身体活動の頻度を増加させることによりスタディにおける全年代のうつ病リスクが低下した [2014-10-28]
Increasing frequency of physical activity reduces depression risk across all age groups in study

週3回身体的に活動的であることはうつ病の確率を約16%低下させるとの研究結果がJAMA Psychiatryに掲載された。スタディの結果、うつ病と身体活動との間に二通りの相関関係が認められた;週ごとの身体活動を増加させた人々はうつ症状の訴えが少なかったが、特に若年者において、うつ症状が多いほど活動性が低かった。研究者らは1958年生まれの11,135人を50歳まで追跡し、成人期のうつ症状および定期的な身体活動レベルを記録した。その結果、週当たりの身体活動セッションが1回増える毎に、うつ病の確率が6%低下することが明らかにされた。スタディにより、23歳の時点でうつ病症状がより多いと報告するほど身体的に活動性が低かったが、この影響は年齢を経るにつれ弱まった。これとは対照的に、活動頻度が増加すると全年代において一貫してうつ症状は軽減した。このスタディから、身体活動は現段階で活動的でない多数の人々の精神的身体的健康を有意に改善し得ることが示唆された。

単純ヘルペスウイルスに感染するとアルツハイマー病発症リスクが2倍近くになる [2014-10-28]
People infected with the herpes simplex virus have nearly double the risk of developing Alzheimer's disease

単純ヘルペスウイルス感染症はアルツハイマー病リスクを上昇させるとの2つのスタディがAlzheimer's & Dementiaに掲載された。スウェーデンの研究者らは今回、2つの大規模疫学研究において単純ヘルペスウイルス感染症とアルツハイマー病発症リスクとの関連を確認した。加齢、記憶および認知症に関するスタディであるBetulaプロジェクトを基盤とした1つ目のスタディにおいて、再活性化されたヘルペス感染がアルツハイマー病発症リスクを2倍にすることが示された。このスタディは3,432人の参加者を平均11.3年追跡した。もう1つのスタディでは、アルツハイマー病患者360人からUmeå UniversityのMedical Biobankに寄付された検体、および認知症を発症しなかった同数の人々の検体が調査された。検体は診断から平均9.6年前に採取された。スタディの結果、ヘルペスウイルス保有者であるとアルツハイマー病発症リスクが倍であった。ヘルペスは近年抗ウイルス薬で治療できるため研究者らは、ヘルペス保有患者を治療しアルツハイマー病発症を予防するスタディを開始したいと望んでいる。

心疾患リスク上昇および代謝上の問題は精神疾患の経過の早期に発現する [2014-10-21]
Elevated risks of heart disease and metabolic issues occur early in the course of mental illness

精神病患者の多くは、精神疾患の経過中の早期死亡に関連した健康上のリスクを発症するとのスタディ結果がJAMA Psychiatryに掲載された。研究者らは初回エピソード精神病を来した約400人(15〜40歳)を調査した。肥満頻度は一般人口の同年代のグループと同等であった。しかし、喫煙およびメタボリック症候群は遥かに多かった。このスタディ参加者の比較的若年のグループにおける脂質異常症および高血圧前症の頻度は、15〜20歳の人々に一般的に認められる確率と少なくとも同等の高さであった。特筆すべきことに、抗精神病薬による治療は、たとえそれが短期間の曝露であっても(参加者の平均投与期間は47日間)、メタボリック症候群リスク上昇と関連した。筆者らは、初回エピソード精神病を有する人々の心疾患および代謝問題のリスク上昇は、精神疾患、不健康な生活習慣およびこれらのリスクを上昇させる抗精神病薬の相互作用が原因であると結論付けている。初回エピソード精神病を有する人々に対しては、必要な医療全般に向けた精神的および全般的医療を組み合わせたチームベースの治療を行うことが必要である、と彼らは述べている。このスタディは、Recovery After an Initial Schizophrenia Episode(RAISE)プロジェクトの一部である。

がん患者の約3分の1が臨床的に関連する明らかなメンタルヘルス障害を有する [2014-10-21]
Nearly a third of people with cancer experience clinically relevant mental health disorder

Journal of Clinical Oncologyに掲載された大規模スタディの結果、がん患者の約3分の1が、不安、抑うつおよび適応障害などの何らかの臨床的に関連するメンタルヘルス上の課題を、過去4週間以内に経験していた。研究者らは、がん患者2,141人(18〜75歳)に対し対面式の標準化された質問を行い、過去4週間の様々な心理症状を評価した。その結果、32%の患者が臨床的に意味をもつメンタルヘルス障害を少なくとも1つ経験していた―この有病率は一般人口(18〜20%が臨床的に意味をもつ精神障害を有すると推定される)よりも高かった。質問の前4週間の間に、11.5%の患者が不安障害を経験し、11%は適応障害の診断基準に合致し(がんのような有意な生活の変化に応じた主に混合性の不安−うつ症候群)、6.5%は気分障害(大うつ病など)の徴候を有していた。これらの問題の有病率は、がんの種類により異なった。有病率が最も高かったのは乳がん(42%)および頭頸部がん(41%)の患者であり、次にメラノーマ(39%)であった。最も有病率が低かったのは前立腺がん(22%)、胃がん(21%)、および膵臓がん(20%)の患者であった。

