腎がん患者において低コレステロールは生存率不良と関連する
Selumetinibにより腫瘍反応率は上昇したが生存率は改善しなかった
ホルモン抑制剤は乳がん患者の妊孕性を温存する(ASCO2014 Abstract: LBA505)
PD-1標的抗体はメラノーマ患者の生存率を上昇させる(ASCO2014 Abstract: LBA9500)
乳がん患者においてゾレドロン酸の投与頻度を減少させても安全である(ASCO2014 Abstract: LBA9003)
子宮頸がんにおけるT細胞免疫療法(ASCO2014 Abstract: LBA3008)
分子標的薬の併用により卵巣がんの予後が改善する(ASCO2014 Abstract: LBA5500)
進行性甲状腺がんにおいて新規分子標的薬は有効性が高い(ASCO2014 Abstract: LBA6008)
メラノーマに対する併用療法による過去最長の生存期間(ASCO2014 Abstract: LBA9003)
アロマターゼ阻害薬は閉経前乳がん患者において有効である(ASCO2014 Abstract: LBA1)
転移性前立腺がんにおける生存の劇的な有益性(ASCO2014 Abstract: LBA2)
大腸がんの治療成績は同等である(ASCO2014 Abstract: LBA3)
進行非小細胞肺がんにおいて生存に関する有益性が軽度認められた(ASCO2014 Abstract: LBA8006)
CLLにおいて経口薬が生存に関する有益性を示した(ASCO2014 Abstract: LBA7008)
PSAに基づき再発とされた前立腺がん患者においてホルモン療法延期は安全なようである(ASCO2014 Abstract: 5003)
新薬は肺がん治療薬として有望である(ASCO2014 Abstract: 8009)
まれな腫瘍性関節疾患の治療に対する有望な結果(ASCO2014 Abstract: 10503)
肥満および乳がんに関連した死亡率(ASCO2014 Abstract: 503)
腎がん治療前のコレステロール値が低いことは腫瘍のステージがより進行していることや転移と関連する [2014-06-24]
Low cholesterol levels before treatment for kidney cancer associated with more advanced tumor stages and metastases

心臓の健康のためにコレステロール値を低下させるようにしばしば言われるが、腎がん患者においては低コレステロールは腎がんによる死亡リスクを上昇させる可能性があるとの研究結果がBJU International に掲載された。コレステロールや他の脂質の変化は様々ながんの発症、進行、および予後と関連することがますます多くのエビデンスから示唆されている。この状況が腎がんにも関連するか否かを評価するため研究者らは、腎臓手術前の腎細胞がん患者867人の血中総コレステロール値を解析した。その後彼らは、患者を期間中央値52か月間追跡した。治療前のコレステロールが低いことは追跡期間中の腫瘍ステージがより進行し、がんが拡散していることと関連があった。また、高コレステロール患者は低コレステロール患者に比べ、がんによる死亡リスクが43%低かった。つまり、従来のリスクファクターにコレステロール値を含めることで予後をより正確に判断できた。コレステロール値がどのように腎臓がん患者の予後に影響しているのかは不明である。コレステロールのある要素が腫瘍増殖や拡散に影響するがん関連パスウェイ活性に影響する可能性がある。コレステロール検査は、医師が腎がん患者をモニターし治療する上で役立つ可能性がある。

進行ぶどう膜メラノーマ患者においてselumetinibは化学療法と比べ長期生存期間を改善しなかった [2014-06-24]
Compared to chemotherapy, selumetinib not associated with improved long term survival for patients with advanced uveal melanoma

