個別化細胞療法はスタディ対象の急性リンパ芽球性白血病患者の90%において完全寛解を達成させた [2014-10-28]
Personalized cellular therapy achieves complete remission in 90 percent of acute lymphoblastic leukemia patients studied

再発を繰り返したり標準治療が無効であった急性リンパ芽球性白血病(ALL)の小児および成人患者の90%が、治験の個別化細胞療法、CTL019を受けた後に寛解したとの研究結果がNew England Journal of Medicine に掲載された。遺伝子操作された細胞は、いくつかのタイプの白血病を特徴付けるがん性B細胞を含むB細胞表面に認められるCD19と呼ばれる蛋白に結合するキメラ抗原受容体(CAR)として知られる抗体様蛋白を含有する。修正"ハンター"細胞がその後患者の体内に再注入され、これらの細胞は増殖し、がん細胞を攻撃する。2013年12月にAmerican Society of Hematology年次集会で発表された予備的な結果に基づくこの新たなデータには、この治療法で治療された最初の小児および若年成人25人(5〜22歳)および最初の成人5人(26〜60歳)の結果が含まれた。スタディの患者30人中27人が完全寛解に達し、78%の患者が治療後6か月の時点で生存していた。スタディ対象患者のうち19人が寛解の状態を維持し、15人はこの治療法しか受けていない。

トラスツズマブはHER2陽性早期乳がん患者の生存期間改善を示し続けている [2014-10-28]
Trastuzumab continues to show improved survival in patients with HER2-positive early stage breast cancer

乳がん患者を平均8年あまり追跡した結果、化学療法にトラスツズマブを併用することにより、早期HER2陽性乳がん患者の全生存期間および無病生存期間が有意に改善した。このスタディは、合計4,046人の患者が登録された2つのランダム化第III相試験の長期結果を報告している。全ての患者がドキソルビシンとシクロホスファミドを投与され、その後半数がパクリタキセルとトラスツズマブを併用投与され残りの半数はパクリタキセル単独で治療された。トラスツズマブを使用することにより、化学療法のみの患者と比較し、生存期間が37%改善し、がん発症リスクが40%低下した。全生存期間および無病生存期間の改善は、高齢患者および若年患者、リンパ節転移陽性および陰性、エストロゲン陽性および陰性などの全てのサブグループにおいて認められた。8年にわたり、二次がん発現の増加はなく、心臓の問題が軽度増加するのみであった。Journal of Clinical Oncologyに掲載されたこれらの結果は、この型の乳がん治療にトラスツズマブがいかに重要であったかを示している。

臨床腫瘍医のtumor boardへの参加により肺がんまたは大腸がん患者の予後が改善した [2014-10-21]
Oncologist participation in tumor board meetings associated with improved outcomes for patients with lung or colorectal cancers

2014年American Society of Clinical Oncology Quality Care Symposiumにおいて発表された新たな地域住民を対象としたスタディの結果、週1回のtumor boardに医師が参加することでstage IV大腸がんおよびstage IV/進展期小細胞肺がん患者の生存期間は改善向上したが、他のがんや他のステージではそうではなかったことが示された。研究者らは、肺がんまたは大腸がん患者4,620人およびその担当医(1,601人)を調査した。全体で、tumor boardへの参加率は高かった―がん医療従事者の96%が何らかのtumor boardにルーチンに参加し、54%は毎週参加した。ほとんど(82%)のtumor boardが治療方針の検討機能を果たし、teaching sessionとしての機能を果たしたのは12%だけであった。進展期の小細胞肺がんおよびstage IV大腸がん患者においては、医師がtumor boardに週1回参加するとそれより頻度が低い場合とは対照的に患者の生存期間が長かった。主治医が参加するtumor boardがteaching sessionとしての機能のみを果たした場合、小細胞肺がん患者の生存率はやや不良であった。主治医が少なくともtumor boardに週1回参加すると臨床試験に組み入れられる確率が高く、早期の非小細胞肺がん患者は根治目的の手術を受ける確率が高かった。

がん手術後1か月以内の患者の死亡は社会人口学的因子に影響される [2014-10-21]
Death of patients within one month of cancer surgery influenced by social and demographic factors

2014年American Society of Clinical Oncology Quality Care Symposiumで発表されたスタディにおいて、最も一般的なまたは致命的ながんに対し手術を施行された患者のほぼ20人に1人が施術後1か月以内に死亡した。研究者らは、がん手術を施行された患者110万人余りの地域がん登録(SEER)のデータを解析した。患者らは、肺がん、乳がん、大腸がん、前立腺がん、甲状腺がん、食道がん、膵がん、子宮内膜がん、卵巣がん、頭頸部がん、肝臓がん、膀胱がん、メラノーマ、腎がん、および非ホジキンリンパ腫などの最も一般的ながんまたは最も致死的ながんのうちの1つと診断された。全体で、53,498人(4.8%)の患者が術後1か月以内に死亡し、これは主に大学病院に焦点を当てた過去の小規模スタディにおいて報告された死亡率より高かった。スタディ対象者の中で、がん手術後1か月以内に死亡するオッズ比は、既婚、保険契約者、収入または学歴が上位50パーセンタイルに入る患者においてそれぞれ、20%、12%、5%、および2%低かった。死亡リスクは、独身、保険未加入者、非白人、男性、高齢、教育の低レベル、貧困または、がんが進行している場合に最も高かった。この結果から、術後1か月のがん手術死亡において、社会人口学的格差を軽減するよう努めることは、がん患者の生存率を大幅に改善する可能性があることが示唆された。

