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抗凝固薬フォンダパリヌクスはヘパリンと比較しMI後の出血および死亡リスクが低い [2015-02-24] |
Anticoagulant fondaparinux associated with lower risk of bleeding and death following an MI compared to heparin |
非ST上昇心筋梗塞(NSTEMI)を発症し抗凝固薬フォンダパリヌクスを投与された患者は低分子ヘパリン(LMWH)を投与された患者よりも入院中および6か月後の大出血イベントおよび死亡リスクが低かったが、その後のMIまたは脳卒中発現率は同等であった、とのスタディ結果がJAMA 2月17日号に掲載された。研究者らは、フォンダパリヌクスを投与された患者14,791人およびLMWHを投与された患者25,825人を含むSwedishレジストリのデータを解析した。院内の大出血イベントの絶対発生率はフォンダパリヌクス群においてLMWH群よりも少なく(1.1% vs. 1.8%)、院内死亡も同様であった(2.7% vs. 4.0%)。大出血イベントと死亡の2治療群間の差は30日間および180日間で、同等であった。30日間のMI再発率はフォンダパリヌクス群とLMWH群とでそれぞれ9.0%対9.5%であり、180日間では14.2%対15.8%であった。脳卒中率は両群ともに低かった。様々な程度の腎機能の患者や早期に経皮的冠動脈インターベンションを施行されたサブグループ患者においても結果は同等であった。 |
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虚血性脳卒中発症時に十分水分補給をされていると予後が良好である [2015-02-24] |
Being well hydrated at the time of an ischemic stroke is associated with better outcomes |
脳卒中発症時に十分水分補給されていた患者は脱水状態であった患者よりも回復が良好である確率が高いとの研究結果が2015年American Stroke Association's International Stroke Conferenceで発表された。研究者らは脳卒中患者のベースラインの血液検査結果およびMRI画像を収集した。水分補給レベルはBUN/クレアチニン比および尿比重に基づき評価した。虚血性脳卒中患者168人を評価した後、彼らの約半数が入院時に脱水状態であったことが明らかになった。脱水患者では42%が状態が悪化したりまたは不変であったのに対し、水分補給をされていた患者におけるその割合はわずか17%であった。脱水状態の脳卒中患者はまた、脱水状態でなかった患者よりも状態悪化のリスクが約4倍高かった。患者の人種、性別、民族、糖尿病の有無による水分補給レベルの差はほとんどなかった。腎機能障害患者はスタディには含まれなかった。脳卒中発症時の適切な水分補給が脳卒中の予後と関連する理由は明らかではない、と筆者らは述べている。さらに大規模なスタディにより、脳卒中患者に対する水分補給は予後を改善するための安価で実践しやすい介入法であるか否かが判断されるであろう。 |
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2型糖尿病患者の長期生存および心血管系イベントリスク低下に降圧療法が関連している [2015-02-17] |
Blood pressure-lowering treatment linked to long survival and lower risk of cardiovascular events for patients with type 2 diabetes |
2型糖尿病患者における降圧療法は心血管疾患(CVD)や心疾患イベントのリスク低下および死亡率低下と関連がある、とのスタディ結果がJAMA 2月10日号に掲載された。研究者らは糖尿病患者を含む降圧療法の大規模ランダム化コントロールトライアルのレビューおよびメタ解析を行った。その結果、収縮期BPが 10mmHg低下する毎に死亡、心血管疾患イベント、冠動脈疾患イベント、脳卒中、アルブミン尿、および網膜症のリスクが低下した。降圧療法とアウトカムの関連は、脳卒中および心不全を除き薬物クラスによる有意差はなかった。調査されたほとんどのアウトカムに対する降圧療法の比例関係は収縮期血圧140mmHg未満で消失したが、血圧をさらに130mmHg未満に低下させることにより脳卒中、網膜症、およびアルブミン尿のリスクが低下し、これらのアウトカムのリスクの高い多くの人々にとって正味の利益となり得ることがデータから示唆された。 |
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高齢心臓病患者における再入院および死亡リスクは退院後最長1年まで残存する [2015-02-17] |
Risk of rehospitalization and death can remain for up to a year after hospital discharge for elderly cardiac patients |
British Medical Journal に掲載された研究によると、高齢心臓病患者の退院後1か月は5分の1の確率で再入院および死亡のリスクがあるが、これらのリスクの経時的変化の詳細は不明である。今回のスタディでは、心不全、急性心筋梗塞(MI)、および肺炎で入院した65歳以上の患者300万人を調査した。研究チームは退院後丸1年間の1日毎の再入院および死亡の絶対的リスクを明らかにした。その結果、再入院および死亡のリスクは退院後緩徐に低下し、その後数か月にわたり上昇したままであった。また、特定のリスクは退院時の診断により異なり予後は経時的に変化することも示された。例えば、心不全による入院はMIおよび肺炎による入院よりもリスク上昇期間が長かった。これらの疾患全てにおいて再入院のリスクは、死亡リスクに比べ長期にわたり上昇したままであった。絶対リスクやその変化を経時的に追跡することは、患者や病院が回復に対する現実的な予測やゴールを設定し退院後の適切なケアを計画することに役立てるのに重要である、と筆者らは述べている。 |
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一般的に使用される抗生剤と利尿薬の併用は高齢者における突然死リスクを2倍にし得る [2015-02-10] |
Combination of commonly used antibiotics with diuretic can double risk of sudden death in older patients |