進行ぶどう膜メラノーマ患者において、selumetinibによる治療により、化学療法と比べ、無増悪生存期間および奏効率は改善したが全生存期間は改善しなかったとのスタディ結果が、JAMA 6月18日号に掲載された。研究者らは転移性ぶどう膜メラノーマ患者を、selumetinib(50人、1日2回内服)、または化学療法(51人;テモゾロミド毎日内服を28日ごとに5日、または21日ごとのダカルバジン注射)を、疾患増悪、死亡、耐え難い副作用、または同意撤回までの間施行される群にランダムに割り付けた。一次アウトカムの解析後、さらに19人の患者が登録されランダム化されずに18人がselumetinibによる治療を受けた。これにより計画していた120人の患者の登録が達成された。無増悪生存期間中央値は化学療法群で7週間(治療期間中央値8週間)であり、selumetinib群では15.9週間であった(治療期間中央値16.1週間)。4か月無増悪生存率は化学療法群で8.5%、selumetinib群では43.1%であった。全生存期間中央値は化学療法群で9.1か月、selumetinib群で11.8か月であり、この差は統計学的に有意ではなかった。腫瘍縮小は化学療法群ではまれであったが、selumetinib群にランダムに割り付けされた患者群では49%に認められた。

標準的な化学療法にゴセレリンを併用することにより乳がんに対し化学療法を施行される女性の妊孕性が温存される [2014-06-17]
Adding goserelin to standard chemotherapy helps preserve fertility among women undergoing chemotherapy for breast cancer

ゴセレリン併用ホルモン療法は、ホルモン受容体陰性早期乳がん患者の化学療法による早期卵巣不全(OF)リスクを劇的に減少させるとの第III相研究の結果が、第50回American Society of Clinical OncologyのLate Breaking Clinical Trial sessionで発表された。このスタディにおいて、ホルモン受容体陰性閉経前stage I-IIIA乳がん患者257人が、シクロホスファミドを含む化学療法単独(標準療法群)または化学療法とゴセレリン併用群にランダムに割り付けられた。2年後、OFを来していたのはゴセレリン併用群の8%に対し、標準治療群では22%であった。妊娠を試みたと報告した女性の数は、2群間で同等であった。ゴセレリン併用群の21%(22人)が妊娠したが、化学療法単独群で妊娠したのはわずか11%(12人)であった。ゴセレリンは流産や妊娠中絶のリスクを上昇させることはなかった。ゴセレリンは無病生存期間および全生存期間にも影響したことに研究者らは驚いた。病期で補正後、治療後4年生存率はゴセレリン併用群において標準治療群に比べ50%高かった。

PD-1標的免疫療法MK-3475は転移性メラノーマに対し持続性で高い活性作用を有する [2014-06-17]
PD-1 targeting immunotherapy MK-3475 has high and long-lasting activity against metastatic melanoma

第50回American Society of Clinical Oncology学会で発表された大規模第I相研究の新たな結果から、PD-1標的抗体MK-3475は転移性メラノーマ患者において高率に長期の奏効性を有することが示された。スタディには、ipilimumabによる前治療歴のある患者221人およびipilimumabによる前治療歴のない患者190人が組み入れられた。全ての患者が皮膚、肺、または他の主要臓器に拡散した進行メラノーマを有していた。3つの異なる用量のMK-3475単剤使用が計画された。Ipilimumabによる前治療歴のない患者の40%およびipilimumabによる前治療歴で増悪を認めた28%の患者を含む、全体で34%の患者に奏効が認められた。奏効は持続性であり、解析の時点で88%の患者において持続していた。全ての用量および患者サブグループにわたって活性が認められ、ipilimumab前治療歴の有無、パフォーマンスステータス、LDH値、BRAF変異の有無、病期、および前治療の数やタイプとは関係がなかった。推定1年生存率は69%であり、全生存期間中央値には到達しなかった。推定1年生存率はipilimumabによる前治療歴のない患者で74%であり、ipilimumabによる前治療歴のある患者では65%であった。

骨転移を有する乳がん女性においてゾレドロン酸の投与頻度を減らしても安全であり有効性は通常頻度の場合と同等である [2014-06-17]
Less frequent zoledronic acid is safe and has comparable efficacy for women with breast cancer and bone metastases

