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ADHDと視覚刺激が予測される状態での眼球運動抑制不能との関連が認められた [2014-08-26] |
Correlation found between ADHD and inability to suppress eye movement in the anticipation of visual stimuli |
新たなスタディの結果、注意欠如多動性障害(ADHD)の正確な診断のために医師が必要とする客観的なツールが得られる可能性がある。Vision Researchに掲載された研究によると、不随意眼球運動はADHDの存在およびこの疾患治療に用いられる神経刺激薬の有効性を正確に反映する。研究者らは視線追跡装置を用いて、2つのグループの成人22人が注意変数検査(TOVA)と呼ばれるADHD診断コンピュータ検査を受けている間の不随意眼球運動をモニターした。22分間持続する課題を各参加者が2回繰り返し行った。ADHDと診断された1番目の参加者群はまず未投薬の状態で検査を受け、その後メチルフェニデート内服下で再度検査を受けた。ADHDの診断を受けていないもう1つの参加者群はコントロール群を構成した。その結果、ADHDと視覚刺激が予測される状態で眼球運動抑制ができないこととは直接関連があることを明らかにした。またこの研究では、メチルフェニデートを内服している参加者の成績が改善したことも示された。メチルフェニデートは不随意眼球運動抑制を平均レベルに正常化した。この検査で追跡した眼球運動は不随意のものであり、したがってこれらはADHDの確かな生理学的指標となると筆者らは述べている。 |
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前頭部、深部側頭部および頭頂部の脳変化はアルツハイマー病の日常機能低下と関連する [2014-08-26] |
Changes in frontal, deep temporal and parietal areas of brain associated with decline in daily functioning in Alzheimer's disease |
アルツハイマー病による日常機能低下は脳内のある領域の活動性(FDG代謝)の変化に関連するとのスタディ結果がJournal of Alzheimer's Disease 8月号に掲載された。研究チームは臨床的に正常な高齢者104人、軽度認知障害を有する203人、およびアルツハイマー病による軽度の認知症を有する95人のデータを調査した。参加者はベースラインのPETスキャン検査により、脳活性の判定を受けその後6〜12か月毎に3年後まで臨床的評価を受けた。参加者のスタディパートナー(家族または友人)もまた参加者の日常生活活動に関する質問表に回答した。認知過程および意思決定の役割を担う脳前頭部領域、記憶に関連する深部側頭領域および頭頂領域の活性低下は、最初およびその後の手段的日常生活動作能力の障害が重度であることと関連した。これらの重要な障害を早期の認知症段階の前に発見し、これらが脳内の変化とどのように関連するかをより良く理解することにより、極めて重要な患者中心のアウトカムに焦点を当てた臨床試験のより有効なデザインが生み出されるであろう。 |
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仕事関連のハイストレスは2型糖尿病発症リスクを上昇させる [2014-08-19] |
High level of work-related stress increases risk of developing type 2 diabetes |
職場でハイプレッシャー下にあり同時に自己の行動を自分でコントロールできないと感じている人々は、職場でのストレスが少ない人々よりも2型糖尿病(T2DM)発症のリスクが45%高い、とのスタディ結果がPsychosomatic Medicineに掲載された。研究者らは5,300人余りの被雇用者(29〜66歳)から前向きに収集したデータを調査した。これらの対象者のうちスタディ開始時に糖尿病を有している者はいなかった。約5人に1人が職場(仕事上の要求が多いことは仕事のコントロールがし難いことと組み合わさっている)でのハイストレスにさらされていた。追跡期間中央値12.7年の間に、291件のT2DMが発症した。ベースライン時点で職務ストレスが大きかった者は職務ストレスの小さかった者よりT2DM発症リスクが45%高かった(p=0.048)。連続性のスケール上で、職務ストレス度合いが1標準偏差高いことは完全補正後のT2DMリスクの12%の上昇に匹敵した(p=0.045)。糖尿病蔓延撲滅のための予防戦略として職場環境でのハイストレスの有害な影響を考慮に入れるべきである、と筆者らは述べている。 |
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認知症及びアルツハイマー病リスクは健忘性MCIの人々において特に高い [2014-08-19] |
Risk of dementia and Alzheimer's disease is especially high for people with amnestic MCI |
一般人口における55歳以上の人々を対象にした住民ベースの長期スタディにおいて、軽度認知障害(MCI)と診断された人々は認知面が健康な人々と比較し、認知症またはアルツハイマー病を発症するリスクが4倍高いことが示された。この観察コホート研究参加可能であった4,198人中、約10%がMCIと診断された。そのうち、163人は健忘性MCIを有し、254人は非健忘性MCIを有していた。認知症リスクは健忘性MCIを有する人々において特に高かった。アルツハイマー病に関しても同様の結果が認められた。高齢、APOE-ε4陽性、総コレステロールレベル低値、および脳卒中などのいくつかのリスクファクターがMCI発症リスク上昇と関連があった。APOE-ε4ジェノタイプを有すること、および喫煙は健忘性MCIのみと関連があった。MRIスタディの結果、MCI、特に非健忘性MCIを有する人々は、コントロールと比較し、白質領域容積が大きく一見正常な白質の微細構造の健全性が不良であった。彼らはまたコントロールよりもラクナを有する確率が3倍高かった。MCIは脳の総容積、海馬容積、または脳内微小出血とは関連がなかった。この結果はJournal of Alzheimer's Diseaseのサプリメントに掲載されている。 |
