ICUの患者にスタチンを継続投与することにより譫妄のリスクが低下しCRPが減少する [2014-01-28]
Continuing statins in ICU patients lowers risk of delirium and reduces CRP levels

入院前にスタチン投与を受けていた重篤な患者に対するスタチンの継続投与は譫妄予防に役立つ可能性があるとの新たなスタディの結果が、American Journal of Respiratory and Critical Care Medicineオンライン版において印刷版に先立ち掲載された。スタディの対象となった集中治療を受けている患者470人のうち151人がスタチンを投与されていた。スタチンは入院前にスタチンを投与されていた患者のみに投与した。年齢、性別および疾患重症度で補正した結果、前夜にスタチンを投与すると譫妄リスクが有意に低下し、全身の炎症マーカーであるC反応性蛋白(CRP)も翌日同時に低下していた。スタチン使用と譫妄リスク低下との関連性はCRPで補正すると減少した。譫妄の病態は完全には理解されていないが、これらのデータは神経−炎症関係と一致しており、スタチンの譫妄に対する効果はスタチンの抗炎症作用の影響である可能性がある。これらの結果から、入院前にスタチンを投与されていた重篤患者における譫妄を予防するために、スタチン治療は継続すべきであることが示唆される。

中年男性の大量飲酒は記憶力低下を最大6年加速する可能性がある [2014-01-28]
Heavy drinking in middle-aged men may speed memory loss by up to 6 years in men

アルコール換算で36グラム以上、つまりUSサイズ2杯と半量の飲酒をする中年男性は、後に記憶力低下が最大6年加速する可能性があるとのスタディ結果が、Neurology®オンライン版2014年1月15日号に掲載された。一方、飲酒をしない男性、過去に飲酒をしていた者と少量から中等量の飲酒をする者においては、記憶力や高次機能に差はなかった。スタディには男性5054人および女性2099人を組み入れ、飲酒習慣に関して10年間に3回評価を行った。ワイン、ビールまたは蒸留酒が酒類とみなされた。参加者は平均年齢56歳の時に、初回の記憶力および高次機能検査を施行された。これらの検査は10年間に2回繰り返された。スタディの結果、飲酒をしない男性と少量から中等量(1日当たりアルコール換算20gまたは2杯未満)の飲酒をする男性とで、記憶能や高次機能の低下には差がないことが示された。大量飲酒者はそれよりも1日当たりの飲酒量が少ない人々と比較し、記憶能および高次機能低下が1.5〜6年速かった。

短時間のメンタルトレーニングセッションは高齢者の認知機能および日常生活機能に対し長期的に有益である [2014-01-21]
Brief mental training sessions have long-lasting benefits for seniors' cognition and everyday function

認知機能トレーニングをわずか10セッション受けただけで、高齢者の推論能力および処理速度はトレーニングを受けていないコントロールと比較し、介入後10年間にわたり改善していたとの研究結果がJournal of the American Geriatrics Societyに掲載された。Advanced Cognitive Training for Independent and Vital Elderly(ACTIVE)スタディでは参加者2,832人(スタディ開始時平均年齢73.6歳)を3群に割り付け、記憶力、推論能力、または処理速度を増強する方法を指導し追跡した。10年後に、各々の介入群参加者は日常生活活動に関する困難の訴えが少なかった。日常生活業務の機能レベルが開始時レベルよりも高かったのはトレーニングを受けた参加者の約60%であったのに対し、コントロールでは50%であった。記憶能力は介入後最長5年間改善したが、10年後にはトレーニング群とコントロール群とで有意差はなかった。重要なことに、推論能力および処理速度のトレーニングを受けた者は、トレーニングを受けた能力が10年後もコントロール群よりも有意に良好であった。推論能力介入群および処理速度介入群では、初回トレーニングセッション後11か月および35か月目の4セッションの追加トレーニングにより、さらなる長期的な改善が得られた。

遺伝子多型は軽度認知障害における脳萎縮と関連がある [2014-01-21]
Gene variation associated with brain atrophy in mild cognitive impairment

軽度認知障害(MCI)を有する人々におけるある遺伝子多型の存在が脳萎縮の加速と関連するとの新たなスタディ結果がRadiologyオンライン版に掲載された。このスタディは、非家族性アルツハイマー病(AD)において最も重要な遺伝因子として知られるアポリポ蛋白E(APOE)遺伝子に焦点を当てた。APOEは異なるアレルを有し、ほとんどの人々がアルツハイマーのリスクとしてはニュートラルであると考えられているAPOEイプシロン3(ε3)多型を少なくとも1コピー有する。それとは対照的に、一般的ではないイプシロン4(ε4)アレルは若年発症型ADの高リスクと関連しており、これらを有する人々においては進行が速い。研究者らは、MCIを有する患者237人(平均年齢79.9歳)にMRIを用いて12〜48か月間の脳萎縮率を計測した。スタディ対象者のうちε4保有者はε3保有者よりも、ADにおいて破壊される認知ネットワークの重要な要素であるとの仮説の立てられている15の脳領域中13において萎縮率が著明に大であることが示された。これは、MCIにおいて脳萎縮を速め、観察された認知機能低下の原因である可能性のある関連脳領域の遺伝子型特異的ネットワークの可能性を示唆している。

