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RNAポリメラーゼI阻害薬は急性骨髄性白血病および多発性骨髄腫の治療薬候補として有望である [2014-09-30] |
Inhibitor of RNA polymerase I shows promise as potential treatment for acute myeloid leukemia and multiple myeloma |
RNAポリメラーゼI(Pol I)蛋白を阻害する治験薬CX-5461は高悪性度急性骨髄性白血病(AML)および多発性骨髄腫のマウスモデルにおける生存期間をp53の状態とは無関係に延長させた、とのデータがAmerican Association for Cancer Research special conference Hematologic Malignancies:Translating Discoveries to Novel Therapiesで発表された。Pol Iは細胞増殖および生存の中心となる細胞過程に関わる蛋白である。筆者らによると、Pol Iレベルはがん、特に造血器腫瘍において、一貫して上昇していることが分かっており、これが治療の良い標的である可能性が示唆されている。彼らは、CX-5461が高悪性度AMLのマウスモデルである、MLL/ENL + Nrasモデルにおいて、全生存期間を有意に延長させることを見いだした。無投薬のマウスの生存期間中央値は17日間であったのに対し、標準的な化学療法であるシタラビンとドキソルビシンの併用で治療されたマウスでは21日間であり、CX-5461で治療されたマウスでは36日間であった。V-kappa-MYC誘導性多発性骨髄腫モデルにおいて、CX-5461は全生存期間を有意に延長させた:生存期間中央値は無投薬マウスで103.5日であったのに対し、CX-5461を投与されたマウスでは175日であった。 |
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新たなタイプの標的療法は動物B細胞性悪性腫瘍モデルにおいて有望な結果を示した [2014-09-30] |
New type of targeted therapy shows promise in preclinical models of b-cell malignancy |
多発性骨髄腫を含む、多くのヒト血液がん細胞表面において認められるCD38蛋白を標的とした試験的な細菌毒素による治療法は、ヒト腫瘍細胞を保持するマウスの生存期間を劇的に延長させたとのデータがAmerican Association for Cancer Research special conference, Hematologic Malignancies:Translating Discoveries to Novel Therapiesで発表された。今回の治験薬はCD38-標的engineered toxin body(ETB)である。ヒトがん細胞を保持したマウスにおいて、最低用量の治験薬CD-38標的ETB(体重kg当たり0.05mg)は腫瘍量を有意に軽減させた:腫瘍量中央値はコントロールマウスのそれの29%であった。0.5および2mg/kgの高用量の治療により、腫瘍量の中央値はコントロールの1%未満になった。治験薬CD-38標的ETBは生存期間中央値も増加させた。コントロールの生存期間中央値は34日間であったのに対し、最低用量の治験薬で治療されたマウスのそれは59.5日間であった。0.5または2mg/kgの治験薬を投与されたマウスではそれぞれ90%および100%がスタディ期間中の60日後にも生存していた。 |
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術前補助化学療法奏効および腫瘍サブタイプは局所乳がん再発の強力な予測因子である [2014-09-22] |
Response to neoadjuvant chemotherapy and tumor subtype are strong predictors of loco-regional breast cancer recurrence |
乳がんの術前補助化学療法への病理学的奏効および腫瘍サブタイプは局所乳がん再発の強力な予測因子である、との研究結果が2014年American Society of Clinical Oncology乳がんシンポジウムで発表された。病理学的完全奏効(pCR)が得られた患者と比較し、術前補助化学療法を受け乳房内に残存病変があり腋窩リンパ節転移のない乳がん女性は局所再発率が1.6倍高かった。腋窩リンパ節転移を有する女性は再発リスクが2.8倍であった。この傾向は乳房切除術を施行された女性や乳腺腫瘤摘出術と放射線療法を受けた女性においても明らかであった。局所再発率はまた、腫瘍サブタイプによっても異なっていた。ホルモン受容体陽性(HR-陽性)/HER2陰性およびグレード1/2腫瘍(5年局所再発率:4.2%)の患者と比較し、他の全ての腫瘍サブタイプの患者の5年局所再発率は高かった:HR陽性/HER2陰性、グレード3乳がんで9.2%;トリプルネガティブ乳がんで12.2%;HR陽性/HER2陽性乳がんで9.7%;HR陰性/HER2陽性乳がんで14.8%。さらに、病理学的完全奏効および腫瘍サブタイプの情報を考慮に入れると、診断時により進行したステージであることは局所再発率に悪影響は及ぼさなかった。 |
