NSAIDは過剰体重および肥満のERα陽性乳がん女性の再発率を低下させる可能性がある [2014-08-26]
NSAIDs may lower recurrence rate in overweight and obese women with ERα-positive breast cancer

ホルモン関連乳がん再発率は、アスピリンまたは他の非ステロイド抗炎症薬(NSAID)を常用している過剰体重および肥満女性において半分に減少したとのデータがCancer Researchに掲載された。研究者らは浸潤性ERα陽性乳がんと診断された肥満女性440人の血液を使用し、がん細胞、脂肪細胞、および炎症を促進する免疫細胞を含んだ腫瘍環境を再現した研究室での実験を行った。その結果、肥満に関連した因子が腫瘍増殖を促進し、治療抵抗性にさせる腫瘍環境内シグナリングのネットワークを形成し始めた。研究対象となった女性のうち、58.5%が肥満であり、25.8%は過剰体重であった。約81%がアスピリンを内服し、残りは他のNSAIDを内服していた。42%がスタチンを、25%がω3脂肪酸を内服していた。その結果、やはり抗炎症作用を有するスタチンやω3脂肪酸の使用で補正しても、アスピリンおよび他のNSAIDによる保護作用が示された。ボディーマスインデックス(BMI)が30超でエストロゲン受容体アルファ(ERα)陽性乳がんを有する女性は、アスピリンまたは他のNSAIDを常用していると再発リスクが52%低く、再発までの時間が28か月長かった。

慢性気管支炎、肺気腫および肺炎と肺がん発症リスクとの関連が認められた [2014-08-26]
Link found between chronic bronchitis, emphysema and pneumonia and risk of developing lung cancer

いくつかの一般的な呼吸器疾患と肺がん発症リスク上昇との関連がJournal of Respiratory and Critical Care Medicineに掲載された大規模スタディで示された。研究者らは、合計12,500症例超およびコントロール14,900人超を対象とした7つのケースコントロールスタディの結果を蓄積し、慢性気管支炎、肺気腫、および肺炎の3疾患と肺がんリスク上昇とに関連があることを明らかにした。過去の呼吸器疾患として報告される頻度が最も高かったのは、肺炎および慢性気管支炎であった。他の呼吸器疾患および喫煙により補正した後の解析において、慢性気管支炎および肺気腫は肺がんリスクと正相関を示し、男性におけるオッズ比(OR)は慢性気管支炎で1.33であり肺気腫で1.50であった。過去2年間または数年間の肺炎の診断と肺がんとにも正の相関が認められた(男性でOR=3.31)。喘息は肺がんリスクとは負の相関を示し、肺結核と肺がんとには相関は認められなかった。慢性気管支炎、肺気腫および肺炎を合併した患者は、慢性気管支炎のみの患者よりも肺がんリスクが高かった。喘息や肺結核を合併した患者においては、慢性気管支炎と肺がんとに相関は認めなかった。

PALB2遺伝子変異を有する女性の乳がん発症リスクは35%である [2014-08-19]
Women with mutations in PALB2 gene have a 35% chance of developing breast cancer

PALB2遺伝子に変異を有する女性の平均3人に1人が70歳までに乳がんを発症する可能性がある、とのinternational PALB2 Interest Groupの研究結果がNew England Journal of Medicineに報告された。研究者らは、PALB2遺伝子変異を有する362人を家族に含む、BRCA1またはBRCA2変異を有さない154家族のデータを解析した。PALB2にまれな変異を有する女性は70歳までに乳がんを発症するリスクが平均35%であることが示された。しかし、このリスクは家族歴に大きく依存し、乳がんの親族が多い者はリスクが高かった。このような変異を有する女性の割合は世界的に非常に低く、したがって突然変異の保因者の割合を正確に推定するにはさらに研究が必要である、と筆者らは指摘している。PALB2はBRCA1およびBRCA2の両者と相互に影響し合うことが知られている。PALB2は'BRCA3'の候補となり得ると研究者らは述べている。PALB2変異を有する細胞は、現在BRCA1およびBRCA2関連乳がんにおいて試験が行われているPARP阻害薬に感受性が高い。

軟性S状結腸鏡のスクリーニングにより大腸がん発症および死亡率が低下する [2014-08-19]
Flexible sigmoidoscopy screening reduces colorectal cancer incidence and rate of death

参加者約100,000人のスタディにおいて軟性S状結腸鏡を用いたスクリーニングにより、スクリーニングを行わない場合と比較し、大腸がん発症および死亡率が低下したとのスタディ結果がJAMAに掲載された。研究者らはノルウェーのスタディ参加者を、単回のみの軟性S状結腸鏡検査(10,283人)、単回のみの軟性S状結腸鏡検査と便潜血検査(FOBT 10,289人)、または介入なし(78,220人)の群にランダムに割り付けた。11年の追跡期間中央値の後、大腸がんによる死亡はスクリーニング群71人に対し、コントロール群では330人であった。大腸がんと診断されたのはスクリーニング群253人に対し、コントロール群1,086人であった。スクリーニング無施行と比較し、軟性S状結腸鏡スクリーニングにより大腸がん発症率が20%低下し(絶対数の差 28.4症例/100,000人年)、大腸がん死亡率は27%低下した(絶対数の差11.7件/100,000人年)。軟性S状結腸鏡のみとフレキシブル大腸内視鏡とFOBTの両者とでは予後に有意差はなかった。50〜54歳の若年者もこのスクリーニング検査により55〜64歳の高齢者と少なくとも同等の有益性を被るようであった。