2014年ASCO年次総会で発表された第III相ランダム化スタディの結果、骨転移を有する乳がん女性において毎月のゾレドロン酸治療を1年間施行した後に、治療を3か月毎のスケジュールに変更しても安全であることが示唆された。OPTIMIZE-2スタディにおいて、乳がんの骨転移を有する患者で約1か月毎のゾレドロン酸治療を終了した女性403人が、次の1年間、ゾレドロン酸3か月毎投与群と毎月投与群にランダムに割り付けられた。研究者らは骨イベント(長骨や椎骨骨折、脊髄圧迫、および骨転移により行われた治療)率を評価した。骨イベントは2つの投与群で同等であり(毎月投与群22%対3か月毎投与群23.2%)、毎月毎の治療に対する治療頻度の減少の非劣性が示唆された。初回骨イベントまでの時間や骨代謝マーカーなどの他の有効性評価項目もまた、2群間で同等であった。疼痛レベルや鎮痛薬の使用も2つの投与群で差はなかった。全体的な安全性プロファイルや腎の副作用に関して、2つのゾレドロン酸投与群間で明らかな差は認められなかった。

HPV標的養子T細胞療法は進行子宮頸がんに対する個別化医療となる可能性がある [2014-06-17]
HPV-targeted adoptive T-cell therapy may provide a personalized strategy for advanced cervical cancer

第50回American Society of Clinical Oncology学会で発表された第II相研究から、進行子宮頸がんに対し養子T細胞療法として知られる新たな個別化免疫療法を施行された複数の女性において、注目すべき結果が得られたことが示された。HPV標的養子T細胞療法は、腫瘍内のHPVに対する自然免疫応答を本質的に増幅させる。今回のスタディにおいて、9人の患者が養子T細胞療法を受け、うち3人が治療に奏効を示した。1人の患者は部分寛解し、腫瘍体積が39%減少し、2人の患者は完全寛解した。これら2人の患者は広範な転移を有しており、以前の治療にもかかわらず子宮頸がんが増悪していた。解析の時点で、これら2人の患者は治療後11か月および18か月寛解状態が持続していた。この治療には重篤な副作用があり、最も多かったのが血球数減少、感染症、および代謝障害であった。養子T細胞療法が子宮頸がんに対し検証されたのは今回が初めてである;過去にはメラノーマ、白血病、およびサルコーマにおいて有望であることはすでに示されている。研究者らは今回のスタディを拡大しさらに患者を組み入れることを計画している。このスタディではまた、咽喉がんや肛門がんなど他のHPV関連がんの治療としての養子T細胞療法に関しても調査している。

新規分子標的薬の併用は再発卵巣がん患者の無増悪生存期間を有意に延長させる [2014-06-17]
New targeted drug combination significantly increases progression-free survival in women with recurrent ovarian cancer

2つの経口治験薬、PARP阻害薬olaparibおよび抗血管新生薬cediranibの併用は、再発プラチナ製剤感受性卵巣がんまたはBRCA遺伝子変異のある卵巣がんに対し、olaparib単剤よりも有意に有効である。再発プラチナ製剤感受性高悪性度漿液性卵巣がんまたはBRCA変異陽性卵巣がん患者90人がolaparib単剤群またはolaparibとcediranib併用群にランダムに割り付けられた。患者には再発卵巣がんに対する抗血管新生薬やPARP阻害薬による前治療歴はなかった。腫瘍縮小率はolaparib単剤群に比べ併用群において著明に高かった(80%対48%)。併用群患者5人およびolaparib単剤群患者2人が完全寛解した。併用療法は疾患の増悪を実質的に遅延させ、無増悪生存期間はolaparib単剤群の9か月に対し、併用群では17.7か月であった。プラチナ製剤感受性患者における標準的な化学療法の過去のトライアルでは、無増悪生存期間は8〜13か月であった。この第II相研究の結果は、第50回American Society of Clinical OncologyのLate Breaking sessionで発表された。

Lenvatinibは進行性放射性ヨウ素治療抵抗性分化型甲状腺がん患者において高い奏効率を示す [2014-06-17]
Lenvatinib yields high response rates in patients with radioiodine-resistant, advanced differentiated thyroid cancer