一般的に処方される抗生剤トリメトプリム・スルファメトキサゾール合剤と、心不全治療に広く用いられる利尿薬スピロノラクトンの併用は高齢者の死亡リスクを2倍超にする、との報告がCanadian Medical Association Journalに掲載された。17年間にわたるこの大規模スタディは、スピロノラクトンで治療された66歳以上の患者206,319人を対象とした。このうち11,968人が突然死し、うち328人はトリメトプリム・スルファメトキサゾール合剤、アモキシシリン、シプロフロキサシン、ノルフロキサシンまたはnitrofurantoinのいずれかを投与された後14日以内に死亡した。死亡した患者のほとんどは85歳を超えており、トリメトプリム−スルファメトキサゾールを投与された者はアモキシシリンを投与された者よりも死亡する確率が高かった。スピロノラクトン使用中の突然死確率は、アモキシシリン処方後よりもトリメトプリム−スルファメトキサゾール処方後の方が2倍以上高かった。トリメトプリム−スルファメトキサゾールがリスクの高い患者において生命を脅かす様な高カリウム血症を引き起こし得るとの現実的なリスクに、より注意が払われるべきであると筆者らは述べている。また、スピロノラクトン使用中の患者に対し適切な場合には、医師は異なる抗生剤の処方や抗生剤治療期間の制限などを行い、死亡リスクを軽減するために注意深いモニタリングを行うことを考慮すべきである、と述べている。 |
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ジョギングと死亡率との関係から最大限の健康上の有益性のための運動の上限が示された [2015-02-10] |
Association between jogging and mortality suggests an upper limit of exercise for optimal health benefits |
Journal of the American College of Cardiologyに掲載されたスタディによると、ジョギングは少しずつするのが最良であるようである。研究者らはCopenhagen City Heart Studyにおける5,048人の健常参加者を観察し、運動について質問した。健常なジョガー1,098人および健常であるが12年間運動をしていない非ジョガー413人を同定し追跡した。ジョギングの時間、頻度、および個々人のペースの認識を追跡したこのスタディの結果、非常に活発なジョガーは運動をしない非ジョガーと死亡率が同程度であり、軽いジョギングをするジョガーは死亡率が最も低かった。週1〜2.4時間のジョギングが死亡率が最低であることと関連があり、ジョギングの最良の頻度は週3回を超えないことであった。全体として、ゆっくりまたは中等度のジョギングペースの者において死亡率が有意に低く、速いペースのジョガーは運動をしない非ジョガーと同程度の死亡率であった。全般的に、ジョガーは若年で、血圧およびボディーマスインデックスが低く喫煙率や糖尿病有病率が低かった。健康上の有益性を最良とする運動量には上限がある可能性がある、と筆者らは提言している。 |
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心室補助人工心臓の長期使用は心筋増殖を誘導する [2015-02-03] |
Long-term use of ventricular assist devices induces cardiomyocyte proliferation |
心不全患者に対する左室補助人工心臓(LVAD)の長期使用により、細胞調節機構に対する酸化ダメージを予防することによって心筋の再生が誘導される可能性がある、とJournal of the American College of Cardiologyに掲載された。研究者らは心不全患者10人のLVAD前後の心筋検体を観察した。彼らはペアの心筋組織検体についてDNA損傷および細胞増殖のマーカーとしてペアの心筋組織検体について調査した。研究者らは、LVADが障害された心臓を補助することにより、心筋細胞内に発生する酸化ストレスを軽減するのであろうと説明している。LVADを6か月以上装着された患者はDNA損傷反応が有意に低下していた。次に、研究者らはペアの心筋検体の細胞分裂マーカーを調べた。その結果、LVADを6か月以上装着された患者は心筋細胞増殖が有意に増加していた。この細胞増殖は3倍近かった。次のステップは、彼らが観察した細胞分裂が生存能力のある心臓組織およびより強力なポンプを生み出すことを実証することである。もしそうであれば、そのままでは静止した状態の心筋細胞を再覚醒させ、新たな健康な細胞の再生を促す可能性がある。 |
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30〜40歳台の軽度コレステロール値上昇は後の心疾患リスクを上昇させる [2015-02-03] |
Slightly elevated cholesterol levels in 30s and 40s increases later risk of heart disease |
ほとんどの若年成人は、彼らのコレステロール値を気にする必要があるまでにはまだ時間があると思っているようである。しかしCirculationに掲載された新たな研究結果から、たとえコレステロール値がわずかに高くそれ以外は健康である35〜55歳の成人であっても、彼らの心血管系の健康に対し長期の影響を及ぼし得ることが示唆された。研究者らは、Framingham Heart Studyの対象者の一部であり、55歳の時点で心疾患のない成人1,478人のデータを調査した。55歳の時点で、参加者の約40%が高コレステロール血症に少なくとも10年間は曝露され続けていた。次の15年間の彼らの心疾患リスクは16.5%であり、高コレステロール血症を有さない者における4.4%の4倍近く高かった。コレステロール値が上昇した状態が10年続く毎に心疾患リスクは39%上昇し、軽度から中等度のコレステロール上昇であっても累積効果により有意な心血管リスクとなることが示唆された。研究者らはまた、早期成人期にコレステロール値の高かったスタディ参加者のほとんどがスタチン治療の基準には合致しなかったであろうことを指摘している。これらの結果から、コレステロール値上昇以外は健康な35〜55歳の成人はコレステロールコントロールをより早期に考慮すべき集団である可能性のあることが示唆される、と述べている。 |
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