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双極性障害の患者はヨガを行うことにより感情的、認知的および身体的な恩恵を被る [2014-09-30] |
Patients with bipolar disorder get emotional, cognitive and physical benefits from yoga practice |
ヨガを実践している双極性障害患者はヨガが精神衛生上有意に有益であると信じているとの調査結果がJournal of Psychiatric Practice 9月号で報告された。研究者らは、双極性障害を有すると自覚しヨガを実践している109人を組み入れた。彼らは、ヨガおよびそれが気分障害症状に対する影響に関するオンラインの調査に回答するように依頼された。有効回答をした86人中、70人は躁症状またはそれより重症度の低い軽躁症状に対するスクリーニングアンケートにおいて肯定的な結果であった。3分の2が、ヨガはうつ、躁、または軽躁症状に対し少なくとも時々好ましい影響を与えたと回答した。彼らはまた、不安や心配の軽減などの感情上の良好な作用;認知機能に対する好ましい効果(特にマインドフルな状態);および体重減少、エネルギー増加、および睡眠の改善などの好ましい身体的効果などを報告した。しかし、回答者の4分の1はヨガによる否定的な効果も報告した。否定的な効果で最も多かったのは、身体的疼痛または外傷であった。さらに、回答者の9%は、ヨガが時に双極性障害症状に対し悪い方向に働いたことを報告した。研究者らは、双極性障害に対する付加的な介入法としてのヨガに関するパイロットスタディを計画している。 |
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無気力や感情的切り離しのような重要なPTSD症状の神経生理学的基盤を脳画像により正確に示すことができる [2014-09-30] |
Brain imaging pinpoints neurobiological basis for key symptoms of PTSD like listlessness and emotional detachment |
心的外傷の被害者を対象とした新たな脳画像研究において、感情に関連した脳内オピオイド受容体と悲哀、感情的切り離しおよび無気力などの狭い範囲の心的外傷後症状とが関連付けられた。JAMA Psychiatryオンライン版に掲載されたこのスタディにおいて、健康なボランティアと臨床的に心的外傷後ストレス障害(PTSD)、大うつ病、および全般性不安障害と診断され、感情的切り離しから分離にわたる症状を有する外傷の被害者の脳画像を比較した。参加者は、カッパとして知られるオピオイド受容体の一種に結合し、高解像度陽電子放射断層撮影(PET)で光る放射性トレーサーを投与された。カッパオピオイド受容体は、ストレス時に不快感を和らげるために身体から放出されるダイノルフィンとして知られる強力な天然オピオイドと結合する。感情を抑制すると考えられている脳領域内の有効なカッパオピオイド受容体が少ないことは、不安の高ぶり感ではなくより強力な不快感と関連した。スタディではまた、ストレスホルモンであるコルチゾール低値とカッパオピオイド受容体が無効であることとの関連も見いだされ、ある種のPTSD症状のバイオマーカーとしてのコルチゾールの役割が示唆された。 |
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REGARDS:血液型がAB型であると認知機能障害リスクが上昇する [2014-09-22] |
REGARDS: Blood type AB associated with increased risk of cognitive impairment |
血液型がAB型の人々は他の血液型の人々よりも、高齢期に記憶障害を発症する確率が高いとのスタディ結果がNeurology®オンライン版に掲載された。このスタディは、30,000人超を平均3.4年間追跡した大規模スタディ(REasons for Geographic And Racial Differences in Stroke:REGARDS Study)の一部であった。試験開始時に記憶障害や思考障害のなかった人々のうち、495人がスタディ期間中に認知機能障害を発症した。これらの人々が認知機能の問題を有さない587人と比較された。血液型がAB型の人々は、他の血液型の人々よりも、認知症に繋がる認知機能障害を発症する確率が82%高かった。研究者らはまた、血液凝固に必要な蛋白である血中の第VIII因子レベルを観察した。第VIII因子レベルが高い人々は、この蛋白レベルが低い人々よりも、認知機能障害および認知症を発症する確率が24%高かった。血液型がAB型の人々は他の血液型の人々よりも第VIII因子の平均値が高かった。 |
