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遠隔転移を有するホルモン受容体陽性乳がん治療においてフルベストラントにボルテゾミブを併用することにより疾患の増悪を遅延させる [2014-12-22] |
Adding bortezomib to fulvestrant in hormone-receptor-positive metastatic breast cancer delays disease progression |
遠隔転移を有するホルモン受容体陽性乳がん患者に対する抗がん剤の新たな併用療法は疾患の増悪を遅延させるとの多施設第II相臨床試験の結果が2014年サンアントニオ乳がんシンポジウムで発表された。試験には、遠隔転移を有するホルモン受容体陽性乳がん患者でアロマターゼ阻害薬による治療後も疾患が増悪し続けた閉経後女性118人が組み入れられた。フルベストラントとボルテゾミブの併用により、フルベストラント単剤と比較し、12か月後の生存率が2倍になり1年後にがん増悪を認めなかった患者の割合も14%から28%へと2倍になった。またスタディの結果から、この併用療法によりフルベストラント耐性獲得が遅延するかまたはこれを克服し得ることも示唆された。スタディによりアロマターゼ阻害薬を使用しても疾患が増悪した患者において統計学的に有意な有益性が示されたため筆者らは、この併用療法と初期治療が奏効しなかった後に使用するエキセメスタンとエベロリムスなどの他の承認済み療法を比較する大規模第III相試験を施行すべきである、と提案している。彼らはまた、この併用療法を、新たに診断された遠隔転移を有する乳がんやフルベストラントを使用しても既に増悪した患者などの他の乳がん患者においても調査すべきであるとも提言している。 |
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IBIS-I:タモキシフェンは乳がん発症率を20年間で約3分の1に軽減する [2014-12-22] |
IBIS-I: Tamoxifen shown to reduce breast cancer rates by nearly a third for 20 years |
タモキシフェンの再発予防効果は実質的に20年間不変であり乳がん発症率は約30%低下した、との研究結果が2014年サンアントニオ乳がんシンポジウムで発表され、Lancet Oncologyに掲載された。IBIS-Iトライアル(International Breast Cancer Intervention Study)では、乳がん高リスク女性(35〜70歳、主に乳がん家族歴を有する)における乳がん予防目的でのタモキシフェン内服の長期リスクおよび有益性を調査した。スタディでは、閉経前・後女性7,154人が、タモキシフェン(1日20 mg)またはマッチさせたプラセボを5年間内服する群にランダム化された。治療完遂後に全ての参加者が平均16年、最長22年間追跡され健康状態をモニターされた。この 長期解析の結果、乳がんを発症したのはタモキシフェン群251人に対しプラセボ群350人であり、29%の低下を認めた。エストロゲン受容体陽性の浸潤性がんは35%減少した。20年間の追跡後、乳がん推定発症リスクはタモキシフェン群で8%であったのに対しプラセボ群では12%であった。 |
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ASPIRE:多発性骨髄腫に対する3剤併用療法試験において、かつてないほどの有益性が認められた [2014-12-16] |
ASPIRE: Unprecedented benefit seen in test of three-drug treatment for multiple myeloma |
多発性骨髄腫の治療において、現在承認されている2剤併用療法にcarfilzomibを追加することにより、2剤のみを用いた治療よりも結果が有意に良好であった、との研究結果が2014年American Society of Hematology年次集会で発表され同時にNew England Journal of Medicineに掲載された。20か国の再発多発性骨髄腫患者792人を組み入れたASPIRE臨床試験の中間解析において、無増悪期間が"かつてないほど"の延長が認められた。研究者らは、carfilzomibを標準治療(レナリドミドおよびデキサメタゾン)に追加することにより寛解期間が2剤併用の標準療法よりも8.7か月長く、50%延長(26.3か月対17.6か月)したことを明らかにした。治療が奏効した患者数もまた、carfilzomibを標準治療に追加することにより有意に改善(87.4%対66.9%)し、3剤併用療法後は疾患が検出されない患者が3倍以上(31.8%対9.3%)であった。この結果は予備的なものではあるが、全生存期間も改善する傾向にあった。3剤併用カクテル療法はまた、治療強度が強いにもかかわらずQOLを向上させることも報告されている。 |
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ホジキンリンパ腫を有する大半の患者に対する、免疫療法の潜在的利益に関する劇的なエビデンス [2014-12-16] |
Dramatic evidence of immunotherapy's potential benefit to nearly all patients with Hodgkin lymphoma |
がん細胞を攻撃する免疫系を放出する治療法は、初期相臨床試験に参加した難治性患者の優に87%を超える患者において、ホジキンリンパ腫(HL)を完全寛解または部分寛解させた、との研究結果が2014年American Society of Hematology年次集会で発表され、同時にNew England Journal of Medicineに掲載された。スタディには、再発または難治性のHL患者23人が組み入れられた。約80%の患者が過去に幹細胞移植を施行され、3分の1を超える患者が少なくとも過去に6種の治療を受けたが、持続的な成功を収めることはなかった。患者は免疫系T細胞の表面蛋白PD-1を阻害する抗体であるnivolumabの注射を2週間に1回受けた。23人中20人において測定可能病変に対する奏効が認められ、うち4人は完全寛解し16人は部分寛解した(腫瘍サイズが半分未満に縮小)。治療完遂後6か月の時点で、患者の86%が生存しており奏効は持続していた。ほとんどの患者が治療1年後も経過良好であった。大規模多国籍第2相臨床試験が現在進行中である。 |
