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新世代型の抗精神病薬と従来型の抗精神病薬の治療成績は同等であることが示された [2014-05-27] |
Comparison of newer and older antipsychotic medications finds similar clinical outcomes |
統合失調症または統合失調感情障害の成人において、新世代型のより費用のかかる抗精神病薬パリペリドンは従来型の抗精神病薬ハロペリドールと比べ、有効性の測定において有意差はないことが明らかにされたとのスタディ結果がJAMA 5月21日号に掲載された。研究者らは統合失調症または統合失調感情障害と診断された患者311人を月1回のハロペリドール注射またはパリペリドン注射を24か月間施行する群にランダムに割り付けた。無効率はパリペリドン群とハロペリドール群とで差がなかった(49人[33.8%]対47人[32.4%])。無効であった最も多い理由は、精神疾患による入院および治療効果不十分により医師が治験薬を中止したことであった。今回の結果はパリペリドンが臨床上有意に優れている可能性を排除したものではない、と筆者らは指摘している。有害事象に関しては平均して、パリペリドン群は時間とともに徐々に体重が増加し、一方ハロペリドール群では体重が減少した。パリペリドンによる治療で血清プロラクチンが上昇し、ハロペリドールではアカシジアの増加と関連した。 |
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一般的な抗うつ薬がアルツハイマー病発症に関与すると考えられる脳ペプチド産生を減少させる [2014-05-27] |
Common antidepressant reduces production of brain peptide thought contribute to development of Alzheimer's disease |
一般的に処方される抗うつ薬がアルツハイマー病の脳内プラークにおける主な成分の産生を減少させ得るとの新たな研究結果がScience Translational Medicineに掲載された。研究者らは、脳内プラークを有する高齢マウスにcitalopramを投与し、2光子画像法と呼ばれる検査でアルツハイマー様プラークの成長を28日間追跡した。マウスにこの抗うつ薬を投与することにより、既存のプラークの増殖が停止し新たなプラーク形成が78%減少した。2つ目の実験では、認知機能が障害されておらずうつ病のない23人(18〜50歳)にcitalopramの単回投与を行った。参加者から得た投与後24時間の髄液検体から、アミロイドベータが37%減少したことが示された。この結果は有望ではあるが、科学者らは、アルツハイマー病の発症を遅らせるためにのみ抗うつ薬を内服するには時期尚早である、と述べている。現在研究者らは、マウスモデルにおいてアミロイドベータ産生にセロトニンがどのように関わるかについての分子的な詳細を検討しようとしている。彼らはまた、高齢者に抗うつ薬を2週間投与しアミロイドベータの有益な減少が持続するかどうかの研究を計画している。 |
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心房細動患者は薬物療法が治療域から外れていると認知症を発症するリスクが高い [2014-05-20] |
Patients with atrial fibrillation are at higher risk of developing dementia when medications are out of therapeutic range |
ワルファリンなどの抗凝固薬内服中の心房細動患者は、薬物用量が推奨されている最良の範囲内でないと認知症を発症するリスクが高いとの研究結果が、Heart Rhythm 2014で発表された。研究者らは3年前に、心房細動患者は認知症発症リスクが高いことを発見したが、その関連の原因―抗凝固療法と認知症との関係―に関しては不明であった。研究者らは2,693人の患者(4.1%が認知症と診断された)を調査した。結果は抗凝固療法が治療域にある時間の割合に基づいた。薬物用量が治療域である時間が長いほど、認知症を発症するリスクは低かった。特に、治療域にあった時間が25%未満の患者では認知症発症リスクは4.5倍高く、治療域の時間が25〜50%であった患者では認知症発症リスクが4.1倍であり、治療域であった時間が51〜75% の患者では認知症発症リスクが2.5倍高いのみであった。このリスク上昇は脳卒中や脳出血の一般的なリスクで補正してもなお有意であった。 |
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内服が継続されれば、ADHDを中枢神経刺激薬で治療することにより喫煙リスクが低下する可能性がある [2014-05-20] |
Treating ADHD with stimulants may reduce smoking risk if the medication is taken consistently |
注意欠陥多動性障害(ADHD)を中枢神経刺激薬で治療することにより、特に内服を継続した場合に喫煙リスクが低下する可能性があるとのスタディ結果がPediatricsオンライン版に掲載される。研究者らは、ADHDの患者計2,360人を含む、煙草の喫煙とADHDの治療に関する14の長期スタディを調査した。この人数は喫煙とADHDに関するメタ解析として最大であった。一部のスタディは喫煙行動の計測にニコチン依存を用いたが、ニコチン依存は喫煙を開始したばかりの若年層においては認められない可能性があった。正確な喫煙状況を把握するために研究者らは、クライテリアをニコチン依存ではなく喫煙頻度および参加者が最近喫煙をしたか否かに拡大した。解析の結果、中枢神経刺激薬療法と喫煙率が低いこととに有意な相関が認められた。この影響はADHDが重症なほどそして参加者が中枢神経刺激薬を持続的に内服しているほど大きかった。スタディデザインに基づき、喫煙リスク低下と中枢神経刺激薬との間に関連を見出せたが因果関係は認めなかったと研究者らは指摘している。喫煙リスクを低下させるために推奨される中枢神経刺激薬治療のタイミングおよび期間を判断するために、さらなる研究が必要である。 |
