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睡眠時無呼吸によるレム睡眠の途絶は新たな空間記憶の形成能を障害する可能性がある [2014-11-11] |
Disruption of REM sleep as a consequence of sleep apnea impairs ability to form new spatial memories |
睡眠時無呼吸は、車を駐車した場所を思い出すなどの新たな空間記憶形成能に影響する可能性がある、とのスタディ結果がJournal of Neuroscienceに掲載された。急速眼球運動(REM)睡眠時無呼吸の認知機能に対する影響を評価するために研究者らは、夜間持続陽圧呼吸(CPAP)療法中の重度睡眠時無呼吸症患者18人を組み入れた。対象者は睡眠室で二晩を過ごし、コンピュータが作成するユニークな3D空間迷路2つのうち1つを通過する間の操縦を行うビデオゲームを睡眠前後に行った。二晩のうち一晩は、対象者のREM睡眠中のCPAP使用を減らし、睡眠時無呼吸を発生させた。CPAP治療により一晩中睡眠が補助された場合、迷路達成時間は一晩でベースライン時よりも30%改善した。しかし、睡眠時無呼吸によりREM睡眠が途絶されると、対象者は迷路を終了するのに4%長く時間を要した。同じく重要なことに、REM睡眠中に睡眠時無呼吸が起こった時に、対象者は別の精神運動覚醒検査において反応時間の遅延を生じなかった。これは、眠気または注意力低下が空間記憶の低下の原因ではないことを示唆している。 |
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高齢男性において自己報告の睡眠障害はアルツハイマー病高リスクと関連がある [2014-11-11] |
Self-reported sleep disturbances linked to higher risk for Alzheimer's disease in elderly men |
睡眠障害を有すると自己報告する高齢男性は、そうでない高齢男性よりもアルツハイマー病発症リスクが高いとのスタディ結果がAlzheimer's & Dementiaに掲載された。研究者らは、スタディ登録時50歳のスウェーデン人男性1,000人超を追跡した。睡眠障害を有すると自己報告した男性は、そうではない男性よりも40年間の追跡期間中にアルツハイマー病を発症するリスクが1.5倍高かった。自己報告の睡眠障害が遅く発見されるほど、アルツハイマー病発症リスクが高かった。高齢期の睡眠の質を改善することを目的とした治療戦略がアルツハイマー病発症リスク軽減に役立つ可能性がある、と筆者らは述べている。しかし、運動などの脳の健康に影響するいくつかの生活習慣因子があることを彼らは強調している。したがって、年齢に応じた脳の健康を維持するためには良好な睡眠習慣などの多面的な生活習慣アプローチが重要である。 |
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メンタルヘルス障害を有する人々は心疾患または脳卒中を有する確率が2倍である [2014-11-04] |
People with mental health disorders are twice as likely to have heart disease or stroke |
メンタルヘルスの問題に直面している人々は心疾患または脳卒中を有する確率が有意に高いとのスタディ結果が、Canadian Cardiovascular Congressで発表された。Canadian Community Health Surveyのデータを用いて、研究者らは心血管リスクと疾患、メンタルヘルス障害(統合失調症、双極性障害、大うつ病および不安障害)および向精神薬(抗精神病薬、抗うつ薬、 ベンゾジアゼピンおよび精神安定剤)の使用との関連を調査した。人生のいずれかの時点でメンタルヘルス障害を有したことのある者は、心疾患を有したり脳卒中を経験した確率が2倍高かった。心疾患や脳卒中を発症しなかった者は、一般人口と比較し心血管疾患を発症する長期リスクが高かった。向精神薬を内服している人々は内服していない人々よりも心疾患を有する確率が2倍高く、脳卒中を有する確率が3倍高かった。このリスク上昇は薬の副作用、喫煙や飲酒、貧しい食生活および運動不足などの不健康な習慣、および医療機関受診に関わる問題などが原因である、と筆者らは述べている。 |
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高齢者において外傷性脳損傷は認知症リスクと関連する [2014-11-04] |
Traumatic brain injury associated with increased dementia risk in older adults |
55歳以上の成人において外傷性脳損傷(TBI)は認知症リスク上昇と関連するようであるとのスタディ結果がJAMA Neurologyオンライン版に掲載された。1回のTBIと認知症発症リスクとに関連があるか否かについては議論のあるところである。研究者らは、最近のTBIを有する55歳以上の成人と脳損傷以外の身体外傷(NTT−頭頸部以外の骨折)を有する成人との認知症リスクを比較した。スタディには、救急外来および入通院のデータベースから164,661人の患者が組み入れられた。外傷患者計51,799人(31.5%)がTBIを有していた。そのうち、4,361人(8.4%)が認知症を発症したのに対し、NTTでは6,610人(5.9%)であった。外傷から認知症と診断されるまでの平均期間は3.2年であり、NTT群よりTBI群で短かった(3.3年対3.1年)。中等度から重度のTBIは55歳以上での認知症リスク上昇と関連があった一方で、65歳以上では軽度のTBIが認知症リスクを上昇させた。TBI患者の認知機能が回復するか認知症を発症するかは多様な他のリスクや防御因子に依存するようである、と筆者らは指摘している。 |
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