注意欠如多動性障害の小児および若者においては脳への鉄の取り込みが異常である可能性がある [2014-06-24]
Iron absorption into the brain may be abnormal in children and adolescents with attention deficit hyperactivity disorder

注意欠如多動性障害の診断において脳内鉄濃度はバイオマーカーとなり、医師や親がより情報を得た上で治療方針決定を行うのに役立つ可能性があるとの研究結果がRadiology誌に掲載された。研究チームはADHDの小児および若者22人(うち12人は疾患に対し一度も薬物療法を行われたことがなかった[未投薬])および健常コントロール27人の脳内鉄濃度を磁場補正画像と呼ばれる磁気共鳴画像(MRI)技術を用いて計測した。造影剤は使用せず、血中鉄濃度は採血を行い計測された。その結果、未投薬のADHD患者12人では、精神刺激薬を内服し続けていた患者10人およびコントロール群の小児や若者27人に比べ、脳内鉄濃度が有意に低かった。対照的に、精神刺激薬内服を継続していたADHD患者は脳内鉄レベルがコントロールと同等であり、精神刺激薬により脳内鉄が正常レベルにまで増加する可能性が示唆された。さらに大規模なスタディにおいて同等の結果が得られれば、磁場補正画像検査は精神刺激薬が有効であろう患者を判断するのに将来役立つ可能性がある。

認知機能障害発症リスクは心血管系の不健康と関連するようである [2014-06-24]
Risk of developing cognitive impairment appears to be related to poor cardiovascular health

認知機能障害、特に学習および記憶障害の発症リスクは、心血管系の健康状態が不良な人において、健康状態が中等度または理想的な人に比べ有意に高いとのスタディ結果がJournal of the American Heart Associationに掲載された。スタディ開始時に45歳以上で認知機能が正常、脳卒中の既往のない17,761人がスタディに組み入れられた。4年後に精神機能が評価された。研究者らは、Reasons for Geographic and Racial Differences in Stroke(REGARDS)スタディのデータを用いて、American Heart Association Life's Simple 7™スコアに基づき心血管系の健康状態を評価した。心血管系健康スコアの最も低い人は学習、記憶および会話流暢性検査において、心血管系リスクが中等度以上の対照よりも障害されている確率が高かった。心血管系健康スコアが最も不良な人では認知機能障害が4.6%に認められたのに対し、中等度では2.7%であり、最も良好であった人では2.6%であった。これらの差は、人種、性別、心血管系疾患の既往、または地理的要因に関わらず認められたが、高い心血管系健康スコアは男性では高学歴、高収入、かつ心血管系疾患を有さない人に多かった。

軽度アルツハイマー病は記憶干渉に対する感度が増加していることで特徴付けられる [2014-06-03]
Mild Alzheimer's disease characterized by increased sensitivity to mnemonic interference

記憶障害が非常に軽度のアルツハイマー病によるものか、標準的な加齢過程によるものかをより正確に判断できる新たな認知機能検査が開発された、とのスタディ結果がNeuropsychologia誌に掲載された。先行研究から、アルツハイマー病を有する人々はしばしば海馬機能障害のあることが示されている。そこで、研究チームは参加者の関係記憶能を検査する課題をデザインした。参加者は、3つに分割された円で各々が特有のデザインを持ったものを見させられた。海馬はこれらの円の3片を結合させる際に働く。円を学習したあとに参加者は、一連の10の円を同時に見せられ正確に対を選ぶことになっていた。非常に軽度のアルツハイマー病を有する人々は健常な加齢群(若年成人よりは成績不良)よりも全体的に成績が不良であった。この課題はまた非常に軽度のアルツハイマー病患者において特徴的なさらなる記憶障害を示し、この結果から、アルツハイマー病による認知機能低下は健康な加齢とは質的に異なることが示唆された。この独特の障害により、研究者らは古典的に使用されてきたアルツハイマー病診断に用いられる検査よりも正確に、アルツハイマー病を有している者と有さない者とを統計的に区別することができた。