Arterial spin labeling(ASL) MRI技術は症状出現前の認知機能低下所見を検出する [2014-10-14]
Arterial spin labeling MRI technique detects evidence of cognitive decline before symptoms appear

磁気共鳴画像(MRI)技術により症状出現前であっても認知機能低下徴候を検出することができるとの新たなスタディの結果がRadiologyに掲載された。MRI技術を用いた非侵襲的なASL法は、症状出現前認知症の非常に早期の診断におけるバイオマーカーとなる可能性がある。研究者らは健常高齢者148人および軽度認知障害(MCI)の65人を組み入れた。参加者は脳MRIおよび神経心理学的評価により認知能力を判定された。18か月後のフォローアップ受診時、健常人148人中75人は安定した状態であったが73人は認知機能が低下していた。認知機能が低下した者はベースライン時のASL法による 検査において脳血流量が低下しており、脳が特定の課題に集中していない時に活性化するデフォルトモードネットワークと関連する脳領域である後帯状皮質で特に低下していた。このネットワークの低下はMCI患者において認められ、アルツハイマー病患者でより顕著である。認知機能障害を発症するに到った健常人の脳血流量低下パターンはMCI患者のそれと類似していた。

女性において心配、嫉妬および不機嫌はアルツハイマー病の高リスクと関連する [2014-10-14]
Worry, jealousy and moodiness linked to higher risk of Alzheimer's disease in women

中年期に不安、嫉妬または不機嫌で悩みやすい女性は後年アルツハイマー病を発症するリスクが高い可能性があるとのスタディ結果がNeurology®オンライン版に掲載された。このスタディにおいて800人の女性(平均年齢46歳)が38年間追跡され、神経症的傾向度や外向的か内向的かを観察する性格検査および記憶力検査を施行された。対象者の19%が認知症を発症した。また、1か月以上持続するストレス経験の有無も質問された。神経症的傾向検査において最もスコアの高かった女性は、この検査でスコアが最も低かった女性と比較し認知症を発症するリスクが2倍であった。しかし、この関連性は長期間持続したストレスによるようであった。今回のスタディにおいて、内向的であることも外向的であることもそれのみでは認知症のリスクに関連しないようであったが、悩みやすく内向的な女性はアルツハイマー病リスクが最も高かった。アルツハイマー病を発症したのは、悩みやすく内向的な女性63人中16人、つまり25%であったのに対し、あまり悩みこまない外向的な女性では64人中8人、つまり13%であった。

高齢者の記憶に関する訴えはその後の認知症およびアルツハイマー病の指標である可能性がある [2014-10-07]
Memory complaints among older adults may be indicators of future dementia and Alzheimer's disease

認知症はないが記憶の問題を訴え始めた人々は、たとえその臨床的徴候がなかったとしても、その後認知症を発症する確率が高い、とNeurology®オンライン版に掲載される。このスタディにおいて、認知症のない531人(平均年齢73歳)が記憶力に何か変化があったかを年に1回尋ねられた。彼らはまた、年1回の記憶および思考検査を平均10年にわたり施行された。参加者のうち243人の脳が死亡後にアルツハイマー病の所見の有無に関して調査された。参加者のうち記憶力の変化を訴えた者は計56%であり、平均年齢は82歳であった。記憶力に関する訴えを行った者は記憶および思考の問題を発症する確率が3倍高かった。参加者の6人に1人がスタディ期間中に認知症を発症し、その80%が最初に記憶力の変化を報告した。記憶に関する初期の訴えの後に認知症が発現するまでに12年、臨床的な障害が出現するまでに9年かかったため、これらの結果は診断可能な症状が出現する前に介入する時間がある可能性を示唆している。

脳卒中のリスクが高いことはうつ病や不安症に繋がりやすく、精神的身体的QOLが低下する [2014-10-07]
Increased risk of stroke leads to more depression, anxiety and reduced mental and physical quality of life

一過性脳虚血発作(TIA)は心的外傷後ストレス障害(PTSD)発症のリスクを上昇させる可能性があるとの新たな研究結果がStrokeに掲載された。このスタディは、TIAおよびTIA後の脳卒中リスクが高いと認識することが患者に精神的な問題を発症しやすくなるかを解析した初めてのものである。研究者らは脳卒中の既往のないTIA患者108人のデータを調査し、精神状態についての一連の質問表に対する参加者の回答を検討した。その結果、TIA既往を有する患者の約30%がPTSD症状を明らかにし、全TIA患者の約14%は精神的QOLの有意な低下を、6.5%は身体的QOLの低下を示した。PTSD患者は抑うつや不安およびQOL低下の徴候をより強く示した。彼らのTIA後の脳卒中に対する恐怖および対処行動のまずさが、部分的にはPTSD発症の原因かもしれない。TIAとうつ病両者の症状を体験することはその患者にとっては有意な精神的重荷となる。患者のストレスフルな状況に対する反応の仕方がTIA後のPTSD発症リスクの決定に有用である可能性がある、と筆者らは述べている。