CARDIA:修正可能なリスクファクターへの累積曝露に関連した認知機能の変化 [2014-12-22]
CARDIA: Changes in cognition associated with cumulative exposure to modifiable risk factors

加齢、およびアルツハイマー病や神経変性疾患に見られる重篤な認知機能障害であっても、これらに関連する認知機能低下の徴候はその何年も前から発現している可能性がある、との報告が2014年American College of Neuropsychopharmacologyで発表された。研究者らは、Coronary Artery Risk Development in Young Adults Study(CARDIA)に参加し早期成人期から(18〜30歳)中年期(43〜55歳)まで追跡された白人または黒人3,499人の、中年期の認知機能低下の予測因子としての心血管リスクファクター(例えば、高血圧、空腹時血糖値)および生活習慣(例えば、食事、運動)への慢性的な曝露による影響を調査した。その結果、スタディ期間25年間の血圧上昇、および運動不足などのいくつかのリスクファクターへの累積曝露は、中年期の認知能力の低下と関連した。これらの結果に特有なことは、認知機能の変化が中年期(または若年成人期であっても)に検出し得るとのエビデンスが示されたこと、および認知機能の変化は修正可能なリスクファクターへの累積曝露と関連があることである。この結果は、認知機能低下の進行をできるだけ早期に食い止めるために予防戦略はリスクファクターに焦点を当てるべきであることを示唆している。

睡眠障害はアルツハイマー病によって影響を受ける脳領域のアミロイドと関連する [2014-12-22]
Sleep disturbances linked to amyloid in brain areas affected by Alzheimer's disease

眠気を感じ、疲れが取れないと訴える健常で高齢な研究参加者は、アルツハイマー病によって影響を受ける脳領域のアミロイド沈着が高レベルである、との研究結果が2014年American College of Neuropsychopharmacology年次集会で発表された。アルツハイマー病患者の脳内において増加している蛋白であるアミロイドの沈着を可視化するトレーサーを用いた陽電子放射断層撮影(PET)スキャンを用いて、研究者らは認知的に健常な50〜73歳のボランティア98人のグループにおいて睡眠の質と脳内アミロイドレベルとの関連性を調査した。Wisconsin Registry for Alzheimer's Preventionに参加した対象者は、睡眠およびこれに関連した問題についてのアンケートに回答した。眠気が強いと報告した人々はアルツハイマーにおいて強く影響される大脳皮質領域(縁上回および内側眼窩前頭皮質)にアミロイドが多く蓄積していた。これらの領域への高度のアミロイド沈着はまた、安眠できないことや睡眠障害とも関連があった。

反復的ネガティブ思考は睡眠時間およびタイミングと独自に関連している可能性がある [2014-12-16]
Repetitive negative thinking may be uniquely related to both sleep duration and timing

睡眠時間が短く就寝時刻が非常に遅い人々は、睡眠時間が一定している人々と比較し、ネガティブ思考に悩むことが多いとのスタディ結果がCognitive Therapy and Research 12月号に掲載された。反復的ネガティブ思考は、全般性不安障害、大うつ病性障害、心的外傷後ストレス障害、強迫性障害および社交不安障害の人々においてしばしば典型的に認められる。これらの人々は睡眠障害も有する傾向にある。研究者らは100人の若年者に一連の質問に回答し2つのコンピュータ課題を行うように依頼した。その過程において、学生らが何かについてどの程度心配し、思いを巡らせたり強迫観念を持っていたりするか−反復的ネガティブ思考を評価する3つの指標−を計測した。学生たちはまた、睡眠習慣(すなわち、朝型か夜型か、規則正しい睡眠時間か)についても尋ねられた。その結果、睡眠が短く就寝時刻の遅い人々は、しばしば反復的ネガティブ思考を他の人よりも多く経験した。このことはまた、自分のことを夜型と述べた学生においても同様であった。この結果から、睡眠障害は反復的ネガティブ思考の発現に関連している可能性があることも示唆される。

テレメディスンベースの臨床チームとともに働くケアマネージャーにより抗うつ薬の副作用を軽減できる可能性がある [2014-12-16]
Care managers working with a telemedicine-based clinical team can reduce side effects of antidepressant medications