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マインドフルネスストレス低減瞑想法は片頭痛の成人に対し安全で実践的な治療法である [2014-09-22] |
Mindfulness-based stress reduction meditation techniques are safe and feasible therapy for adults with migraines |
瞑想は片頭痛低減の治療法となる可能性があるとのスタディ結果がHeadacheオンライン版に掲載された。片頭痛を有する成人19人がランダムに2群に割り付けられ、10人はマインドフルネスストレス軽減法(MBSR)を受け、9人は標準的な薬物治療を受けた。MBSR群の患者はMBSR法を学ぶ週1回のクラスに8回参加し、さらに自分で45分間の瞑想を少なくとも週5回行うように指導された。MBSR参加者は片頭痛の回数が減り重症度も低減する傾向にあった。具体的には、MBSR参加者は1か月当たりの片頭痛の回数が1.4少なく重症度も軽かったが、統計学的に有意ではなかった。MBSR参加者の頭痛はコントロール群と比較し有意に短かった。これらの結果から、MBSRは成人の片頭痛に対し安全で実践的であると研究チームは結論付けた。このパイロットスタディではサンプルサイズが小さすぎたため、片頭痛の頻度や重症度の有意な変化を検出できなかったが、二次アウトカムの結果、この介入法は頭痛の持続時間、障害、自己効力感およびマインドフルネスにおいて有益な効果をもたらすことが示された。今後さらにサンプルサイズの大きなスタディが計画されている。 |
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運動を通して心血管系の強度を改善することにより加齢による認知機能障害が予防できる [2014-09-02] |
Improving cardiovascular strength through exercise protects against cognitive impairment as we age |
運動で心血管系の強度を改善することにより加齢による認知機能障害を予防できる可能性がある、とのスタディ結果がNeurobiology of Aging誌に掲載された。研究者らは若年者31人(18〜30歳)と高齢者54人(55〜75歳)を対象に研究を行った。スタディの結果に影響する可能性のある身体的または精神的健康問題を有する者は参加者には含まれなかった。参加者は3回のMRI検査(1回は脳への血流を評価する検査、1回はストループ課題[科学的に立証された認知的敏捷性の検査]を行っている間の脳活性の計測、1回は大動脈の物理的状態を観察する検査)を施行された。心血管系の健康状態が不良であると心拍毎の脈波が速く、これは脳内の小血管障害を来し得ることから、研究者らは脳血流に興味をもった。今回の研究の結果、加齢による実行機能低下、大動脈弾性および心肺の健康状態、血管の健康と脳機能の関連、および有酸素運動と脳機能の正相関などが示された。筆者らは、血管弾性を維持することが、運動が認知機能の加齢現象を遅延させるメカニズムのひとつであろうと確信している。 |
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薬物と認知療法の併用は重度の非慢性うつ病において最も有効である [2014-09-02] |
Combination of drugs and cognitive therapy most effective for severe nonchronic depression |
重度の非慢性うつ病の患者が回復する確率は、認知療法と抗うつ薬の併用により、抗うつ薬のみの場合に比べ30%も改善する。これはJAMA Psychiatry 2014年8月号オンライン版に掲載された臨床試験の結果である。このスタディは、慢性または再発性の大うつ病を有する成人外来患者452人を対象としたランダム化臨床試験であった。対象者を一定期間追跡する過去のスタディとは異なり、今回のスタディは患者らを初回寛解(症状の完全な正常化)し回復(6か月間再発しない)するまで治療したため、一部の症例では3年を要するものもあった。これらの結果から、抗うつ薬と認知療法との併用は大うつ病患者の約3分の1においてこれまで思われていたのとかなり大きな違いをもたらすことが示された。しかし、その他の3分の2の患者―慢性のまたは重症度の軽い患者―は併用療法により同様の有益性は得られなかった。 |
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