SELECTスタディの結果、lenvatinibは標準的な放射性ヨウ素(RAI)療法に抵抗性の分化型甲状腺がんに対し有効性が高いことが示された。Lenvatinibは、VEGFR1-3、FGFR 1-4、PDGFR-β、KIT、およびRETなどのがん細胞内のいくつかの標的をブロックする経口チロシンキナーゼ阻害薬である。この薬剤は今、肝がん、肺がん、および腎がんや他のタイプの固形がんの治療に対する可能性を第II相および第III相試験において検証されている。今回のスタディにおいて、1年以内に増悪した進行性RAI治療抵抗性分化型甲状腺がんの患者392人が、lenvatinibまたはプラセボ群にランダムに割り付けられた。プラセボ群患者は疾患が増悪した時点でlenvatinib群へクロスオーバーすることが許可された。Lenvatinib群では約65%の患者に腫瘍縮小が認められたのに対し、プラセボ群ではわずか3%であった。奏効は多くが治療開始後2か月以内に認められた。無増悪生存期間中央値はプラセボ群よりもlenvatinib群において有意に長かった(18.3か月対3.6か月、p<0.001)。全生存期間中央値には到達しなかった。この第III相スタディは第50回American Society of Clinical OncologyのLate Breaking sessionで発表された。

Ipilimumabとnivolumabの併用免疫療法は進行メラノーマの長期生存を達成する [2014-06-10]
Combination immunotherapy with ipilimumab and nivolumab achieves long-term survival for patients with advanced melanoma

拡大第I相試験の長期追跡結果から、進行メラノーマ患者に対するipilimumabとnivolumabの同時併用療法が約3年半(40か月)という前例のない生存期間中央値を生み出した、と第50回American Society of Clinical Oncology学会のLate Breaking Clinical Trial sessionで発表された。この併用療法により、どちらかの薬剤を用いた単剤療法の過去のスタディで認められた全生存期間中央値が、ほぼ2倍になった。全体で、切除不能stage IIIまたはIVのメラノーマ患者53人中22人(41%)に奏効を認め、9人(17%)は完全寛解した。腫瘍縮小は迅速かつ広範囲であった―42%の患者が第36週までに80%超の腫瘍縮小を示した―持続的な奏効は、解析時点で22人中18人(82%)に認められた。全ての用量で、1年および2年全生存率中央値は、それぞれ85%および79%であり、生存期間中央値は39.7か月であった。臨床的奏効はBRAF変異やPD-L1発現の有無に関係なく認められた。副作用はほぼ全ての患者で、対処可能かつ可逆性であった。

ホルモン感受性早期乳がんにおいて術後補助療法にエキセメスタンと卵巣機能抑制とを組み合わせるとタモキシフェンよりも有効である [2014-06-10]
Adjuvant exemestane beats tamoxifen when combined with ovarian function suppression in hormone-sensitive, early-stage breast cancer

アロマターゼ阻害薬エキセメスタンは、閉経前ホルモン受容体陽性早期乳がん患者において卵巣機能抑制(OFS)と併用することによりタモキシフェンより乳がん再発予防効果が高い、と2014年American Society of Clinical Oncology学会で発表された。TEXTおよびSOFTトライアルの共同解析では、4,690人の女性(平均年齢43歳)をエキセメスタンとOFSの併用またはタモキシフェンとOFSの併用を5年間施行する群にランダムに割り付けた。OFSは薬剤triptorelin、卵巣摘出術、または卵巣放射線照射により行った。一部の患者はまた、主治医の判断で術後化学療法も施行された。5年無がん生存率はエキセメスタンとOFS併用群の91.1%に対し、タモキシフェンとOFS併用群では87.3%であった(28%の相対リスク低下)。エキセメスタンとOFS併用群におけるタモキシフェンとOFS併用群に対する相対リスク低下は、乳がん再発に関しては34%であり、転移リスクに関しては22%であった。5年全生存率は両群ともに高かった―エキセメスタンとOFS併用群95.9%、タモキシフェンとOFS併用群96.9%。このスタディの結果は、New England Journal of Medicineオンライン版に同時に掲載された。

