転移性メラノーマに対しsargramostimとipilimumabの併用により生存期間が延長し副作用が減少する [2014-11-11]
Combining sargramostim with ipilimumab for metastatic melanoma results in longer survival and fewer side effects

転移性メラノーマ患者において、sargramostimとipilimumabの併用治療はipilimumab単独療法に比べ全生存期間が長く毒性が低かったが、無増悪生存期間には差がなかったとのスタディ結果がJAMA 11月5日号に掲載された。研究者らは第2相臨床試験を施行し、切除不能stage III/IVメラノーマ患者245人を、第1日目にipilimumabを静脈内投与しその後第1日目から14日目までsargramostimを皮下注射する21日サイクルの治療を施行する群(123人)またはipilimumab単独投与群(122人)に無作為に割り付けた。追跡期間中央値は13.3か月であった。全生存期間はipilimumabにsargramostimを併用することにより有意に改善した。全生存期間中央値はipilimumabとsargramostim併用群において17.5か月であったのに対しipilimumab単独群では12.7か月であった。1年全生存率は併用群で68.9%であり、ipilimumab単独群では52.9%であった(p=0.01)。無増悪生存期間には差がなかった。有害事象はipilimumab単独群で多く見られた。毒性はipilimumabとsargramostim併用群においてipilimumab単独群よりも有意に低かった。これらの結果はさらに長期の追跡調査による大規模スタディで確認する必要がある。

腫瘍切除後の非小細胞肺がん患者に対する術後放射線療法は全生存期間を改善する [2014-11-11]
Post-operative radiation therapy improves overall survival for patients with resected non-small cell lung cancer

術後放射線療法(PORT)を施行された非小細胞肺がん(NSCLC)患者は、疾患部位、腫瘍組織および治療クライテリアが同様でPORTを施行されなかった患者と比較し生存期間が平均4か月長かったとの研究結果が、2014年Chicago Multidisciplinary Symposium in Thoracic Oncologyで発表された。このスタディは2004〜2006年に治療されたNSCLC患者2,115人の記録を解析した。43%の患者(918人)がPORTを施行され、残りの56.6%(1,197人)は施行されなかった。PORT治療を受けた患者における生存期間中央値は42か月であり、PORTを施行されなかった患者の38か月よりも良好であった(p=0.048)。女性、組織型が腺がん、高収入、市街地/地方居住(大都市居住に対し)、T分類で低悪性度、検査の結果リンパ節転移が1〜2個(3個以上に対して)、および若年であることは全生存期間が良好であることと相関があった(p<0.05)。PORTの効果とリンパ節転移数とに直接的な相関はなかった。この後ろ向きスタディは前向きスタディで検証する必要がある、と筆者らは述べている。

小児がん治療目的の胸部照射は患者の将来の乳がんリスクを上昇させる [2014-11-04]
Chest radiation to treat childhood cancer increases patients' risk of breast cancer later in life

稀な小児がんであるWilms腫瘍に対し胸部照射を施行された小児は、被曝による後の乳がん発症リスクが高いとの研究結果がCANCERオンライン版に掲載された。研究者らは、小児期にWilms腫瘍の治療を受け少なくとも15歳まで生存した若年女性約2,500人を調査した。胸部照射を受けたWilms腫瘍既往者のうち20%超が40歳までに乳がん(3/4浸潤がん、1/4非浸潤がん)を発症したのに対し、放射線照射を受けなかったWilms腫瘍既往女性におけるその割合は0.3%であった。また、Wilms腫瘍治療の一環として胸部ではなく腹部に照射を受けた女性のWilms腫瘍既往者の乳がんリスクは、中程度(4%)であった。胸部照射、腹部照射を受けた女性および放射線照射を受けなかった女性の乳がん発症率は同年代の一般人口と比較しそれぞれ、30、6、および2倍近かった。これらの想定外の所見から、Wilms腫瘍既往女性の乳がんの早期診断および迅速な治療を促進するよう、がんスクリーニングガイドラインが再評価される可能性があることが示唆された。

非侵襲的リスク層別化技術により肺腺がん結節が確実と思われる臨床予後ごとに見分けられる [2014-11-04]
Noninvasive risk stratification technique identifies adenocarcinoma pulmonary nodules by likely clinical outcome

Journal of Thoracic Oncology 11月号に掲載された研究の結果、コンピュータ補助結節評価およびリスク評価(CANARY)は、非侵襲高解像度コンピュータ断層撮影(HRCT)画像により肺腺がん結節の特徴を自動的に定量化し、非小細胞肺がん(NSCLC)患者を無病生存期間の有意に異なるリスク群に層別化する新たなソフトウェアであることが示された。肺腺がんスペクトラムの臨床ステージI肺結節(病変サイズ≦3 cm、2006-2009)の264のHRCT画像が、術前HRCT所見の定量化に基づき非バイアスCANARY法を用いて解析された。このソフトウェアは非監視下クラスタリングアルゴリズムを用いて患者を類似の結節所見のカテゴリーに分類した。腺がんはHRCT所見に基づき、自然に3群に分類された。この3つに見分けられた群は術後予後良好、中間、不良に対応し、5年無病生存期間はそれぞれ、100%、73%、51%であった(p=0.0005)。この予備的な評価によると、CANARYは現実の世界において多種多様なHRCT技術を用いた強固なリスク層別化のツールおよび肺結節を後ろ向きまたは前向きに評価する技能となる、と筆者らは述べている。