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アルツハイマー病患者は馬のグルーミングをした後に穏やかで幸せな気持ちになる [2014-05-13] |
People with Alzheimer's disease become calmer and happier after grooming horses |
この種のスタディにおいて初めて、馬と時間を過ごすことによりアルツハイマー病の認知症症状が緩和されることが明らかにされた。Anthrozoösに掲載されるこの小規模パイロットスタディにおいて、馬療法は薬剤投与なしに認知症症状を緩和するユニークな方法を提供する可能性のあることが示唆された。成人デイケアセンターのアルツハイマー病を有する16人(女性9人男性7人)が通常の日課を自発的に中断した。1か月間週1回、8人はセンターに残り他のアクティビティを遂行し、残りの8人は馬教育センターを訪問した。馬教育施設を訪問した者は馬の毛づくろいや入浴を行い、馬と一緒に歩き、バケツに入った草を与えた。彼らの行動を追跡するため研究者らは、牧場に行くかまたはセンターに滞在する日に参加者に落ち着きがなかったり世話に抵抗を示したり、気が動転したり激怒したりする回数を、センターの職員が評価するようModified Nursing Home Behavior Problemスケールを用いた。0から4までのスケールにおいて、牧場に行った参加者の平均スコアはセンターに滞在した参加者のそれよりも1点低く、牧場に行った参加者のその日1日の行動が良好であったことが示された。 |
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統合失調症を有するか否かで認知症やがん、心疾患率が有意に異なる [2014-05-13] |
Significant difference in rates of dementia, cancer and heart disease for those with schizophrenia and those without the disorder |
30,000人余りを10年間追跡した結果、統合失調症患者において認知症と診断される確率は、この慢性で重篤な機能不全の脳疾患を有さない患者に比べ2倍高いことが示された。この差の理由は不明であり、より積極的な調査を行う価値があると筆者らは述べている。統合失調症患者はまた、心疾患や肺疾患などの他の重症疾患率も一般的に高く、統合失調症を有さない者に比べ死亡率も高い。主な例外はがんであり、これに関しては統合失調症患者では罹患率が有意に低い。入院、入院期間、介護施設使用、介護施設入所期間もまた統合失調症患者においてこれを有さない者よりも有意に大であった。精神的に重度に病んでいる高齢者、特に統合失調症の高齢者数が増加していることにより、われわれの医療システムは健康と精神医療との関連に関わる新たな統合ヘルスケアモデルの開発を必要とし、重大な負担となるであろうと筆者らは結論付けている。このスタディ結果はAmerican Journal of Geriatric Psychiatry 5月号に掲載される。 |
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安静時機能性MRIはADHDの正確かつ早期の診断に役立つ可能性がある [2014-05-07] |
Resting-state functional MRI has potential to help provide accurate and early diagnosis of ADHD |
注意欠陥多動性障害の小児および若者は脳内の異なる領域間の結合に異常が認められ、それが安静時機能的磁気共鳴画像検査(rfMRI)において明らかであるとの研究結果がRadiologyオンライン版に掲載された。研究者らは6〜16歳のADHDの少年33人および同年代の健常者コントロール32人を比較した。彼らはMRIの所見と実行機能検査の結果とを関連付けた。ADHD患者では、戦略的計画設定に主に関わる眼窩前頭皮質や実行抑制機能に関わる淡蒼球などの脳領域の構造および機能が変化していた。この結果は、これらの脳領域の構造的機能的変化がADHD患者の注意欠陥や多動を引き起こしている可能性があることを示唆している。実行機能障害に関連した安静状態脳ネットワーク間の結合異常もまた認められた。これらの異常はADHDにおけるこれまでに明らかにされたよりもより広範な脳変化を示している。これらの結果は、世界中の小児や若者の約5%が有している疾患の客観的に正確で早期の診断にrfMRIが役立つ可能性を示している。 |
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軽度認知障害を有する人々はこれを有さない人々と比較し死亡率が高い可能性がある [2014-05-07] |
People with mild cognitive impairment may die at higher rate than people without the condition |
第66回American Academy of Neurology学会において発表された、死亡と2タイプの軽度認知障害(MCI)との関連性を観察した研究の結果、思考に問題があるが記憶能は保たれている人々は思考や記憶に問題のない人々と比較し6年間の死亡率が高い可能性があることが示唆された。このスタディでは、思考能力に問題を有する862人、問題を有さない1,292人(70〜89歳)を約6年追跡した。参加者らはスタディ開始時およびその後15か月毎に、思考能力を評価する検査を受けた。6年間にMCI群の331人およびMCIを有さない群の224人が死亡した。いずれかのタイプのMCIを有する人々はMCIを有さない人々よりもスタディ期間中に死亡する確率が80%高かった。記憶力低下を有さないMCIの人々はMCIを有さない人々よりもスタディ期間中の死亡率が2倍以上であった一方で、記憶力低下を有するMCIの人々はMCIを有さない人々よりもスタディ期間中の死亡率が68%高かった。 |
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