経口ビスホスホネート製剤は乳がん女性の骨転移リスクを軽減する [2014-10-14]
Oral bisphosphonates reduces risk of bone metastasis in women with breast cancer

ビスホスホネート製剤を内服している早期乳がん女性は、乳がんと診断される前および後の骨転移リスクが低かったとの研究結果がJournal of the National Cancer Institute 2014年11月号に掲載された。さらに、進行がんを有する女性で診断後にビスホスホネートを内服した女性もまた、骨転移リスクが有意に低かった。研究者らは乳がんと診断された女性21,000人あまりのデータを評価した。乳がん診断時に局所がんであった患者において、乳がん診断前に内服していたビスホスホネートを診断後も継続内服した場合、骨転移リスクは、乳がんの診断後にのみビスホスホネートを内服した場合の45%から28%に低下した。局所がんの患者においては、診断前の内服の有無に関わらず診断後のビスホスホネート内服は骨転移リスクをほぼ50%低下させた。ビスホスホネートはまた、骨転移発症リスク低下と同等に、総死亡リスクを低下させた。また、局所がん女性においては経口ビスホスホネートの用量−奏効関係が明らかにされた:ビスホスホネートを長期間内服している女性ほど骨転移が大きく減少した。

小児における髄芽細胞腫を増悪させるメカニズムが解明された [2014-10-14]
Mechanism discovered that promotes progression of medulloblastoma in children

小児において最も多い脳腫瘍である髄芽細胞腫を増悪させるメカニズムが明らかにされたとの研究結果がDevelopmental Cell 10月13日号に掲載された。研究者らは、ソニックヘッジホッグとして知られる蛋白がDAN損傷を引き起こし、それによりがんが発現することを発見した。ソニックヘッジホッグは腫瘍形成において重要な役割を果たす。研究者らは、ソニックヘッジホッグを感知する細胞表面に存在する受容体であるBocと呼ばれる蛋白を研究した。彼らは過去に、髄芽細胞腫が発生する脳部位である小脳の発育にBocが重要であることを示した。今回のスタディで彼らは、Bocが腫瘍細胞内のDNA変異を引き起こし、それにより前がん病変から髄芽細胞腫への進行を促進することを明らかにした。Bocが不活性化されると、腫瘍数は66%減少する。したがってBoc不活性化は早期髄芽細胞腫から進行がんへの発育を軽減する。Bocは、髄芽細胞腫の進行を停止させる新たな治療法開発の標的となる可能性があり、また現在の治療の副作用を軽減する可能性がある、と筆者らは述べている。

CLEOPATRA:ペルツズマブはHER2陽性転移性乳がん治療に16か月間の生存上の有益性を追加する [2014-10-07]
CLEOPATRA: Pertuzumab adds 16 months survival benefit to treatment for metastatic HER2-positive breast cancer

HER2陽性転移性乳がん患者は、トラスツズマブ併用化学療法にペルツズマブを追加することにより、トラスツズマブ併用化学療法のみで治療されるよりも生存期間が約16か月延長するとの研究結果がEuropean Society for Medical Oncology年次集会で発表されAnnals of Oncologyに掲載された。CLEOPATRAは、未治療のHER2陽性転移性乳がん患者808人におけるペルツズマブとトラスツズマブ併用化学療法の安全性および有効性を評価した第III相試験である。今回の解析において、全生存期間は全てランダム化された患者を用い、一旦スタディ治療が非盲検化されればクロスオーバーの調整はしなかった。プラセボ群からペルツズマブ群にクロスオーバーされた患者はプラセボ群の一部として解析され、これにより生存率の最終解析は非常に控えめなものになった。新たなデータは追跡期間中央値50か月後の生存期間の最終解析を報告する。ペルツズマブ追加併用療法で治療された患者はトラスツズマブ化学療法のみで治療された患者よりも15.7か月長く生存し、全生存期間中央値は56.5か月対40.8か月であった。過去に認められた無増悪生存期間における有益性やペルツズマブレジメンの長期の安全性も維持された。

BRAF阻害薬はBRAF V600E変異陽性非小細胞肺がん患者において良好な結果を示した [2014-10-07]
BRAF inhibitor shows positive results in patients with BRAF V600E mutation-positive non-small cell lung cancer

化学療法後疾患が増悪したBRAF V600E変異進行非小細胞肺がん患者においてBRAF阻害薬dabrafenibは有意な抗腫瘍活性を有する、との研究結果がEuropean Society for Medical Oncology年次集会で発表されAnnals of Oncologyに掲載された。これまでのスタディから、BRAF変異は肺がんの約2%に存在し、その約80%がBRAF V600E変異であることが示唆されている。BRAF V600E変異は、無病生存期間および全生存期間を短くし、プラチナ製剤ベースの化学療法への奏効率を低くすることとしばしば関連する。このオープンラベル第2相スタディは、BRAF V600E変異非小細胞肺がんを有しdabrafenib単剤(150mg 1日2回)で治療された患者を対象とした。スタディに組み入れられた患者78人のデータから、過去に1回以上の治療を受けた患者における全奏効率は32%であり、12週間の治療後の病勢コントロール率は56%であることが示された。奏効期間中央値は11.8か月であり、ファーストライン患者6人中3人においては部分寛解を認めた。Dabrafenibの安全性プロファイルは、過去のメラノーマのスタディで認められたものと同等であった。Dabrafenibは治療歴のある進行BRAF V600E変異非小細胞肺がん患者に対する有効な治療選択肢である、と筆者らは結論付けている。