肺炎による入院は心血管疾患リスク上昇と関連がある [2015-01-27]
Hospitalization for pneumonia associated with increased risk of cardiovascular disease

高齢者の肺炎による入院は心血管疾患(CVD)の短期および長期リスクと関連があり、肺炎はCVDの重要なリスクファクターであることが示唆される、とのスタディ結果がJAMA 1月20日号に掲載された。スタディには2つの地域社会を基盤にしたグループ(Cardiovascular Health Study[CHS、5,888人;登録時年齢65歳以上]およびAtherosclerosis Risk in Communities study[ARIC、15,792人;登録時年齢、45-64歳])が含まれた。肺炎で入院した参加者は2つのコントロール群とマッチさせられた。CHSの肺炎591例中206例が、肺炎による入院後10年間にCVDイベント(心筋梗塞、脳卒中、および致死性冠動脈疾患)を発現した。ARICでは、肺炎680例中112例が入院後10年間にCVDイベントを発現した。解析の結果、肺炎による入院はその後のCVDリスク上昇と関連した。リスクは肺炎後30日以内が最も高く(4倍)、その後数年間は1.5倍高い状態が持続した。この関連性は患者背景、心血管系リスクファクターの負荷、未処理の脆弱性計測値で補正しても依然として認められ、感染の様々な重症度において観察された。

退院サマリーを有効に使用することで心不全による再入院が減少する [2015-01-27]
When used effectively, discharge summaries reduce hospital readmissions for heart failure

心不全患者を病院から自宅に移動させるにあたり、かかりつけ医にすぐに届けられる詳細で有用な情報を含む退院サマリーは、患者の早期回復か再入院かの分かれ目になる、との2つのスタディ結果がCirculation: Cardiovascular Quality and Outcomesに掲載された。研究者らは、心不全により入院した患者の大規模多施設スタディであるTelemonitoring to Improve Heart Failure Outcomes(Tele-HF)のデータを解析した。このデータには、1,500を超える米国内46病院の退院サマリーが含まれた。1つ目のスタディで研究者らは、彼らが解析した全ての病院においてサマリーの質が同等であると考えていたが、病院により成績の差が大きいことを発見した。さらに、たとえ成績が最も良好な病院であっても、退院サマリーの質はタイムライン、伝達、および内容において不十分であった。全ての領域において一貫して質の高いサマリーを作成している病院はなかった。Tele-HFの同じデータを用いたもう1つのスタディにおいて、研究チームは退院サマリーに関して病院の業務を改善することにより再入院に差が生じるかどうかが観察された。その結果、退院サマリーの質は実際、再入院リスクと関連があることが示された;サマリーが有用な内容を含むかまたは院外の医師に送付された患者は再入院率が低かった。

心不全患者において救急治療室到着時に血糖値を計測することによりさらなる心血管合併症のリスクが予知できる [2015-01-20]
Measuring blood sugar levels in heart failure patients upon arrival at emergency department predicts risk of further cardiovascular complications

European Heart Journalに掲載された大規模スタディの結果、救急治療室を訪れた心不全患者がたとえ糖尿病の診断歴がなく血糖値が"正常"と考えられる範囲内であっても、その値が6.1mmol/Lを超えていた場合にその患者は糖尿病発症および早期死亡のリスクが高いことが示された。研究者らは16,524人(70-85歳、56%糖尿病の既往なし)の予後を解析した。糖尿病の既往のない患者で血糖値が6.1〜7.8mmol/Lの患者は30日間の総死亡リスクが26%高く、血糖値が11.1mmol/Lを超えていると50%に上昇した。血糖値が6.1〜7.8mmol/Lの患者の心血管系死亡のリスクは28%高く、血糖値が9.4〜11.1mmol/Lの患者では64%に上昇した。血糖値が上昇するにしたがって、その後の糖尿病発症リスクも上昇した。全ての患者において、血糖値が9.4mmol/Lを超えると心不全または心血管系が原因での入院リスクが9〜15%上昇した。これらの結果から、急性心不全で救急受診した全ての患者において来院時血糖値を計測することは予後に関する有用な情報を提供し予後を改善する可能性のあることが示唆される。

6つの健康的な習慣を遵守することにより4人の女性中3人は心疾患を予防できる可能性がある [2015-01-20]
Adhering to 6 healthy habits may prevent heart disease in nearly 3 out of 4 women

6つの健康的な生活習慣を取り入れることにより20歳超の女性における冠動脈疾患の約73%、および糖尿病、高血圧、脂質異常症の46%が予防可能であるとの研究結果がJournal of the American College of Cardiologyに掲載された。健康的な習慣は、非喫煙、ボディーマスインデックスが正常、週2.5時間以上の運動、テレビ視聴時間が週7時間以下、1日当たり平均飲酒量が1杯であること、食事の質で定義された。20年の追跡期間中に456人が心筋梗塞(MI)を発症し、31,691人が2型糖尿病、高血圧または脂質異常症などの心血管疾患リスクファクターを1つ以上有すると診断された。スタディ対象の女性のスタディ開始時平均年齢は37.1歳、心疾患と診断された時の平均年齢は50.3歳、心疾患リスクファクターありの診断時の平均年齢は46.8歳であった。6つの健康的な生活習慣を遵守している女性はMIリスクが92%低く、心疾患リスクファクター発症率が66%低かった。