重度の精神疾患患者において禁煙補助薬の長期使用は有用である [2014-01-14]
Longer-term use of smoking cessation medication effective among patients with severe mental illness

禁煙補助薬バレニクリンの標準的な12週間の初期禁煙を達成した統合失調症や双極性障害の患者において、さらに40週間の治療を追加することによりプラセボを投与された患者よりも禁煙率が3倍高かったとのスタディ結果がJAMA 1月8日号に掲載された。トライアルには統合失調症または双極性障害の喫煙者247人が組み入れられ、12週間のバレニクリン投与および認知行動療法(CBT)を受けた;87人が再喫煙予防介入に組み入れる禁煙クライテリアに合致した。その結果、期間延長バレニクリン群においては生化学的に確認(呼気一酸化炭素を介して)された52週後の禁煙率が40人中24人(60%)であったのに対し、プラセボ群では47人中9人(19%)であった。12〜52週の間にバレニクリン群の45%が禁煙継続を達成したのに対し、プラセボ群では15%であった。治療中止後、第76週までにバレニクリン群患者の30%およびプラセボ群患者の11%が禁煙を継続していた(計16か月)。40週間の再喫煙防止治療中のランダム化後受診ごとの禁煙継続率はバレニクリン維持療法群に割り付けられた患者において高かった。

アルコール、タバコおよび薬物使用率は精神疾患患者において高い [2014-01-14]
Alcohol, tobacco and drug use higher among people with psychotic disorders

重度精神疾患患者における過去最大の薬物乱用の評価において、喫煙、飲酒および薬物使用は、一般人口と比較し精神疾患患者において有意に高いことが明らかにされた。このスタディにおいては、統合失調症、双極性障害または統合失調感情障害と診断された9,142人の精神疾患患者を含む約20,000人において喫煙、飲酒および薬物使用に関する解析を行った。研究者らはまた、精神疾患を有さない10,000人余りの健常人においてもニコチン使用、アルコール多飲、マリファナ大量使用およびリクリエーショナル・ドラッグに関して評価を行った。その結果、精神疾患患者の30%が大量飲酒(1回に4杯以上)をしていたのに対し、一般人口におけるその割合は8%であった。精神疾患患者においては75%超が習慣的喫煙者であったのに対し、コントロール群では33%であった。マリファナ大量使用に関しても同様の結果であった:精神疾患患者の50%がマリファナ常習者であったのに対し、一般人口では18%であった。精神疾患患者の半数が違法薬物も使用しており、一方、一般人口におけるリクリエーショナル・ドラッグ使用率は12%であった。このスタディの結果はJAMA Psychiatryオンライン版に掲載されている。

刺激薬および抗精神病薬の併用は小児の攻撃性および重篤な問題行動を軽減する [2014-01-07]
Combining a stimulant and an antipsychotic drug reduces aggression and serious behavioral problems in children

身体的攻撃性および注意欠陥多動性障害(ADHD)を有する小児に、親に対し行動管理技術を教えるとともに刺激薬および抗精神病薬の両者を処方することにより攻撃性および重篤な問題行動が軽減するとのスタディ結果がJournal of the American Academy of Child and Adolescent Psychiatry 1月号に掲載された。Treatment of Severe Childhood Aggression(TOSCA)において、ADHDと診断され有意な身体的攻撃性を示す小児168人(6〜12歳)が2つのグループに割り付けられた。参加者全員が精神刺激薬OROSメチルフェニデートを投与され、彼らの親は行動トレーニングを9週間受けた。これらの治療はエビデンスに基づくものでありADHDおよび攻撃性の両者を改善するのに有用であることが示されていることから、研究者らはこの組み合わせを"基本"とした。第3週の最後に改善の余地がある場合には"基本グループ"にはプラセボを追加し、"補足グループ"には抗精神病薬リスペリドンを追加した。"基本グループ"と比較し、"補足グループ"は、Nisonger Child Behavior Rating Form(NCBRF)Disruptive-Total Scale、NCBRF Social Competence subscaleおよびAntisocial Behavior Scaleの反応的攻撃性の部分において有意な改善を示した。

軽度から中等度のアルツハイマー病患者にビタミンEを投与することにより機能低下が緩徐になる [2014-01-07]
Use of vitamin E by patients with mild to moderate Alzheimer Disease slows functional decline

軽度から中等度のアルツハイマー病(AD)の患者において、1日2,000 IUのビタミンEはプラセボと比較し、機能低下を遅延させ患者補助における介護時間減少に有用であったとのスタディ結果がJAMA 1月1日号に掲載される。研究者らは、アルファトコフェロール(脂溶性ビタミンEおよび抗酸化物質)、メマンチン、およびこれらの併用の機能低下に対する有効性を、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬を内服している軽症から中等症のAD患者において調査した。トライアルには613人の患者が組み入れられ、2,000 IU/日のビタミンE(152人)、メマンチン20mg/日(155人)、併用(154人)、またはプラセボ(152人)を投与された。平均追跡期間2.3年間の機能低下は、ビタミンE投与群においてプラセボ群よりも緩徐であり、日常生活活動低下が年率19%減少した。この治療効果を臨床的に有意な進行の遅延に換算すると、ビタミンE群において6.2か月であった。さらに、ビタミンE群においては介護時間が1日2時間減少した。メマンチンもビタミンEとメマンチンの併用も、このトライアルにおいては臨床的な有益性を示さなかった。