高齢者におけるマンモグラフィー検査は進行難治性乳がん率を低下させる [2014-08-11]
Mammography in older women reduces rate of advanced, difficult-to-treat breast cancer

高齢者においてマンモグラフィーにより検出された乳がんは診断がより早期段階であり、その結果としてより進行した難治性の症例を減少させるとのスタディ結果がRadiologyに掲載された。研究者らは、75歳以上の患者1,600人を含む14,000症例を超えるレジストリのデータを調査した。マンモグラフィーにより検出された症例の大半が初期段階である一方、医師や患者が発見したがんはより進行した段階である傾向にあった。マンモグラフィーにより浸潤性乳がんを検出された患者は、患者または医師が発見した症例よりも乳腺腫瘤摘出術および放射線療法で治療される頻度が高く、乳房切除術や化学療法を受けることは少なかった。5年疾患特異的浸潤性乳がん生存率はマンモグラフィーにより検出されたがん患者で97%であり、患者または医師が発見した患者では87%であった。マンモグラフィーで浸潤性がんを検出された高齢女性は、5年後の乳がん特異的死亡率が10%低かった。高齢者では偽陽性率が低く、75歳以上の女性の定期的なマンモグラフィースクリーニングが支持される、と研究者らは指摘している。この結果により、女性やその医師らがマンモグラフィーについてより十分な情報を得た上で決断するのに役立ち、その結果死亡率が低下することが期待される。

鍼治療はアロマターゼ阻害薬を使用する乳がん患者の倦怠感、不安およびうつを軽減するのに役立つ [2014-08-11]
Acupuncture helps cut fatigue, anxiety and depression in breast cancer patients who use aromatase inhibitors

2つの鍼の間に微小電流を流す鍼の一種である電気鍼(EA)の使用により、アロマターゼ阻害薬(AIs)の使用に関連した関節痛を有する早期乳がん患者の倦怠感、不安およびうつを、わずか8週間で有意に改善するとのランダム化プラセボコントロール試験の結果がCancer 誌に掲載された。研究者らは、AIに関連した関節痛や他の副作用に対するEAの短期効果および安全性を、シャムの鍼(SA‐電気を使用せず実際は針を皮膚内に挿入しないプラセボの鍼)、および通常のケアと比較した。通常のケアと比較し、EAを受けた患者は8週後に倦怠感スコアが大幅に低下し、この効果は12週後にも持続していた。12週までに、EAを受けた患者は不安スコアの顕著な改善を報告したが、SAを受けた患者では改善しなかった。EAおよびSA群の患者はいずれも通常管理群と比較し、8週までにHADS-Depressionスコアの有意な改善を示した(それぞれ2.4点および2.0点)。EAおよびSAのうつに対する効果は12週後にも持続していた。

メラトニンはタモキシフェンによる乳がん治療において重要であることが示された [2014-08-05]
Melatonin shown to be vital to the success of tamoxifen in treating breast cancer

夜間に明かりに曝露されると夜間のメラトニン産生が遮断され、乳がんを完全にタモキシフェン耐性とするとのスタディ結果がCancer Researchに掲載された。研究者らは、ラットに移植されたヒト乳がん細胞消滅におけるタモキシフェンの有効性に関するメラトニンの役割を調査した。まず彼らはラットを、明るい環境12時間に続いて暗い環境12時間の明/暗サイクルに数週間置いた。次に、同じ日内明/暗サイクルで、12時間の暗い環境の時間に夜間のほの暗い照明、つまりドアの下から漏れるかすかな明かりと同等の照明に曝露させた。メラトニンはそれ自体が腫瘍形成を遅延させ成長を有意に緩徐にしたが、タモキシフェンは、夜間の真っ暗闇の状態でメラトニンレベルが高いラットまたはほのかな明かりに曝露されている時にメラトニンを内服したラットの腫瘍を劇的に縮小させた。これは、乳がんに対するタモキシフェン治療が奏効するにはメラトニンが重要であることを示した初めてのスタディである。この結果は、タモキシフェンによる治療を受けている女性で常に夜間照明に曝されている者(シフト勤労者、不眠など)において意味合いを有する可能性がある。

甲状腺がん予測において分子検査パネルは甲状腺葉切除よりも正確である [2014-08-05]
Molecular testing panel more accurate than lobectomy to predict thyroid cancer

分子検査パネルをルーチンに使用することにより甲状腺結節や甲状腺がん患者の初回手術を正確に施行する確率が大きく上昇するとAnnals of Surgeryに報告された。これまで、甲状腺がんの最も正確な検査は穿刺吸引生検であったが、これら生検例の20%においてはがんが否定できずその後に葉切除術を要していた。術後にがんと診断された場合、残存甲状腺摘除のため2度目の手術が必要になる。研究者らは甲状腺がんの可能性が高いことを示唆するある遺伝子変異を同定したことで、分子検査パネルは低侵襲の初回生検を用いることができる。パネルによりこれらの変異が示された場合、甲状腺全摘術が勧められる。研究者らは甲状腺結節が疑われ生検を施行された患者671人を追跡した。検体の約半数がパネルを介して解析され、残りの半数はパネルを介さずに行われた。組織検体がパネルによる検査を行われなかった患者は初回に甲状腺葉切除を施行されその後2度目の手術を施行される確率が2.5倍であり統計的に有意であった。したがって、この検査により患者が初回に正しい手術を受けられる確率が30%増加した。