |
速度や傾斜が上昇するトレッドミルでの個人の運動能に基づき10年間の死亡リスクを推定するFITトレッドミルスコアと呼ばれる計算式が開発された、とMayo Clinic Proceedingsに報告された。研究者らは、胸痛、息切れ、失神またはめまいの評価のために標準的な運動負荷検査を施行された18〜96歳の58,020人の情報を解析した。年齢および性別に加え、激しい運動中の最高心拍数や代謝当量(METs)で計測された運動耐容能が計算式の因子とされた。より激しい運動のためには高いエネルギー消費量(高いMETs)、良好な運動耐容能および高いフィットネスレベルが必要である。その後10年間にわたって、死亡および生存の唯一最強の予測因子はフィットネスレベルであった。スコアは-200から+200までの範囲であり、0を超えるものは死亡リスクが低く、マイナスの範囲内の者は死亡リスクが高かった。スコアが100以上の者はその後10年間のリスクはわずか2%であったのに対し、スコアが-100より低い者は死亡リスクが38%であった。 |
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ナッツやピーナッツの摂取は総死亡や心血管系に起因する死亡のリスク低下に関連する [2015-03-10] |
Eating nuts and peanuts associated with reduced overall death and death from cardiovascular causes |
ナッツやピーナッツの摂取は、様々な民族において、また社会経済的地位が低い者においても総死亡や心血管系に起因する死亡のリスク低下に関連する、とJAMA Internal Medicineオンライン版に掲載された。筆者らは、米国南東部に居住する低収入の黒人および白人の男女71,764人および中国上海に住む中国人男女134,265人を対象とした3つの大規模スタディの結果を解析した。米国および中国のいずれでも、参加者の男性は女性よりもピーナッツをより多く摂取していた。3グループ全てにおいて、ナッツの摂取は総死亡および心血管系疾患死のリスク低下と関連があった。米国のスタディ参加者においては、ピーナッツ摂取量が最も多い者の総死亡リスクは21%低かった。中国のスタディでは、ナッツ多量摂取に伴う死亡リスクは統合解析において17%低下した。ナッツ多量摂取と虚血性心疾患リスク低下との関連は全ての民族において認められた。これらの結果から、ピーナッツは価格の面から入手しやすく、心血管系の健康を向上させるための費用対効果に優れた方法であり得ることが示唆される。 |
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サウナの使用は心血管イベントおよび総死亡率を軽減する [2015-03-03] |
Sauna use associated with reduced risk of cardiovascular events and all-cause mortality |
男性においてサウナに頻回に入ることは致死的心血管イベントおよび総死亡率を低下させた、との論文がJAMA Internal Medicineに掲載された。研究者らは中年男性(42〜60歳)2,315人について、サウナ入浴と心臓突然死(SCD)、致死的冠動脈疾患(CHD)、致死的心血管疾患(CVD)および総死亡率との関連を調査した。週1回サウナに入ると報告した男性と比較し、サウナに週2〜3回入る男性ではSCDリスクが22%低く、週4〜7回では63%低かった。致死的CHDイベントは2〜3回で23%低く、4〜7回で48%低かった。CVD死亡もまた、サウナに週2〜3回で27%低く、4〜7回で50%低かった。総死亡率に関しては、週2〜3回で24%低く、週4〜7回で40%低かった。サウナ入浴に費やす時間もまた、関係するようであった。 |
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MI後に抗血栓療法と共にNSAIDsを内服することは出血および心臓イベントリスク上昇に関連する [2015-03-03] |
Taking NSAIDs with antithrombotic therapy after MI associated with increased risk of bleeding and cardiac events |
心筋梗塞(MI)後に抗血栓療法を受けている患者において、非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs)の使用はたとえ短期間であっても、出血およびMI、脳卒中または心血管死などのイベントリスク上昇と関連があるとのスタディ結果がJAMAに掲載された。研究者らは抗血栓療法中のMI後患者でNSAIDsを処方された者の出血および心血管イベントのリスクを調査した。スタディには61,971人の患者(平均年齢68歳)が含まれ、うち34%がNSAIDsを少なくとも1回処方された。追跡期間中央値3.5年間の死亡数は18,105人(29.2%)であった。計5,288(8.5%)例の出血イベントおよび18,568(30.0%)例の心血管イベントが発現した。解析の結果、NSAIDs治療を行った場合の出血リスクはNSAIDs治療がない場合と比較し2倍であり、心血管系リスクも上昇することが示された。NSAIDs使用による出血および心血管系イベントのリスク上昇は、抗血栓療法、NSAIDsの種類、または使用期間に関係なく明らかであった。たとえ短期間(0〜3日)の使用でも出血リスクは上昇し、NSAIDs併用に関する安全域はなかった。 |
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