初回ホルモン療法にドセタキセルを併用することで転移性ホルモン感受性前立腺がん患者の生存期間が大幅に改善する [2014-06-10]
Addition of docetaxel to initial hormone therapy substantially improves survival in men with metastatic, hormone-sensitive prostate cancer

第50回American Society of Clinical Oncology学会のLate Breaking sessionで発表された研究の結果、新たにホルモン感受性前立腺がんと診断された患者において、標準的なホルモン療法に化学療法薬ドセタキセルを併用することにより生存期間が約10か月延長することが示された。今回の第III相試験において、新たに転移性前立腺がんと診断された患者790人がアンドロゲン除去療法(ADT)単独またはADTとドセタキセルの併用を18週間投与する群にランダムに割り付けられた。約3分の2の患者において病変は広範であった。ADTとドセタキセル併用群の患者45人は疾患が悪化したため、ドセタキセルの追加投与が行われた。ADT単独群患者123人は、疾患が増悪した時点でドセタキセルの投与を受けた。追跡期間中央値29か月の時点で、ADT単独群で死亡は136人であったのに対し、ADTとドセタキセル併用群では101人であった。全生存期間中央値はADT群で44か月でありADTとドセタキセル併用群では57.6か月であった。総生存期間中央値の相対的な改善は、疾患が広範に及ぶ患者520人においてより大であった(32.2か月対49.2か月)。ECOG E3805 CHAARTEDトライアルの研究者らは、これらの結果は"日常診療を変化させる"そして"変化させる力がある"と述べている。

転移性大腸がんにおけるベバシズマブ併用化学療法とセツキシマブ併用化学療法の生存期間への有益性は同等である [2014-06-10]
Bevacizumab plus chemotherapy and cetuximab plus chemotherapy provide similar survival benefits in metastatic colorectal cancer

KRAS変異を有さない転移性大腸がん患者に対する4つの一般的なファーストライン治療―ベバシズマブ併用化学療法およびセツキシマブ併用化学療法―の有効性は同等であるとの大規模第III相試験の結果が第50回American Society of Clinical Oncology学会Late Breaking sessionで発表された。このスタディにおいて、未治療の転移性大腸がん患者1,137人は、ベバシズマブ併用化学療法またはセツキシマブ併用化学療法のいずれかを施行される群にランダムに割り付けられた。化学療法は担当医が選択した(26.6%がFOLFIRI、73.4%がFOLFOXを施行された)。追跡期間中央値は24か月であった。全生存期間および無増悪生存期間は、治療群間で有意差はなかった。ベバシズマブ併用化学療法群では全生存期間および無増悪生存期間はそれぞれ29か月および10.8か月であり、セツキシマブ併用化学療法群ではそれぞれ29.9か月および10.4か月であった。データから、FOLFOX(オキサリプラチン/5-フルオロウラシル/ロイコボリン)またはFOLFIRI(イリノテカン/5-フルオロウラシル/ロイコボリン)療法と今回のいずれかの分子標的薬との組み合わせは許容できることも示唆された。治療による新たな副作用は検出されず、患者の全体的なQOLは2つの抗体で同等であった。

進行非小細胞肺がんにおいて標準的なドセタキセルにramucirumab併用によるセカンドライン治療は生存期間を延期させる [2014-06-10]
Second-line treatment with ramucirumab plus standard docetaxel extends survival in advanced non-small cell lung cancer