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乳がん手術および再建術の合併症はまれであるが両側乳房切除術の方が合併症率は高い [2014-09-22] |
Breast cancer surgery and reconstruction complications are rare, though bilateral mastectomy has higher risk of complications |
乳房再建術を伴う両側乳房切除術および片側乳房切除術を施行された乳がん女性18,000人余の術後30日間の合併症に関する新たな解析の結果、いずれの手術においても合併症は全般的にまれであるが両側乳房切除術の方が片側乳房切除術よりも合併症率が高いことが示された。患者の多く(64.3%)が片側乳房切除術を施行され、両手術群の女性の多くが自家移植ではなくインプラントベースの乳房再建術を受けた(合計15,000人)。全体の合併症率は5.3%であった。インプラントベースの乳房再建を受けた女性において、両側乳房切除術は片側乳房切除術と比較しインプラント合併症率が高く(1%対0.7%)、術後30日以内に再手術を必要とする確率が高かった(7.6%対6.8%)。乳房再建術のタイプにかかわらず、両側乳房切除術は出血に関連した合併症による輸血の頻度が高く、特に自家移植を行われた女性において確率が高かった(輸血を必要としたのは片側乳房切除術女性で3.4%であったのに対し両側切除女性では7.9%)。輸血の頻度はインプラントベースの乳房再建術を受けた女性の方が少なかった(片側切除術0.3%および両側切除術0.8%)。このスタディは2014年American Society of Clinical Oncology乳がんシンポジウムで発表された。 |
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トマトやリコピンの豊富なその他の食物は前立腺がん予防において重要である [2014-09-02] |
Tomatoes and other lycopene-rich foods important in prostate cancer prevention |
トマトを週10人前以上摂取する男性は前立腺がん発症リスクが18%低いとのスタディ結果が、Cancer Epidemiology, Biomarkers and Preventionに掲載された。食事や生活習慣の勧告に従うことにより前立腺がんリスクが低下するのかを評価するために研究者らは、前立腺がん患者1,806人(50〜69歳)の食事および生活習慣を調査し、その結果をがんのない男性12,005人のものと比較した。これは、前立腺がんと関連するといわれるセレン、カルシウムおよびリコピンの豊富な食品などの食事成分からなる前立腺がん「食事指標(dietary index)」を開発するための、この種で初めてのスタディである。これらの3つの食事成分の摂取が最大であった男性は、前立腺がんリスクが低かった。トマトおよびその加工物(トマトジュースやベイクドビーンなど)は最も有益であり、週に10人前以上を摂取する男性ではリスクが18%低かった。この結果は、トマトに認められる抗酸化リコピンによるものであると思われる。現在の勧告は前立腺がん予防に標的を当てていないため、この勧告を遵守するのみでは不十分でありさらに食事の勧告を追加すべきである、と研究者らは結論付けている。 |
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蛋白欠失は非小細胞肺がんの予後不良の独立した予測因子である [2014-09-02] |
Protein deletion is independent predictive factor for worse outcome in non-small cell lung cancer |
上皮成長因子受容体(EGFR)チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)または化学療法による治療を受けたアジア人の進行非小細胞肺がん(NSCLC)患者において、Bcl-2-like protein 11(BIM)欠失多型は無増悪生存期間(PFS)の短いことと関連する、との研究結果がJournal of Thoracic Oncology 9月号に掲載された。また、BIM欠失多型は進行NSCLC患者の全生存期間(OS)の独立した予測因子である。BIM蛋白は細胞内アポトーシス経路を活性化させ得る。研究の結果、BIM欠失多型は、EGFR TKI治療を受けた患者のPFSが短い(ハザード比2.15、p=0.002)ことの独立した予測因子であり、PFS中央値はBIM欠失多型患者で4.6か月であったのに対し野生型の患者では8.6か月であった。化学療法を受けた患者でも同様の結果が認められ、ハザード比は2.4(p=0.016)であり、PFS中央値は欠失多型と野生型でそれぞれ3.5か月および5.6か月であった。BIM欠失多型はまた全生存期間の独立した予測因子でもあった(ハザード比=1.65、p=0.039)。BIM欠失多型はアジア人の12.8%に認められている。この結果から、NSCLCのアジア人患者において全身療法を検討する際には臨床試験の層別化因子としてBIM欠失多型を考慮すべきであることが示唆される、と筆者らは述べている。 |
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