デュシェンヌ型筋ジストロフィーにおける心機能低下進行は薬物併用療法により遅延する [2015-01-13]
Drug combination slows progressive decline in heart functions in Duchenne muscular dystrophy

デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)の男児および若年男性において、入手可能な心不全治療薬(エプレレノンおよびACE阻害薬またはアンジオテンシン受容体拮抗薬の併用)の早期使用により症状が明らかになる前に心機能低下の進行を遅らせることができる、とのスタディ結果がLancet Neurologyに掲載された。研究者らは心臓磁気共鳴画像検査において早期の心筋傷害所見を有するDMDの男児42人を組み入れた。今回の二重盲検試験において、男児らはエプレレノン25mg錠またはプラセボを1日1錠1年間内服する群に無作為に割り付けられた。対象者全てが主治医に処方された通りにACE阻害薬またはアンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)による基礎治療を受けていた。参加者は試験薬内服前および内服開始後6および12か月に心臓MRI検査を受けた。12か月後に、左室機能のさらなる低下はプラセボ群よりエプレレノン群において有意に少なかった。この有益性を実感するには少なくとも6か月の治療が必要であった。この研究は、DMD患者においてすぐに利用できる薬剤を早期に使用することを支持するエビデンスを提供するものである、と筆者らは確信している。

全粒粉の豊富な食事は特に心血管系の死亡率低下と関連するとのさらなるエビデンス [2015-01-13]
Further evidence that diet enriched with whole grains is associated with lower mortality, especially cardiovascular

全粒粉をより多く摂取することで死亡率、特に心血管疾患(CVD)による死亡は減少するが、がんによる死亡は減少しないようであるとの報告がJAMA Internal Medicineオンライン版に掲載された。全粒粉は健康的な食品として多くの食生活指針で広く推奨されている。しかし、人々が摂食する全粒粉の量や死亡率に関するデータは全く一貫性がない。研究者らは全粒粉摂取と死亡リスクとの関連を2つの大規模スタディ(Nurses' Health Study[1984〜2010]の女性74,341人、およびHealth Professionals Follow-Up Study[1986〜2010]の男性43,744人)のデータを用いて調査した。スタディ開始時点で全ての参加者はがんおよびCVDを有さなかった。スタディ期間中に26,920例の死亡が確認された。データを、年齢、喫煙およびボディーマスインデックスなどの潜在的交絡因子で補正した結果、全粒粉摂取量が多いことは総死亡率が低いことおよびCVD死亡率が低いことと関連したが、がん死亡とは関連がなかった。筆者らはさらに、全粒粉1食分(1日当たり28g)により総死亡率が5%低下しCVD死亡率が9%低下すると推定している。

腎除神経術の不成功および肥満手術の血糖コントロール効果が2014年心血管系進歩上位リストのトップである [2015-01-06]
Failure of renal denervation and ability of bariatric surgery to control blood sugar head list of top cardiovascular advances in 2014

腎除神経術の不成功および肥満手術の血糖コントロール効果が2014年American Heart Associationの心疾患および脳卒中の進歩上位リストのトップである。このリストを構成する他の研究には、低用量アスピリン常用は60歳以上の患者の心血管イベント一次予防には無効であることを示した日本のスタディが含まれた。有望な心不全治験薬LCZ696はエナラプリルよりも死亡や入院をより軽減した。試験的な高感度血液検査から、糖尿病患者は未検知の心傷害をさらに呈していることが示された。冠動脈ステント術後にアスピリンをクロピドグレルまたはプラスグレルと併用することにより予防効果が増大した。マウスのスタディの結果、1回の注射が生涯にわたりコレステロールを低下させる可能性のあることが示された。病院前救護と病院到着後の治療における連携システムで脳卒中後の治療を早期に開始することができる。最新の手法により、希少疾病やステント留置後の血管傷害が発見され、"オンチップ心臓"を用いて突然変異が研究され、"ビッグデータ"を用いてステント留置後の血管に2つの遺伝子がどのように影響するかが明らかにされた。最後に、現在使用可能な2種類のMarfan症候群治療薬の比較において明らかな優劣は認められなかった。

循環器系の国際学会期間中に入院した心不全や心停止の高リスク患者の30日死亡率は低かった [2015-01-06]
High-risk patients with heart failure and cardiac arrest had lower 30-day mortality when admitted during dates of national cardiology meetings

一部の循環器専門医が循環器系の国際学会に参加するために不在であっても心疾患で入院した患者に悪影響はないようであった、との報告がJAMA Internal Medicineに掲載された。研究者らは、2002〜2011年にかけて2つの国際循環器学会の会期中と、学会前後の学会のない同等の日における急性心筋梗塞(AMI)、心不全または心停止により入院した患者の30日死亡率や経皮的冠動脈インターベンション(PCI)治療などの違いを解析した。教育病院における心不全や心停止の高リスク患者の30日死亡率は、学会中に入院した患者において学会中でない時に入院した患者よりも低かった(心不全17.5% vs. 24.8%、心停止59.1% vs. 69.4%)。教育病院における高リスクAMI患者の死亡率は、学会中と学会のない時期とで同等であった(39.2% vs. 38.5%)が、PCI率は学会中において学会のない時よりも低く(20.8% vs. 28.2%)、死亡率に及ぼす影響は認められなかった。死亡率や稼働率に関して、教育病院では低リスク患者において差は認めず、非教育病院では高リスクおよび低リスク患者で差は認めなかった。