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認知症とうつ病との関連は認知症による脳変化とは無関係である [2014-08-11] |
Association of depression with dementia is independent of dementia-related brain changes |
Neurology®オンライン版に掲載されたスタディの結果、うつ病と認知症の関連は認知症による脳変化とは無関係であることが示された。この研究は思考や記憶に問題のない1,764人(平均年齢77歳)を対象とした。スタディ期間中に922人(52%)が軽度認知機能障害(MCI)を、315人(18%)が認知症を発症した。脳の傷害量とうつ症状レベルや経時的なうつ病症状変化には関連がなかった。MCIを発症した人々はMCI診断前のうつ症状レベルが重度であったが、診断後の症状変化はMCIのない人々と差がなかった。認知症を有する人々も認知症が始まる前のうつ症状が重度であったが、認知症発症後のうつ症状軽減はより速かった。うつ症状レベルが重度であると思考や記憶能の低下がより速く、脳傷害に起因しない4.4%の低下の差が認められた。これらの結果から、うつ病は認知症のリスクファクターであることが示唆される。 |
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DNAメチル化は脳がどのようにストレスに対し反応するかを調整するのに役割を果たしている可能性がある [2014-08-11] |
DNA methylation may play a role in regulating how the brain responds to stress |
遺伝子の微細な変化により、うつ病や、心的外傷後ストレス障害および肥満などの健康問題を引き起こすストレスに対し脳がどのように反応するかが予測でき得るとの研究結果がNature に掲載された。最初に研究チームは、10歳代の80人に怒った顔や悲しい顔を見せられた時の機能的磁気共鳴画像検査(fMRI)を行った。研究者らは彼らの扁桃体の反応を記録し、患者の唾液からセロトニントランスポーターDNAのメチル化量を計測した。小さなメチル化の変化であっても扁桃体活性が変化し、これはDNA配列変異の検出よりもうつ病リスクのより優れた予測因子であるようであった。その後彼らは96人の若者(12〜15歳)において脳画像とDNAを調査し怒りや恐怖に対する扁桃体の反応性を再度計測し、今度は参加者らの血中のセロトニントランスポーター遺伝子のメチル化を計測した。メチル化と扁桃体活性には一層強力な相関が認められた。これらの所見が扁桃体で直接発現しているか否かを判断するため、研究者らがその後、死亡した人々の脳内DNAメチル化パターンと遺伝子発現を解析したところ同様の結果を得た:fMRI上のメチル化領域が扁桃体のセロトニントランスポーター発現低値と完全に一致した。 |
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心臓ペースメーカーの植え込みは認知機能障害を有する人々においてより多い [2014-08-05] |
Cardiac pacemaker implants more common among people with cognitive impairment |
認知症を有する人々は認知機能障害を有さない人々よりも、心房細動などの心調律異常に対してペースメーカーを植え込まれる確率が高いとの研究結果がJAMA Internal Medicineオンライン版に掲載された。ベースライン時および少なくとも1回はフォローアップで米国のアルツハイマー病センターを受診した16,000人余りのデータをレビューした。ベースライン時に参加者の48.5%は認知機能障害を有しておらず、21.3%は軽度認知機能障害を有し、32.9%は認知症を有していた。認知機能障害を有する参加者は有意に高齢であり、男性で、虚血性心疾患および脳卒中既往歴を有する確率が高かった。心房細動およびうっ血性心不全の有病率は群間で差がなかった。ペースメーカーを植え込まれる確率は、認知機能障害を有さない参加者と比較すると、臨床的な因子を考慮しても、認知症患者で1.6倍高かった。この結果は、認知症患者には侵襲的な介入は少ないのが一般的であるとの予測に反したものである、と研究者らは指摘している。除細動器の植え込み率は群間で差がなかった。 |
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統合失調症と診断された人々においてビタミンD欠乏症は多く認められる [2014-08-05] |
Vitamin D deficiency quite common among people with schizophrenia diagnosis |
ビタミンDが欠乏している人はビタミンDレベルが十分な人よりも統合失調症と診断される確率が2倍であるとの新たなスタディ結果が米国内分泌学会のJournal of Clinical Endocrinology & Metabolismに掲載された。研究者らはビタミンDと統合失調症との関連を評価した19の観察研究の結果をレビューした。これらを組み合わせ、スタディでは2,804人の参加者のビタミンDレベルとメンタルヘルスとを観察した。メタ解析の結果、統合失調症患者はコントロールと比較し血中ビタミンDレベルが有意に低かった。統合失調症患者とコントロールとのビタミンDレベルの平均差は- 5.91ng/mLであった。ビタミンDが欠乏した人々は血中のビタミンDが十分な人々より統合失調症である確率が2.16倍であった。さらに、統合失調症を有する参加者の65%もまたビタミンD欠乏症であった。ビタミンD欠乏に関する深刻さを増す問題が健康全体にどのように影響しているかを究明するためにさらなる研究が必要である、と筆者らは強調している。 |
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