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デジタルマンモグラフィーとトモシンセシスの併用は高濃度乳腺組織のがん検出率を向上させる [2014-12-09] |
Digital mammography plus tomosynthesis increases cancer detection rate in dense breast tissue |
2014年Radiological Society of North America年次集会で発表された新たな大規模スタディの結果、3Dマンモグラフィーとしても知られるデジタル乳房トモシンセシスは、高濃度乳腺の女性のマンモグラフィースクリーニングにおけるがん検出率を有意に向上させる可能性のあることが示された。研究者らは、50〜69歳の女性25,547人において、フルデジタルマンモグラフィー(FFDM)を用いた際のがん検出率とFFDMとデジタル乳房トモシンセシスを併用した際の検出率とを比較した。乳腺濃度はAmerican College of Radiology's Breast Imaging-Reporting and Data System(BI-RADS)に基づき分類された。FFDMおよびFFDMとトモシンセシスの併用により257例の悪性症例が検出され、うち105人はBI-RADS濃度がカテゴリー2であり110人はカテゴリー3であった。がん257症例のうち、211人(82%)がFFDMとトモシンセシスの併用により検出され、FFDMのみで検出された163人(63%)よりも有意に良好であった。FFDMとトモシンセシスの併用は、高濃度乳腺女性の132がん症例のうち80%においてがんを正確に示したのに対し、FFDMのみでは59%であった。トモシンセシスは高濃度乳腺の女性におけるがん検出率を向上させたのみならず、BI-RADSカテゴリーで"脂肪過多な乳房"の女性における検出率向上にも役立った。 |
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家族歴や乳房濃度に基づいたリスクベースのスクリーニングマンモグラフィーでは40歳台の女性における浸潤性がんのかなりの数を見逃す [2014-12-09] |
Risk-based screening mammography based on family history and breast density misses a significant number of invasive cancers in women in their 40s |
スクリーニングマンモグラフィーを用いて検出された乳がんのスタディの結果、濃厚な家族歴および高濃度乳腺組織は乳がんと診断された40〜49歳の女性においては一般的に見られないことが明らかになった、と2014年Radiological Society of North America年次集会で発表された。この後ろ向きスタディには、スクリーニングマンモグラフィーで乳がんを検出された女性136人(40〜49歳)が含まれた。患者の家族歴、乳腺濃度、悪性腫瘍の型、リンパ節転移の有無、および受容体の状態が記録された。検出された乳がん136例中、50%が浸潤性と診断され50%は非浸潤性乳管がん(DCIS)と診断されたが、DCIS症例の88%は中悪性度から高悪性度であった。90%の患者において濃厚な家族歴はなく、極端な高濃度乳腺は86%において見られなかった。浸潤性がん症例の79%を含め、78%の患者が濃厚な家族歴も極端な高濃度乳腺も有していなかった。これらの結果から、スクリーニングマンモグラフィーにリスクベースの方法のみを用いると、40歳台の女性において75%を超える乳がんが見逃される可能性のあることが示された。 |
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研究者らは女性にとってマンモグラフィーをより快適にする可能性のある新たな装置を開発した [2014-12-02] |
Researchers have developed a new device that may result in more comfortable mammography for women |
マンモグラフィーにおいて適用する圧を標準化することにより、画像の質を損なうことなく乳房圧迫に関連した疼痛が軽減する、とのスタディ結果がRadiological Society of North America年次集会で発表された。力を調整することにより乳房に与えられる圧の量には3キロパスカル(kPa)から30kPa超の範囲にわたる実質的な違いが生じ得た。研究者らは、力ではなく圧に基づいた圧迫プロトコールは、力を基盤にした現在の圧迫プロトコールによる疼痛および変動性を軽減するとの仮説を立てている。さらに、圧迫中の平均の圧を表示するデバイスを開発し、スクリーニングマンモグラフィーを予定している無症状の女性433人における二重盲検ランダム化コントロールトライアルにおいてその効果を調査した。各参加者に与えられる圧迫4回中3回が指標とする力を14 デカニュートン(daN)に標準化された。ランダムに割り当てられた1回の圧迫は10kPaの圧を指標に標準化された。参加者は痛みを数による評定尺度で点数化し、3人の熟練した乳房スクリーニング放射線科医らが再撮影の必要な画像を指摘した。10kPaの圧で撮影を行っても放射線用量や画像の質の点で妥協する必要はなく、平均して14daNよりも痛みが少ないと報告された。 |
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