抗うつ薬を内服するプライマリケア患者で集中治療チームベースのテレメディスンケアを受けた者は、そのケアを受けなかった患者と比較し、薬剤副作用の訴えが少なかったとのスタディ結果がPsychiatric Services in Advanceに掲載された。研究者らは、副作用の軽減における2つのケアモデル(離れた場所にいるケアマネージャーによるテレメディスンベースチーム、および集中治療をあまり要しない診療現場ベースによる協力的なケア)の有効性について検討した。スタディ参加者は全員、うつ病ケアマネージャー(正看護師または准看護師)によりコーディネートされた12か月間のエビデンスに基づく治療を受けた。うつ病ケアマネージャーは急性期治療の間は2週間毎に、継続期治療の間は4週間毎に連絡を取った。プライマリケアグループの連絡は対面または電話によるものであった。テレメディスン群患者全員の受診は電話によるものであった。テレメディスンベース群においては6、12、および18か月後の副作用が有意に少なかった。スタディの筆者らは、副作用が減ったのはケアマネージャーが副作用の監視にさらに焦点を当てることで患者が副作用を理解し対処するのに役立った結果であろう、と指摘している。

早期アルツハイマー病患者の脳白質の結合が変化していることが拡散テンソル画像により示される [2014-12-09]
Diffusion tensor imaging shows changes in white matter connection in brains of patients with early Alzheimer's disease

MRI検査において現れる脳結合の変化はアルツハイマー病の画像バイオマーカーとなり得る、とのスタディ結果が2014年Radiological Society of North America年次集会で発表された。研究者らは、Alzheimer's Disease Neuroimaging Initiative(ADNI) 2に登録された患者102人の結果を解析した。患者は、白質路周囲の水の動きやすさを計測することにより白質統合性を評価するMRI検査である拡散テンソル画像(DTI)を施行された。研究者らは、構造的なコネクトームの変化と脳内βアミロイドプラーク量を計測する技術であるflorbetapir陽電子放射断層撮影(PET)画像の結果とを関連付けた。Florbetapir取り込み上昇はβアミロイド量が多いことと一致した。この結果は、florbetapir取り込みと調査された脳の5つの領域それぞれにおける構造上のコネクトームの強さの低下との強力な関連を示した。これらの結果に基づくと、DTIは早期アルツハイマー病における脳傷害の評価や新たな治療法の効果の観察に役立つ可能性がある。

ハイブリッドPET/CT画像は心的外傷後ストレス障害と軽症の外傷性脳損傷を鑑別する可能性がある [2014-12-09]
Hybrid PET/CT imaging may differentiate post-traumatic stress disorder from mild traumatic brain injury

脳下垂体領域の陽電子放射断層撮影とコンピュータ断層撮影(PET/CT)のハイブリッド画像は、兵役経験者の心的外傷後ストレス障害(PTSD)と軽症外傷性脳損傷(MTBI)とを鑑別するのに有望な方法であるとのスタディ結果が、2014年Radiological Society of North America年次集会で発表された。研究者らはPET/CTを用いて、爆破によるMTBIを被った兵役経験者の視床下部と脳下垂体を調査した。放射性医薬品フルオロデオキシグルコースの取り込みを計測することにより画像を提供する18F-フルオロデオキシグルコース(18F-FDG)PET/CTに焦点を当てた。159の脳18F-FDG PET/CT検査結果から、視床下部のFDG取り込みはMTBIのみの群において正常なコントロールよりも有意に低下していることが示された。脳下垂体のFDG取り込みはMTBIとPTSDを合併している群においてMTBIのみの群よりも有意に高かった。PTSD患者の脳下垂体におけるFDG取り込み上昇所見は、PTSDと診断された多くの兵役経験者が実際は下垂体機能低下症を有している可能性があるとの見解を支持するものである。これらの結果から、PET/CTはPTSDとMTBIを鑑別診断する有効な手段であり、PTSDの生物学的徴候に関するより多くの知見を提供する可能性のあることが示唆された。

MRIおよびCT画像は将来の認知機能障害のリスクに関する価値ある予後情報を提供する [2014-12-02]
MRI and CT imaging provide valuable prognostic information about risk for future cognitive impairment

体の主要動脈へのプラーク蓄積は軽度認知障害と関連があった、との研究結果が2014年Radiological Society of North America年次集会で発表された。研究者らは、心血管疾患症状を有さない参加者1,903人(平均年齢44歳)の検査結果を解析した。スタディの参加者らはモントリオール認知評価検査(MoCA)を受け、脳の磁気共鳴画像検査(MRI)で白質の高信号体積を評価された。彼らはまた、MRIにより頸動脈および腹部大動脈の壁厚を計測されコンピュータ断層検査(CT)で冠動脈石灰化を計測された。統計的回帰モデルを用いて動脈硬化の発生と軽度認知機能障害を関連付けたところ、体内の3つの全ての血管領域の動脈硬化と認知面での健康との独立した相関が認められた。内頸動脈壁厚四分位で最大であった者は、MoCA低値で評価した認知機能障害を有する確率が21%高かった。冠動脈石灰化スコアが高値であることはMRI上、白質の高信号体積が大きいことの予測因子であった。MRIとCTの画像技術により、個人のダウンストリーム健康リスクに関する貴重な予後の情報が得られると筆者らは示唆している。