新たな抗血管新生薬ramucirumabと標準的なドセタキセルによる化学療法の併用により、ドセタキセルとプラセボの併用と比較し、初回治療後再発したstage IV非小細胞肺がん(NSCLC)患者の全生存期間が延長する。第III相REVELスタディにおいて、標準的なプラチナ製剤ベースの治療を受けたにもかかわらず進行したstage IV NSCLC患者1,253人(26%は扁平上皮がん)が、ramucirumabとドセタキセルまたはプラセボとドセタキセル併用群にランダムに割り付けられた。Ramucirumabを併用することによりセカンドラインとしてのドセタキセル治療の有効性が改善した:ramucirumab群患者の22.9%に腫瘍縮小を認め、プラセボ群では13.6%であった。全生存および無増悪生存期間中央値はそれぞれ、ramucirumabとドセタキセル併用群で10.5か月および4.5か月であり、プラセボとドセタキセル併用群では9.1か月および3か月であった。生存に関する有益性は、扁平上皮がんおよび非扁平上皮がんなどの主なサブグループで同等であり、この治療法はNSCLCの主なサブタイプにおいて適切であることが示唆された。これにより、NSCLC患者のセカンドライン治療において生存に関する有益性が過去10年で初めてもたらされた。この発表は、2014年American Society of Clinical Oncology学会で行われた。

難治性または再発性慢性リンパ性白血病においてibrutinibは疾患の増悪を遅延させる [2014-06-10]
Ibrutinib delays disease progression and extends survival for patients with resistant or relapsed chronic lymphocytic leukemia

第III相RESONATEスタディの早期結果により、再発した慢性リンパ性白血病(CLL)においてibrutinibは標準的なオファツムマブより腫瘍への奏効性を継続させ生存期間が著明に改善したことが示された。2014年ASCO年次総会で発表されたLate Breaking trialにおいて、過去に2回以上の治療歴があり再発または難治性CLLあるいは小リンパ球性リンパ腫患者391人がオファツムマブまたはibrutinib治療群にランダムに割り付けられた。患者の年齢中央値は67歳であり、40%は70歳超であった。追跡期間中央値9.4か月時点の奏効率は、オファツムマブ群に比べibrutinib群で劇的に高かった(42%対4%)。Ibrutinib治療を受けたさらに20%の患者が、持続するリンパ球増多を伴う部分寛解を認めた。Ibrutinibはオファツムマブに比べ、疾患増悪リスクを80%、死亡リスクを57%、それぞれ減少させた。無増悪生存および全生存期間中央値は未到達だった。Ibrutinibは非常にハイリスクの2つのグループの患者(17p欠失およびプリン類似体抵抗性)において同等に活動性が高かった。この結果は、再発したCLLにおいて、経口治療薬が標準治療よりも生存期間を改善させることを示した初めてのものである。

PSA検査により再発が発見された前立腺がん患者においてアンドロゲン除去療法を症状発現まで遅らせても安全なようである [2014-06-03]
Delaying androgen deprivation therapy until onset of symptoms may be safe for men with prostate cancer relapse detected by PSA testing

前立腺手術または放射線療法後にPSAのみで再発とされた前立腺がん患者において、症状発現または画像上がんが出現するまでアンドロゲン除去療法(ADT)を遅らせても長期生存率は実質的に悪化しない、と第50回American Society of Clinical Oncology学会で発表された。スタディでは14,000人超の患者を解析し、うち2,012人は治癒目的の前立腺全摘術または放射線療法後にPSAに基づき再発が認められた。PSA再発後3か月以内にADTを開始した患者は"迅速"療法群とされた。PSA再発後2年以上経過してから、または転移、症状発現、またはPSA倍化時間が短い場合にADTを開始した患者は"遅延"療法群とされた。初回治療からPSA再発までの時間中央値は27か月であった。再発後、患者は中央値41か月追跡された。推定5年全生存率は2つのADT開始群で同等であった:遅延ADT群87.2%に対し迅速ADT群85.1%であり、迅速なADT開始は遅れて開始する場合と比較し生存率に関する有益性はほとんどないか、または全くないことが示唆された。この結果から、ADTを延期することは安全であり、治療に関連した副作用や医療費を軽減したり遅らせたりできると考えられる。

新たなEGFR阻害薬は難治性非小細胞肺がんにおいて有望な作用を示す [2014-06-03]
New EGFR inhibitor shows promising activity in treatment-resistant non-small cell lung cancer

新規変異型選択的EGFRチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)、AZD9291の第1相試験の結果は、EGFR変異を有する進行非小細胞肺がん(NSCLC)を有し標準的なEGFR阻害薬に対して不応の患者に対して新たな治療選択肢として有望であることを示した、との研究結果が第50回American Society of Clinical Oncology学会で発表された。このスタディにおいて、EGFR変異を有し1回以上の標準的なEGFR療法後に疾患が悪化した進行NSCLC患者199人が異なる用量のAZD9291を投与された。全ての用量および全てのサブグループ(脳転移患者を含む)において奏効が認められた。全体で、51%の患者に腫瘍の縮小を認めた。T790M変異が確認されている患者89人のうち64%においてAZD9291が奏効したのに対し、T790M陰性患者では23%であった。データカットオフの時点で、ほぼ全ての患者において奏効は持続して認められ、最長で8か月間以上持続した。この治療法が全生存期間を延長するかを究明するためには、さらに長期の経過観察が必要である。重要なことに、AZD9291は腫瘍内EGFRを選択的に標的とし、承認済みのEGFR TKIsよりも皮膚毒性が少ないようである。

色素性絨毛結節性滑膜炎再発患者に対する新たな治療選択肢 [2014-06-03]
New treatment option for patients with recurrent pigmented villonodular synovitis

2014年ASCO年次総会で発表された第1相試験の初期結果によると、新たな標的治療薬PLX3397は、まれな腫瘍性関節疾患である色素性絨毛結節性滑膜炎(PVNS)に対し有効なようである。今回のスタディは、他の可能な治療を行ったにもかかわらず疾患が進行した患者を評価した。単群第1相のこのスタディで、最初に治療された23人の患者の結果が報告されている。患者は進行PVNSで膝、足関節、足、または肘に腫瘍を有していた。ほとんどの患者が複数回の手術を受け、前治療として放射線治療および/またはイマチニブやニロチニブなどの他の分子標的治療薬による全身治療を受けた患者もいた。患者は疾患の増悪または薬剤への忍容性がなくなるまでスタディ参加を継続した。評価可能な患者14人中11人(79%)は治療が奏効したと見なすのに十分な腫瘍縮小を示し、残りの3人は疾患が安定していた。患者の腫瘍容積は平均61%減少し、全体的な関節機能、疼痛やこわばりの軽減などの症状改善を含む迅速で実質的な改善が認められた。この薬剤の忍容性は良好であった。最も多い治療関連副作用は髪色変化、倦怠感、嘔気、眼周囲浮腫、味覚異常、下痢、嘔吐、および食欲低下であった。

肥満は閉経前ER陽性乳がん患者においてのみ実質的に乳がん死亡率を上昇させる [2014-06-03]
Obesity substantially increases breast cancer mortality only in women with pre-menopausal ER+ disease

70の臨床試験における早期乳がん患者80,000人のスタディにおいて、肥満は閉経前エストロゲン受容体(ER)陽性患者においてのみ乳がん関連死リスクを34%上昇させることが示された。このEarly Breast Cancer Trialists' Collaborative Groupスタディでは、同じ臨床試験で同じ治療を受けた女性の記録を比較した。標準体重、過剰体重、および肥満(20-25、25-30、≧30 kg/m2)は、ボディーマスインデックス(BMI)を用いて定義した。予後に対するBMIの独立した影響を評価するために研究者らは、腫瘍の特徴を腫瘍の大きさやリンパ節への拡がり、および治療に関するあらゆる相違などの結果で補正した。ER陽性閉経前女性患者20,000人において、肥満女性は標準体重の女性よりも乳がん死亡率が3分の1高かった。これは例えるなら、乳がん10年死亡リスクを15%から20%に引き上げることになる。これとは対照的に、ER陽性閉経後女性40,000人またはER陰性女性20,000人いずれにおいても、肥満は乳がんの予後にはほとんど影響しなかった。この研究結果は第50回American Society of Clinical Oncology学会で発表された。